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5話 ロリ魔王、世界最強の喫茶万屋と黒神襲来

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邪竜を打ち倒し皆を救う為に駆け出して

幽霊少女が二人を翻弄していた頃

馬車付近の様子はというと

騎士団達は馬車にいる子供達を護る為に全力を尽くし
弱体化したイビルドラゴンの群れを追い詰めていた


その一方


魔竜ファフニールと邪竜ニーズヘッグの即死級の攻撃を
破壊神の神眼の力で打ち消し続けて
涙目になりながら全力逃走していた
金髪の少女がいた。


「んんもおおおおおお!!!
シャルロットーーー!!!どこ行ったのよー!!!」


ルミナは馬車を護るのに手一杯だろうし

シャルロットも頼れないしどうすればいいのよー!?





その頃、ルミナは魔法を乱射していた。




終焉焔獄炎滅弾ブレイズ・エンド

終焉焔獄炎滅弾ブレイズ・エンド

霹靂千聖天神槍サウザンド・サンクチュアリ


焉沈没獄滅凪亡瀑布水ナーヴァルド・ナーベ



ルミナは掌から世界を滅ぼす黒・赤・紫の雷を放つ魔法

黒滅紫滅終焉災竜雷アジダハーカを全方位に放出し

イビルドラゴン達が灰燼に変わっていく。

「はあ……はあ……なんとか……護れました……!」














騎士団を指揮し統率し
イビルドラゴンを確実に仕留めていき確実に数を減らしていき
退路をなんとか確保し
あの二体の巨竜からどうにかして
子供達を生還させねばと思考を巡らせて
考えられる策を考えていた

マンソンの元に一人の騎士が大慌てで駆け寄ってきた。


「マンソン騎士隊長!アルト隊長!
あの巨大なドラゴン達に追いかけられている少女がおりました!
あの遠目からでもよく分かる金髪が特徴的な子は
確かレガリア卿の娘ではありませんか!?」


「なんだと!?子供達は馬車に全員避難させたはずだぞ!?」

そしてまた一人、馬車の護衛を任せられていた
騎士が最悪な報告にしやってきた。

「マンソン騎士隊長ーー!大変です!
馬車の中からレガリア卿の娘さんが二人
馬車から居なくなっておりました!!」

「なんだって!?モルドレッド様だけでなく
シャルロット様まで!?

護衛部隊達は一体全体何をやっているのだーーーー!!????」

「すみません!すみません!すみません!
馬車を護るのと悪竜達の対処に手一杯で
隙を突かれて脱走を許してしまいました!
本当に申し訳ありませんでした!!」


「まあ今はそんなことはどうでいい!
皆でモルドレッド様を救出するぞ!!」


【フェジカル・エクストリーム・ブースト】

マンソン隊長は最上級の身体能力強化魔法を使い
マンソンの体が神々しさも感じる金色の光に包まれる。

人間のステータスの限界値を一時的に超えられる為
使用後、かなりの負荷が肉体にかかってしまうが
必ずモルドレッドを救い邪竜を討ち滅ぼさんと覚悟を決めて
すぐさまモルドレッドの元へと飛んでいく。


「モルドレッド様!!ご無事でしょうかッッッ!!」

「マンソンのおじさん!!助かった……
じゃなかった…!シャルロットを見ませんでしたっ!?
探しているのに何処にもいないんです。」

「安心しくださいモルドレッド様
こやつらを退け、必ずや、シャルロット様を見つけて参ります。」


話してる間にもニーズヘッグとファフニールは

全力の滅びのブレスを放つために魔力を溜めている。

二頭の口から放射上の全てを消し飛ばさんとする
破壊光線が放たれる。

モルドレッドの破壊の神眼で打ち消そうとするが
幾分か勢いが落ちるだけで完成にブレスを消すことは出来なかった。

このまま直撃してしまえば辺りは焦土と化して骨も残らないであろう。





マンソンはそのようなブレスを前にしても
極限まで集中し、聖剣を強く握りしめて全魔力を聖剣に注ぎ込む。


そして天に聖剣を掲げて雲を吹き飛ばす程の魔力の奔流が起こる。

全力で聖剣を横に薙払った。


「この聖剣は全てを護り抜くと神々に誓った
我が魂の一撃ッッッ!!!
魔をッッッ竜をッッッ穿てッッッ!!!
約束された勝利の聖剣ッッッ!!!!
エクスカリバーーーーーーッッッ!!!!」


