81 / 115
14話 ロリ魔王、友達が出来た。
しおりを挟む
夕食の準備ができたということで
私達は居間に移動した。
食卓には私の大好物であるカレーライスや唐揚げ
ハンバーグにステーキにビザにグラタンにハンバーガーといった
豪華な料理が並べられていた。
「さあ、召し上がれ」
お母さんがそう言って、大皿に入った唐揚げやビザにステーキ
そしてグラタンを小皿に取り分けてくれる。
くうぅぅぅ、この芳しい匂い、たまらないぜ。
今にも涎が溢れそうだ。
「ジャンヌちゃんも、沢山食べてね」
「……ん………」
自慢するわけではないが、母さんの料理は正直美味い。
平和な世の中は、魔法を退化させはしたものの
代わりに料理を進化させたというのが
転生してから13年間、お母さんの手料理を食べ続けた結論である。
「いただきます。」
私はスプーンでグラタンをすくう。
「これは……?」
なんとこのグラタンキノコが二種類も入っているぞっ!?
エリンギにマッシュルーム…
いつもよりきのこが大量に入っている
いつもは一種類だけなのに!
「いや~お母さん、奮発しちゃったわ」
私の心中を見透かしたように、母さんが笑う。
「ほらほら、召し上がれ」
私達はうなずき、グラタンを口に含んだ。
「う……美味い!」
美味い……。
蕩けるようなクリーミーな味わいが舌に広がり
塩辛さの中にほんのりと甘味がある。
そしてぎゅっと凝縮された濃厚な旨味がダイレクトに胃に入ってくる。
キノコの食感もシャキシャキで、このままいくらでもかみ続けていたい。
唐揚げも衣はサクサクで中身の鶏肉は
噛めば噛むほど旨味と肉汁が飛び出してくるようなジューシーさ
永遠と唐揚げを口に放りたくなる。箸が止まらないっ。
ハンバーグもステーキも
ナイフを入れれば肉汁が無限に溢れてくる。
ハンバーガーも全てのパティ、パンズ、挟まれてる具材
どれをとってもどの要素も等しく
良質な物を使われており
これらが合わさることで素晴らしい味の旋律を奏でてている
完璧に完成されているパーフェクトなハンバーガーだっ!
ああ、やっぱりこの世の幸せの源は料理だ。
転生してよかった。ほんとによかった。
「ふふー、シャルロットちゃん本当に美味しそうに食べてくれるわね~
食べてるときの顔はいつまでも子供の頃のままだよねー
本当に天使みたいに可愛いわ~!」
母さんがそんなことを言う。
私は夢中になって、唐揚げに食らいついていた。
「ところで、お母さん、ちょっと訊きたいんだけどね……」
そう前置きをして、母さんは真剣な表情を浮かべた。
「ジャンヌちゃんは、シャルロットちゃんの~
どこが好きになったのかなぁ~?」
「ブーーッ!!がはっ、ゲボっ……」
お母さんの突拍子もない発言に聞いた
二人が同時に思いっきりむせた。
ルミナは顔を真っ赤にしている。
ギャグ漫画のように料理を吹き出すシャルロットの姿と
お母さんの突拍子もない発言を聞いていた
もう一つのテーブルで料理を食べていた
異世界旅行組の仲間達は笑いだした。
「アハハハ!シャルロットちゃんのお母さん面白いね~」
「そ…そうねネムリン…くっくっくっくっイタタ
先程、ティナさんに殴られた箇所がガガガ…
あっルミナちゃんの赤くなった顔で癒やされます」
「あわわ…師匠がギャグ漫画みたいに吹き出しました!」
「どれも美味いな……アイツのお母さんの料理。」
「あ、シャルロットちゃんとモルちゃん、大丈夫っ?」
「お、おう……」
くっ。私としたことが、迂闊だった。
というか、料理の美味しさに夢中になるあまり
お母さんのハネムーンフィーバーの如く
異常なテンションを落ち着かせることをすっかり忘れていたぞ。
魔王と呼ばれた我の冷静さを失わせるとは
母さんの料理は、なんという恐ろしい魔力なのだ。
「それで、どこなのかなぁ……?」
ジャンヌは無表情でじっと考える。
「……優しいところ……?」
淡々と言葉が発せられた瞬間、母さんはぐっと拳を握った。
「そうっ、そうなのよっ!シャルロットちゃんって本当に優しいのっ!
だってね、だってね!
本当はお母さんたちと離れ離れになって
子供達だけでダークネストに来ようとしてたんだけど
お母さん達が寂しいっていうのを知ったら
一緒に連れてきてくれたのよ~!!」
ふむ。なるほどな。これが親バカというものか。
体験するのは初めてのことだが、なかなかに気恥ずかしいことだな。
「……親孝行……」
「そうでしょそうでしょ~!
ジャンヌちゃんってわかってるわ。
さすがシャルロットちゃんが連れてきたお友達なだけあるわね~!」
「あのね、お母さん」
「シャルロットちゃんは唐揚げのおかわりいる?」
「貰っておこうかな」
母さんがくれた唐揚げに、私は夢中になって食らいつく。
「それでそれで、二人の馴れ初めって、どうだったの?」
「……馴れ初め……?」
「どんな風に出会ったの? どっちから声をかけた?」
「……声をかけてきたのは、シャルロット……」
「さすがシャルロットちゃん!
女の子に自分から声をかけるなんて、この女たらしー!」
母さんがひゅーひゅー、と口笛を吹いてくる。
「それで?シャルロットちゃんはなんて声をかけてきたの?」
あの時の言葉を思い出しているのか
ジャンヌは視線を上にやって考える。
「アハハハ……お互い苦労するね……?
