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覚醒する真紅編F 破壊覚醒

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「こ・ん・に・ち・わ」

「モルドレッドちゃーーーーん?」

「ッ!?」


音もなく女が妹の背後に現れた。

私は何故だろう。この女を知っている。 

彼女の顔を見た途端、根源的恐怖を感じ嫌な汗が止まらなくなる。

神殺しの魔剣がシャルロットの腹部を貫通している。

「あ………?ッッだ…れ………ぐっッッ………!?」


「あらあら?どうしちゃったのかしらね~?
私がわざわざ会いに来てあげたのに
挨拶の一つもないのね?」



剣を抜かれた腹部から鮮血を噴き出し
吐血しながらシャルロットは倒れる。


「シャル……ロット…………?」

わたしはこの状況を理解することが出来ずに
恐怖で足が動かなくなり呆然としているしか出来なかった。

「相変わらず意気地なしなのは変わらないのね
人が刺された程度でそんなに怯えちゃって?
ねえ、モルドレッド?」

何故か分からないが彼女の瞳には
私に向いている憎しみ…復讐者の眼をしていた。

「おっと…?動くんじゃないわよ…?
変な動きをしたらこの小娘の首を掻っ切るわ。」


「安心しなさいコイツはこの程度のことでは死なないわ。
そうよね?アルビオン?」

「・・・・・・・」

シャルロットは答えない。



「ど…どうし、て……?…どうして…ここに……!?」

「あ"?」


「ひっ!」


「動くな、と言わなかったかしら?
今ここで死にたいのかしら?」

「くぅっ…!」

女は地図を床に投げ捨てる。


「その地図には転移の魔法術式が記されてる。
場所はビーディルヘイズ街の廃墟となった教会の跡地
日付が変わったらそこに貴女一人に来なさい。
3時を過ぎたら問答無用で妹の首を掻っ切るわよ。

誰かに喋ったら…分かるわよね?
貴女の可愛い可愛い妹ちゃんは死ぬことになるわ。」


「今は殺さないであげる。
ここだと邪魔な人やモノが沢山あるでしょ?
だから、虐殺に相応しい舞台を用意してあげるわ。」


「あの時と同じように…貴女の全てを奪ってあげるわ。」


暗殺者はシャルロットの首に妹の鮮血で濡れた刃を突きつけながら
魔法を使い何処かに消えていった。

「シャルロット…………」



わたしはあの暗殺者の顔を見た瞬間

魂に刻まれた心の傷トラウマが蘇った。

前世の頃から変わらないその邪悪な笑みが
脳裏に焼きついてどれだけ忘れたくても忘れられなかった。
わたしの両親を殺したのは…あいつだ。



怖くて体が震えて家族が殺されていくのを
ただ目の前で見ているしか出来なかった。









やっぱりこの力は呪われている……

わたしから幸せを全て…なにもかも奪う忌々しい力だ。


私は恐怖に震えて涙をボロボロ流しながら
ベットで包まっていることしか出来なかった。

シャルロットの命の保証はない。
身代金を要求しないからお金や公爵家の力を使うことは不可能
それに、あいつは誰にも助けを求めず相談せずに
一人で来いと言った。
つまり私一人でこの事件を解決するしかないわけで……


血まみれになって倒れているシャルロットの姿が脳に焼きついて離れない。

どうしよう…どうしようどうしようどうしようどうしよう………ッッ!!



お母様………お父様……ごめんなさい。

わたし………無理………


でも…シャルロットは…こんな
臆病でよわよわな泣き虫でダメダメなお姉ちゃんなのに
決して見捨てずに
泣いている時、いつも一緒にいてくれた……

見殺しになんて出来る訳ないじゃないっ!!!
でも……わたしは弱いから……助けたくても出来ない………。

でも……それでも……助けに行かなきゃ……
臆病でも…泣き虫でも…震えが止まらなくても……
行けば死ぬって分かってても……
力も知恵も勇気も何も無い空っぽな人間でも
わたしは…シャルロットのたった一人のお姉ちゃんなんだからっ!!!