聖剣から放たれた光の刃は
伝説の邪竜と魔竜の本気のブレスを掻き消してしまい
ニーズヘッグの両翼を切り落とし
ファフニールの体を真っ二つに切り裂いた。


エクスカリバーの直撃を全力で回避したが
翼を切り落とされてしまったニーズヘッグは
絶命したファフニールのことは何とも思っていないのか
ファフニールの方を見ることなく
自身の翼を切り落としたマンソンに向けて、強い敵意と殺気を放っている。





「はあ…………はあ………はあ…………やったのか………?」


「いいえマンソンさんまだです!
ニーズヘッグだけまだ生きています!」


「ダメです!ダメダメダメダメなのです!
師匠が言ってました!
強敵を倒した後にやったか…?は倒したと思ってた敵が復活する
復活の呪文らしいですから!
あ~ほら!やっぱり立ち上がってきたじゃないですか~。」

「ニーズヘッグか…何故神話の時代の生物がこんな所にいるのだ?」

「依頼ついでに可愛い可愛い妹の様子を見に来たら
大変なことになりましたね~」



「・・・・誰よあんた達!?」

「私が…全く気配を感じなかった…ですと…?」



突如として宝石のように美しい瞳を持つ銀髪の少女

服装は勇者らしさを求めたらしく

ビキニアーマーのようにお腹周りが丸見えで
胸回り以外は隠れてない純白のアーマーにショートパンツ。

そして縁にふわふわな白い綿が付いている短めのマントを付けている。


ゆったりとした雰囲気で
黒のパーカーを着ていて
抹茶味のアイスクリームを食べている銀髪の少女

そして
死神のような黒いコートを着ているが
胸辺りの布は大きく裂けていて
黒色の下着や豊満な胸や腹部が丸見えとなっている。
水着パーカーのような衣装に身を包んでいる。


左手には禍々しい悪魔の鉤爪
右手にはチェーンソー型の大型の魔剣を手にしている
ピンク色のショートヘアな髪と瞳をしている少女が現れた。




服装からしてこの辺りの人とは思えない
異国の方だろうか?


「それよりおじさんボロボロじゃないですか大丈夫ですか!?」


「はあ……はあ……すまない……
先程の一撃でもう………ピクリとも動けなくなってしまってなあ…
お嬢さん達……この子を連れて逃げてくれ………!」


「大丈夫です!安心してください
あれは私達がやっつけますから!」

「乗りかかった船…余裕のよっちゃんってやつだ。
まかせろ。お前はそこで見ているといいのだ。」

「ワアっ!!ワア~………貴女とっても可愛いですね~
えへへ……可愛いですねえ……えへへへへ……
このままお持ち帰りしていいですかー!!」

「ギャアアーーーッ変態!離れなさい!誰か助けて~!」


「アベシッ!?」

モルドレッドに抱きついてきたお姉さんは
銀髪の女の子からの手刀を頭に食らい無理矢理引き剥がされました。



「すみませんモルドレッドさん、ウチのがとんだ粗相を」

「いいわよ……そんなことより!
あんた達、ニーズヘッグをなんとか出来るって本当!?」

「はい余裕です!任せてください!

あっそういえば自己紹介がまだでしたね!

私の名前はティナ・レガリアって言います!

もう一人の名前は久遠零さんで

さっき抱きついてきた人はローザさんっていいます。

あっ私達、喫茶店と万屋やってますので
お店を見かけたら今度いらしてください。
美味しいお菓子にコーヒーにお茶に紅茶に
モーニングメニューとか色々ありまして
街の人のお悩み相談とか魔物討伐の依頼とかなんでも受け付けてまーす!

ここで出会えたのも何かの縁でしょうし
喫茶店のお菓子をお一つどうぞ!」


「あっどうもありがとう……って!

そんな悠長なことやってる場合じゃないわよね!?」



「アハハ……大丈夫ですよ~こんなに悠長してても
それよりモルちゃんって言うんですね~
ああ~ああっああああああ~
赤ん坊のようなミルクの香りに混ざって
あの子の懐かしい匂いもしますし
同じ遺伝子を感じますねえ~!
ほっぺたもこんなに柔らかくて
可愛いですね~」スリスリスリスリスリスリ


「ギャアアーーーッ!私に近寄るな!頬ずりするな!
私の髪の毛を美味しそうに食すな変態女ーーー!!!」

モルドレッドは抱きついてきた少女に
破壊神の眼光と共に全力でパンチするがビクともしないのでした。




「はあ……はあ………
たしかに貴女達が来てから
ニーズヘッグが時が止まったようにピクリとも動かなくなりましたな……」


「………ん?レガリア!?
ティナ様!貴女…今、レガリアと申しましたか!?
この辺りでレガリアの名を持つ者は
レガリア卿のご家族しかおりません!
貴女様もレガリア卿の娘なのですか!?」


