82 / 115
15話 ロリ魔王、決闘を受ける。
しおりを挟む
入学試験から一週間後
私達はフクロウが届けてきた
学校の制服に身を包み、学校へ足を向けた。
今日が初の登校日である。
多くの生徒たちが正門をくぐり、ぞくぞくと校内へ向かっていた。
よく見れば生徒が着ている制服は二種類あった。
私達姉妹に届いた制服の色は
同じかと思っていたがそれぞれ違う色の制服が届いた。
シャルロットとルミナが着ているのは白い制服だが
モルドレッドが着ているのは黒い制服である。
ティナには白の制服が届いたが
ローザ姉さんとゼロには黒の制服が届いたらしい。
白の制服を身につけている生徒も大勢いるが
黒の制服を身につけている者もいる。
ぱっと見では半々といった所で
白の制服が人間の血の方が濃い魔族で
黒の制服が魔王の血の方が濃い魔族…といった感じで分けられているらしい。
まあ、今の私は肉体が完全に滅んだせいで
始祖の魔王の原液となる血はほとんど無くなって
今の私に流れてる血液は神聖な神様の血だからな
逆に白の制服が神様らしい純潔さを表現されていて
私はこの制服を気に入ったぞ。
黒の制服は………デザインはカッコイイんだけど
黒に金に差し色が赤黒いカラーだから
色味が……あのドラ息子……オメガを思い出すから嫌だな~
それにどの制服も男女関係なく
おなかが丸見えになってるのが素晴らしいデザインしてるよね~。
美少女のおなかや男子の鍛え抜かれた腹筋は目の保養になるからな。
しかし妙に視線を感じるな。
私に気がついた白い制服の生徒の殆どが
興味深そうにこちらを見ている気がする。
入学試験のときはこんなことはなかったのだが
まあ、深く考えても仕方ないか。
なにかあるのなら、じきにわかるだろ
校内へ入ると、そこに大きな掲示板が出されていた。
新入生のクラス分けが載っている。
私達の名前は2組の欄にあった。
扉を開け、教室に入る。
机と椅子がずらりと並んでいて
中にいる生徒たちが一斉に私達を見た。
ふ~ん?やはり、注目を浴びている気がするな~
まあ、銀と金っていう目を引かれる綺麗な髪を靡かせながら
絶世の美少女姉妹が二人並んで歩いてるわけですし
そりゃ、注目もされるよね。
それとも、周りは16歳とかなのに私達だけ13歳の生徒だからかな?
もしくは入学試験で
カオス・チルドレンのダークホースとかなんとか
噂されてるかもしれないからね。
しかし、まあ、これから同じクラスで共に過ごすのだ。
あまりこういうことは慣れていないけど、
最初の挨拶が肝心とも聞く。
ここは一つ、気さくで面白れー女を印象づけておくとしよう。
満面の笑みを浮かべ、可能な限りの爽やかな声で、私は言った。
「ワーハッハッハ!!!みんな、おはよう!!!
我の名はシャルロット・レガリア!
世界を支配する邪悪な魔王である!
このクラスは我がすでに支配した!!
魔王に逆らう奴らは皆殺しなのだ~!」
という感じでインパクトを重視した冗談を言ってみた訳だが
心なしか、ドン引きといった空気が伝わってくるような気もするな?
もっと年相応な可愛くて幼い子供として振る舞う必要があったか?
相変わらず、こそこそとこちらを見ている視線の中に混ざって
物怖じしない堂々とした視線があった。
白い制服に身を包んだ白髪の少女、ジャンヌだった。
彼女の席まで歩いていく。
「よう!」
挨拶すると、ジャンヌは無機質な目を向けた。
「……おはよう……」
「隣、いいかな?」
「……ん……」
椅子を引き、ジャンヌの隣に座る。ついでに聞いてみようと思った。
「今の冗談、どうだった?」
ジャンヌは小首をかしげた。
「……冗談?」
「逆らう奴は皆殺しだってやつ」
まさか本気でそんなことを考えるわけがないからな。
流石に魔王ジョークだと分かってほしい。
「……誤解されると思う……」
ガッテムッッッ…………そうか。
これが時代の違いというやつだな。うん
決して、私のジョークがスベった訳ではない。断じて
「もう少しクラスに馴染んでからにした方がいいかな?」
「……ん……」
しかし、まだ視線を感じるな。
「さっきからずっと見られている気がするんだが、なにか知ってるか?」
「……噂になってる……」
「私達が?なんて?」
「…………怒らない……?」
「私はモル姉ちゃんと違って怒ったことはない方だから。」
「なんですって!?」
「ほら、また怒ったじゃーん。」
「アンタが怒らせるようなことを言うからでしょー!?」
「へいへいごめんごめん。
それで噂ってなんなの?」
入学試験からこれまでの一週間
魔王の始祖を発見させるやる気が感じられず
学院のてきとうな対応に違和感を感じて
不信感を募らせた私は
一匹の使い魔のフクロウの視界を乗っ取り
色々と学院内での情報を集めていた。
魔力0と判定されて魔力水晶が壊れた。
ステータスが表示されず全て白紙となった。
学院設立以来の初のイレギュラーが同時に多数発生した。
魔王の始祖が転生なされたことによる影響なのか
それとも故障しただけなのか
学院の教師どもはあれから色々と調べたらしい。
しかし、原因の特定は出来ず仕舞いだったらしい。
それらの出来事を考えると噂は魔王関連であろうな?
私が始祖かもしれないって噂かな?
「……………モルドレッドが魔王の始祖の生まれ変わりかもしれないって噂………
シャルロットは自称魔王の始祖を名乗る人間ってことになってる。」
オーマイゴッドガッテムッッッ!?
私は予想外の内容でズコーって転けてしまった。
「……結構、惜しい所だったけど……
何故、魔王の始祖本人である私じゃなくてお姉ちゃん?」
「……あ~、なるほど、だから私とお姉ちゃんで
制服の色が違ったわけか。
大体理解した。」
「………………この間、シャルロットの家に遊びに行った時に………
見かけた人達は、全員魔力0って判定された生徒と一致してた。
みんな、実技試験をすぐに突破していったけど
その中でもモルドレッドが圧倒的な魔力を示したから。」
「つまり、どういうことよ?」
「手加減し過ぎたせいで、私は魔王って思われなかったってことか?」
なんという失態だ……。
残虐性ではなく単純に魔法の破壊力とか
魔力のデカさとかで決められてたのか……魔王………。
魔王の適性をどう判断しているのかはわからないけど
少なくとも正真正銘の始祖を自称魔王呼ばわりとは
検査方法が間違っているとしか言いようがないな。
「でもそれなら、お姉ちゃんの噂って言うよね?
私達の噂………ってことは私もなんか噂されてんの?」
「……………シャルロット達は飛び級してきて
他より3年早く入学してきた期待の星だったから
元々、貴女達は注目されていたの……………
魔皇の娘かカオス・チルドレンかもしれないって」
「それで?それで?」
「そして、入学試験でシャルロットが見せた
神話の時代に失われた遺失魔法の一つである蘇生魔法。
モルドレッドと違って貴女は
魔力検査も適性検査の最後の質問も全て0点の問題児って扱われてるから
実力はあっても、魔王じゃないと判断された。
だから…………自称魔王……………。
貴女は…………規格外の力を見せたことによって
魔王ではないが入学時点で魔皇に近い実力者かもしれないって噂されてる。」
「ふーん」
「………あまり興味ない……………?」
「まあ、そうだね。私の興味を引く噂ではないな。」
そういえば…適性試験といえば……
ステータス表示された後、最後に色々と質問されたな
内容がどれもどうでもよすぎて忘れていた。
「魔力測定は私の魔力が大きすぎて計れなかったからわかるけど
適性検査は満点のはずなんだけどな~」
「……自信がある……?」
「当然よっ!」
なにせ始祖の名前を言えだの
始祖の気持ちを答えよだの、国語のテストかっ!