それから………怖い人から…………私を守ってくれた……」
「きゃあぁぁぁぁぁ、格っ好いい~っ!!
もうなにそれぇぇっ?
そんなことされたら、そんなことされたら
女の子でも一発で落ちちゃうんだよぉーっ」
なにが格好いいのか全然わからないが、親バカと化している
お母さんになにを言っても無駄だろうから、もう少し様子を見よう。
なにせ、まだまだ料理は残っている。熱いうちに食べなければ。
「それで?それで?ジャンヌちゃんはなんて答えたの?」
「………ん、って……」
「もぉぉぉぉぉぉっ、以心伝心っ!
最初から相性ばっちり! 運命の出会いねぇ……!」
母さんはうっとりとした表情で自分の世界に入ったまま
まるで出てくる気配がない。
ジャンヌが料理をがぶりついてる私の方を向く。
「小動物みたいで……………可愛い………」
「ヤメテ」
そのやりとりに、母さんは両拳を上下に振った。
「きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
ねえ、あなた、聞いた、今の、聞いたっ!?
『可愛い?』『そんな目で見るな』ですってっ!?
やだもうっ、なに、シャルロットちゃんツンデレ? ツンデレ発揮しちゃったのぉぉーー!」
興奮する母さん。父さんは酒を飲みながら
感慨深そうに一人うんうんとうなずき、遠くを眺めている。
とりあえず、そのうち落ちつくだろうと思っていたが
母さんは終始テンション高めで、まくしたてるように喋ってくるので
放っておくのが一番だろう。
あれよあれよという間に夕食は終わり
そのまま賑やかに喋り続けている間に夜もすっかり遅くなってしまった。
途中までジャンヌを送るということで、私達は外に出た。
「手、出しな」
ジャンヌは素直に私の手をつかんだ。
「転移魔法で家まで送ってあげるね。」
「家……知らないのに……?」
「家の場所を思い浮かべてほしい。
読心の魔法で思念を読み取って送るから。」
「……できる……?」
「フッ私を誰だと思ってるこんなの余裕だぜ!」
ジャンヌがじっと私を見る。
「……すごい……」
ジャンヌが思い浮かべた家の場所が、
つないだ手を通して頭に伝わってくる。
「いや~今日は悪かったね~
お母さんとお父さんが
いつもより何倍もテンションが高くなっちゃってさ~」
ふるふるとジャンヌが首を振る。
「ううん…………楽しかったよ……」
「なら、よかったよ。」
「……ん…………」
転移魔法を使うため、手に魔力を込める。
「じゃ、また学院で会おうね。」
「……さよなら………シャルロット………」
真っ白な光に包まれてジャンヌの
体が消えていき、彼女は転移した。
そして、家に帰ろうと夜道を歩いていると
突然強い魔力を感じ取る。
その時、私の足元に魔法陣が浮かび上がり
そこそこ大きめの規模の創造魔法が発動された。
すると、闘技場のような物が創造されていく。
すると、何処かで聞いたような下品な笑い声が聞こえてきた。
「ぎゃはははひひひひひひっ!!!」
「またおまえか……あれだけ殺したのに懲りないやつだな。」
「今度こそてめえをグッチャグチャにしてやるよ!!!
今度は手加減しねえ!ぶちのめしてやる!!!」
「不要だ」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」
ゼオズの体に赤雷が直撃する。
彼の悲鳴が闘技場に響く。
そして、出入り口から長髪の魔族が姿を現した。
眉間に皺を寄せた、なんとも神経質そうな面構えをしている。
そいつはゼオズの首を片手で掴み上げていた。
「あ、兄貴……お、俺が悪かった……。許してくれ。次は必ず……」
「恥知らずが」
ぐしゃり、と長髪の魔族がゼペスの顔面を握り潰す。
魔力の粒子がそこに集う。バチバチと黒雷が彼の全身を焦がす。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
一瞬にして、ゼオズが消し炭になった。
長髪の魔族はゴミのようにそれを捨てると、私のもとへ歩いてくる。
「弟が………世話になったな」
なるほど。アイツの兄か。
どうやら弟よりはマシなようだが、しかし気に入らないな。
「弟の仇討ち、というのなら良い台詞なんだけどな~」
「人間の雑魚ごときに後れを取るとは我が血族の恥だ。
この手で介錯してやったのがせめてもの情けである」
雑魚というのは私のことか?
私が雑魚ならおまえはその雑魚の子孫になるのだが
それでいいのだろうか?
兄弟喧嘩で、お前の母ちゃんでーべそという
滑稽さに通ずるものがあるな。
「兄弟は助け合うものだと思うが?何故殺した?」
「甘い奴だな。力があってこその魔王である」
やれやれ。どちらが甘いのか。
いくら弱いからといって、悪戯に殺す意味などないのだ。
弱い者には弱いなりに
強者には出来ず、弱者にしか出来ないことだって沢山ある。
弱者も使い方次第で強き者にも勝る輝きがあるというのに。
無駄に味方を減らす愚行を犯すようでは
神話の時代では生き残れないだろうな。
「どうやら貴様は力の意味を吐き違えているようだな」
「つまらぬ正義感だ。殺せばそれで済んだものを
わざわざ蘇生魔術という大魔法を使ってまで
ギブアップを宣言させるだけのことはある」
ほう。あいつもあの時の試合を見ていたのか?
そして、私は魔力を感知し振り返る。
・・・なるほど。あそこか。
闘技場の観戦席の三列目の席に
八十人ほど、黒い制服を着ている魔族たちがいる。
恐らくは制服を着ているのでアイツのクラスメイトであろうか?