そして、こっそりと屋敷を抜け出して

外門を抜けるとそこには三人の人影があった。


「え……みんな……どうして」



「水臭いであるぞっ!モルドレッド・レガリアよっ!」

「我の下僕であるお姉様が攫われたというのなら

お姉様の救出に我も力を貸してやるのだ!」


「モル姉、一緒にシャル姉を助けよう」


「私達も、みんな、あの子を助けたいんだよ」

「フフフ…それに、あの人には
お腹を貫かれた仕返しがしたいんだよね~」


「え?」

「クックック…あの女…お姉様に襲撃する前に」

「ペルちゃんのお腹を不死殺しの魔剣で刺し殺したんだよ~」


「ちょっルイン!我の台詞を取るでないっ!」

「えっ!?大丈夫なのっ!?」


「うん。私は他の冥界の住人より特別な不死だから
何されても大丈夫だけど

不死殺しの魔剣って斬られると死ぬほど痛いから
あんまり好きじゃないんだ~」



「それじゃあ、いっくよー!」

「どうしてルインが仕切るのだっ!?」

「そうだよここはモルちゃんが~!」


「あは…あははははは!!」

「ありがとう…みんな…なんだが怖くなくなったわ

みんなのお陰でアイツに立ち向かう勇気が貰えたきがする。」


「フッ気にするでない。」


「それじゃあ、気を取り直して…」


「絶対に、シャルロットを助けるわよ!」


「「「「おうっ!!!!!」」」」




深夜の2:00、モルドレッドは地図に記された
この異世界は人類が既に滅んで
暗殺者と私達以外、生命が存在しない世界。

永久に夜が明けることはなく静寂に包まれ
真紅の月が浮かんで世界の色を赤黒く染め上げている。

転移魔法により妹が囚われている廃墟の教会
かつて王国があった跡地にやってきた。



シャルロットは十字架に鎖で拘束されている。

「オイオイ、わたしは聖者じゃないぞ~?
むしろ悪魔なんだが?……無視かよ。」




「フフフ……モルドレッドは必ずやってくるわ。
アイツは臆病だけど正義感だけは無駄にある子
絶対に見捨てるという選択はしないはず。」

「それには同意する。」

胸の辺りに鮮血が飛び散る。胸をナイフで刺されたようだ。


「ウグッ!」

「喋ってる余裕がまだあるのかしら?………」

淡々と復讐者の女は私の胸をナイフで撫で
刺して抉るように刃をグリグリする。

「なにしてるの~?おーいなんでそんなに
人の胸をグザグザグザグザ刺してるの?」


「モルドレッドが来るまでの暇つぶしよ。
アナタはこの程度痛めつけてもなんともないでしょ」

「まあ、そうですが。」



「やれやれ、人のこと刺しといて自己紹介の一つもないのかよ?」

「あら?随分と余裕なのね。」

「まあ…ね………こうなることは知ってたからな。」

「流石、全てを見通してる創造主様って所かしら?」


「それで質問………お前は何者だ?」


「私の名は…フレアリカ・エリトリーガー

私は…アイツに全てを奪われた。
だから私もアイツの全てを奪って復讐するだけよ。」

「復讐か……実にくだらないことだと思う。
けど、アンタにとってはそれが全てなんだろうな。」


「何故彼女に憎悪を募らせる?まだ彼女は子供だぞ?
彼女がお前の全てを奪ったというが
それは記憶違いなんじゃあないか?
そんなに最近の出来事ってわけでもなかろう?

それに、わたしの読んだ記憶だと前世含めても
モルお姉ちゃんは一度もこの地を訪れたことがないはずだが?」




「異能…世界の法則から外れた異端な能力」

「モルドレッドが前世から受けついだ巫山戯ている能力

それは世界の理さえ壊し、神々の不滅の魂さえも
完全に滅ぼして殺せる力
全てを壊す最強にして禁断の異能。


十三年前、幼い彼女は異能が暴走したモルドレッドは
帝国と大国を滅ぼした後に時空間魔法で逃げた私を追って
次元の壁を破壊し、私が最初に生まれた世界
故郷とも言えるこの世界にやってきた。
そして、この世界を消し去った………なにもかも。」