ってなるぐらいしょーもなく私についての質問ばかりだ。
万が一にも、間違えるはずがないはずなのだ。
いや、ちょっと待てよ?
「ねえ、ジャンヌ。始祖の名前って言える?」
ジャンヌは無表情のまま、目をぱちぱちと瞬かせた。
「……始祖の名前は、恐れ多くて呼んではならない……」
「そっか……じゃあ、私の名前は?」
「……シャルロット……」
「フルネームは?」
「シャルロット・レガリア」
うむ。………、なるほど。
「ちょっといいかな?」
私はジャンヌの頭に手をやった。
彼女は特に嫌がるわけでもなく、不思議そうに視線を向けてくる。
「どうしたの?」
「ちょっと始祖の名前を思い浮かべてほしいんだわ。」
「……ん……」
次の瞬間、ジャンヌの思念を読み取る。
名前が浮かび上がった。
破滅の魔王ティアナ・オメガ・ヘルディアロード
「えっと……誰………それ……?」
「おかしい?」
「この名前は間違いだと思うぜ~?」
ジャンヌは首を左右に振った。
「……これが正解だゆ………?
魔王の名前を間違える魔族はいないんだゆ……」
「始祖の名前は恐れ多くて口にしたらいけないんだっけ?」
ジャンヌはうなずく。
「なるほど」
・・・・・これ完全に私のせいだ………
二千年前、まだ定められた名を持たぬ
名も無き理外の虚空之神であった私は
神話の時代の時点でその特性から
真名が定められておらず
その時、その時で真名が常に変わり続ける性質を持っている。
始祖の魔王は真名は不変という理を滅ぼした魔王であり
魔王本人が名前を変えればそれが真名となり、真名も幾度となく変わる
つまり、当時の魔王の始祖の真の名前は
完全に過去のモノとされてしまい
本人も二千年前の名前を忘れてしまったせいで
現在の魔王の真名はシャルロット・レガリアとなっているが
魔王本人が当時の名前を忘れてしまったことにより
二千年前の始祖の魔王の真名に関する情報は
歴史から完全に抹消され
決して口に出してはならない名前とされ
魔王の真名を聞き取り、呟いた魔族は命が亡くなる禁断の名とされた。
仮に私が当時の真名を喋ったとしても
名も無き神の特性上、認識阻害が発動して
■■■■ちゃんとか……〇〇〇〇さんって認識がぼやけてノイズが走り
会話、音、文字、伝承にて過去の私の真名が認識できないようになっているのだ。
つまり
みんながみんな、恐れ多くて口にしないようにしていたおかげで
二千年たった現在でも認識出来ない始祖の名前を
正確に伝えられてる訳もなく
私がすっかり元の始祖の名前を忘れたことで
間違った名前が語り継がれたってわけか。
なんともまあ、自業自得でアホな話だ。
名前がこの調子では、適性検査の始祖の気持ちを答えよ
というのも正解自体が間違っていたとしか思えない。
私が寝ぼけて漆黒の太陽を精霊の森にぶっ放したことも
特に理由なく実験も兼ねていた好奇心で行使し
魔界を幾度も滅ぼしかけた
世界破壊級の魔術を使った件の真相も
神々に喧嘩を売って殺し尽くしたのも
この世界の神々は無機質であり
神の中でも最も力を持っていた創造主アルビオンと
かつて始祖の魔王の配下となっていた創造神と破壊神を除き
運命という糸により操られているとただの意志無き人形に過ぎず
この世界のありとあらゆる悲劇、理不尽の原因を辿れば
常に諸悪の根源は神々にあった。
だから、私の理想である
誰もが幸せになれる世界をつくる為には
この世界の神々の存在は邪魔に感じずにはいられなかった。
ただの機械人形である意志無き神々はこの世界には不要と断定した。
そして、私は神々を殺し尽くした。
それとは、別に
単純にアイツらの人間を心底見下している態度が気に入らなかったからだとか………
恐らく伝承が捻曲していて真実が伝わっていないに違いない。
「魔王の適性があるかどうかは、どうやって判断してるの?」
「暴虐の魔王の思考や感情に近い魔族ほど適性が高い」
なるほど。当時の私と今の私とでは
性格から言動、精神性から何から何まで
二千年の時を経たことで別人レベルで変わってしまっている。
それでは、適性が無いと判断されるのも無理もない。
これでは、たとえ私が魔王本人であると真実を語っても
自称魔王のレッテルを貼られるのも無理のない話だ。
私は魔王の名前すら知らないと判断されたのだから。
そうこう話してる内に、教師が教室に入ってきて
最初の授業が始まったのだが
私は睡眠の魔術でもかけられたのか
どの授業も睡魔に襲われて眠ってしまっていた。
ジャンヌやモルドレッド、あと………おそらく零か…?
いや、私が寝てるなら私より頻繁に眠っている
アイツも確実に寝ているだろうからないか…。
それじゃあ、ローザ姉かティナか…?判らないが
私の口から垂れた涎を拭いたり頭を撫でられたり
私を何度も起こそうとする三人の女の子の気配を感じたが
私は目を覚ますことはなかった。
そして、昼飯の時間が近づいてくるまで
4時間ぐらい机に突っ伏せて寝ていた時であろうか?
なにやら班を作ったりするだの
その班リーダーを決める為にそれぞれ立候補してくれだの
なにやら話してるのが聞こえた。
班のリーダーとやらに立候補するらしい
この後ある班同士で模擬戦を行う対抗戦で
班リーダーとなり魔皇の素質を見せる必要があるそうだ。
なんとも面倒くさそうな内容だ。私はパスだパス。
新米教師らしき魔族が黒板の前に立っていてなにやら話している。
その時に私は半目を開けながら
はじめてまともに教師の顔を認識した。
名前は…………たしか
エクシア・リペア・アミュレットさんだったか?
童顔でふんわりとした雰囲気をしていて
慌ただしいながらも生徒から可愛がられそうな
マスコットみたいな印象を受ける。
しかし、童顔ながらジャンヌに負けないぐらいデカさの乳袋………
そしてジャンヌ程ではないが
学院の大半の生徒を上回る魔力量が見て取れる。
「それでは班リーダーに立候補していない生徒の皆さんは
自分が良いと思ったリーダーのもとへ移動してくださ~い!
まだよく知らないでしょうから、第一印象で構いません。
班には人数制限がありませんので、大人数の班になることもあります。」
その言葉で生徒たちは立ち上がり、自らが良いと思った班リーダーのもとへ移動を始める。
「またいつでも班を変更することは可能です。
ただし、班リーダーは班員を班に入れるかどうか選ぶことができます。
また班員が一人もいなくなった場合、班リーダーは資格を失いますので気をつけてくださいね~」
リーダーとしての器量を試す仕組みというわけか。
「なあ、おい。どうする?」
「やっぱり、モルドレッド様の班だろ」
「そうね。彼女って言ったら、入学試験から話題が持ちきりで
新たなカオス・チルドレンとしても有望株よ。
彼女が転生した始祖に違いないって噂されてるもの」
「ええ、わたしも最近知ったけど、とんでもない魔力と魔法の持ち主よ」
「確かに、あのモルドレッド様のまるで女王様のような風格……
魔王として相応しい風格してたわね………」
「いやいや、待てよ!みんな!