創造魔法でこの闘技場を作ったのは、あの取り巻き達だろう。
全員、私に向けて魔雷の魔法陣を構えている。
「どうやら、ようやく立場を理解したか
貴様のような雑種以下………魔族の風上にもおけぬ
穢らわしい人間ごときが
我らが魔王の直系の王族を馬鹿にして
生きて家に帰れると思うなよ?」
「いや、何故くだらないことばかり気にするのだ?
あのような雑魚共は数にも入らんよ?
そんなもので脅して勝ち誇ってる
お前の方が実に滑稽で魔王の子孫として恥晒しだな~と思って。」
ピク、と男のこめかみが痙攣する。
「……なん、だと?」
「ああ、貴様を見ていると実にくだらなすぎて涙が出るわ。
魔王というのはな、世界最強の魔族にのみ与えられる称号だ。
誰よりも強いから勝手にそう呼ばれるだけのことなのだ。
それが純血とか?偉い立場だから魔王?
あははは。さっきから面白い冗談ばかり言うな?」
私の嘲笑に、長髪の魔族は不快そうに顔を歪める。
「特権階級を作るのは別に構わないぜ?
いつの時代にも、そういう連中はいるものだからな。
だがなあ?魔王はそういうもんじゃあないんだぜ?
魔王というのは神々であろうが誰が何が相手だろうと
ありとあらゆる全てを己の力でねじ伏せて
世界を支配し己の者とする最強の魔族のことだ。
その子孫が今はそれとは掛け離れたとも言える存在となるのとはな~?」
馬鹿にした物言いがかんに障ったか、長髪の魔族は殺気だった視線を飛ばす。
「今の言葉、我らが始祖の偉業を軽視する、
魔王様への批判と受け止めさせてもらう。
なればこそ、このゲオリオン・キンピラーが
貴様を直々に死刑に処すべきである」
「魔王本人が魔王のことを語ることが
なぜ私の偉業を軽視したことになるのだ?」
「……なに?」
「勘の悪い奴だな?私がその始祖本人だと言っているのだ。」
すると、ゲオリオンは憎悪をありありと目に浮かべて睨んできた。
「貴様。自分がなにを言っているか、わかっているのだろうな?」
「私が魔王だと事実を言っただけだが?」
すると、我慢の限界を超えたといったように
ゲオリオンは叫んだ。
「自らが始祖だと騙るその不敬な態度、万死に値するっっっ!!」
「わからないな~。お前の考えでは、転生した魔王は
自分が何者かわかっていないマヌケなアホだということになるのだが?」
「黙れっっっ!!!!
貴様こそ、皇族の直言を疑うとは、大罪であるぞ!!」
「お前の言っていることは全くもって意味不明だが
まあ、責めはしないさ。
出来の悪い子孫であろうと私は愛してやるぞ?」
「貴様っ!またしても皇族を愚弄するかっ!!」
そういうつもりではないのだが、面倒臭え奴だな。
「いいから、とっととかかってこい。
私が魔王だということを、今から貴様の体に教えてやるよ?」
挑発してやれば、すぐに飛びかかってくるかと思ったが
予想外にも奴は明後日の方向を見た。観客席だ。
「魔王様を批判をした者の末路がどうなるか
こいつに教えてやれっっっ!!」
ゲオリオンが言うと、観客席にいた魔族が全員
闘技場に飛び込んできた。
「今更遅い。自らの発言を後悔し、そして死ね」
ゲオリオンが指示すると
観客席に隠密の魔術で夜の暗闇に潜んで
こちらの様子を見物していた大勢の魔族が
続々と闘技場へ飛び降りてくる。
合計で百八十人といったところか。
「口は災いの元とはよく言ったものである」
「そうだな。お前が余計なことを言わなけりゃ
二百人近くも犠牲を出す必要はなかったんだからな~?」
百ハ十人の魔族が一斉に魔法陣を展開し
紫雷の魔法を放とうとする。
「くっくっくっ……あははははは!!!」
「なにがおかしい? あまりの恐怖に気が狂ったか」
「あははは!!!まだ気がつかないのか~?
その魔法陣をよ~く見てみろよ?」
途端に奴らははっとした。
全員が展開している魔法陣の文字にノイズが走り
自らの魔力が暴走しつつあることに気がついたのだろう。
私を取り囲んだ魔族たちが悲鳴に近い声を上げた。
「な、なんだ、これは……!? 魔力が勝手に!?」
「馬鹿な!?……魔法陣を展開した素振りすらなかったぞ……
こんな……やめろぉぉぉぉぉぉ!!」
「こいつ……百八十人の皇族に…同時に魔法を……!?」
「な、なにをしたぁっ? いったいなにをしたんだぁぁっ!?」
「ほらほら、魔王の直系だっていうなら
さっさと制御してみせろよ?でないと死ぬぞ?」
私を取り囲んでいた魔族たちの顔が真っ青になり
なんとか暴走していく自分の魔力を制御しようとする。
だが、間に合うわけがない。
「ぐわああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!???」
「ぎぃやああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!?」
「ぐわああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!」
瞬間、けたたましい轟音が響き、闘技場に降りてきた
百八十人が、まるで火をつけた火薬庫のように派手に爆発した。
爆発が収まり、煙が晴れるとそこに立っていたのは
ゲオリオンただ一人だけだった。
「貴様っっっ!!!!我々に一体何をしたのだ!!!」
「いや~?魔法陣に私の魔力をちょこっと混ぜただけだぜ?