「それを忘れているだなんて…なんて…"巫山戯ているのかしら"?」

彼女の瞳が憎悪に染まり凄まじい殺気が感じ取れる。


「わたしはねえ…モルドレッドという
忌々しい破壊神に全てを……
家族を…街を……幸せを……人生を……なにもかも奪われた。」

なるほど…大体の事象は察した

創世の力で記憶を覗き見、ノイズが走った記憶が気になり
かつて前世のモルドレッドがいたという施設の記録を
神の力で漁ったことがあった。

たしかそこにはトップシークレットで
彼女の異能が暴走し大きな国を滅ぼした記録が三つあった。
その一つがこの地ってわけか。


「なるほど…つまり、お前は転生者……ってわけか?」



「ええ、正解よ。」


まあ、大体そうだろうなと思っていた
異能という概念はこの世界には存在しない上に
暗殺者とはいえ13歳の少女にしては
あり得ないほど大人びた雰囲気だったからな。


「それで、お前を手引きしたのは誰だ?」

転生者とはいえただの人間が
神界の機密情報を知ってる訳がないからな。」

「今から死にゆくのにわざわざ教える必要があるのかしら?」

「あははっ!無いだろうなっ!」


「まあ、でもいいわ。冥土の土産に教えてあげるわ
わたしも全ては知らないけど赤黒い髪をした男の神よ。
あの方はわたしに復讐する為の機会と力を与えてくれたわ。」



「憐れなやつだな…お前は」


「お前如きが、お姉ちゃんに勝てるわけないだろ?」


「お姉ちゃんは、誰よりも強くて優しい

宇宙一の美少女なんだ、お前なんか足元にも及ばないよ。」












二人がなにやら話しているが会話が聞き取れない。

怖いけど…行くしかない。



フレアリカは玉座に座りながら私を待ち構えていた。


「よくきたわね………モルドレッド」



「ッ………!シャルロットッッ!!!」


「慌てなくても安心しな。こいつはまだ殺してない
まあ、いずれ殺すけど。」

「………ッ………妹を…返しなさい。」


「急かさなくてもいいじゃないの?
せっかく二人っきりでゆっくり話せるんだし?」




「ねえ……モルドレッド…私があの日から
どれだけの苦痛を味わったか想像できる?」


「十三年前のあの日、私の人生は一変してしまったわ。

わたしはアナタに全てを奪われた。
その報いを受ける時がきたのよ。」



「わたし…そんなことなんかしていないわよっ!!」



「五月蝿いっ!!お前がお前がわたしの全てを奪ったんだっ!!!!」


「そ…そんなのただの逆恨みじゃないっ!!」

「そうだそうだ!真犯人だって確証が無いのに
お姉ちゃんを犯人前提で復讐してんじゃねえよ
このおばさんがよおおおお!!」


「シャルロット…!…遅れてごめんねっ!
今…お姉ちゃんが助けてあげるから舞ってて!」


その瞬間、シャルロットの太ももからじわりと血が滲み
魔剣が脚を貫いて鮮血が飛び散っていた。

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」

「いってえええええええええええっ!?
てめえええええなにしてくれてんだああああああっ!?」


「ギャハハハハハハハハハハハハ!!!!!
アハハハハハハハハハハハ!!!!無様ねえ!」



「わたしはこれからモルドレッドと殺し合うのだから
五月蝿い羽虫どもは黙らせないと……でしょ?」

「ギュッ!?」

シャルロットが潰れた蛙のような声を出して
気を失い、ガクンと頭が垂れる。



その瞬間、空から爆発音がして教会の天井が崩れ落ち

月明かりに照らされて三人の人影が降り立つ。


「クックック…やはりバレてしまっていたか」

「ならば仕方がない…!」

「我の名はクルル・ヘル・ルシファー!

終末の魔眼を継承せし世界最強の……うおっ!」


フレアリカがクルルの首を狙って天使殺しの魔剣の刃を振るったが

彼女はなんとか反応し、ディアボロスで防いだ。


「コラッ!貴様!名乗っている時は攻撃しちゃダメなんだぞっ!」





「そんなの知らないわよ…羽虫共…邪魔よ、さっさと失せなさい。」


(あの姿のモルドレッドに匹敵する

恐ろしい狂気と圧を感じる金髪のガキに

六天魔皇最強の実力者と謳われてる堕天使に

殺したはずの冥界姫もいるし、なにがどうなっているのよ…!)

「でも…関係ないわ…この力の前では…!!」


「神格解放……魔十殺剣翼ルクトゥシュバルツッッッ!!!!!」


背中に

『神』、『竜』、『不死』、『幽霊』、『人』
『精霊』、『鬼』、『魔物』、『天使』、『悪魔』
を殺すことに特化した魔剣が翼のように展開される。


フレアリカは十本の魔剣を操り、的確に人体の急所を狙うが


クルルの終末の魔眼の金色の光に触れた二本の魔剣が塵になる。


「ギャハハハハ…!!!」


ルインの破壊の力とレーヴァテインが全ての魔剣を壊すが

それでも次の魔剣の斬撃が飛んでいき

ペルネリアのサクリファイスが魔剣を切り裂いて凍てつかせても



どれだけ破壊しても翼のように展開し、羽のように定位置を浮遊している

十本の魔剣は破壊されても消滅しても

羽が生え変わるように何度も再生される。







「神格覚醒…真なる破壊の復讐者トゥルーディストアヴェンジャーッッッ…!!!」



フレアリカの瞳が深紅に染まると

フレアリカから禍々しい魔力が溢れ出し
黒い髪が白紫色の髪に染まっていく。


そして、背中に展開されている魔十殺剣翼と

彼女の右手に禍々しい魔剣が現れる。


「これが…万物を殺す殺戮の神の権能を秘めた魔剣よ」


「フッそんな物がどうしたというのだ!

我のディアボロスには遠く及ばない!」


「えいりゃああああああ…!!!」

「はあああああああっ!!」


「確かに、三人共に実力も武器も最上級…

でも…まだまだ甘いわね、所詮はひよっこよ。」

復讐報復絶桃アヴェンジャーデスカウンター


フレアリカは、三人の刃を受け止めると
三人の魔力を数倍に増幅させた魔力を魔剣に纏わせ
横薙ぎに振るうと凄まじい魔力の斬撃が放たれて
全員教会の壁に叩きつけられてしまった。