「あわわ、落ち着いてください!
確かに私の名前はレガリアですけど
貴方の知ってるレガリアとは違うと思います。」


「そ…そうなのか……
貴女のその美しい瞳に銀色の髪
まるでレガリア卿の奥様やシャルロット様のモノに
あまりにもそっくりだったもので……

てっきり私が知らないだけで三つ子で
三人目の娘がいたのかと思ったよ。
年もお二人とそう変わりがないようでしたので。」


「顔が似てるのも名前が同じなのも偶然だと思いますよ!多分」





「それにして…どうしてニーズヘッグは
急に動かなくなったのかしら……?」





ニーズヘッグは自身より遥かに強大な魔力を持っている
存在が急に三人も現れたことにより
奴らはその気になればいつでも自身の生命を奪える程の
力量差がある存在であると認識し、慎重なり警戒していた。

翼を切り裂かれた怒りよりも
死の気配を察した生物の本能により逃走を選んでいた。


「それじゃ~長話はこれぐらいにして
さっさと片付けましょうか!」

神之刃武神を取り出し、少女は抜刀の準備に入った。


「お前が今回は仕切るのか……まあいいだろう」

「フフフ……ぶっ潰します。」

チェーンソーの音が激しく鳴り響く。



その音が死までの鎮魂歌となることを本能が感じとり

恐怖のあまり無我夢中に魔力をチャージして放たれた

ニーズヘッグの今世紀最期の命乞い全力ブレスは

零の超能力によりあっさりと防がれて

チェーンソーで尻尾を切断し
鉤爪を振るい三本の巨大な猛毒の斬撃を飛ばして
ニーズヘッグの肉体をズタズタにされて

フィニッシュはティナの居合斬りにより
全身をサイコロステーキのように細切れにされてしまったのであった。



「う………嘘…でしょ……ニーズヘッグがあんなに簡単に……」

「神話の邪竜を蜥蜴でも相手にするように
ああも簡単に………貴女達は…いったい何者なのでしょうか?」



「私達は喫茶店と万屋をやってるだけの
通りすがりのただの旅人です。

喫茶店をこの辺りの街に移して
依頼をこなしていたら

師匠……私達の家族……いえ妹……みたいな?知り合いが
3日程前に聖女の祝福を受ける為、王都に行かれて
この近くに来ているというのを風の噂で耳にして
顔を見に行こうとしていたら
あなた達に出会った……というわけなんです。」




「師匠って言うけど、あんた、あんなに強いのに
あんたに師匠なんて呼ばれてる奴がいるの?」



「はい!師匠は両親を亡くして一人になった

私を拾ってくれて

ここまで導いて強くしてくれた
誰よりも強くて優しい偉大なヒーローです。

まあ、師匠のおかげで元々は一般人でしたが
びっくりするぐらい強くなれましたが

これでもまだまだ修行中の身ですよ。
それに…師匠の強さは世界最強でして
私達が束になっても師匠の強さには足元にも及びませんから。」


「はあ……???????」

モルドレッドは脳の処理を超えた情報を与えられて
宇宙猫のような顔になった。



「………はっ!いやいやいやいや謙遜し過ぎよそれは!
神話の時代の伝説の邪竜をあんなに簡単に倒してるのよ!
それなのに全員束になっても足元にも及ばないなんて……
どんな怪物なのよそいつは」

「一応、師匠の強さはともかくとして
見た目は貴女みたいな小さくて可愛らしい人間ですよ。」

(貴女の妹です!……なんて言えませんよね~)







「・・・皆…まだ気を抜かないで。
未来を視たから分かる……今から…何かが来るよ」

「え!?」

「ひょえー!?」



空間がヒビ割れてそこから暗黒の闇が溢れて漏れ出る。

ほとんど全裸のような格好をしている
黒髪に水色のメッシュが入っていて瞳の色が紫色なこと以外は
シャルロットと瓜二つの姿をしている謎の少女が
空間の裂け目から、空中に足場となる
紫炎と黒炎の階段を創造しながらゆっくりと降りてくる。



「うそ………!?シャルロット……なの…?」

「シャルロット様………なのか…?」


「えーーー!?師匠が黒くなってますよーー!?!?」

「ふあっ!?さっき言ってた師匠って
あいつなの…!?いや待って!?黒くなったとか言ってたわね……
あいつと似てて黒くないやつ………って!?
シャルロットってこと!?」




「なんですか…あの凄まじすぎる力は!?
私の妹と姿が瓜二つなのも解せませんが
でもこれはコレでアリですねえ……
妹とは色々と真逆な雰囲気を感じます。」

「うむ………これは……あいつと全く同じ
破壊と創世の神の力を感じるが…
アイツと比べたら7割程の力しかない…
でも創造主の力の7割に
あの少女自身の神殺しの力が合わさっているから
実力はアルビオンと五分五分ぐらい……なのかな?」




