╂AVALON-ROAD╂外伝《リョウ編》【奪還!シュヴェルト城】

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リョウ外伝5【道標】

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―エルシュトワ湖―

レイナリアはうつむきながらあの悪夢を思い出し胸に手をあてる

「‥ごめんなさい
もう、言わない。ただちょっと怖くなっただけ…」

「レイナ姫、ご心配なさるな。我々ラングレー率いる部隊が姫を必ずお守り致します」

「お願いね!でも私のナイトはもう決まってるの」
そう言ってリョウの腕に手を回し振り向いた

「え?」
「ちゃんと約束したでしょー!
あなたはそばにいて私を守りなさい!」

「レイナ姫‥」

「なんだ?いつの間にかそんなに仲良くなっておるのか?」

「御師様、からかわないでください」
「フフフ」
レイナリアは笑った

「姫様、やっと笑顔が戻りましたのぅ」
シュウトウも笑った

「なんか、シュート怒ってるの?‥」
「えっ?わしも笑っておるのに‥」



ぶははははー

吹き出したリョウの頭をやかましいっとおもいっきり殴った

「でも、好きよ。シュートの笑顔。フフフ」

シュウトウは顔が赤くなった
皆もそれにつられ笑い出した

-その時だった-

赤月は赤身を増し輝きだした
すると

1つ…また1つと流れ星が光の線となり始め
やがてそれは雨のように降りそそぎ
その光が湖畔に吸い込まれ
湖面は一段と輝きを増した

おおー
思わずため息が洩れる



「ついに‥時は来たのですね」
レイナリアはアザに手をあてると紋章もそれに呼応し輝きだした

周りからどことなく小さき光が集まり
少女を祝福する

明らかに前回と違う

「レイナリア姫‥」
シュウトウは思わず声をかけた


少女は両手を広げ‥
優しく詩を奏でる

╂ ハンプダム・ジル・ローヴラクス・エルトワ ╂
(エルトワの血で染まるその城は‥)

╂ イクス・フェルフ・ウェス・モルリターナ ╂
(まるで涙を流しているかのごとく‥)

╂ リンクルホーレム・リナ・アズシュゼィン ╂
(悲しき音色をひびかせながら‥)

╂ メルム・バリユス ╂
(やがてはうねりとなりて‥)

╂ リッツェ・イエンタ・マチス・ラグ・アムド ╂
(まだ来ぬ主を待ちわびている―)


パアァー
湖面全体が溢れんばかりに輝きその柔らかな光は少女の体を包み込む



ゴゴ
ゴゴゴ…
ザザザザザー

城が突き上げるように浮上しその姿を露わにした

おおー‥
その城から流るる水面は血のごとき、悲しく、切なく、そして美しく輝いた

この情景を初めて見る者は涙が止まらないであろう


へへ
「やるな~レイナ姫」
リョウは身震いがした


妖精達は歓喜し、その指先に頬ずりをする

少女は微笑みさらに唱えた

╂ リスミカルトーナ・パル・アムド ╂
(聞こえるか、我が声が‥)

╂ ダンヅェリーナ・パル・ローヴクラスト ╂
(感じるか、懐かしき血を‥)

╂ ジス・ラグ・アムド ╂
(主は戻る‥)

╂ ハーク・モゼ・ハンプダム ╂
(我が城の元へ‥)


╂ ウム ╂
(さあ‥)

╂ レイン・アリア・イゼモンティエッセ・コーフェン・ラタ・エルトワ ╂
(エルトワの血を受け入れその道を印せ‥)


◆ビシィッー!
‥時は止まった

その姿は威風堂々!!

2000年もの間、主を待ち続けたシュヴェルト城の結界がついに解けたのだ!!


「これが私の力…」

レイナリアは振り向きニコリと笑った

(レイナ姫は強いな‥)
その姿を見てリョウは改めて3日前のことを思い出していた


―レダ城:外園―
―3日前:出発の日―




「うー‥ん
いい風ね~」
レイナリアは腕を伸ばしぐっと背伸びをする

風は花の香りを運び一瞬の平和の時を楽しんだ

レイナリアは手慣れたように花を摘み編み始める

「ねえ、2人はよく喧嘩してるの?」

「‥ランガのことですか?レイナリア姫」

「レイナでいーよ、リョウ」
レイナリアは笑った

その瞳を見てリョウは頬が赤くなり目をそらした

「え、えーと‥
アイツはあんなんじゃなかった‥
昔はよきライバルであり共に飯を食い、兄弟みたいに御師様の元で育ったんです。

でも‥」

「でも?」

「御師様が奥義の話をした途端、急に態度が変わった。
それからです、いがみ合うのは」

「ふーん
親は心配してないの?」

「…親の顔は知りません、ランガも。
だからランガとの絆は強いと思ってる」

レイナリアの手が止まった

「ごめんなさい」

「いえ、いいんですよ。俺達には御師様がいるから」

「私もおかあさまのことは知らないの。私を産んですぐ亡くなられたから」

リョウには続く言葉が出なかった

すると
「ねえ、死んだりするの怖くない?」
レイナリアの言葉にびっくりする

ふあっ

リョウの頭に編んだ花輪を乗せ立ち上がり振り向いた

「リョウ、約束して」
「な、何をです?」

「今回の遠征、私の側にいて私をずっと守ってね」

「それはもちろん!」
リョウは立ち上がった


爽やかな風は2人の間を吹き抜け、草原を走り、まるで楽譜のように揺らいでいる


フフフ
「何か怖いのが吹き飛んじゃった。
じゃあ、無事に戻って来れたら褒美を取らせるわ!
リョウは何を望むの?」

「もう、もらってます。レイナ姫」
「?」

「この花輪を」

リョウはニカッと笑った
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