「あがっ!?」


「イタタ…思ったよりやるじゃ~ん。」

「イテテ…全身の骨が折れて…動けない…

ゲホッゲホッゴホッゴホッ……ゴフッ!?」


クルルは気を失い、ペルネリアは戦闘不能

ルインはダメージで動きたくても動けない。




「み…みんな……!!!!」


「さあ、残りは足手まといなアンタだけね?」


「さあ、どうするのかしらねえ?」


彼女の腕から黒い雷が走りわたしの足元で炸裂する。


「ギャアッ!!」

黒雷が炸裂し粉塵が舞い、わたしの姿が見えなくなる。

呪われた異能を使い破壊神の力で黒雷を打ち消しながら
私は予め魔法術式を刻んだ石を投擲し遠隔で魔法を発動させる。


「爆裂魔法…!?」

石に魔法陣が浮かび上がり激しい熱と光と爆発音が教会に木霊する。

「……なるほど、戦う準備は雑魚なりにしてきたってわけね。」




フレアリカは

名も無き魔法ゼラークという

最強の無属性攻撃魔法を恐ろしい速度で連射してくる。
無数の灰色の即死級の衝撃波が
ビームのように曲がり蛇のようにうねり
拡散し壁を貫通しながらわたしに迫ってくる。

「ほらほらほらほらどうしたどうした?
いつまでも ネズミのように逃げ回ってるんじゃないわよーー?」

「逃げてばかりじゃあ、アナタの大切な妹が殺されちゃうわよーー?」

片手で最上位無属性魔法を放ちながら
フレアリカはシャルロットの首に魔剣を当てる。


「ぐっ!」

爆裂魔法の石を投擲しながら迫ってくる
灰色の衝撃波を防御魔法で防ぐ。


「あらあら頑張って防ぐわね?でも…術式の構築がお粗末よ!」

不安定な防御魔法の隙間をレーザーが貫通し
直線上の全てが塵と化す。

レーザーが肩を掠めて焼けるような痛みが走る。

「う…うそ……でしょ……防御魔法に穴が……!?」

「どんな魔法も防ぐ無敵の防御魔法でも
隙間だらけの防御魔法しか作れない
あなたのような雑魚には関係ないわね。
次は蜂の巣にしてあげるわ。」

即死級の攻撃魔法で飽和攻撃をされていき
全方位を灰色の死に囲まれて防御魔法が砕け散っていく。

死がそこまで迫ってくる。
わたしは無意識に涙が出ていた。

走馬灯のように記憶が流れ
この呪われた力の制御を一緒に頑張ってくれた
妹のとある言葉を思い出す。

(お姉ちゃんのその力はね、どんなモノからも私を守ってくれる。
究極の防御魔法なんだよ。)


わたしは呪われた異能の力を使い
防御魔法を貫通した無数の灰色のレーザーを打ち消す。

「はあ…はあ………はあ……はあ……」

「なぁぁにやってんのよ?この程度でくたばってんじゃないわよ?
まだまだ痛めつけてあげるからねぇぇぇええ!!」



痛い…痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!
肩が抉れるように肉が溶けて焼けて出血が止まらない。

でも……シャルロットを…絶対に助けるんだ……!

こんな痛み……妹を失うことに比べたら………
この程度の痛みがなんだっていうのよ………!!


「お?まだ立てるんだ~意外と根性あるのねー?」

「それじゃあ……次はどこを撃ち抜いてほしい?
お腹?胸?それともその眼がいいかしらねええ?」

「そのムカつく顔を跡形もなく消し飛ばしてみるのも
一興ってやつー?ギャハハハハ!!!」

「そう……なら…好きな所を選べばいいじゃないっ!」

私はフレアリカに向かって走り出す。

「ギャハハハハ!!頭がおかしくなっちまったのかよーー???」


発光の魔法を刻んだ小石を投げつけて
フレアリカの視界を奪う。

「ぐっ!?小癪な真似をっ!」

フレアリカの腹部にわたしの手の平が触れる。


「ガトムズ…インパクトっ!」

衝撃波を放ち人体を内側から破壊する攻撃魔法だ。

「ガハッ!!」


「ぐっ!!!…………なに!?」



最上位無属性攻撃魔法に破壊神の紋章が加わった
魔法陣を展開している。
あのクソ雑魚のモルドレッドが最上位魔法をっ!?


終焉焔獄炎滅弾ブレイズ・エンド

「燃え尽きなさいっ!!フレアリカッッッ!!!」


漆黒の太陽を顕現させてフレアリカの肉体を燃やし潰そうとする。


「グググッ!?」

「ギャアアアアーーーーーーーーー!??!?」


「はあ………はあ……はあ……はあ……」


「今の……一発撃っただけで魔力がほとんど持ってかれた………。」


「や………った………の……?」

倒したの……?わたしが……?


「はっ…!シャルロットっ!今助けに行くからねっ!?」


「………えっ?」


足から鈍い痛みが走り傷口に熱を帯びる。
魔剣が足首を貫通しており鮮血が飛び散った。

「よ…よくもやってくれたわね……モルドレッドっ!!!!」


満身創痍になりながらも這い出たフレアリカが
わたしの足を刺し貫いた……ってこと!?