「・・・世界の異物……発見……………排除します。」



【ダークネスデリート・ブラックアウト】


紫と黒の禍々しい二つの魔法陣が少女の前に浮かび上がり
二つの魔法陣は一つとなり
アルビオンのモノと同様、その魔法陣には
封印の鍵穴が存在していたが

アルビオンのソレと酷似している魔法陣は
自動で封印が解かれて
少女の背後へと回っていき

封印が解かれた魔法陣は機械仕掛けの黒神
漆黒のデウス・エクス・マキナへと姿を変える。

そしてグルンとデウス・エクス・マキナのリングが180度回転し
漆黒のデウス・エクス・マキナの中心部にある
封印の扉が開かれて、中から飛び出して来たのは
世界を闇で塗り潰さんとする暗黒の暗闇に
漆黒の神竜バハムートと天狐の黒狐である。

アルビオンのソレと同様に
デウス・エクス・マキナにある
9つの漆黒の光輪から黒炎の柱が吹き荒れて

バハムートと黒狐と融合した少女は暗黒の闇に包み込まれ
バハムートの翼が十本に枝分かれしたマントとなり

最強の神殺しの少女 ティアナは神へと神化を遂げる。




【暗黒闇神竜覚醒・ブラックアルビオン】

世界の創造主と同等の凄まじい力を感じる
神を殺す漆黒の神が降臨する。



神化して闇から姿を現した
謎の少女は
黒髪に水色のメッシュを入れており
開眼した瞳も神々しさを感じる金色の琥珀色とはかけ離れていて
妖しげに輝く黒紫の瞳になっていて

服装も黒ビキニとゴスロリが合わさったような格好となり
両手には神殺しの魔剣と神殺しの神剣の二振りが握られており


各所が黒くなっているがその姿は
神化したアルビオンと瓜二つであった。




「・・・私はこいつらを避難させてやりたいが
あいつ相手に護りきれる自信がない。

一応近くにいて流れ弾からは守るが
避難とか護るのは諦めてもらうがそれで大丈夫か?」

「はあ!?」

「アハハ…私は先程の技の反動でどの道動けません…
モルドレッド様に背負ってもらう訳にも参りませんので…
それでいいですよ。」



「まあ……別にいいですよ。
何処に逃げたってあの力は世界をいつでも一瞬で滅ぼせる力
護衛対象がいてもいなくても恐らく私達は彼女に勝てませんから。」

「ちょっ!?諦めるのはまだ早いですよ!

手加減や遊びを一切やらずに
本気で殺しにかかってくる師匠と戦うなんて
命を捨てる行為にしか思えませんけども!?
師匠も本気を出さなければそれまで終始手も足も出せなかった
貴女の神殺しの力ならなんとか抵抗出来るはずです!」

「まあ、やれるだけやりましょう
まだ妹に再会出来てないのに
墓に入るわけにはいきませんので。」



三人は戦闘態勢に入り
まず一番最初に攻撃を入れたのは

ティナの神速の踏み込みから
0秒より速く敵の懐まで到達させた足捌きと抜刀術による
必殺の居合斬りであった。

しかし、ありとあらゆる物質の結合をほどく
武神の刀は彼女の肉を切ることなく竜鱗の所で止まってしまった。

竜鱗が堅すぎるのもあるが
ティアナの神殺しの力が武神の能力を無効化しているのだ。


「えっ!?斬れない!?なんでです!?グエッ!」

ティアナは二対の剣でティナを切り裂いたが

ティナの肉体は全体的に細身であるが
肉体強度が非常に頑丈でその硬さはオリハルコンに匹敵する為
鎧など無くても並大抵の攻撃では傷つかず
防御姿勢を取る必要もない程、堅牢な肉の鎧なのである。



「む……確実に急所に入ったはずなのに…無傷?」

「それなら………ん?」

神殺しの力を持った死神であり魔王が
数十倍威力が上がっているチェーンソーを押し付けて
激しい火花を散らしているが
何もされていないかのようにティアナは
振り向いた際に神殺しの魔剣で
神殺しの魔王を切り裂こうとしたが
イナバウアーの態勢で回避された。

