╂AVALON-ROAD╂外伝《リョウ編》【奪還!シュヴェルト城】

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リョウ外伝2【血城】

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取り巻く群集は一同に平伏した

「その誇り高き風貌は........まさか?レダ王か!?」
シュウトウの目は見開いた

「いかにも。
そういうそなたはシュウトウ殿か?」

「そうだ!噂は聞いておる。若くして国を治め、戦えば百戦錬磨!その進撃は風の如く!後にはチリも残らず血も涙もない悪しき魔王、とな」

レダ王は吹き出した

「何がおかしい?!」
「えらい言われようだなぁと思って、思わずね。確かに百戦錬磨だけは当たってる」

「しかし、俺はそういう訳にはいかんぞ!」

「いやいや、終わらせにきたのだ。お互い大事な戦力をもう減らすことは出来ぬ。ここは引いてもらう訳にはいかないか?」

「お頭~、こんな腰抜け、みなでやっちまいましょうか!」

「黙れ!! 直々に一国の主が参られたのだ。この死合い受けねばならぬ」
シュウトウは一括した

「邪魔するようなら、私が相手をしようか?」

抜いた剣を光らせながマートンがシュウトウ達のに割って入る

おのおの、一触即発の緊張に晒された



一時の間を空け‥
シュウトウが天を指さした

「見よ!今宵は何とも見事な赤月‥
夜も深まりますます真紅となりて‥
まるで血で洗うがごとし…

貴殿の血で最後を飾り付けようぞ!参る!!」

シュウトウは深く構えた


ふっ
「そういうとこ、嫌いではない」
王は地を蹴った

「笑止なっ!!」

†極・奥義【麟暫砲撃絶波】!!
シュウトウの一突きに閃光が走り衝撃波が飛び出した

王の懐から呪文が溢れだす

╂ サリク・モントワ・ゲヘナゲート ╂
目の前に巨大な門が現れ、虚無の空間に衝撃波は吸い込まれた

「なにぃ!?」
シュウトウが第二波を構える前に門が消えた瞬間、目の前に王の拳が広がる

◆ドカーッ!!
げふっ
まともに喰らったシュウトウは後ろにもんどり打つ

振り向いた瞬間、戦慄の一振りが目にはいった

…殺れる
シュウトウは死を覚悟し、目を閉じた



‥…
………‥?


ゆっくりと目を開けると‥
剣は目の前で止まっていたのだ
王は剣を収める


「…なぜゆえ情をかけられたか?」


王は湖畔を見つめた

「今、人間どうしが戦っている場合ではない。
こうしている間に魔界より忍び寄る陰が一段と脅威を増している‥
現にカスターナ城にその魔導師が出入りしているとの情報も入っている。
闇の魔導師は人を惑わし、私をここに来させないために戦わせようとしているのだ」

「既にカスターナは魔に墜ちたと申すか?何とも信じがたい!?」
シュウトウは声を荒げた

「その魔導師はライアと名乗らなかったか?
2年前、その女にレダ国も1日にして滅ぼされている

人間界に腑を至らしめるその魔導師を、私は止めねばならぬのだ」
王は哀しげに振り向いた

「たしかにライアと名乗っていたが‥まさか!?」

その時、水面が真っ赤に光り出したっ!!

王の体が聖なる光りに包まれ、それが激しさを増したかと思うと、緩やかに人の形をなし一人の老婆が現れた

「時は示した‥
エステリオス王よ。試練の時じゃ!」
老婆は力強く言い放った

「な、何と面妖な!?夢を見ているのか‥」
シュウトウは目の前の真実をまだ受け入れることが出来なかった


「シュウトウ殿がいなければ、3日前にはここで準備が出来ていたがな」
王は驚くシュウトウを見ながら笑った

「では、始めるぞよ。」
老婆が水面に杖を当てると、光りの帯が湖面を走る

「シュウトウ殿も見ているがよい。この現実と真実とは何かということを」

王は目を閉じ湖面に一歩足を踏み入れた‥

王は…

沈まなかった

周りからどこともなく小さな光りが集まり、導くかのように王を取り巻いた

そのまま光りの帯を渡り、それが導くままに湖畔の中央へと向かう

おぉ‥
その赤く染まった湖面に虚る光りの道を緩やかに渡り
小さき妖精達がふわりふわりと舞う幻想的な王の姿に‥
ある者は剣を収め またある者は涙を流しそれを見守った