アリス・ネクロノーム様を忘れていないか!
魔力検査で七十万の結果を残し
伝説の魔獣エターナル・フェニックスの衣をその身に纏う
その美しさはまさに女王様にして魔王様っ!
というか、モルドレッド様が現れるまでは
彼女こそが始祖の生まれ変わりって言っていたではないか!」
「そうだそうだ!」
「それにモルドレッド様よりアリス様の方が
乳だってずっとデカーーギャアアーーーッ!?!?」
「ちょっとまてえええい!!!
みんな、魔皇である
ルミナス・メモティック・フォールンナイト様を推さないなんて
ナンセンスだぜ!!!!」
「そうだ!そうだ!見よ、あの小動物のような
可愛らしい少女の姿をっ!」
「そうだぞ!魔皇なのに優しく、強いのに
恥ずかしがり屋なところもあって
最高にキュートで可憐なんだぞ!!」
「それに彼女は外界では世界最強の一人に数えられている
霹靂の神帝と同格と言われている六天魔皇の一人らしいではないか!」
「なあああああああにいいいいいい!?!」
「あんなに可愛いのにそんなに凄い女の子だったの!?」
「ギャップがすげええええ!!!!!」
「しかも、しかも、
世界三大事件と言われた大事件の解決に大きく貢献した魔皇で
帝国を襲った伝説の邪竜を打ち倒したり
世界で最も凶悪なテロリスト集団を
たった一日で壊滅させたことがあるって
三年前の新聞に載ってるのを見たことがあるわ!」
「あーー!!!おれ!その新聞のルミナ様の写っている箇所を
切り取って家宝として家に飾ってるぜ!」
「なああああああにいいいいい!?羨ましいぞ貴様っ!」
「みんな!モルドレッド様が班リーダーに立候補されたぞー!?」
「な……なんだってーーー!?」
「俺もモルドレッド様の班に入る!!」
「私も!私も入れてーーー!!」
ふむ。お姉ちゃんは人気者だな~私と違って。
生徒の大半はモルドレッドのもとへ移動している。
隣にいたジャンヌが立ち上がる。
一瞬、モルドレッドの方へ視線をやり、次に無表情のまま私を見た。
「お姉ちゃんの班へ行きたいなら、行っていいんだぞ?」
ふるふるとジャンヌは首を振った。
「………アナタの班がいい……」
「そう?」
「……ん……」
「おお~それは助かるな~」
ほんの少し照れたようにジャンヌは言う。
「シャルロットは…………友達だから……」
「そうだね。」
しかし、これでようやく班員が一人か。
これで一応班としては成立するのだが、さて、どうしたものか。
班員を集めるぐらいなら支配の魔法を使えばどうとでもなるのだが
それでは面白味もないことだしどうしたものか。
などと考えていると、人混みをかき分けて
黒服の女生徒二人がこちらへ向かってくる。
たしか………えっと……だれだったっけ?
有象無象の一人一人を覚えてる訳がなく思い出せずにいると
「貴女は班員はまだ一人なのかしら?
よりにもよってその一人が
ネクロノーム家の出来損ないさんなんてかわいそうに。」
ネクロノームという名前を冠した魔族は
この魔界にいまだに現在まで存在している
始祖の魔王の配下にして生きた伝説と言われている
神話の時代の魔族
魔死靈屍王デッドキング・ネクロマ・ネクロムノームの
子孫だとか家系の人だとか
生徒どものざわざわした会話で聞こえたな。
「あなた、まだ班員が一人しかいないのね。
それも、そんな出来損ないさんを班に入れるなんて
どうかしてるんじゃないかしら?」
うん。いきなり因縁をつけてくるとは頭のおかしな女達だな。
「出来損ないというのは、ジャンヌのことか?」
「それ以外にあるのかしら?」
ふふっと嘲笑うかのように黒服の少女は私を見下してくる。
「知ってる?その子ね、魔族じゃないのよ。
でも、人間としても不完全な存在なのよ。
魔界に生まれながら、魔王の血筋のくせに
勇者の力を持ちながら救世の聖女として選ばれた。
人間味もなければ、意志も希薄。
月の女神や天使に近い精神を持っている。
魔族としては出来損ないもいいところよ」
「ふーん。それがどうかした?」
「……どうしたって……!?」
「魔族なのに魔と対極の力を持っていると
どれだけ力を持っていても出来損ないと考えるとは……
…実にアホだな~、その両目の魔眼はお飾りか?」
なんならその始祖の魔王本人は
創世の神が転生して生まれ変わってきた存在だし
元を辿れば人間も魔族も全員神の子である。
現在はほとんど魔族の血液が薄れて
肉体も滅び、神様そのものとなったとしても
始祖の魔王としての魔剣や魔力や力を失ったわけでもない。
救世の聖女という聖女としてはトップクラスの力と
勇者の力を持っていたのは驚いたが
まあ、些細なことだろう。
ジャンヌが何者であろうと我の友達である事実は変わらない。
もう一人、黒い制服の少女がこちらに歩いてきた。
ジャンヌやモルドレッドに似ている
金髪のツインテールに蒼い瞳の少女だ。
たしか、入学試験でも登場しただけで
大勢の生徒たちをざわつかせていた。
アルファベットがAだったから出会うことはなかったが
魔力検査の結果もたしか…七十万だったか……
フクロウの視界を乗っ取った時に見かけた。
中々の魔力を持っていたやつだったから覚えてる。
なんだったかな……たしかかなり見覚えのある名前だったような…?
そう思ってるのを察したのかジャンヌが耳打ちしてきた。
「アリス・ネクロノーム」
ん?ジャンヌと同じ名前だな?
よく見てみれば双子なのだろうか非常にジャンヌと似ている
あれが、仲がいいのかよく分からないこと言ってたお姉ちゃんか
乳の大きさはかなりデカイ
ジャンヌが極上の上なら金髪の少女は上の中程度だが
かなり豊満な乳袋を持っている。羨ましい。
「その子の言うとおりよ。
それに、私の前で妹を侮辱して…許されると思ってるのかしら?」
金髪の少女の蒼い瞳が赤く染まり破壊神の紋章が浮かび上がる。
教室の外壁がヒビ割れ彼女の魔力が増大していくのを感じる。
彼女の制服が魔力の粒子となり消え去ったかと思えば
赤い炎に包まれて
かなり露出度が高めで半分…いや…ほとんど、裸のようだが
神話の時代の不死の魔獣フェニックスの紅い魔力装甲を装着していた。
手にはフェニックスの羽を模したような
凄まじい魔力を宿している炎の大剣が握られている。
神話の時代に存在していた正真正銘、本物の魔剣である。
「そこの白服のチビ、手を貸しなさい?」
「まあ、いいよ?私の友達を馬鹿にされて
少々、我、不愉快だったからな。」
「いくらアリス様といえど」
「こんな出来損ないと白服のガキに
ここまで皇族をコケにされて黙っているわけには参りませんっっ!」
そして、口論が激化していくにつれて
頭に血が登ってきた二人の魔族は魔法陣を展開して
魔雷の魔法と魔炎の魔法を放ってきたが
ゼオズにすら劣る貧相な魔力によって撃ち出された魔法など痛くも痒くもない。
当然それを受けたアリスと私は無傷である。
「この程度の魔法で私達に傷を負わせられると思ったのかしら?」
「くっ!覚えてなさい!」
悔しそうな顔を浮かべなからその二人の魔族は席に戻っていった。
そして、なにやら遠巻きに見ていた白服の生徒達がざわついている。
「えっーーーー!?