そして、始祖の魔王の魔力に過剰反応を示してドカンッさ。
お前達、口では否定してても身体は正直だったんだな~?」
「なにをっっっ!!」
「お前らは馬鹿だからな~なぜ、そうなったなんか
説明しても理解出来ないだろう。」
すると、さっきまで騒がしく喚いていた
ゲオリオンが静かになったと思えば殺気が更に強くなり
魔力も先程とは見違える程増幅していく。
「・・・もういい、御託はいらぬ。
貴様はこの私がこの場で…必ず…殺さなければならないっっっ!!!」
「む……なんだその武器は?」
「ぐおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!」
ゲオリオンは突如、この時代のモノとは思えない
遥か未来の技術らしき禍々しい魔法銃を取り出したかと思えば
その光弾を自分に向けて発射した。
すると撃たれた胸に禍々しい魔法陣を自身に展開し
倒れていた百八十人の死骸を取り込みながら
竜人型の魔獣に変貌していく。
その姿は神話の時代の生物と酷似していた。
「ギギギギ・・・・ギサマヲ捻り潰す!!!」
「おいおい?理性完全に失くしちゃったか~?」
魔獣ゲオリオンはその圧倒的な体格差にモノ言わせて
掴みかかるが私は彼の両手を捕まえてる。
そしてそのまま魔獣ゲオリオンを持ち上げて
何度も地面に叩きつけながら放り投げた。
雄叫びをあげながら赤雷、紫雷、黒雷を撒き散らしながら
最上位雷魔法である破滅の黒紫色の神雷を放つ。
闘技場が跡形もなく崩壊し
着てる服などを含めて私以外の全てが木っ端微塵に吹き飛んだが
私だけは無傷のままであった。
「ギギギ!?厶ギズダダダトオオオッッッ!?」
「ギイイぃぃぃぃぃッッッッッッ!!!????」
激昂したゲオリオンは黒い魔力の粒子を口付近に集中させ
口から禍々しい光を放出させながら破壊光線を発射する。
「フッ……洒落臭せえ!!!」
私は拳を振るい、その光線を砕く。
そして砕けていく光線の中を突き進み
魔獣ゲオリオンの頭部に踵落としを決める。
「ギギギギギギギギッッッ!?!?!?」
そして私は踵落としをしたまま
魔獣ゲオリオンの頭を踏み台にして空高く飛び上がり飛翔する。
「これで終わりだ。」
上空に魔界の夜空を覆い尽くす程の大規模な
赤黒く禍々しい炎属性最上位の魔法陣を描き
漆黒の太陽を夜の魔界に顕現させる。
精霊の森を焼き尽くした神話として語り継がれた
その魔法は魔獣ゲオリオンに落とされた。
そして、ゲオリオンは自ら手を下した弟と同じように消し炭となったのである。
「やれやれ、実に愚かな子孫どもであった。」
「だがまあ、殺したままにしとくのは
目覚めが悪い。生き返らせるとするか。」
みんなが幸せになれる世界を実現させる為には
こんな奴らでも幸せにして救わないとならない。
こんなにも愚かで実に救いようのない奴らだが
こいつらにだって幸せになる権利ぐらいはあるからな。
【ダイナミックバースト・ノヴァ・イグニッション】
純白の機械神デウス・エクス・マキナを顕現させ
夜の魔界を九つの白い光の柱が照らす。
光の柱に包まれてシャルロットは神様としての姿に変わる。
そして尊厳な鐘の音を響き渡らせて
百八十人の魔族とゼオズとゲオリオンを
外見はそのままに歪んだ精神を正して
優しい心を持った魔族に転生させる。
「実に、愚かだったが愛しき我が子孫どもよ
この私がわざわざ第二の人生を与えてやったのだぞ?
せいぜい最期が消し炭にされない程度には
今度こそ、幸せになれよ。」
そして、私はそう言葉をかける。
そのまま気絶した彼らを放っておいたまま
服を創造して足早に我が家に帰宅するのであった。
その様子を影で見ていた怪しい蛙の魔人と悪魔と謎の男がいた。
「あーらら。またダメだったわ。
せっかく私がこの世界ぐらいなら簡単に滅ぼせる
神話の時代の不死屍人竜ってやつを参考にして
最高にイカしたタイラントゾンビドラゴンにデザインしてあげたのに
やっぱり素体があんな雑魚魔族じゃダメね。」
「まあ、いいわ隠し玉はまだまだいっぱいあるんだから……」
「ねえ?ティアナ・オメガ・ヘルディアロード様?」
そこには、赤黒い狐面をしていた謎の男性が立っていた。
狐面の男は白金の魔法陣を展開しそこからレーザーを照射し
無数の人型の何かを作り出していく。
「目覚めよ………私の右腕……」
そこには紫色のスーツを装着し
手には漆黒の杖や黒い魔剣やバールのようなものを手にしている。
同じ顔をした男性が大量に生み出された。
それは、シャルロットがかつて倒して
完全に消滅させたはずの男であった。
「「「はい………私は貴方の右腕です……。」」」
「創世の神、アルビオンを抹殺せよ………
無限に存在する未来世界最強の戦士……ジリオンよ!」
「「「イエス……ユア……クリエイティブマスター・オメガ」」」
魔界の平和な日常が崩れ落ちる足音が着実に近づいていたのであった………
私達は居間に移動した。
食卓には私の大好物であるカレーライスや唐揚げ
ハンバーグにステーキにビザにグラタンにハンバーガーといった
豪華な料理が並べられていた。
「さあ、召し上がれ」
お母さんがそう言って、大皿に入った唐揚げやビザにステーキ
そしてグラタンを小皿に取り分けてくれる。
くうぅぅぅ、この芳しい匂い、たまらないぜ。
今にも涎が溢れそうだ。
「ジャンヌちゃんも、沢山食べてね」
「……ん………」
自慢するわけではないが、母さんの料理は正直美味い。
平和な世の中は、魔法を退化させはしたものの
代わりに料理を進化させたというのが
転生してから13年間、お母さんの手料理を食べ続けた結論である。
「いただきます。」
私はスプーンでグラタンをすくう。
「これは……?」
なんとこのグラタンキノコが二種類も入っているぞっ!?