ローザは魔力を集中させて
空間が歪ませてそこから死神の鎌を取り出した。

切り裂いた相手を確実に即死させる
必殺の神殺しの死を司る神の大鎌である。

確実に大鎌で切り裂いた……はずだが彼女は死なない。

何故か分からないが
どれだけ切り裂いてもティアナには効いていないようだ。



「・・・なるほど…神でもあるから
私の神殺しが発動していますが
それを神殺しの力で相殺されているみたいです。」


「えっ!?つまり……ほとんど効果がないってことじゃないですか!?
ぬぬぬ……それでも!諦めずに頑張りましょう!
師匠が言っていた最期の言葉を思い出しましょう!」


「諦めなければ、勝てると信じ続ければ
どんな相手にだって必ず勝てるようになる……ですか。」


「そうだな、勝機は限りなく薄いがまだ負けた訳ではない。
私も…少しばかり本気を出そう。」

「ぬうああああああッッッ!!!」

世界に重々しく尊厳な祝福の鐘の音が鳴り響き
世界之終焉が発動。
零の回りの大地は地割れを起こし、
割れた大地からは世界の核から流れてきたマグマが噴き荒れる。

金の凄まじいエネルギーが無数のリング状へと形を変えながら
零の封印されていた枷と終焉の魔王の力を解き放ち
世界中の大気が激しく震える凄まじい力の奔流。
金と黒の闇を体に纏いながら赤黒い終焉の瞳を開眼
力を解放した余波だけで周りにいる者を消滅させかねない神王之闘気が迸る
終焉の魔王アポカリプスが降臨した。



この場でティアナとまともな勝負が出来るのは
終焉の魔王に覚醒した久遠零以外いなかった。

しかし他二人も指を咥えて見ているわけではない。

零をサポートするように二人は立ち回る。

「・・・無駄だよ。二人共」


零の掌から発せられた金色の衝撃波や
触れたモノ全てを塵と化し消滅させる黒い波動
金と黒の魔力を纏った一撃必殺の拳を

全て空中を蹴り上げて二段ジャンプのように跳躍したり
コサックダンスのように踊りながら
変幻自在で予測不能なアクロバティックな動きで避けて

標的を二人に定めたティアナは避けた姿勢のまま

神殺しの魔剣と神剣に凄まじい魔力を込めて
空中で何度も回転しながら
ティナをX字に切り裂こうとしたが

魔王の召喚術により巨大な魔神の腕が出現して
ティナをギリギリ護った……が防御だけではない。

ティナにはとある秘策があり
それを発動させるまでの刹那な時間を稼ぎ、隠す為でもあった。


【武神覚醒】

鞘に納めて力を溜めた後に武神を再び抜刀し
ティナの瞳は赤い光を放ち、武神の力を全開にする。

刀で孤を描くように動かしながら
武神覚醒したティナの力で周囲の空間を歪めて
一時的に色彩が消失したモノクロで
怪しげに紅く光る満月が浮かび上がった夜の世界へ変える。

刀にあまりにも禍々しく魔王に匹敵する黒と赤の魔力を纏わせた
その一撃はティアナの神殺しや竜鱗を超えて
確実にティアナの肉体を切り裂いた。


必殺の一撃を受けたティアナは大きくよろめき

肩から腹部までに服が裂けていて大きな切り傷が出来ていた。

「予想外。まさか私に傷をつけるなんて…」


この一撃を皮切りに好機を逃すまいと
追撃しようする零

しかし

「なら…これならどう?」

突如、魔剣と神剣を放り投げたティアナ

零の拳を受け止めて流水の如く受け流し

ティナの方へ瞬間移動のような速さで
接近すると刀を相手に体術で挑んできた。

刀を振るうが二本の指で白刃取りされてしまい

凄まじい連射速度でティナを片手で殴りまくる。


「ヌギャアアーーーッ!?」

ガトリングパンチで殴り飛ばされたティナを横目に





こちらも接近戦を仕掛けようとした二人だったが

ティアナは破いた服の切れ端を
創世の力で一本の伸縮自在の触手に変換させて

放り投げて地面に刺さった魔剣を投げさせる。

魔剣の剣先で銃剣型の神剣のトリガーを押して蒼い弾丸を発射

ローザの肩に銃弾が直撃し攻撃を妨害し
その隙にローキックで転ばせて
ミサイルドロップキックでローザを大きく吹き飛ばす。

吹き飛ばされたローザをジャンプして飛び越えて
反撃しようとする零だったが 
剣を拾い終えたティアナは
X字の斬撃を飛ばして零に防御姿勢を取らせる。

世界の事象に干渉して自身を高速化
防御姿勢の零の足を掴み、地面に全力で叩きつけて
出来たクレーターを創世の力で再生し

零の手足を地面に埋めて身動きを封じた。
何度も抜け出そうとするが地面を砕く度に
世界の事象に干渉されて
零が時間操作するよりも先に
動きを超スローモーションにさせられて
地面を超高速で再生させられ抜け出せなくなっている。