黒服のアリス様が白服の生徒と共闘してたよ!?」
「どういうことだよ?魔法が直撃したのに
アリス様はともかく、シャルロットちゃんも無傷だったぞ?
あいつは白服で、しかも魔力を持たない人間のはずだろ……?」
「いやいや、この学院に飛び級で入学してきた子だぜ?
あれで魔力0とかあり得ないでしょうよ!
学院側がなにか手違いとかあって間違ったんだよ!」
ふむ。教室がなにやら騒々しいな。
「……実は、箝口令が敷かれているから
ここだけの話なんだが、俺は入学試験のあった日の夜に見たんだ。
シャルロットちゃんが二百人の皇族に囲まれたけど
皇族たちとあのゲオリオン様を
魔王が精霊の森を焼き尽くした時に使われた
最上位魔法の漆黒の太陽を出して瞬殺するところを
しかもしかもゲオリオン様の最上位雷魔法が直撃したのに無傷だったんだぜ……!?全裸になったけど……!」
「ええっ……!? あの、ゲオリオン様を……瞬殺っ!?」
「その前に入学試験でゼオズも軽く殺していた」
「殺したって? 本気で? 殺したのっ!?」
「ああ、その後、生き返らせたんだ」
「生き返らせたっ!?」
「それでまた殺したんだ」
「また殺した……」
「そ、そんなことが」
「……あれ? でも、あたし、入学試験の日の後も
ゲオリオン様を見た気がするけど……」
「でも入学試験の人からあれから一部の魔皇族の人達と
キンピラー兄弟は以前の傍若無人な彼らとは
別人のようになっているって噂を聞いたことがあるわ!」
「結局、あの後シャルロットちゃんが
皇族達を生き返らせたんだ……
まるでアリス様のフェニックスの魔力装甲みたいな………
なんか凄く神々しさを感じる半裸みたいな姿になって」
「なにがなんだか、わからないわ……」
私とアリスは黒服の魔族どもをかき分けて
お姉ちゃんの班に行く。
「よっ!私と違って人気者だね~お姉ちゃん」
「シャルロット……さっきの人達がごめんね
あんなやつらはこっちから願い下げってことで
班から除名してやったわ」
「そんな奴らはどうでもよくてさあ
ところで、お姉ちゃんも私の班に入らない?」
思いもよらない台詞だったのか
彼女は目を大きく見開き、絶句したのだった。
「……な、なにを言っているのよ!?意味がわからないわ……」
「なにがわからないのだ?お姉ちゃんよ?」
「わたしは、班リーダーなのよ!?」
「ならその班リーダーをやめればいいじゃないのよ?」
「はあっ!?」
アリスという少女の提案に
モルドレッドは口を開き、呆れたように私を見てくる。
「アリス……さんでしたっけ?
馬鹿を言わないことね。それにもう立候補しちゃったわよ
こんなに班員も集まってきちゃったし……
今更わたしが班リーダーを辞める理由はないわ」
「そうだねえ……私の班に入れば…いい事沢山あるぞ?
例えば、真っ先に学院最強の生徒になれるし
なにより、この可愛い妹とより親密に仲良くできるぞ?」
「私は……あんたに頼らずに私だけの力で
どこまでやれるか試してみたいの!
神様とはいえ、そういうお節介はしなくていいの!」
モルドレッドは自席へ戻っていった。
「やれやれ、まあそこまで言うなら見届けてみますか。」
「あら?意外ね?貴女なら無理矢理にでも
班員にすると思ってたのに…?」
「あはははっ」
ん?初対面のくせにやけに馴れ馴れしいし詳しいな?
「アンタに命じるわ!私をアンタの班に入れなさい!」
「………まあ、いいよ
なんで入りたいのかは聞かないでおくか。
姉妹仲良く同じ班に入ってくれるのは嬉しいからな。」
そこで仕切り直すように、手を叩く音が聞こえた。
「はいは~い。それじゃあ~
班が決まったみたいだから、説明を進めますよ~。
みんな、席に戻ってくださ~い」
エクシア先生の声で生徒たちは自席に戻っていく。
そして、色々と魔法の授業の話をしているのだが
新米教師らしく、慣れないこともあり
先生は問題児の私や居眠りしている我が半身に
悪戦苦闘しながらも授業を進めていた。
授業中にはたまに間違っていることを堂々と説明する始末だ。
とはいえ、いちいち指摘してはきりがないので
スルーしておくことにした。
退屈な授業にだんだんと眠気を感じ、気がつけば、
私はうつらうつらと微睡んでいたのだった。
ぼんやりとした意識の中、午前の授業終了の鐘が鳴る。
「ジャンヌ」
刺々しい声が耳を撫でる。アリスのものだ。
「………それに伝えておいてくれるかしら?」
それ、というのは私のことか?
「……起こす……?」
「別に起こさなくてもいいわ」
すぐに用件を切り出すと思ったのだが
なぜか無言が続いている。
「ねえ。それは……貴女にとって…… なに?」
一拍おいて、ジャンヌが言う。
「……友達……」
「そっか。楽しいのかしら?」
「……うん…………」
「あ、そ。ふーん。よかったわね?
あんたにもはじめて友達が……出来て?」
アリスの言葉は刺々しいのだが
どことなく嬉しそうにも思えた。
なんだ、案外二人とも仲良しじゃないか。
それにしてもモルドレッドお姉ちゃんの態度が気になる。
実に思春期らしい言動だが
妹の前では素直になれないツンデレで
そういうお年頃ってだけなんだろうか?
とか思いながら私は眠りについていく。
それぞれ各々既にある程度の人数が集まって、班を作っており
その中で班の中の生徒が一人ずつ立ち上がった。
立候補した生徒は4人いて
班リーダーとして立候補したのは全員黒の制服の生徒であり
その中にはローザ姉さんとモルドレッドの姿がいた。
いつの間にか決まっていたらしい
私達の班は私が寝てる間に、班のリーダーにされていたらしい。
私、ジャンヌ、アリス、ティナの四人で
少し離れた席にあるモルちゃんの班は
ルミナに久遠零とローザ姉さんと………
黒の制服のクラスメイト三十人ほどか……?
どうやら、シャルロット班とモルドレッドの班で対抗戦が行われるらしい。
あと、寝ている時になにやらモルドレッド班の
黒服の男子生徒たちが
先程、ジャンヌに言ってきた女子生徒のように
私のことを馬鹿にしてた発言をした。らしい
それに怒った我が愛弟子が
勝手にモルドレッドの班に決闘を申し込んで
私達が勝ったら、モル姉とローザと零が
私達の班に入るようにすることになったらしい。
ちなみに私達が負けたら班員全員
アリスの班に入ることを約束してしまったらしい。
「う~すみません師匠……勝手に色々と決めてしまって」
「いや、いいよ。どうせ私がリーダーとして立候補してただろうし
それに、私に勝負を挑んだ時点で私達の勝利は約束されたようなもんだ。
安心して、あいつらケチョンケチョンにして
みんなをこの班に入れようぜ。」
そして、数日後、対抗戦当日となった。
私達はフクロウが届けてきた
学校の制服に身を包み、学校へ足を向けた。
今日が初の登校日である。
多くの生徒たちが正門をくぐり、ぞくぞくと校内へ向かっていた。
よく見れば生徒が着ている制服は二種類あった。
私達姉妹に届いた制服の色は
同じかと思っていたがそれぞれ違う色の制服が届いた。
シャルロットとルミナが着ているのは白い制服だが
モルドレッドが着ているのは黒い制服である。
ティナには白の制服が届いたが
ローザ姉さんとゼロには黒の制服が届いたらしい。
白の制服を身につけている生徒も大勢いるが
黒の制服を身につけている者もいる。
ぱっと見では半々といった所で
白の制服が人間の血の方が濃い魔族で
黒の制服が魔王の血の方が濃い魔族…といった感じで分けられているらしい。
まあ、今の私は肉体が完全に滅んだせいで
始祖の魔王の原液となる血はほとんど無くなって
今の私に流れてる血液は神聖な神様の血だからな
逆に白の制服が神様らしい純潔さを表現されていて
私はこの制服を気に入ったぞ。
黒の制服は………デザインはカッコイイんだけど
黒に金に差し色が赤黒いカラーだから
色味が……あのドラ息子……オメガを思い出すから嫌だな~
それにどの制服も男女関係なく
おなかが丸見えになってるのが素晴らしいデザインしてるよね~。
美少女のおなかや男子の鍛え抜かれた腹筋は目の保養になるからな。
しかし妙に視線を感じるな。
私に気がついた白い制服の生徒の殆どが
興味深そうにこちらを見ている気がする。
入学試験のときはこんなことはなかったのだが
まあ、深く考えても仕方ないか。
なにかあるのなら、じきにわかるだろ
校内へ入ると、そこに大きな掲示板が出されていた。
新入生のクラス分けが載っている。
私達の名前は2組の欄にあった。
扉を開け、教室に入る。
机と椅子がずらりと並んでいて
中にいる生徒たちが一斉に私達を見た。
ふ~ん?やはり、注目を浴びている気がするな~
まあ、銀と金っていう目を引かれる綺麗な髪を靡かせながら
絶世の美少女姉妹が二人並んで歩いてるわけですし
そりゃ、注目もされるよね。
それとも、周りは16歳とかなのに私達だけ13歳の生徒だからかな?
もしくは入学試験で
カオス・チルドレンのダークホースとかなんとか
噂されてるかもしれないからね。
しかし、まあ、これから同じクラスで共に過ごすのだ。
あまりこういうことは慣れていないけど、
最初の挨拶が肝心とも聞く。
ここは一つ、気さくで面白れー女を印象づけておくとしよう。
満面の笑みを浮かべ、可能な限りの爽やかな声で、私は言った。
「ワーハッハッハ!!!みんな、おはよう!!!
我の名はシャルロット・レガリア!
世界を支配する邪悪な魔王である!
このクラスは我がすでに支配した!!
魔王に逆らう奴らは皆殺しなのだ~!」
という感じでインパクトを重視した冗談を言ってみた訳だが
心なしか、ドン引きといった空気が伝わってくるような気もするな?
もっと年相応な可愛くて幼い子供として振る舞う必要があったか?
相変わらず、こそこそとこちらを見ている視線の中に混ざって
物怖じしない堂々とした視線があった。
白い制服に身を包んだ白髪の少女、ジャンヌだった。
彼女の席まで歩いていく。
「よう!」
挨拶すると、ジャンヌは無機質な目を向けた。
「……おはよう……」
「隣、いいかな?」
「……ん……」
椅子を引き、ジャンヌの隣に座る。ついでに聞いてみようと思った。
「今の冗談、どうだった?」
ジャンヌは小首をかしげた。
「……冗談?」
「逆らう奴は皆殺しだってやつ」
まさか本気でそんなことを考えるわけがないからな。
流石に魔王ジョークだと分かってほしい。
「……誤解されると思う……」
ガッテムッッッ…………そうか。
これが時代の違いというやつだな。うん
決して、私のジョークがスベった訳ではない。断じて
「もう少しクラスに馴染んでからにした方がいいかな?」
「……ん……」
しかし、まだ視線を感じるな。
「さっきからずっと見られている気がするんだが、なにか知ってるか?」
「……噂になってる……」
「私達が?なんて?」
「…………怒らない……?」
「私はモル姉ちゃんと違って怒ったことはない方だから。」
「なんですって!?」
「ほら、また怒ったじゃーん。」
「アンタが怒らせるようなことを言うからでしょー!?」
「へいへいごめんごめん。
それで噂ってなんなの?」
入学試験からこれまでの一週間
魔王の始祖を発見させるやる気が感じられず
学院のてきとうな対応に違和感を感じて
不信感を募らせた私は
一匹の使い魔のフクロウの視界を乗っ取り
色々と学院内での情報を集めていた。
魔力0と判定されて魔力水晶が壊れた。
ステータスが表示されず全て白紙となった。
学院設立以来の初のイレギュラーが同時に多数発生した。
魔王の始祖が転生なされたことによる影響なのか
それとも故障しただけなのか
学院の教師どもはあれから色々と調べたらしい。
しかし、原因の特定は出来ず仕舞いだったらしい。
それらの出来事を考えると噂は魔王関連であろうな?
私が始祖かもしれないって噂かな?
「……………モルドレッドが魔王の始祖の生まれ変わりかもしれないって噂………
シャルロットは自称魔王の始祖を名乗る人間ってことになってる。」
オーマイゴッドガッテムッッッ!?
私は予想外の内容でズコーって転けてしまった。
「……結構、惜しい所だったけど……
何故、魔王の始祖本人である私じゃなくてお姉ちゃん?」
「……あ~、なるほど、だから私とお姉ちゃんで
制服の色が違ったわけか。
大体理解した。」
「………………この間、シャルロットの家に遊びに行った時に………
見かけた人達は、全員魔力0って判定された生徒と一致してた。
みんな、実技試験をすぐに突破していったけど
その中でもモルドレッドが圧倒的な魔力を示したから。」
「つまり、どういうことよ?」
「手加減し過ぎたせいで、私は魔王って思われなかったってことか?」
なんという失態だ……。
残虐性ではなく単純に魔法の破壊力とか
魔力のデカさとかで決められてたのか……魔王………。
魔王の適性をどう判断しているのかはわからないけど
少なくとも正真正銘の始祖を自称魔王呼ばわりとは
検査方法が間違っているとしか言いようがないな。
「でもそれなら、お姉ちゃんの噂って言うよね?
私達の噂………ってことは私もなんか噂されてんの?」
「……………シャルロット達は飛び級してきて
他より3年早く入学してきた期待の星だったから
元々、貴女達は注目されていたの……………
魔皇の娘かカオス・チルドレンかもしれないって」
「それで?それで?」
「そして、入学試験でシャルロットが見せた
神話の時代に失われた遺失魔法の一つである蘇生魔法。
モルドレッドと違って貴女は
魔力検査も適性検査の最後の質問も全て0点の問題児って扱われてるから
実力はあっても、魔王じゃないと判断された。
だから…………自称魔王……………。
貴女は…………規格外の力を見せたことによって
魔王ではないが入学時点で魔皇に近い実力者かもしれないって噂されてる。」
「ふーん」
「………あまり興味ない……………?」
「まあ、そうだね。私の興味を引く噂ではないな。」
そういえば…適性試験といえば……
ステータス表示された後、最後に色々と質問されたな
内容がどれもどうでもよすぎて忘れていた。
「魔力測定は私の魔力が大きすぎて計れなかったからわかるけど
適性検査は満点のはずなんだけどな~」
「……自信がある……?」
「当然よっ!」
なにせ始祖の名前を言えだの
始祖の気持ちを答えよだの、国語のテストかっ!
ってなるぐらいしょーもなく私についての質問ばかりだ。
万が一にも、間違えるはずがないはずなのだ。
いや、ちょっと待てよ?
「ねえ、ジャンヌ。始祖の名前って言える?」
ジャンヌは無表情のまま、目をぱちぱちと瞬かせた。
「……始祖の名前は、恐れ多くて呼んではならない……」
「そっか……じゃあ、私の名前は?」
「……シャルロット……」
「フルネームは?」
「シャルロット・レガリア」
うむ。………、なるほど。
「ちょっといいかな?」
私はジャンヌの頭に手をやった。
彼女は特に嫌がるわけでもなく、不思議そうに視線を向けてくる。
「どうしたの?」
「ちょっと始祖の名前を思い浮かべてほしいんだわ。」
「……ん……」
次の瞬間、ジャンヌの思念を読み取る。
名前が浮かび上がった。
破滅の魔王ティアナ・オメガ・ヘルディアロード
「えっと……誰………それ……?」
「おかしい?」
「この名前は間違いだと思うぜ~?」
ジャンヌは首を左右に振った。
「……これが正解だゆ………?
魔王の名前を間違える魔族はいないんだゆ……」
「始祖の名前は恐れ多くて口にしたらいけないんだっけ?」
ジャンヌはうなずく。
「なるほど」
・・・・・これ完全に私のせいだ………
二千年前、まだ定められた名を持たぬ
名も無き理外の虚空之神であった私は
神話の時代の時点でその特性から
真名が定められておらず
その時、その時で真名が常に変わり続ける性質を持っている。
始祖の魔王は真名は不変という理を滅ぼした魔王であり
魔王本人が名前を変えればそれが真名となり、真名も幾度となく変わる
つまり、当時の魔王の始祖の真の名前は
完全に過去のモノとされてしまい
本人も二千年前の名前を忘れてしまったせいで
現在の魔王の真名はシャルロット・レガリアとなっているが
魔王本人が当時の名前を忘れてしまったことにより
二千年前の始祖の魔王の真名に関する情報は
歴史から完全に抹消され
決して口に出してはならない名前とされ
魔王の真名を聞き取り、呟いた魔族は命が亡くなる禁断の名とされた。
仮に私が当時の真名を喋ったとしても
名も無き神の特性上、認識阻害が発動して
■■■■ちゃんとか……〇〇〇〇さんって認識がぼやけてノイズが走り
会話、音、文字、伝承にて過去の私の真名が認識できないようになっているのだ。
つまり
みんながみんな、恐れ多くて口にしないようにしていたおかげで
二千年たった現在でも認識出来ない始祖の名前を
正確に伝えられてる訳もなく
私がすっかり元の始祖の名前を忘れたことで
間違った名前が語り継がれたってわけか。
なんともまあ、自業自得でアホな話だ。
名前がこの調子では、適性検査の始祖の気持ちを答えよ
というのも正解自体が間違っていたとしか思えない。
私が寝ぼけて漆黒の太陽を精霊の森にぶっ放したことも
特に理由なく実験も兼ねていた好奇心で行使し
魔界を幾度も滅ぼしかけた
世界破壊級の魔術を使った件の真相も
神々に喧嘩を売って殺し尽くしたのも
この世界の神々は無機質であり
神の中でも最も力を持っていた創造主アルビオンと
かつて始祖の魔王の配下となっていた創造神と破壊神を除き
運命という糸により操られているとただの意志無き人形に過ぎず
この世界のありとあらゆる悲劇、理不尽の原因を辿れば
常に諸悪の根源は神々にあった。
だから、私の理想である
誰もが幸せになれる世界をつくる為には
この世界の神々の存在は邪魔に感じずにはいられなかった。
ただの機械人形である意志無き神々はこの世界には不要と断定した。
そして、私は神々を殺し尽くした。
それとは、別に
単純にアイツらの人間を心底見下している態度が気に入らなかったからだとか………
恐らく伝承が捻曲していて真実が伝わっていないに違いない。
「魔王の適性があるかどうかは、どうやって判断してるの?」
「暴虐の魔王の思考や感情に近い魔族ほど適性が高い」
なるほど。当時の私と今の私とでは
性格から言動、精神性から何から何まで
二千年の時を経たことで別人レベルで変わってしまっている。
それでは、適性が無いと判断されるのも無理もない。
これでは、たとえ私が魔王本人であると真実を語っても
自称魔王のレッテルを貼られるのも無理のない話だ。
私は魔王の名前すら知らないと判断されたのだから。
そうこう話してる内に、教師が教室に入ってきて
最初の授業が始まったのだが
私は睡眠の魔術でもかけられたのか
どの授業も睡魔に襲われて眠ってしまっていた。
ジャンヌやモルドレッド、あと………おそらく零か…?
いや、私が寝てるなら私より頻繁に眠っている
アイツも確実に寝ているだろうからないか…。
それじゃあ、ローザ姉かティナか…?判らないが
私の口から垂れた涎を拭いたり頭を撫でられたり
私を何度も起こそうとする三人の女の子の気配を感じたが
私は目を覚ますことはなかった。
そして、昼飯の時間が近づいてくるまで
4時間ぐらい机に突っ伏せて寝ていた時であろうか?
なにやら班を作ったりするだの
その班リーダーを決める為にそれぞれ立候補してくれだの
なにやら話してるのが聞こえた。
班のリーダーとやらに立候補するらしい
この後ある班同士で模擬戦を行う対抗戦で
班リーダーとなり魔皇の素質を見せる必要があるそうだ。
なんとも面倒くさそうな内容だ。私はパスだパス。
新米教師らしき魔族が黒板の前に立っていてなにやら話している。
その時に私は半目を開けながら
はじめてまともに教師の顔を認識した。
名前は…………たしか
エクシア・リペア・アミュレットさんだったか?
童顔でふんわりとした雰囲気をしていて
慌ただしいながらも生徒から可愛がられそうな
マスコットみたいな印象を受ける。
しかし、童顔ながらジャンヌに負けないぐらいデカさの乳袋………
そしてジャンヌ程ではないが
学院の大半の生徒を上回る魔力量が見て取れる。
「それでは班リーダーに立候補していない生徒の皆さんは
自分が良いと思ったリーダーのもとへ移動してくださ~い!
まだよく知らないでしょうから、第一印象で構いません。
班には人数制限がありませんので、大人数の班になることもあります。」
その言葉で生徒たちは立ち上がり、自らが良いと思った班リーダーのもとへ移動を始める。
「またいつでも班を変更することは可能です。
ただし、班リーダーは班員を班に入れるかどうか選ぶことができます。
また班員が一人もいなくなった場合、班リーダーは資格を失いますので気をつけてくださいね~」
リーダーとしての器量を試す仕組みというわけか。
「なあ、おい。どうする?」
「やっぱり、モルドレッド様の班だろ」
「そうね。彼女って言ったら、入学試験から話題が持ちきりで
新たなカオス・チルドレンとしても有望株よ。
彼女が転生した始祖に違いないって噂されてるもの」
「ええ、わたしも最近知ったけど、とんでもない魔力と魔法の持ち主よ」
「確かに、あのモルドレッド様のまるで女王様のような風格……
魔王として相応しい風格してたわね………」
「いやいや、待てよ!みんな!
アリス・ネクロノーム様を忘れていないか!
魔力検査で七十万の結果を残し
伝説の魔獣エターナル・フェニックスの衣をその身に纏う
その美しさはまさに女王様にして魔王様っ!
というか、モルドレッド様が現れるまでは
彼女こそが始祖の生まれ変わりって言っていたではないか!」
「そうだそうだ!」
「それにモルドレッド様よりアリス様の方が
乳だってずっとデカーーギャアアーーーッ!?!?」
「ちょっとまてえええい!!!