シュウトウとて例外ではなかった

「何とも儚く美しきかな」
目に映る現実にシュウトウは胸が熱くなった



中央まで行くと光りの道は途切れていた

妖精達は微笑みながら王を見守る
王はゆっくりと目を開けた‥

すると…

ザザザザザザァ
湖面が盛り上がり緩やかに巨大な城が姿を現したのだ

おーっ!!
シュヴェルト城だぁ-
レダの兵士たちはおのおのに口走った

「なんと!?シュヴェルト城だと?」
シュウトウは驚きおののいた

そして流れる水しぶきが赤く染まり大きな赤月に光るその城は‥
まるで月の血を受け止めているかのようであった

その雄大な姿に涙が溢れて止まらなかった



王は両手を上げ、エルトワの言葉を静かに唱える‥

╂ レイン・アリア・イゼモンティエッセ・コーフェン・ラタ・エルトワ ╂
(エルトワの血を受け入れその道を印せ)

ゴゴ
ゴゴゴ
ゴゴゴゴォ-

ザバァァー

城は形をなくし、脆くも崩れ去った

その反動で岸部まで弾き飛ばされ
妖精達もいつの間にか姿を消していた

「駄目であったか‥」
老婆は小さく漏らした

「そのようだなー」
王は苦笑し空を見上げ、満月の赤月を見つめながら唇を噛み締めた

シュウトウは「はっ」と我に返りレダの王に駆け寄った

「どどどどーゆーことかっ??
これが真実であると申すかっ!?」


王は頷いた


「まさか、お主ほどの者でもシュヴェルト城が拒むとはのう‥。
あやつは何を考えておるのやら.......全くわからん。

ただ一つ言えることはあやつが待っておる者はお主ではなかったということぢゃ。
つまりは‥
既に運命は決まってるということじゃろう」

「どういうことだ、アル婆さん?」
王は泥をはたきながら立ち上がり尋ねた

「分からぬか。エルトワの血を引く者は、その血の宿命により全ては決定されているのじゃ。
今、お主を拒んだことにより【気】は変わった。そう‥また次の命にそれは受け継がれる」

盲目の老婆は杖の水晶に手をあて呪文を唱え始めた

「見える‥見えるぞよ。その道しるべとなる者は体のどこかにエルトワの紋章【白鳳天使】のアザがあるであろう‥

その子にレイン・アリア(印・道)
【レイナリア】(道しるべ)と名付けるがよい
さすればシュヴェルト城は主と認め心を開くであろう」



「‥そうか
俺ではなかったということか‥」

「ちょ、ちょっと待ってくれっ!!貴殿はエルトワの末裔であるのか!?」
シュウトウは口を挟んだ

「いかにも。私の名は

エステリオス・レム・ダイクン・ローヴェス・エルトワ

これでもエルトワの末裔だよ」

赤月の逆光で顔は見えなかったが、その風格は全てを語っていた

シュウトウは心が震えた‥
王は顔を近づけ
「シュウトウ殿。そなたは先程私の剣にて一度死んだ。
どうだろう?この世界を救う為、私に力を貸してもらえぬか‥
心よりお願いする」
となんの躊躇もなく頭を下げた

「我が王!なにもそこまで‥」

ミナクが止めに入ろうとすると
王は手のひらを向け、それを静止させた


シュウトウはレダの王の懐の深さに心を打たれ、共に戦うことが出来ればどんなにも幸せなんだろう‥と思ったが、ぐっとこらえこう切り出した

「王よ、頭を上げてくだされ。今はカスターナとの同盟ゆえ、【義】がございます。」

「そうか‥それは残念だなー」
ニカッと笑い頭をかいた

間をおかず
「しかし、王よ!

私の命は既に王に預けておりまする。一度救われた命!窮地には必ずや馳せ参じまする」

「そうか!それは頼もしい」
王は手を差し出した

「また会おう」
「いつか必ず」

2人はしっかりと手を結びあった



シュウトウは拳を高く上げ
「引けぃ!我々はこの場を離れる!」

「いいんですかい?お頭ぁ~」

「構わぬ、一度カスターナへ向かう。その後はそれからだ」

その一団は一礼し、闇夜の中に消えていった



―これより2日後、レダはカスターナを滅ぼすことになる

その影に ある一団の援護があったことはいうまでもない―
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