「ギャッッ!」

「・・・なんなのだ…この凄まじい戦闘センスと強さは……
これではまるで見た目だけでなく強さも
あいつそのものではないか。」


「それでも……!私達は負けられません。
はあ……この姿にはあまりなりたくはありませんでしたが…
仕方ありませんね。」


「ローズレイジバーストプロージョン」

神殺しの魔王としての力を完全に解放することにより
憤怒之罪の悪魔の特性が現れ、更に爆発的に魔力が増大し
ナイトメアとしての特徴が現れはじめる
ピンク色の髪は白紫のグラデーションがかかった銀髪に変化し
黒い悪魔の角も凄まじく巨大化していく

そして服装にも変化をもたらし
太ももに白紫色の薔薇の紋様が浮かび上がり
魔王らしい紫と銀色のマントを羽織り
パーカーの色が銀色に変化する。


悪魔の鉤爪に魔神の腕と死神の大鎌とチェーンソー型の魔剣が融合し

手甲が分厚く巨大な盾になり銀色の装甲が追加され
銀色の盾には白紫色の薔薇や茨のような紋様が浮かび上がり
五本の禍々しい鉤爪の爪は死神の大鎌の即死之刃となり
その大鎌の刃となる鉤爪の指の周りには
チェーンソーのように高速回転する鋸のような刃が付けられ
相手を痛めつけることに特化した鉤爪
ダークネスレイジチェーンソークローに変化する。




「これなら…あなたの神殺しの力に届くはずです!」


「・・・これは……かなり厄介な力ね」

ティアナは二対の神と魔の剣にて
五重のチェーンソークローの斬撃をなんとか防ごうとするが

憤怒之罪の悪魔の力により超絶強化された腕力による
圧倒的過ぎるパワーでぶっ飛ばされてしまう。


「これなら…いける!」

ティアナに幾度か致命的な攻撃を食らわせるが
一撃一撃全てが命を八つ裂きにして刈り取る即死攻撃となっているため
どの攻撃もかなり大振りになってしまう為
ティアナが攻撃に慣れたことで
見切られてからは徐々に当たらなくなってしまう。

ティアナはX字の無数の斬撃を飛ばすが
ローザはチェーンソークローの巨盾でガードし全て薙ぎ払うが
その隙を狙われて57連撃の斬撃の嵐を浴びせられてしまい
ローザは大きくぶっ飛ばされて転がってしまう。





「さてと、あとは死にかけのおじさんと
破壊神のタマゴだけね………」

「ヒッ…!」

「モルドレッド様に……近寄るな!!」


マンソンはモルドレッドを死守する為に
残された僅かな力を振り絞り、ティアナに聖剣を向ける。



「へえ、もう立っているのもキツイはずなのに
頑張るねえ~アハハハ!!いいねいいね~
無様な姿をもっと晒してよ…!」


「なんだあいつ………最初は人形のように
無口で無表情だったのに
急にアイツみたいに喋りだしたぞ………」


「うう………姿だけでなく言動まで
ミオちゃん………シャルロットちゃんに似てきました~」


「うう……まだまだ……勝負はこれからです!」


「これでも……食らいやがれッッッ!!!」

ボロボロの体だがそれでも
モルドレッドを守る為に立ち上がったティナは
両親、そして先祖から継承されていった神人の光を宿した
神々しく輝く光の拳でティアナを殴り飛ばした……だが

「アハハハ!!残念でした~!私には効きませ~ん!!」


「そんな…!」

「キャハハハハハハ!!
残念だけど私の勝ちだね~★

あ~あ、なんか飽きちゃったわ
みんなクソザコ過ぎるよ~★つまんない~★
こんな退屈な世界もう滅亡させちゃお~!」


ティアナの目の前に禍々しい魔法陣が展開されて

漆黒のデウス・エクス・マキナが再び召喚される。

ティアナの十本に枝分かれしたマントを
デウス・エクス・マキナにコードのように接続し
デウス・エクス・マキナの九つの黒光輪から黒炎が噴き荒れ狂い
世界を滅亡させる魔法が発動されようとしたが。


「やっぱすぐに全部滅ぼすのはやめよっかな~★」

「宇宙とか世界を滅亡させるより先に
こいつらの絶望した顔を見ながら
そうだな~エネルギーを超絶圧縮集中させて
超巨大な極太レーザー光線にして
世界滅亡ビームでドーーーンッッッってやろうかな~?
うん!そうだね!それがいいっ!」


漆黒のデウス・エクス・マキナに
世界を滅亡させる程のエネルギーが凄まじい速さで圧縮されていき
異世界バーミストの半分を消し去る神の一撃が
今度こそ放たれようとしていた。


「これは…ヤバイ…!私は身動きが取れない。
二人は動けるか~!?」

「いいえ……すでにデウス・エクス・マキナに
神殺しの攻撃を加えてますが
鋸、鉤爪、大鎌、魔神の腕、どれを試しても止まりません。」

「諦めません!絶対に!!」

無我夢中にデウスエクスマキナを壊そうと殴ったり
マントを武神之刃で切り裂こうとするが切れず
世界滅亡までのカウントダウンは止まらない。










マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイ
マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイ
マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイ

世界を救いたいけど…私達では叶えられない。

でも……それでも…まだ諦めたくないんです…!


誰か………誰か……助けてください!!!!
助けてください師匠ーーーーーーーーー!!!!!


ゴーーーン




ティナの世界を救いたい願いに呼応するかのように
尊厳な鐘の音が響き渡る。


発射された異世界バーミストの半分を消し去る
威力の破壊光線は…

創世の力によって強制的に覚醒させられた状態で

破壊光線の軌道上に転移させられた白銀の少女の魔法



星命流転覇星激爆覇アストラル・ノヴァ




ルミナが放った星座の魔法陣から放たれた

超新星爆発のような白銀の輝きにも見える

究極の極大消滅魔法の力は

星の最期の煌きを彷彿とさせる、淡く美しい輝きを放つ。


人の可聴域などあっさりと振り切った爆発音は

その音と衝撃波だけで周囲の渓谷を壊し尽す。


その光の直撃を受けたモノは、何者だろうと

如何なる抵抗も許されず、ただ崩壊するのみである。



ルミナス・メモティック・フォールンナイトの

究極にして最強の魔法。



星命流転覇星激爆覇アストラル・ノヴァによって掻き消された。

その白銀の光は後方に聳える霊峰を音も無く、消滅させられ





漆黒のデウス・エクス・マキナは半壊し

シャルロットの創世の力によって

青白い炎と白い九尾の尻尾のような光の柱に包まれた
漆黒のデウス・エクス・マキナは
空間諸共を歪せられて空間に空いた黒い穴
ブラックホールに吸い込まれて消失した。



「今の鐘の音…まさか!?」

「もしかして………師匠!」



地面に埋まっていた久遠零も
九尾の白い尻尾に腰を掴まれて救出されている。


「もう………助けにくるのが遅いぞお姉ちゃん。」



「いや~ごめんごめ~ん!ギリギリセーフって所かな?
やっぱりみんな私がいないとダメダメなんだね~

遅かった?そっか~でも間に合ったから許してね☆
それに、ほら…いつも言ってるじゃーん
主人公ってのは遅れてやってくるんだぜ☆」


彼女の声のする方に視線を向けると

太陽を背に青白い炎で空中に足場を作り
天の階段をゆっくりと降りてきた
その姿はまさしく暗黒を消し去り、絶望を切り裂き
皆に希望を与える勇者や太陽神のようであった。

「シャルロット……ルミナ……!?」

「シャルロット様……!?

それにルミナ様もご無事でなによりです!!」



「あわわ…!?ここは何処ですか~!?」


「ごめんごめん、緊急事態だったから説明は後でね~」



「おお~!モルお姉ちゃんにマンソンのおっさん!
さっきの聖剣の一撃かっこよかったぞ~
モルお姉ちゃんも怖がりなのによく頑張りました~


私の愛弟子にゼロにローザお姉ちゃんに
みんな大集合じゃーん。」


「(私を忘れてもらっちゃ困るよ~)」

「はいはいネムリンちゃんも忘れてないよ~」



「シャルロット……お姉ちゃんね。
帰ったら貴女に言いたいこと聞きたいこといっぱいあるわ。
でもまずはあいつをやっつけてからよ!」



「はいはい、モルお姉ちゃん分かってるよ~」





「それにしてもまあ、見れば見るほど
ワタシちゃんにそっくりだね~

随分と好き勝手してくれたからな~
お礼に今からぶっ倒してやるぜ!」

「キャハハハ!!今更来てももう遅いのよ!

私は貴女と同じ創造主となり貴女を超えたッッ!
いつだって世界を滅亡させられるのよ!」



「そうかな?私を超えたって?いつ?
この星が何回グルグル回転した時?何時何分何秒ですか~?
それに、私にはそんなに君が強そうには見えないな~」


「アハハハ!!減らず口を叩けるのも今の内だよ★」



「ま、それは今からやってみないとわからないよね~!」



【ダイナマイトパースト・ノヴァ・イグニッション】

シャルロット・レガリアの目の前に
鍵穴のようなモノが描かれている
金色の神魔文字が追加されている白銀の魔法陣が出現し
シャルロットは魔法陣の鍵穴に手を突っ込み
180度捻り、封印を解除し背後にその魔法陣を放り投げる。 