「うぐっ!?~~~~ッッッッッッ!?!?」


神殺しの魔剣を刺された箇所はナイフなんかとは
比べられないほど凄まじい痛みが走った。


痛い……怖い……これじゃ…妹を助けても逃げられない……
苦しい……怖い…怖い…怖い…痛い…痛い…

迫ってくるフレアリカが恐ろしくて堪らない。 
恐怖で後退ってしまう。


「あらあら?モルドレッド?
どこに行こうというのかし……らッッッ!!」

「ぎぃっ!?」

フレアリカはわたしの腹部を思い切り蹴り飛ばした。

「ガハッ!?」


「あんな あんな小賢しい魔法で私に勝てると
本気で思ってたのかあ"あ"あ??? 

あんな子供騙しの魔法で私を殺せると思ってたなんて
大間違いなんだよおおおおおおおおっ!!
相変わらず憎たらしい小娘だなああああああっ!!!!!!」

フレアリカはわたしの首をギリギリと締め上げてくる。


「ねえ?苦しい…?苦しいよね?苦しいねええ??
でもねえ…わたしの苦しみはこんなものじゃないのよっ!」

「グッアギッギャイッ!?」

首が……へし折れる……!?

「や……やめ……、て………」


「止めるわけないだろうか馬鹿がっ!」

わたしは思いっきり殴り飛ばされる。
視界が揺れてもう体に力が入らない。
このまま…わたし………死ぬのかな?

「まあ…クソ雑魚のあんたにしては頑張ったんじゃない?
まさか、最上位魔法を使ってくるとは思わなかったけど
最初から私に敵うわけなかったのよ。」


「おまえはあの頃から何も変わってない。
瞳に入った全てを殺し尽くす為に産まれた
おぞましく恐ろしい醜い化け物っ!
変わろうとして頑張ってたみたいだけど
無駄無駄ムダムダ無駄無駄無駄無駄だったのよ!!
ギャハハハハっ!!!」

「ひっ……くっ………うぅ………うぅぅぅぅ………!!」



「ギャハハハハ!泣けば許してあげると思ってるの?」


「………言っとくけどなぁ……?モルドレッド
この世は泣けばどうにかなるような甘え世界じゃねえええええんだよおおおおおっ!!!!!!」

後頭部を全力で踏みつけられた。
頭蓋骨が割れるような鈍い音が聞こえる。

「ギャアアーーーッ!!!」

「う………うるさ……い…わね………
わ…わたしは……泣いて……なんか……ないん…だからね…………!」


「粋がってんじゃねえぞっ!!この雑魚がっ!!」

「う…………ぐっ……おえっ…!?」


「………無様ねえ………」



「ねえ……そろそろ神核を解放したらどうなの?」


神格……解放…?何を言っているんだ……?こいつ…?

「そうすればクソ雑魚のアンタでも
少しはマシになるんじゃない?」

「あの姿のモルドレッドに復讐する為だけに
私は前世の全ての人生と転生してからの13年間も捧げたんだから
少しは使ってくれないと味気ないまま復讐を終わるのはイヤなのよねー」



何を言っているんだ………こいつ……?

そんなこと………出来るわけないじゃない


「なに?アレって発動条件でもあんの?
それとも私如きには使う気が無いの?
それとももう戦う気力が無くなっちゃった?」



「………なによあんた、本当に何も知らないって顔をして
神核を解放して覚醒すればわたしに勝てると思ったから……
勝算があるからここに乗り込んで来たんじゃないの?」


「そんな……わけ…ないじゃない……。」


「はあ?じゃあさあ…………なんで来たのよ?
素の実力じゃ天地がひっくり返ったって
勝てないって分かってたんじゃないの?」




勝てない…ことぐらい…分かってた……分かってたわよ……っ!

でも…勝てるとか…勝てないとか…そんな話じゃない………

私は……私は

「はあ……はあ………はあ……」

「私は……妹を助ける為に来た……それだけなんだから。」


「怖かったよ…足だって震えて…何度も逃げようとしたわよ………でも」

「妹は……こんな呪われたクソッタレな瞳を
綺麗だって……大好きって……言ってくれたんだっ!!」


「それに…これ以上呪いに負けたまま生きたくないっ!
自分の力に人生をこれ以上めちゃくちゃにされるわけにはいかないからっ!!」


「わたしは……妹を救い出して
一歩を踏み出して新しい世界を見れるように
また妹と一緒に笑い合えるようになるっ!!
そのために来たんだああああああっ!!!」



「わたしは…妹よりずっとずっと弱い………
でも………そんなの分かりきってるっ!!
それでも、やらなきゃいけないんだからっ!!」


「だって………大切な妹を守るのがお姉ちゃんなんだからっ!」




「………ッッッ!!」


「巫山戯たことを抜かすんじゃないわよっ!!! 」

「ガハッ!?」

「私から全てを奪ったお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前が
お前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前が
そんな綺麗事を言って良いと思ってるのかああああああっ!!!!!!!」

「ギャアッッッ!?アーーーッ!!」

諦めたくない……けど…もう…体に……力が…入らない

「はあ………はあ……はあ…………はあ……」


「もう……いいわ……終わりよ……今ここで…
アイツを殺してあげるわ。」


「えっ!?」


「じゃあね、あなたの妹はここで終わるわ。」

ドオンッッッ!!!!


シャルロットの胸に大きな穴が空き
鮮血がシャワーのように溢れる。

シャルロットを縛り付けていた十字架が崩壊し
外壁や屋根が崩れ、シャルロットが居た場所に大量の瓦礫が落ちる。



「あ………あ…ああ…ああああああ……!!!」


「ギャハハハハハハハハ!!!
残念だったわね~!アンタの妹は死にました~!」



「あああああああああああああああああああああああーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」


また………大切な…、妹を……守れなかった…………


妹から噴き出した血が慟哭している少女の口に触れる



ドクンッ

「えっ……?なに……いま…の……」


ドクンッ

ドクンッ

妹の血液を舐めると
モルドレッドの瞳には魔力がほとんど無いにも
関わらず真紅の破壊神の紋章が浮かんでいる。

自我が消失していき
ぼんやりと意識が薄れていく中で彼女は理解した。
自身に眠っている力とは………真価とは何かを。
その紅い瞳の先は自身の魂をミツメている。
そして、神核を目覚めさせる枷となり
自らの真の力を縛り封じている
自身の魔力の核となる魂を破壊した。

すると、胸から真紅の魔力粒子が溢れ
モルドレッドの魂が神の物へと昇華され
モルドレッドの赤い瞳が真紅に染まる。





神核を解放し、神化しんかしたことにより


モルドレッドは神界、人界のあらゆる法則から外れた
破壊神の神核を宿している終焉之神と成り
創世の神をありとあらゆる能力で大きく上回る

神化したことにより素の能力が大幅に上昇し
魔王を超える爆発的な魔力
真祖の吸血鬼の身体能力
創世の神の如く森羅万象の時間を自在に操り
時を完全停止、遅速、加速させる力を獲得。 

纏っている魔力だけで世界を滅ぼせる禍神。
神々を滅亡に追いやった呪われた禁忌の神格。




その膨大な魔力は世界を、天地を紅に染め上げる。


モルドレッドは無機質な真紅の瞳をフレアリカに向けた。

彼女の瞳は獲物を睨めつけるような肉食獣のそれへと変わり
処刑人の如き冷酷さを持ちながら
敵を蹂躙する破壊の権化となるその姿は
かつて、たった一人で大国を滅亡させた
真祖の吸血鬼モルドレッド・ドゥームズ・フォールンブラッドだ。



「・・・・・・・・・」




「……ようやくその姿を見せたか…!!!
その真紅の瞳…一度たりとも忘れたことはない…!」


「でもなあっ!わたしは今のアンタを倒す為に
13年間準備してきたんだよおおおおおおっ!!!」

禍々しい飴玉のような魔神の霊力を取り込んだ
フレアリカは魔人と化しながら
速射にも優れている最上位無属性攻撃魔法を最高速度で撃つが
モルドレッドの姿が消える。
ヒュンッと風を切るような音が数秒後に聞こえ
モルドレッドはソレより遥かに速く動いた。

「は………?」

魔法を放った瞬間、目の前にモルドレッドが現れた。
魔人の動体視力でも捉えることが不可能な超加速。
そして…フレアリカの顔面をモルドレッドの拳が穿つ瞬間
隕石が衝突したかのような重厚な破砕音が教会に響いた。

「ぐっぎゃああああああああああああっ!!!?」


「・・・・・・・」

モルドレッドは無機質な瞳でフレアリカを見下ろす。



「な……舐めるんじゃないわよっ!!!」


全方位から襲いかかる即死級の灰色のレーザーの飽和攻撃

しかし、モルドレッドは破壊神の真紅の瞳を光らせると
全ての魔法が霧散した。


「は………?なんだよ……この力は………!?」



「・・・・・」


モルドレッドが軽く指を弾くと精密な魔力操作により
二千の漆黒の太陽が顕現し一斉に放たれ飽和攻撃が始まる。


「ぐっ……ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬっきっっつっっ…!!!???」

二千の漆黒の太陽を相殺して綻びが生じた
防御魔法の隙間を狙い一万の灰色のレーザーを放つ。


「まだまだ…こんな所で終われるかああああああっ!!!」

フレアリカは五重の防御魔法を展開しなんとか飽和攻撃を防ぎきる。

「ぜえ……ぜえ………ぜえ……きっっつっっいなっ!」



フレアリカは神殺しの魔剣を振るうが
直撃したにも関わらずモルドレッドの皮膚に刃が通らない


「は………?嘘でしょう………!?」



「……………」


モルドレッドは掌から世界を滅ぼす黒・赤・紫の雷を放つ魔法
黒滅紫滅終焉災竜雷アジダハーカを全方位に放出する。

咄嗟に後ろに飛び退いて避けたフレアリカだが
雷を掠めた場所が音もなく消滅する。


「ヒッ!?」



「………………」


「く……くるなっ!来るな……化け物ー!!!!?」



終焉焔獄炎滅弾ブレイズ・エンド!!!

終焉焔獄炎滅弾ブレイズ・エンド!!!

終焉焔獄炎滅弾ブレイズ・エンド!!!

霹靂千聖天神槍サウザンド・サンクチュアリ!!


焉沈没獄滅凪亡瀑布水ナーヴァルド・ナーベ…!!


終焔焉滅焔焚焼焚極獄炎マギアノ・ア・アンダルガ…!!!!!!!!



半狂乱になりながらフレアリカは
モルドレッドに持てる限り全ての魔法を放つ。






漆黒の太陽を顕現する魔法も千の聖槍を降らす魔法も

まるで生き物とは思えないような身ごなしで回避され

神々を滅ぼす混沌の瀑布で覆い尽くす極水魔法も

紅色の魔力を纏った手刀で軽く斬り裂いて

世界を滅ぼす魔法で焼かれても彼女には通じない。

モルドレッドの前ではどんな魔法も無意味だ。


「………命乞いしても……もう………遅いよ……滅びなさい」


モルドレッドの瞳から赤黒い黒陽が煌めき
モルドレッドの影から剣の形を象った混沌が這い出る。
彼女が影の剣を掴むと闇色の魔剣が顕現する。


「な…なによ……それっ!?……そんな
魔剣が……魔法が……存在するわけがないじゃないの……あガッ!?」


モルドレッドは虚空に向けて剣を振るい
万物万象を滅ぼす破壊神の魔剣で魂を貫かれ
フレアリカの肉体と魂が滅びていく。




「あ"……い…………や………ぎゃ………あぁぁぁ………!!」


「痛い…痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い…!?」


「くっ……この……クソガキがあああああああっ!!!」

その時、フレアリカの腕の感覚が消失する。



「え……?」

フレアリカの左腕がポトリと落ち、壊れた水道のように傷口から血飛沫が溢れる。


「あ……?ああ………!?あああああああああ…………!!??!!」


フレアリカは半狂乱になり過呼吸のように

獣のような言葉しか発せられなくなる。


「巫山戯るな……!?巫山戯るな!?巫山戯るな!?

巫山戯るな!?巫山戯るな!?

巫山戯るなああああああああ…!!!!!!」



「オマエは……もう………終わりだ。」


「そうね……終わるのは……てめえだよっ!!死ねよ!!」



「モルドレッドォォォ……ギッ!?」


フレアリカは魔剣を突き出すが

わたしの首に神殺しの魔剣が触れる直前に

私の魔剣の虚構の刃がフレアリカの腕を飛ばす。


斬られたフレアリカの両腕が宙を舞った。



「ぎぃぃぃぃああああああ!? 」




「まだよ………まだ……終わっていないわよ……

これは……輪廻転生も反魂も復活も叶わない

オメガ様に教えられた切り札………!

正真正銘の死を与える………魂滅魔法!」


「これで……今度こそ、ぶっ殺されろおおお!!!」


根源破滅喪焚靄燼塵滅アゾートアンプルダ!!!




フレアリカは最後の抵抗で

魂を滅ぼす極光の白紫の焔をわたしに放つが



わたしが軽く腕を振るうと、ソレは弾かれ

教会を破壊し黒雲を吹き飛ばした。



「ウソ……そんな……はず…………ない……!?」



「お前は………哀れだな……本当に」


わたしはフレアリカの首を掴んだ。



「あぎ"……い…………や……ぁ………あぁぁぁ………」



「たす……け……て………ォ………メガ………さ………ま」



フレアリカの魂の器となっている血肉がグヂャと音を立てて潰れて

パアンと破裂したような音が聞こえた。





「………最期は………呆気なかったわね……。」





彼女の瞳から真紅の輝きが消えていく。

魔力が全て無くなるような感覚に襲われる。
無理矢理覚醒させたせいか、彼女の意識が消失していく。



「はあ………………はあ………シャルロット………!」


もう…ほとんど………動けない……でも……。

フラッと倒れるわたしを誰かが支えてくれた。


「お姉ちゃん…よく頑張りました。」

「シャルロット……生きてる…の………?」


「うん……大丈夫だよ~」

シャルロットがわたしの頭を撫でてくれる。

「う……うっぅ……よかったわ……本当に……無事で……」

「さあ…帰ろう…お姉ちゃん?」


「うん………」


私は妹を力いっぱいぎゅっと抱きしめる。
そこでわたしの意識は途絶える。












フレアリカは魂だけの状態で世界を渡る魔法を行使し
なんとか逃げ延びて肉体を蘇生することに成功していた。


「ハア…ハア…やってくれたわね…
モルドレッド…次こそは絶対に殺してやる…!!!」

「次があると思ったか?」


「は…え……嘘…どうして!?」


そこには漆黒のフードとマントを羽織り
巨大な悪魔の片翼を生やし
凄まじい魔力を感じる魔剣を持ち
真紅の瞳をしたシャルロット・レガリアが

紅い満月と夜の世界を背に浮遊していた。



「逃がすと思っていたか?」

「知ってるか?大魔王からは逃げられないって」

「嘘よ…あり得ないわ…こんな…ことが…」


「ガイアス…!ネアスっ!アポロカポス…!
誰でもいいから助けなさいよっ!?」



「ああ…こいつを潰せばいいのか…?」

「分かった…殺せばいいの?…?」

「全く…こんな小娘一人に私達を呼ぶとは…幹部の恥晒しですよ」


「神格覚醒…鎧覇王鎧金剛武装ッ!!!」


「この金剛の鎧はありとあらゆる魔法と攻撃を無効化するっ!!!

そして…そのままこの鋼の肉体に潰されろおお!!」

巨体の男が全身に刃を備えた金剛の鎧で突撃してきた

試しに軽く魔法を放ってみたが本当に何を当てても
何事も無かったかのように突進を止めない。

それなら…と

私は、彼が私に激突する瞬間、彼の巨体を持ち上げる。


「ぬ…ぬうおおおお…っ!??」

そして、衝撃が吸収されたり逃げ出さないように
しっかりと彼を空中に捉えたまま
腹部に掌底を食らわせて衝撃波が鎧の内部で暴れまわり荒れ狂う。


「あ…ぴぃうやなあはああああああ…!!!???」

すると、彼の鎧が歪に歪んでいき
壊れた鎧の隙間からは噴水のように鮮血が漏れ始め
最終的に彼の肉体は鎧ごと破裂し木っ端微塵となり
そこに残ったのは肉片と金属片だけであった。


そして、驚愕している二人は今の一瞬で
私のことを危険と判断したのか本気で襲いかかってくる。



「神格覚醒…完全なる不死身七百七十七の生命セブンズパーフェクトフランケン!!!」

「私の能力は不死身を再現する不死の雷撃…!!」

「不死殺しの魔剣でも殺せない私なら
流石に貴女でも…………!?」

「オガッ!?アハガ!?オゴゴゴゴゴゴゴゴコ…!?」


「………」


アポロカポスの全身に凄まじいラッシュを叩き込んだ。
その一撃一撃が彼女を死に至らせる即死の嵐。


七百七十七回目の死を迎えた瞬間
彼女の雷撃が消え失せて、二度と動く事は無かった。


「流石に本当に不死ってわけじゃないか…」



「ヒッ……な…なんなのよ…なんなのよ…こいつ…!?」


『神格覚醒…毒惡慈滅眼妃……ピィギャッ!?』


そして、三人目は能力を発動する前に首を切り裂かれて絶命した。





三人の死体がフレアリカの側に堕ちた。



「え……嘘よ…そんなこと…ありえないわ…!?」



(赫神華の幹部の三人が一瞬にして殺られたというの…!?)








「これで終わりだ……」


シャルロットは全身から紫の魔力を放出し

魔剣で空に絵を描くように、魔剣を振るい

頭上に魔剣を持っていき、星を描き、振り下ろそうとする動作をする。

すると、世界が魔王の魔力で満たされ
魂さえも世界を渡る魔法さえも通さない
この世界を逃走不可能な籠…監獄に作り変える。



「嘘よ…こんな魔力がたった一人の存在から出ているというの……!?」


「まさか…その力は…魔王の……!?」



「…………この世界ごと消滅しろ。」


魔王が魔剣を振り下ろされた
その瞬間、宇宙を壊す魔力の塊が大爆発を引き落とし
世界が極光に包まれ、一切の抵抗を赦さずに
何もかも跡形もなく消え去っていってしまう。

フレアリカは自分の輪廻の輪が消えていく魂の終わりを悟りながら
体がただ消滅する感覚を一瞬味わい完全に消滅した。














気がついたらわたしは家に帰っていて
いつものふかふかなベットに寝ていて…妹に添い寝されていた。



「シャルロット…!大丈夫なの…!?」



「いったああああああーーー!?!?」


包帯が巻かれている左足に鈍い痛みが走った。


「もう、お姉ちゃんまだ安静にしてないと……」


「あの神殺しの魔剣で斬られたんだから」


「あっ……そうだったわね。」


私はフレアリカに神殺しの魔剣で刺されたことを思い出した。

他の傷は起きていたら治っていたけれど

神殺しの魔剣に付けられた傷だけは

魔法での回復を阻害されて

自然治癒力に頼るしかなく、まだ治らない


「わたし、最後があんまり覚えてないんだけど…

フレアリカは……その……どうなったの?」


「安心して、ちゃんとお姉ちゃんがやっつけたよ」


「そう……なんだ……」


「とりあえず…シャルロットが生きてて…

本当によかった………!」


「お姉ちゃんは本当に泣き虫お姉ちゃんだね。」

「う…うるさい……」


「これからもずっと…一緒って…約束だからねっ!」

「うん、約束するよ。お姉ちゃん」


私達は抱き合っているとそのまま


また深い眠りに堕ちていってしまった。

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