エリンギにマッシュルーム…
いつもよりきのこが大量に入っている
いつもは一種類だけなのに!
「いや~お母さん、奮発しちゃったわ」
私の心中を見透かしたように、母さんが笑う。
「ほらほら、召し上がれ」
私達はうなずき、グラタンを口に含んだ。
「う……美味い!」
美味い……。
蕩けるようなクリーミーな味わいが舌に広がり
塩辛さの中にほんのりと甘味がある。
そしてぎゅっと凝縮された濃厚な旨味がダイレクトに胃に入ってくる。
キノコの食感もシャキシャキで、このままいくらでもかみ続けていたい。
唐揚げも衣はサクサクで中身の鶏肉は
噛めば噛むほど旨味と肉汁が飛び出してくるようなジューシーさ
永遠と唐揚げを口に放りたくなる。箸が止まらないっ。
ハンバーグもステーキも
ナイフを入れれば肉汁が無限に溢れてくる。
ハンバーガーも全てのパティ、パンズ、挟まれてる具材
どれをとってもどの要素も等しく
良質な物を使われており
これらが合わさることで素晴らしい味の旋律を奏でてている
完璧に完成されているパーフェクトなハンバーガーだっ!
ああ、やっぱりこの世の幸せの源は料理だ。
転生してよかった。ほんとによかった。
「ふふー、シャルロットちゃん本当に美味しそうに食べてくれるわね~
食べてるときの顔はいつまでも子供の頃のままだよねー
本当に天使みたいに可愛いわ~!」
母さんがそんなことを言う。
私は夢中になって、唐揚げに食らいついていた。
「ところで、お母さん、ちょっと訊きたいんだけどね……」
そう前置きをして、母さんは真剣な表情を浮かべた。
「ジャンヌちゃんは、シャルロットちゃんの~
どこが好きになったのかなぁ~?」
「ブーーッ!!がはっ、ゲボっ……」
お母さんの突拍子もない発言に聞いた
二人が同時に思いっきりむせた。
ルミナは顔を真っ赤にしている。
ギャグ漫画のように料理を吹き出すシャルロットの姿と
お母さんの突拍子もない発言を聞いていた
もう一つのテーブルで料理を食べていた
異世界旅行組の仲間達は笑いだした。
「アハハハ!シャルロットちゃんのお母さん面白いね~」
「そ…そうねネムリン…くっくっくっくっイタタ
先程、ティナさんに殴られた箇所がガガガ…
あっルミナちゃんの赤くなった顔で癒やされます」
「あわわ…師匠がギャグ漫画みたいに吹き出しました!」
「どれも美味いな……アイツのお母さんの料理。」
「あ、シャルロットちゃんとモルちゃん、大丈夫っ?」
「お、おう……」
くっ。私としたことが、迂闊だった。
というか、料理の美味しさに夢中になるあまり
お母さんのハネムーンフィーバーの如く
異常なテンションを落ち着かせることをすっかり忘れていたぞ。
魔王と呼ばれた我の冷静さを失わせるとは
母さんの料理は、なんという恐ろしい魔力なのだ。
「それで、どこなのかなぁ……?」
ジャンヌは無表情でじっと考える。
「……優しいところ……?」
淡々と言葉が発せられた瞬間、母さんはぐっと拳を握った。
「そうっ、そうなのよっ!シャルロットちゃんって本当に優しいのっ!
だってね、だってね!
本当はお母さんたちと離れ離れになって
子供達だけでダークネストに来ようとしてたんだけど
お母さん達が寂しいっていうのを知ったら
一緒に連れてきてくれたのよ~!!」
ふむ。なるほどな。これが親バカというものか。
体験するのは初めてのことだが、なかなかに気恥ずかしいことだな。
「……親孝行……」
「そうでしょそうでしょ~!
ジャンヌちゃんってわかってるわ。
さすがシャルロットちゃんが連れてきたお友達なだけあるわね~!」
「あのね、お母さん」
「シャルロットちゃんは唐揚げのおかわりいる?」
「貰っておこうかな」
母さんがくれた唐揚げに、私は夢中になって食らいつく。
「それでそれで、二人の馴れ初めって、どうだったの?」
「……馴れ初め……?」
「どんな風に出会ったの? どっちから声をかけた?」
「……声をかけてきたのは、シャルロット……」
「さすがシャルロットちゃん!
女の子に自分から声をかけるなんて、この女たらしー!」
母さんがひゅーひゅー、と口笛を吹いてくる。
「それで?シャルロットちゃんはなんて声をかけてきたの?」
あの時の言葉を思い出しているのか
ジャンヌは視線を上にやって考える。
「アハハハ……お互い苦労するね……?
それから………怖い人から…………私を守ってくれた……」
「きゃあぁぁぁぁぁ、格っ好いい~っ!!
もうなにそれぇぇっ?
そんなことされたら、そんなことされたら
女の子でも一発で落ちちゃうんだよぉーっ」
なにが格好いいのか全然わからないが、親バカと化している
お母さんになにを言っても無駄だろうから、もう少し様子を見よう。
なにせ、まだまだ料理は残っている。熱いうちに食べなければ。
「それで?それで?ジャンヌちゃんはなんて答えたの?」
「………ん、って……」
「もぉぉぉぉぉぉっ、以心伝心っ!