そして金色が混ざっている白銀の魔法陣は
白金…プラチナも混ざった色味に変化していた
白銀と白金のデウス・エクス・マキナ

機械仕掛けの主神へと変化する。


シャルロットの背後に降臨した
主神デウス・エクス・マキナは
何かが封印されている重々しい扉が中心部にあり
巨大な歯車のような、リングのような姿形をしており
主神デウス・エクス・マキナに青白い炎が灯り、
彼女が指を鳴らす音を合図に九つの光輪に
炎が点火されると
左右に三本ずつ、頭上に三本設置されている
強化されて金色の輝きを放つようになった
白銀の光輪から九本の青白い炎の柱が爆音を響き渡らせながら
炎が翼のように見えるように左右に三本ずつ設置された
六本の火柱と
頭上の光輪からの三本の火柱が天を貫かんとする勢いで噴き荒れ狂っている。

デウス・エクス・マキナの
リングがグルンと180度回転し、中心部となる扉の封印が解かれる。
扉から黒金の神竜バハムートと九尾の白狐のような装甲が現れ
二つに分割されるとそれぞれ
デウス・エクス・マキナの上下と左右に配置される。


【真・神狐竜覚醒・アルビオン・FOR・メサイア】

シャルロットは九本の光の柱を自身を囲うように展開し

シャルロットの体を一瞬の合間に
金色と漆黒の神竜の生体装甲が
シャルロットを上下から挟み込むように漆黒の鎧で 包み込み
更にその装甲の上から九尾の白狐の生体装甲が重なるように装着される。

光の柱が生物の尻尾、もしくは触手のようにユラユラと蠢き
デウス・エクス・マキナとシャルロットを包み込むと
光の柱は大爆発を引き起こしシャルロットは
人間でありながら神の姿へと神化していく。
神の力を解放した爆発によって
黒と白の生体装甲は微粒子レベルにまで分解されて
鎧から人間へと姿を変えながら
全裸となっているシャルロットに取り込まれることで
神格化され創世の神という概念と成った
アルビオンと人間としてのシャルロットの魂が同化する。

神々しい輝きを放ちながら世界の創造主が……
絶対的な力を振るう宇宙最強の創世神が降臨する。

髪は銀髪からより真っ白な白銀色に変化し
金色の輝きを放つ琥珀のような瞳は更に金色の輝きを強める。
服装も先程とは大きく変わり

上半身は白を基調にした衣装で
神様らしさと動きやすさを極限まで重視した結果

枝分かれした九本の白いマントを白ビキニの上に羽織り

手甲と手足にのみ装着された
竜鱗を彷彿とさせた手足の黒と白の装甲は
白銀と白金の装甲に変化し、純白の竜翼のような
ブースターとジェットエンジンが追加され
超高速飛行能力を獲得、金の炎模様の装飾が追加されている。


極限まで動きやすさを重視した衣装となっており



下半身は白いレースと青い薔薇の模様が光に当たることで薄く浮かび
ランジェリーのようにも見える白ビキニに

白と金を差し色にしてゴージャスな感じになった
ビキニが透けている白色のミニスカート


脚部の装甲や靴には白金の炎模様の装飾が追加されている。


次元が歪み空間に赤黒いノイズが走ると
シャルロットの手に

ティアナの神殺しの神剣と同型だが
長剣とレールガンが同化されており
剣先からは加速する電磁砲弾を射出する魔術が組み込まれてあり
神剣の柄となっている銃部分には長剣を倒し
銃部分と接続させることで電磁砲射出式魔術を行使する魔力回路が組み込まれている
紅色の銃口接続型電磁砲発射機構が備えつけられている
純白の神銃神剣インフィニット・Ⅸ・メサイアが創造される。


令嬢らしさがあった衣装から
神々しさを感じる神様らしい衣装へ変わり。

先程とは別人と思えるほどの凄まじい神之闘気を迸らせている。


「ワアー!師匠の姿はちょっぴり変わってます!
前の姿も素敵でしたが凄く綺麗です!」

「既に最強なのにアイツ更に強くなるのか……」

「ウェディングドレスみたいで綺麗ですね~
後で写真に妹の美しい姿をおさめなければ。」


「へいへい、みんなお褒めの言葉ありがとね~」




白と黒の瓜二つの姿をしている二人の少女が対峙する。



「さあ~!どっちが世界最強か白黒つけようか★」


「アハハハ!面白いこと言うね~
世界最強はワタシに決まってるじゃん。」


「キャハハハ★それら……どうかなあああああああ!!!」


漆黒の剣と純白の剣がぶつかり合い
戦いの火蓋が切って落とされたのであった。





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