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第四章
第十四話 前編
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「鏡鱗蟷螂蛤腕地龍」の身体はどんどん縮み、最初より二回りほど小さくなった。
しかも、実質的・物理的な大きさだけでなく、尻尾を頭の方へ曲げることで外見自体も小さくなっている。
マギクは首を動かし仲間たちの位置と状態を一瞬で確認すると、
「リレラとジールバードの攻撃を主軸にする。防御は僕に任せてほしい。ウロはサポートに回ってくれ」
と冷静に指示を出した。
「はいよ、リーダーさん」
既に傷を回復したウロの手には金色の丸い魔具が握られていた。
敵が身体をぐるぐると回し、リレラの方を向く。まるで喧嘩自慢が殴り合いの時に顔をガードするように、構えた両腕で頭を隠している。
「あたしが怖いのか?」
頭や手足から出血している彼女だが、その表情には余裕と闘争心が煌めいていた。
「でも容赦しない。さあ行くぞ」
リレラは真っ直ぐ敵に向かって走り出した。
同時にジールバードが狙いを定め、マギクが両手に魔力を集合させる。
やはり脇腹を狙うようで、リレラは敵の横をすり抜けようとした。だがその時敵は身体をくねらせて上半身を移動させ、リレラと正面から向き合い続けるようにした。
「そうか、それがお望みか」
リレラは足を止め、敵の腕を狙って剣を大きく振り下ろした。
先程あんなにあっさりと切り裂けたのだから、与えられるダメージは脇腹に比べて少なくなるとはいえ、有効打にはなるだろう、そう思っていた。
しかし、剣はガチンと音を立てて弾かれた。
表面は確かに焼けているものの、刃が深く入らない。
全員が想定を崩されて怯んだほんの「一刹那」の間に、敵の腕が振り下ろされる。
リレラの一撃は両腕で大きく斬り下ろす形だった。
それが弾かれたのなら、両手が上がったまま無防備な姿になる。
まさしく先ほどマギクに攻撃を弾かれた時の敵のように。
気付いた時には、リレラは血塗れのまま吹き飛び、地面に倒れていた。
すかさず追撃をしようと敵が接近する。
「リレラっ!!!」
マギクが結界を張り、リレラを守る。が、その時、敵は急に方向転換し、マギクに大きく口を開いたまま飛び掛かった。
「え?」
そんな戸惑いの声が聞こえた気がした。
直後、爆発が起こって一人と一匹が吹き飛ばされた。
その正体は爆発する弾丸。
「悪いな、若旦那」
ジールバードはこの展開を僅かに早く予想し、既に弾丸を放っていた。
…だが、それをさらに読んでいた男が居たようだ。
ウロは既に敵の身体の上を飛び越えてリレラの傍らにしゃがみ込んでいた。
「ちょっと痛むぞ。肩が外れてんだ。あと骨も何本かヤッてる」
彼はリレラの肩を嵌めなおし、骨も元の位置に戻すと、手に持っていた金色の魔具を発動した。
私は思わず目を見開いた。
それは私が失った回復魔法、「太陽」に違いなかった。
「くっ…ありがと、ウロ」
傷を回復したリレラが立ち上がる。
爆破によって口内を負傷した敵は怯んでいた。
その横からリレラが近付く。
遂に反撃が始まった。
だがその刹那、ウロが慌てた様子で急に動き出す。
リレラの背後に迫る尻尾を盾で防ぐが、受け止め切れず、弾き飛ばされてリレラにぶつかる。
二人はまとめて岩にぶつかり、盾は主の手を離れて地面の上を滑る。
敵が口を大きく開けた。
今までよりも遥かに多い魔力が集まっていく。
とうとう、ウロとリレラに向けて、巨大な火球が吐き出される。
しかし、次の瞬間、それをより巨大な水の壁が包み込み、そのまま圧縮して完全に無効化する。
「すまないね、みんな」
頬に火傷を負ったマギクが盾を拾いながら言う。
「少しだけ気絶していた。でも今のだけはなんとか間に合わせたよ」
「マジナイスだ。マギク」
ウロがリレラの手首を引いて立ち上がらせながら言う。
一方でリレラもすぐに剣を構えなおし、戦闘態勢を整えていた。
遠ざかる勝利、長引く戦闘…。
でも戦士たちは決して屈していない。
しかも、実質的・物理的な大きさだけでなく、尻尾を頭の方へ曲げることで外見自体も小さくなっている。
マギクは首を動かし仲間たちの位置と状態を一瞬で確認すると、
「リレラとジールバードの攻撃を主軸にする。防御は僕に任せてほしい。ウロはサポートに回ってくれ」
と冷静に指示を出した。
「はいよ、リーダーさん」
既に傷を回復したウロの手には金色の丸い魔具が握られていた。
敵が身体をぐるぐると回し、リレラの方を向く。まるで喧嘩自慢が殴り合いの時に顔をガードするように、構えた両腕で頭を隠している。
「あたしが怖いのか?」
頭や手足から出血している彼女だが、その表情には余裕と闘争心が煌めいていた。
「でも容赦しない。さあ行くぞ」
リレラは真っ直ぐ敵に向かって走り出した。
同時にジールバードが狙いを定め、マギクが両手に魔力を集合させる。
やはり脇腹を狙うようで、リレラは敵の横をすり抜けようとした。だがその時敵は身体をくねらせて上半身を移動させ、リレラと正面から向き合い続けるようにした。
「そうか、それがお望みか」
リレラは足を止め、敵の腕を狙って剣を大きく振り下ろした。
先程あんなにあっさりと切り裂けたのだから、与えられるダメージは脇腹に比べて少なくなるとはいえ、有効打にはなるだろう、そう思っていた。
しかし、剣はガチンと音を立てて弾かれた。
表面は確かに焼けているものの、刃が深く入らない。
全員が想定を崩されて怯んだほんの「一刹那」の間に、敵の腕が振り下ろされる。
リレラの一撃は両腕で大きく斬り下ろす形だった。
それが弾かれたのなら、両手が上がったまま無防備な姿になる。
まさしく先ほどマギクに攻撃を弾かれた時の敵のように。
気付いた時には、リレラは血塗れのまま吹き飛び、地面に倒れていた。
すかさず追撃をしようと敵が接近する。
「リレラっ!!!」
マギクが結界を張り、リレラを守る。が、その時、敵は急に方向転換し、マギクに大きく口を開いたまま飛び掛かった。
「え?」
そんな戸惑いの声が聞こえた気がした。
直後、爆発が起こって一人と一匹が吹き飛ばされた。
その正体は爆発する弾丸。
「悪いな、若旦那」
ジールバードはこの展開を僅かに早く予想し、既に弾丸を放っていた。
…だが、それをさらに読んでいた男が居たようだ。
ウロは既に敵の身体の上を飛び越えてリレラの傍らにしゃがみ込んでいた。
「ちょっと痛むぞ。肩が外れてんだ。あと骨も何本かヤッてる」
彼はリレラの肩を嵌めなおし、骨も元の位置に戻すと、手に持っていた金色の魔具を発動した。
私は思わず目を見開いた。
それは私が失った回復魔法、「太陽」に違いなかった。
「くっ…ありがと、ウロ」
傷を回復したリレラが立ち上がる。
爆破によって口内を負傷した敵は怯んでいた。
その横からリレラが近付く。
遂に反撃が始まった。
だがその刹那、ウロが慌てた様子で急に動き出す。
リレラの背後に迫る尻尾を盾で防ぐが、受け止め切れず、弾き飛ばされてリレラにぶつかる。
二人はまとめて岩にぶつかり、盾は主の手を離れて地面の上を滑る。
敵が口を大きく開けた。
今までよりも遥かに多い魔力が集まっていく。
とうとう、ウロとリレラに向けて、巨大な火球が吐き出される。
しかし、次の瞬間、それをより巨大な水の壁が包み込み、そのまま圧縮して完全に無効化する。
「すまないね、みんな」
頬に火傷を負ったマギクが盾を拾いながら言う。
「少しだけ気絶していた。でも今のだけはなんとか間に合わせたよ」
「マジナイスだ。マギク」
ウロがリレラの手首を引いて立ち上がらせながら言う。
一方でリレラもすぐに剣を構えなおし、戦闘態勢を整えていた。
遠ざかる勝利、長引く戦闘…。
でも戦士たちは決して屈していない。
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