みんな、魔皇である
ルミナス・メモティック・フォールンナイト様を推さないなんて
ナンセンスだぜ!!!!」
「そうだ!そうだ!見よ、あの小動物のような
可愛らしい少女の姿をっ!」
「そうだぞ!魔皇なのに優しく、強いのに
恥ずかしがり屋なところもあって
最高にキュートで可憐なんだぞ!!」
「それに彼女は外界では世界最強の一人に数えられている
霹靂の神帝と同格と言われている六天魔皇の一人らしいではないか!」
「なあああああああにいいいいいい!?!」
「あんなに可愛いのにそんなに凄い女の子だったの!?」
「ギャップがすげええええ!!!!!」
「しかも、しかも、
世界三大事件と言われた大事件の解決に大きく貢献した魔皇で
帝国を襲った伝説の邪竜を打ち倒したり
世界で最も凶悪なテロリスト集団を
たった一日で壊滅させたことがあるって
三年前の新聞に載ってるのを見たことがあるわ!」
「あーー!!!おれ!その新聞のルミナ様の写っている箇所を
切り取って家宝として家に飾ってるぜ!」
「なああああああにいいいいい!?羨ましいぞ貴様っ!」
「みんな!モルドレッド様が班リーダーに立候補されたぞー!?」
「な……なんだってーーー!?」
「俺もモルドレッド様の班に入る!!」
「私も!私も入れてーーー!!」
ふむ。お姉ちゃんは人気者だな~私と違って。
生徒の大半はモルドレッドのもとへ移動している。
隣にいたジャンヌが立ち上がる。
一瞬、モルドレッドの方へ視線をやり、次に無表情のまま私を見た。
「お姉ちゃんの班へ行きたいなら、行っていいんだぞ?」
ふるふるとジャンヌは首を振った。
「………アナタの班がいい……」
「そう?」
「……ん……」
「おお~それは助かるな~」
ほんの少し照れたようにジャンヌは言う。
「シャルロットは…………友達だから……」
「そうだね。」
しかし、これでようやく班員が一人か。
これで一応班としては成立するのだが、さて、どうしたものか。
班員を集めるぐらいなら支配の魔法を使えばどうとでもなるのだが
それでは面白味もないことだしどうしたものか。
などと考えていると、人混みをかき分けて
黒服の女生徒二人がこちらへ向かってくる。
たしか………えっと……だれだったっけ?
有象無象の一人一人を覚えてる訳がなく思い出せずにいると
「貴女は班員はまだ一人なのかしら?
よりにもよってその一人が
ネクロノーム家の出来損ないさんなんてかわいそうに。」
ネクロノームという名前を冠した魔族は
この魔界にいまだに現在まで存在している
始祖の魔王の配下にして生きた伝説と言われている
神話の時代の魔族
魔死靈屍王デッドキング・ネクロマ・ネクロムノームの
子孫だとか家系の人だとか
生徒どものざわざわした会話で聞こえたな。
「あなた、まだ班員が一人しかいないのね。
それも、そんな出来損ないさんを班に入れるなんて
どうかしてるんじゃないかしら?」
うん。いきなり因縁をつけてくるとは頭のおかしな女達だな。
「出来損ないというのは、ジャンヌのことか?」
「それ以外にあるのかしら?」
ふふっと嘲笑うかのように黒服の少女は私を見下してくる。
「知ってる?その子ね、魔族じゃないのよ。
でも、人間としても不完全な存在なのよ。
魔界に生まれながら、魔王の血筋のくせに
勇者の力を持ちながら救世の聖女として選ばれた。
人間味もなければ、意志も希薄。
月の女神や天使に近い精神を持っている。
魔族としては出来損ないもいいところよ」
「ふーん。それがどうかした?」
「……どうしたって……!?」
「魔族なのに魔と対極の力を持っていると
どれだけ力を持っていても出来損ないと考えるとは……
…実にアホだな~、その両目の魔眼はお飾りか?」
なんならその始祖の魔王本人は
創世の神が転生して生まれ変わってきた存在だし
元を辿れば人間も魔族も全員神の子である。
現在はほとんど魔族の血液が薄れて
肉体も滅び、神様そのものとなったとしても
始祖の魔王としての魔剣や魔力や力を失ったわけでもない。
救世の聖女という聖女としてはトップクラスの力と
勇者の力を持っていたのは驚いたが
まあ、些細なことだろう。
ジャンヌが何者であろうと我の友達である事実は変わらない。
もう一人、黒い制服の少女がこちらに歩いてきた。
ジャンヌやモルドレッドに似ている
金髪のツインテールに蒼い瞳の少女だ。
たしか、入学試験でも登場しただけで
大勢の生徒たちをざわつかせていた。
アルファベットがAだったから出会うことはなかったが
魔力検査の結果もたしか…七十万だったか……
フクロウの視界を乗っ取った時に見かけた。
中々の魔力を持っていたやつだったから覚えてる。
なんだったかな……たしかかなり見覚えのある名前だったような…?
そう思ってるのを察したのかジャンヌが耳打ちしてきた。
「アリス・ネクロノーム」
ん?ジャンヌと同じ名前だな?
よく見てみれば双子なのだろうか非常にジャンヌと似ている
あれが、仲がいいのかよく分からないこと言ってたお姉ちゃんか
乳の大きさはかなりデカイ
ジャンヌが極上の上なら金髪の少女は上の中程度だが
かなり豊満な乳袋を持っている。羨ましい。
「その子の言うとおりよ。
それに、私の前で妹を侮辱して…許されると思ってるのかしら?」
金髪の少女の蒼い瞳が赤く染まり破壊神の紋章が浮かび上がる。
教室の外壁がヒビ割れ彼女の魔力が増大していくのを感じる。
彼女の制服が魔力の粒子となり消え去ったかと思えば
赤い炎に包まれて
かなり露出度が高めで半分…いや…ほとんど、裸のようだが
神話の時代の不死の魔獣フェニックスの紅い魔力装甲を装着していた。
手にはフェニックスの羽を模したような
凄まじい魔力を宿している炎の大剣が握られている。
神話の時代に存在していた正真正銘、本物の魔剣である。
「そこの白服のチビ、手を貸しなさい?」
「まあ、いいよ?私の友達を馬鹿にされて
少々、我、不愉快だったからな。」
「いくらアリス様といえど」
「こんな出来損ないと白服のガキに
ここまで皇族をコケにされて黙っているわけには参りませんっっ!」
そして、口論が激化していくにつれて
頭に血が登ってきた二人の魔族は魔法陣を展開して
魔雷の魔法と魔炎の魔法を放ってきたが
ゼオズにすら劣る貧相な魔力によって撃ち出された魔法など痛くも痒くもない。
当然それを受けたアリスと私は無傷である。
「この程度の魔法で私達に傷を負わせられると思ったのかしら?」
「くっ!覚えてなさい!」
悔しそうな顔を浮かべなからその二人の魔族は席に戻っていった。
そして、なにやら遠巻きに見ていた白服の生徒達がざわついている。
「えっーーーー!?
黒服のアリス様が白服の生徒と共闘してたよ!?」
「どういうことだよ?魔法が直撃したのに
アリス様はともかく、シャルロットちゃんも無傷だったぞ?
あいつは白服で、しかも魔力を持たない人間のはずだろ……?」
「いやいや、この学院に飛び級で入学してきた子だぜ?
あれで魔力0とかあり得ないでしょうよ!