最初から相性ばっちり! 運命の出会いねぇ……!」
母さんはうっとりとした表情で自分の世界に入ったまま
まるで出てくる気配がない。
ジャンヌが料理をがぶりついてる私の方を向く。
「小動物みたいで……………可愛い………」
「ヤメテ」
そのやりとりに、母さんは両拳を上下に振った。
「きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
ねえ、あなた、聞いた、今の、聞いたっ!?
『可愛い?』『そんな目で見るな』ですってっ!?
やだもうっ、なに、シャルロットちゃんツンデレ? ツンデレ発揮しちゃったのぉぉーー!」
興奮する母さん。父さんは酒を飲みながら
感慨深そうに一人うんうんとうなずき、遠くを眺めている。
とりあえず、そのうち落ちつくだろうと思っていたが
母さんは終始テンション高めで、まくしたてるように喋ってくるので
放っておくのが一番だろう。
あれよあれよという間に夕食は終わり
そのまま賑やかに喋り続けている間に夜もすっかり遅くなってしまった。
途中までジャンヌを送るということで、私達は外に出た。
「手、出しな」
ジャンヌは素直に私の手をつかんだ。
「転移魔法で家まで送ってあげるね。」
「家……知らないのに……?」
「家の場所を思い浮かべてほしい。
読心の魔法で思念を読み取って送るから。」
「……できる……?」
「フッ私を誰だと思ってるこんなの余裕だぜ!」
ジャンヌがじっと私を見る。
「……すごい……」
ジャンヌが思い浮かべた家の場所が、
つないだ手を通して頭に伝わってくる。
「いや~今日は悪かったね~
お母さんとお父さんが
いつもより何倍もテンションが高くなっちゃってさ~」
ふるふるとジャンヌが首を振る。
「ううん…………楽しかったよ……」
「なら、よかったよ。」
「……ん…………」
転移魔法を使うため、手に魔力を込める。
「じゃ、また学院で会おうね。」
「……さよなら………シャルロット………」
真っ白な光に包まれてジャンヌの
体が消えていき、彼女は転移した。
そして、家に帰ろうと夜道を歩いていると
突然強い魔力を感じ取る。
その時、私の足元に魔法陣が浮かび上がり
そこそこ大きめの規模の創造魔法が発動された。
すると、闘技場のような物が創造されていく。
すると、何処かで聞いたような下品な笑い声が聞こえてきた。
「ぎゃはははひひひひひひっ!!!」
「またおまえか……あれだけ殺したのに懲りないやつだな。」
「今度こそてめえをグッチャグチャにしてやるよ!!!
今度は手加減しねえ!ぶちのめしてやる!!!」
「不要だ」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」
ゼオズの体に赤雷が直撃する。
彼の悲鳴が闘技場に響く。
そして、出入り口から長髪の魔族が姿を現した。
眉間に皺を寄せた、なんとも神経質そうな面構えをしている。
そいつはゼオズの首を片手で掴み上げていた。
「あ、兄貴……お、俺が悪かった……。許してくれ。次は必ず……」
「恥知らずが」
ぐしゃり、と長髪の魔族がゼペスの顔面を握り潰す。
魔力の粒子がそこに集う。バチバチと黒雷が彼の全身を焦がす。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
一瞬にして、ゼオズが消し炭になった。
長髪の魔族はゴミのようにそれを捨てると、私のもとへ歩いてくる。
「弟が………世話になったな」
なるほど。アイツの兄か。
どうやら弟よりはマシなようだが、しかし気に入らないな。
「弟の仇討ち、というのなら良い台詞なんだけどな~」
「人間の雑魚ごときに後れを取るとは我が血族の恥だ。
この手で介錯してやったのがせめてもの情けである」
雑魚というのは私のことか?
私が雑魚ならおまえはその雑魚の子孫になるのだが
それでいいのだろうか?
兄弟喧嘩で、お前の母ちゃんでーべそという
滑稽さに通ずるものがあるな。
「兄弟は助け合うものだと思うが?何故殺した?」
「甘い奴だな。力があってこその魔王である」
やれやれ。どちらが甘いのか。
いくら弱いからといって、悪戯に殺す意味などないのだ。
弱い者には弱いなりに
強者には出来ず、弱者にしか出来ないことだって沢山ある。
弱者も使い方次第で強き者にも勝る輝きがあるというのに。
無駄に味方を減らす愚行を犯すようでは
神話の時代では生き残れないだろうな。
「どうやら貴様は力の意味を吐き違えているようだな」
「つまらぬ正義感だ。殺せばそれで済んだものを
わざわざ蘇生魔術という大魔法を使ってまで
ギブアップを宣言させるだけのことはある」
ほう。あいつもあの時の試合を見ていたのか?
そして、私は魔力を感知し振り返る。
・・・なるほど。あそこか。
闘技場の観戦席の三列目の席に
八十人ほど、黒い制服を着ている魔族たちがいる。
恐らくは制服を着ているのでアイツのクラスメイトであろうか?
創造魔法でこの闘技場を作ったのは、あの取り巻き達だろう。
全員、私に向けて魔雷の魔法陣を構えている。
「どうやら、ようやく立場を理解したか
貴様のような雑種以下………魔族の風上にもおけぬ
穢らわしい人間ごときが
我らが魔王の直系の王族を馬鹿にして
生きて家に帰れると思うなよ?」
「いや、何故くだらないことばかり気にするのだ?
あのような雑魚共は数にも入らんよ?
そんなもので脅して勝ち誇ってる
お前の方が実に滑稽で魔王の子孫として恥晒しだな~と思って。」
ピク、と男のこめかみが痙攣する。
「……なん、だと?」
「ああ、貴様を見ていると実にくだらなすぎて涙が出るわ。
魔王というのはな、世界最強の魔族にのみ与えられる称号だ。
誰よりも強いから勝手にそう呼ばれるだけのことなのだ。
それが純血とか?偉い立場だから魔王?
あははは。さっきから面白い冗談ばかり言うな?」
私の嘲笑に、長髪の魔族は不快そうに顔を歪める。
「特権階級を作るのは別に構わないぜ?
いつの時代にも、そういう連中はいるものだからな。
だがなあ?魔王はそういうもんじゃあないんだぜ?
魔王というのは神々であろうが誰が何が相手だろうと
ありとあらゆる全てを己の力でねじ伏せて
世界を支配し己の者とする最強の魔族のことだ。
その子孫が今はそれとは掛け離れたとも言える存在となるのとはな~?」
馬鹿にした物言いがかんに障ったか、長髪の魔族は殺気だった視線を飛ばす。
「今の言葉、我らが始祖の偉業を軽視する、
魔王様への批判と受け止めさせてもらう。
なればこそ、このゲオリオン・キンピラーが
貴様を直々に死刑に処すべきである」
「魔王本人が魔王のことを語ることが
なぜ私の偉業を軽視したことになるのだ?」
「……なに?」
「勘の悪い奴だな?私がその始祖本人だと言っているのだ。」
すると、ゲオリオンは憎悪をありありと目に浮かべて睨んできた。
「貴様。自分がなにを言っているか、わかっているのだろうな?」
「私が魔王だと事実を言っただけだが?」
すると、我慢の限界を超えたといったように
ゲオリオンは叫んだ。
「自らが始祖だと騙るその不敬な態度、万死に値するっっっ!!」
「わからないな~。お前の考えでは、転生した魔王は
自分が何者かわかっていないマヌケなアホだということになるのだが?」
「黙れっっっ!!!!
貴様こそ、皇族の直言を疑うとは、大罪であるぞ!!」
「お前の言っていることは全くもって意味不明だが
まあ、責めはしないさ。
出来の悪い子孫であろうと私は愛してやるぞ?」
「貴様っ!またしても皇族を愚弄するかっ!!」
そういうつもりではないのだが、面倒臭え奴だな。
「いいから、とっととかかってこい。
私が魔王だということを、今から貴様の体に教えてやるよ?」
挑発してやれば、すぐに飛びかかってくるかと思ったが
予想外にも奴は明後日の方向を見た。観客席だ。
「魔王様を批判をした者の末路がどうなるか
こいつに教えてやれっっっ!!」
ゲオリオンが言うと、観客席にいた魔族が全員
闘技場に飛び込んできた。
「今更遅い。自らの発言を後悔し、そして死ね」
ゲオリオンが指示すると
観客席に隠密の魔術で夜の暗闇に潜んで
こちらの様子を見物していた大勢の魔族が
続々と闘技場へ飛び降りてくる。
合計で百八十人といったところか。
「口は災いの元とはよく言ったものである」
「そうだな。お前が余計なことを言わなけりゃ
二百人近くも犠牲を出す必要はなかったんだからな~?」
百ハ十人の魔族が一斉に魔法陣を展開し
紫雷の魔法を放とうとする。
「くっくっくっ……あははははは!!!」
「なにがおかしい? あまりの恐怖に気が狂ったか」
「あははは!!!まだ気がつかないのか~?
その魔法陣をよ~く見てみろよ?」
途端に奴らははっとした。
全員が展開している魔法陣の文字にノイズが走り
自らの魔力が暴走しつつあることに気がついたのだろう。
私を取り囲んだ魔族たちが悲鳴に近い声を上げた。
「な、なんだ、これは……!? 魔力が勝手に!?」
「馬鹿な!?……魔法陣を展開した素振りすらなかったぞ……
こんな……やめろぉぉぉぉぉぉ!!」
「こいつ……百八十人の皇族に…同時に魔法を……!?」
「な、なにをしたぁっ? いったいなにをしたんだぁぁっ!?」
「ほらほら、魔王の直系だっていうなら
さっさと制御してみせろよ?でないと死ぬぞ?」
私を取り囲んでいた魔族たちの顔が真っ青になり
なんとか暴走していく自分の魔力を制御しようとする。
だが、間に合うわけがない。
「ぐわああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!???」
「ぎぃやああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!?」
「ぐわああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!」
瞬間、けたたましい轟音が響き、闘技場に降りてきた
百八十人が、まるで火をつけた火薬庫のように派手に爆発した。
爆発が収まり、煙が晴れるとそこに立っていたのは
ゲオリオンただ一人だけだった。
「貴様っっっ!!!!我々に一体何をしたのだ!!!」
「いや~?魔法陣に私の魔力をちょこっと混ぜただけだぜ?
そして、始祖の魔王の魔力に過剰反応を示してドカンッさ。
お前達、口では否定してても身体は正直だったんだな~?」
「なにをっっっ!!」
「お前らは馬鹿だからな~なぜ、そうなったなんか
説明しても理解出来ないだろう。」
すると、さっきまで騒がしく喚いていた
ゲオリオンが静かになったと思えば殺気が更に強くなり
魔力も先程とは見違える程増幅していく。
「・・・もういい、御託はいらぬ。
貴様はこの私がこの場で…必ず…殺さなければならないっっっ!!!」
「む……なんだその武器は?」
「ぐおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!」
ゲオリオンは突如、この時代のモノとは思えない
遥か未来の技術らしき禍々しい魔法銃を取り出したかと思えば
その光弾を自分に向けて発射した。
すると撃たれた胸に禍々しい魔法陣を自身に展開し
倒れていた百八十人の死骸を取り込みながら
竜人型の魔獣に変貌していく。
その姿は神話の時代の生物と酷似していた。
「ギギギギ・・・・ギサマヲ捻り潰す!!!」
「おいおい?理性完全に失くしちゃったか~?」
魔獣ゲオリオンはその圧倒的な体格差にモノ言わせて
掴みかかるが私は彼の両手を捕まえてる。
そしてそのまま魔獣ゲオリオンを持ち上げて
何度も地面に叩きつけながら放り投げた。
雄叫びをあげながら赤雷、紫雷、黒雷を撒き散らしながら
最上位雷魔法である破滅の黒紫色の神雷を放つ。
闘技場が跡形もなく崩壊し
着てる服などを含めて私以外の全てが木っ端微塵に吹き飛んだが
私だけは無傷のままであった。
「ギギギ!?厶ギズダダダトオオオッッッ!?」
「ギイイぃぃぃぃぃッッッッッッ!!!????」
激昂したゲオリオンは黒い魔力の粒子を口付近に集中させ
口から禍々しい光を放出させながら破壊光線を発射する。
「フッ……洒落臭せえ!!!」
私は拳を振るい、その光線を砕く。
そして砕けていく光線の中を突き進み
魔獣ゲオリオンの頭部に踵落としを決める。
「ギギギギギギギギッッッ!?!?!?」
そして私は踵落としをしたまま
魔獣ゲオリオンの頭を踏み台にして空高く飛び上がり飛翔する。
「これで終わりだ。」
上空に魔界の夜空を覆い尽くす程の大規模な
赤黒く禍々しい炎属性最上位の魔法陣を描き
漆黒の太陽を夜の魔界に顕現させる。
精霊の森を焼き尽くした神話として語り継がれた
その魔法は魔獣ゲオリオンに落とされた。
そして、ゲオリオンは自ら手を下した弟と同じように消し炭となったのである。
「やれやれ、実に愚かな子孫どもであった。」
「だがまあ、殺したままにしとくのは
目覚めが悪い。生き返らせるとするか。」
みんなが幸せになれる世界を実現させる為には
こんな奴らでも幸せにして救わないとならない。
こんなにも愚かで実に救いようのない奴らだが
こいつらにだって幸せになる権利ぐらいはあるからな。
【ダイナミックバースト・ノヴァ・イグニッション】
純白の機械神デウス・エクス・マキナを顕現させ
夜の魔界を九つの白い光の柱が照らす。
光の柱に包まれてシャルロットは神様としての姿に変わる。
そして尊厳な鐘の音を響き渡らせて
百八十人の魔族とゼオズとゲオリオンを
外見はそのままに歪んだ精神を正して
優しい心を持った魔族に転生させる。
「実に、愚かだったが愛しき我が子孫どもよ
この私がわざわざ第二の人生を与えてやったのだぞ?
せいぜい最期が消し炭にされない程度には
今度こそ、幸せになれよ。」
そして、私はそう言葉をかける。
そのまま気絶した彼らを放っておいたまま
服を創造して足早に我が家に帰宅するのであった。
その様子を影で見ていた怪しい蛙の魔人と悪魔と謎の男がいた。
「あーらら。またダメだったわ。
せっかく私がこの世界ぐらいなら簡単に滅ぼせる
神話の時代の不死屍人竜ってやつを参考にして
最高にイカしたタイラントゾンビドラゴンにデザインしてあげたのに
やっぱり素体があんな雑魚魔族じゃダメね。」
「まあ、いいわ隠し玉はまだまだいっぱいあるんだから……」
「ねえ?ティアナ・オメガ・ヘルディアロード様?」
そこには、赤黒い狐面をしていた謎の男性が立っていた。
狐面の男は白金の魔法陣を展開しそこからレーザーを照射し
無数の人型の何かを作り出していく。
「目覚めよ………私の右腕……」
そこには紫色のスーツを装着し
手には漆黒の杖や黒い魔剣やバールのようなものを手にしている。
同じ顔をした男性が大量に生み出された。
それは、シャルロットがかつて倒して
完全に消滅させたはずの男であった。
「「「はい………私は貴方の右腕です……。」」」
「創世の神、アルビオンを抹殺せよ………
無限に存在する未来世界最強の戦士……ジリオンよ!」
「「「イエス……ユア……クリエイティブマスター・オメガ」」」
魔界の平和な日常が崩れ落ちる足音が着実に近づいていたのであった………
0
あなたにおすすめの小説
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【リクエスト作品】邪神のしもべ 異世界での守護神に邪神を選びました…だって俺には凄く気高く綺麗に見えたから!
石のやっさん
ファンタジー
主人公の黒木瞳(男)は小さい頃に事故に遭い精神障害をおこす。
その障害は『美醜逆転』ではなく『美恐逆転』という物。
一般人から見て恐怖するものや、悍ましいものが美しく見え、美しいものが醜く見えるという物だった。
幼い頃には通院をしていたが、結局それは治らず…今では周りに言わずに、1人で抱えて生活していた。
そんな辛い日々の中教室が光り輝き、クラス全員が異世界転移に巻き込まれた。
白い空間に声が流れる。
『我が名はティオス…別世界に置いて創造神と呼ばれる存在である。お前達は、異世界ブリエールの者の召喚呪文によって呼ばれた者である』
話を聞けば、異世界に召喚された俺達に神々が祝福をくれると言う。
幾つもの神を見ていくなか、黒木は、誰もが近寄りさえしない女神に目がいった。
金髪の美しくまるで誰も彼女の魅力には敵わない。
そう言い切れるほど美しい存在…
彼女こそが邪神エグソーダス。
災いと不幸をもたらす女神だった。
今回の作品は『邪神』『美醜逆転』その二つのリクエストから書き始めました。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる