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リョウ外伝3【不安】
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―エルシュトワ湖―
出生の顛末を聞いたレイナリアは目を伏せる
「‥そうよね
その為に私が産まれた。
だから‥
与えられた運命を受け入れることしか出来ない。
ただ‥
私はその為だけに産まれた呪われた子…」
シュウトウはレイナリアの肩にそっと手を置いた
「姫!そんなことはありません。姫は父君と奥方様が待ち望んでお生まれになったんですぞ。
そのようなことは、もう2度と‥」
「もう!いたぁーい
ちょっと離してよー
ジョーダンよ
ジョーダンに決まってるでしょ!」
思わず手を離す
「もう!シュートはもっと女の子には優しくするものよ。それじゃなくても馬鹿力なんだから、ねぇ聞いてる?」
腰に手を当てあーだこーだ まくしたてる姫の声はシュウトウの耳に入らなかった
「‥姫
わしにもシュリという息子がおっての‥
母親は心臓が弱く、息子は母親の体に効く心胱草を取りに行くといって帰らなかった‥
わしは‥わしは!
必死に探した!息子の名を呼びながら‥
しかし‥
息子は‥見つからなかった‥
わしは‥わしは、今も息子を捜している。
我が子が愛おしくない親がどこにおるものか…
父君もそう思っておりますぞ」
シュウトウはじっとレイナリアを見つめていた
その目には涙が溢れていた
―5日前―
レダ王国:レダ城:謁見の間
今、【赤き獅子団】の精鋭達が顔を揃えていた
これからの決戦に備え、何かの通達があるであろうとの話だ
「静かに!」
神官の声が響きわたり、兵士達は一斉にかかとを鳴らした
王が入室し静かに玉座に座る
横には長女のアスターニアと次女のレイナリアが並ぶ
長男のレオンハルトとアスターニアは双子で19才、その下に年の離れたレイナリア12才がいるのだ
長男は父の背を見、父を尊敬し真っ直ぐに育っている青年だ。
赤き獅子団本部隊隊長でもある
双子のアスターニアは物静かでおっとりしており、大衆から【アニー姫】との愛称で呼ばれている
次女のレイナリアは楽天的な性格で、大衆から【レイナ姫】との愛称で親しまれている
「諸君、聞いてくれ
私が前王の意志を受け継ぎ、はや22年の月日が過ぎてしまった…
その間に数多くの同士達が命を落とし、幾難の壁を乗り越えて今があるのだ!
そのことは私もみなも忘れてはいない!!」
◆ダンッ
おー! おー! おー!
兵士達の声が一斉に響き渡った
「24年前‥我々はこの国が1人の魔導師によって滅ぼされた恨みを、今日まで忘れることはなかった!」
◆ダンッ ダンッ ダンッ ダンッ
音を揃えてかかとを鳴らす兵士達
「その魔導師を討ち滅ぼす為にも、我が祖国【エルトワ】に通ずる道を探し出さねばならぬ。
そして‥
その足掛かりを遂に見つける事が出来たのが、すでに20年前のことだ。
だが、城は私を拒みその事実を掴むことが出来なかった…
」
兵士達からため息が漏れる
「しかし!時は満ちた!
我々はこの試練を乗り越え、この世に平安と秩序を取り戻さなくてはならない
これより、我々はシュヴェルト城を奪還するのだー!!」
立ち上がり突き出したその拳に兵士達は歓喜した
おー!おー!おー!
(静かにー!静かにー!)
兵士達の意気込みは鳴り止まない
神官の静止も聞き取れない程だ
一時の後を見計らって1人の兵士が口を開いた
「我が王よ。では、その部隊は是非私にご命令を!」
その言葉を聞き、他の兵士達も我先にと名乗りを上げる
だが右手を上げてそれを静止した
「本来であればレオンに行かせるべき所であるが、今はフェアデルベン【Verderben】の森に遠征中であるゆえ‥
実はもう決めておる者がいる。入られるがよい」
その目先を追って、兵士達も一斉に振り向く
静まり返った謁見の間に3人の猛者達が現れた
1人は初老にして巨漢、もう2人は若き弟子である
3人は王の前にて片膝をつき、王は満面の笑みを浮かべ頷いた
2人には会話が無用であった
お互いに目と目を合わせるだけで、この20年間の空白を埋めていった
「ではシュウトウ殿に指揮を取ってもらう。
そして‥私のレイナよ
‥行ってくれるか?」
憂鬱な王を後目にレイナリアは笑顔で応えた
「ええ、行ってまいりますわ。おとうさま」
レイナリアに課せられた王家の血が王には辛く…
そして胸が苦しくなる思いであった
その顔を見て
「大丈夫ですわ。このような猛者達に護衛してもらうんだから。ねぇシュート!」
とニッコリ微笑んだ
「‥レイナリアよ、シュウトウ殿だ
すまない、シュウトウ殿。
甘やかせて育ててしまってのう」
「いやいや、堅苦しくなくてこれぐらいが丁度よいでござるよ」
「じゃあ、シュートで決まりね!」
「いや、申し訳ない」
「いやはや、わっはっはっは」
そのやり取りを見て一緒に笑い出すリョウに、シュウトウは頭をはたいた
「では‥」
王は見回す
そして、ある兵士に目が止まった
「その護衛を‥
ラングレーお前の部隊に命ずる
くれぐれも頼んだぞ」
「ははっ!
有り難き幸せ。命に代えましても姫をお守り致します」
兵士は片膝をつき王に平伏した
「うむ‥
他の者は引き続き監視砦の任務を、各自その時の為に努力を怠るな」
ははっ!
「シュウトウ殿、後で部屋にまいられよ」
そう言葉を残すと王は謁見の間を後にした
出生の顛末を聞いたレイナリアは目を伏せる
「‥そうよね
その為に私が産まれた。
だから‥
与えられた運命を受け入れることしか出来ない。
ただ‥
私はその為だけに産まれた呪われた子…」
シュウトウはレイナリアの肩にそっと手を置いた
「姫!そんなことはありません。姫は父君と奥方様が待ち望んでお生まれになったんですぞ。
そのようなことは、もう2度と‥」
「もう!いたぁーい
ちょっと離してよー
ジョーダンよ
ジョーダンに決まってるでしょ!」
思わず手を離す
「もう!シュートはもっと女の子には優しくするものよ。それじゃなくても馬鹿力なんだから、ねぇ聞いてる?」
腰に手を当てあーだこーだ まくしたてる姫の声はシュウトウの耳に入らなかった
「‥姫
わしにもシュリという息子がおっての‥
母親は心臓が弱く、息子は母親の体に効く心胱草を取りに行くといって帰らなかった‥
わしは‥わしは!
必死に探した!息子の名を呼びながら‥
しかし‥
息子は‥見つからなかった‥
わしは‥わしは、今も息子を捜している。
我が子が愛おしくない親がどこにおるものか…
父君もそう思っておりますぞ」
シュウトウはじっとレイナリアを見つめていた
その目には涙が溢れていた
―5日前―
レダ王国:レダ城:謁見の間
今、【赤き獅子団】の精鋭達が顔を揃えていた
これからの決戦に備え、何かの通達があるであろうとの話だ
「静かに!」
神官の声が響きわたり、兵士達は一斉にかかとを鳴らした
王が入室し静かに玉座に座る
横には長女のアスターニアと次女のレイナリアが並ぶ
長男のレオンハルトとアスターニアは双子で19才、その下に年の離れたレイナリア12才がいるのだ
長男は父の背を見、父を尊敬し真っ直ぐに育っている青年だ。
赤き獅子団本部隊隊長でもある
双子のアスターニアは物静かでおっとりしており、大衆から【アニー姫】との愛称で呼ばれている
次女のレイナリアは楽天的な性格で、大衆から【レイナ姫】との愛称で親しまれている
「諸君、聞いてくれ
私が前王の意志を受け継ぎ、はや22年の月日が過ぎてしまった…
その間に数多くの同士達が命を落とし、幾難の壁を乗り越えて今があるのだ!
そのことは私もみなも忘れてはいない!!」
◆ダンッ
おー! おー! おー!
兵士達の声が一斉に響き渡った
「24年前‥我々はこの国が1人の魔導師によって滅ぼされた恨みを、今日まで忘れることはなかった!」
◆ダンッ ダンッ ダンッ ダンッ
音を揃えてかかとを鳴らす兵士達
「その魔導師を討ち滅ぼす為にも、我が祖国【エルトワ】に通ずる道を探し出さねばならぬ。
そして‥
その足掛かりを遂に見つける事が出来たのが、すでに20年前のことだ。
だが、城は私を拒みその事実を掴むことが出来なかった…
」
兵士達からため息が漏れる
「しかし!時は満ちた!
我々はこの試練を乗り越え、この世に平安と秩序を取り戻さなくてはならない
これより、我々はシュヴェルト城を奪還するのだー!!」
立ち上がり突き出したその拳に兵士達は歓喜した
おー!おー!おー!
(静かにー!静かにー!)
兵士達の意気込みは鳴り止まない
神官の静止も聞き取れない程だ
一時の後を見計らって1人の兵士が口を開いた
「我が王よ。では、その部隊は是非私にご命令を!」
その言葉を聞き、他の兵士達も我先にと名乗りを上げる
だが右手を上げてそれを静止した
「本来であればレオンに行かせるべき所であるが、今はフェアデルベン【Verderben】の森に遠征中であるゆえ‥
実はもう決めておる者がいる。入られるがよい」
その目先を追って、兵士達も一斉に振り向く
静まり返った謁見の間に3人の猛者達が現れた
1人は初老にして巨漢、もう2人は若き弟子である
3人は王の前にて片膝をつき、王は満面の笑みを浮かべ頷いた
2人には会話が無用であった
お互いに目と目を合わせるだけで、この20年間の空白を埋めていった
「ではシュウトウ殿に指揮を取ってもらう。
そして‥私のレイナよ
‥行ってくれるか?」
憂鬱な王を後目にレイナリアは笑顔で応えた
「ええ、行ってまいりますわ。おとうさま」
レイナリアに課せられた王家の血が王には辛く…
そして胸が苦しくなる思いであった
その顔を見て
「大丈夫ですわ。このような猛者達に護衛してもらうんだから。ねぇシュート!」
とニッコリ微笑んだ
「‥レイナリアよ、シュウトウ殿だ
すまない、シュウトウ殿。
甘やかせて育ててしまってのう」
「いやいや、堅苦しくなくてこれぐらいが丁度よいでござるよ」
「じゃあ、シュートで決まりね!」
「いや、申し訳ない」
「いやはや、わっはっはっは」
そのやり取りを見て一緒に笑い出すリョウに、シュウトウは頭をはたいた
「では‥」
王は見回す
そして、ある兵士に目が止まった
「その護衛を‥
ラングレーお前の部隊に命ずる
くれぐれも頼んだぞ」
「ははっ!
有り難き幸せ。命に代えましても姫をお守り致します」
兵士は片膝をつき王に平伏した
「うむ‥
他の者は引き続き監視砦の任務を、各自その時の為に努力を怠るな」
ははっ!
「シュウトウ殿、後で部屋にまいられよ」
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