学院側がなにか手違いとかあって間違ったんだよ!」
ふむ。教室がなにやら騒々しいな。
「……実は、箝口令が敷かれているから
ここだけの話なんだが、俺は入学試験のあった日の夜に見たんだ。
シャルロットちゃんが二百人の皇族に囲まれたけど
皇族たちとあのゲオリオン様を
魔王が精霊の森を焼き尽くした時に使われた
最上位魔法の漆黒の太陽を出して瞬殺するところを
しかもしかもゲオリオン様の最上位雷魔法が直撃したのに無傷だったんだぜ……!?全裸になったけど……!」
「ええっ……!? あの、ゲオリオン様を……瞬殺っ!?」
「その前に入学試験でゼオズも軽く殺していた」
「殺したって? 本気で? 殺したのっ!?」
「ああ、その後、生き返らせたんだ」
「生き返らせたっ!?」
「それでまた殺したんだ」
「また殺した……」
「そ、そんなことが」
「……あれ? でも、あたし、入学試験の日の後も
ゲオリオン様を見た気がするけど……」
「でも入学試験の人からあれから一部の魔皇族の人達と
キンピラー兄弟は以前の傍若無人な彼らとは
別人のようになっているって噂を聞いたことがあるわ!」
「結局、あの後シャルロットちゃんが
皇族達を生き返らせたんだ……
まるでアリス様のフェニックスの魔力装甲みたいな………
なんか凄く神々しさを感じる半裸みたいな姿になって」
「なにがなんだか、わからないわ……」
私とアリスは黒服の魔族どもをかき分けて
お姉ちゃんの班に行く。
「よっ!私と違って人気者だね~お姉ちゃん」
「シャルロット……さっきの人達がごめんね
あんなやつらはこっちから願い下げってことで
班から除名してやったわ」
「そんな奴らはどうでもよくてさあ
ところで、お姉ちゃんも私の班に入らない?」
思いもよらない台詞だったのか
彼女は目を大きく見開き、絶句したのだった。
「……な、なにを言っているのよ!?意味がわからないわ……」
「なにがわからないのだ?お姉ちゃんよ?」
「わたしは、班リーダーなのよ!?」
「ならその班リーダーをやめればいいじゃないのよ?」
「はあっ!?」
アリスという少女の提案に
モルドレッドは口を開き、呆れたように私を見てくる。
「アリス……さんでしたっけ?
馬鹿を言わないことね。それにもう立候補しちゃったわよ
こんなに班員も集まってきちゃったし……
今更わたしが班リーダーを辞める理由はないわ」
「そうだねえ……私の班に入れば…いい事沢山あるぞ?
例えば、真っ先に学院最強の生徒になれるし
なにより、この可愛い妹とより親密に仲良くできるぞ?」
「私は……あんたに頼らずに私だけの力で
どこまでやれるか試してみたいの!
神様とはいえ、そういうお節介はしなくていいの!」
モルドレッドは自席へ戻っていった。
「やれやれ、まあそこまで言うなら見届けてみますか。」
「あら?意外ね?貴女なら無理矢理にでも
班員にすると思ってたのに…?」
「あはははっ」
ん?初対面のくせにやけに馴れ馴れしいし詳しいな?
「アンタに命じるわ!私をアンタの班に入れなさい!」
「………まあ、いいよ
なんで入りたいのかは聞かないでおくか。
姉妹仲良く同じ班に入ってくれるのは嬉しいからな。」
そこで仕切り直すように、手を叩く音が聞こえた。
「はいは~い。それじゃあ~
班が決まったみたいだから、説明を進めますよ~。
みんな、席に戻ってくださ~い」
エクシア先生の声で生徒たちは自席に戻っていく。
そして、色々と魔法の授業の話をしているのだが
新米教師らしく、慣れないこともあり
先生は問題児の私や居眠りしている我が半身に
悪戦苦闘しながらも授業を進めていた。
授業中にはたまに間違っていることを堂々と説明する始末だ。
とはいえ、いちいち指摘してはきりがないので
スルーしておくことにした。
退屈な授業にだんだんと眠気を感じ、気がつけば、
私はうつらうつらと微睡んでいたのだった。
ぼんやりとした意識の中、午前の授業終了の鐘が鳴る。
「ジャンヌ」
刺々しい声が耳を撫でる。アリスのものだ。
「………それに伝えておいてくれるかしら?」
それ、というのは私のことか?
「……起こす……?」
「別に起こさなくてもいいわ」
すぐに用件を切り出すと思ったのだが
なぜか無言が続いている。
「ねえ。それは……貴女にとって…… なに?」
一拍おいて、ジャンヌが言う。
「……友達……」
「そっか。楽しいのかしら?」
「……うん…………」
「あ、そ。ふーん。よかったわね?
あんたにもはじめて友達が……出来て?」
アリスの言葉は刺々しいのだが
どことなく嬉しそうにも思えた。
なんだ、案外二人とも仲良しじゃないか。
それにしてもモルドレッドお姉ちゃんの態度が気になる。
実に思春期らしい言動だが
妹の前では素直になれないツンデレで
そういうお年頃ってだけなんだろうか?
とか思いながら私は眠りについていく。
それぞれ各々既にある程度の人数が集まって、班を作っており
その中で班の中の生徒が一人ずつ立ち上がった。
立候補した生徒は4人いて
班リーダーとして立候補したのは全員黒の制服の生徒であり
その中にはローザ姉さんとモルドレッドの姿がいた。
いつの間にか決まっていたらしい
私達の班は私が寝てる間に、班のリーダーにされていたらしい。
私、ジャンヌ、アリス、ティナの四人で
少し離れた席にあるモルちゃんの班は
ルミナに久遠零とローザ姉さんと………
黒の制服のクラスメイト三十人ほどか……?
どうやら、シャルロット班とモルドレッドの班で対抗戦が行われるらしい。
あと、寝ている時になにやらモルドレッド班の
黒服の男子生徒たちが
先程、ジャンヌに言ってきた女子生徒のように
私のことを馬鹿にしてた発言をした。らしい
それに怒った我が愛弟子が
勝手にモルドレッドの班に決闘を申し込んで
私達が勝ったら、モル姉とローザと零が
私達の班に入るようにすることになったらしい。
ちなみに私達が負けたら班員全員
アリスの班に入ることを約束してしまったらしい。
「う~すみません師匠……勝手に色々と決めてしまって」
「いや、いいよ。どうせ私がリーダーとして立候補してただろうし
それに、私に勝負を挑んだ時点で私達の勝利は約束されたようなもんだ。
安心して、あいつらケチョンケチョンにして
みんなをこの班に入れようぜ。」
そして、数日後、対抗戦当日となった。
0
あなたにおすすめの小説
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【リクエスト作品】邪神のしもべ 異世界での守護神に邪神を選びました…だって俺には凄く気高く綺麗に見えたから!
石のやっさん
ファンタジー
主人公の黒木瞳(男)は小さい頃に事故に遭い精神障害をおこす。
その障害は『美醜逆転』ではなく『美恐逆転』という物。
一般人から見て恐怖するものや、悍ましいものが美しく見え、美しいものが醜く見えるという物だった。
幼い頃には通院をしていたが、結局それは治らず…今では周りに言わずに、1人で抱えて生活していた。
そんな辛い日々の中教室が光り輝き、クラス全員が異世界転移に巻き込まれた。
白い空間に声が流れる。
『我が名はティオス…別世界に置いて創造神と呼ばれる存在である。お前達は、異世界ブリエールの者の召喚呪文によって呼ばれた者である』
話を聞けば、異世界に召喚された俺達に神々が祝福をくれると言う。
幾つもの神を見ていくなか、黒木は、誰もが近寄りさえしない女神に目がいった。
金髪の美しくまるで誰も彼女の魅力には敵わない。
そう言い切れるほど美しい存在…
彼女こそが邪神エグソーダス。
災いと不幸をもたらす女神だった。
今回の作品は『邪神』『美醜逆転』その二つのリクエストから書き始めました。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる