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白銀の魔皇と真紅の魔王編 魔王激突

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「ほう…?この我が身震いする程の恐ろしく巨大な魔力……」


「真紅の魔王の力が覚醒したのか。」



「今の……感覚は……いったい?」


「まるで、モルドレッドさんと魂の深い所で繋がったような……」


それに……あれは……あの真紅の魔力は

魔王サタニティよりも……いえ、魔王以上に…恐ろしい…



「い…いいえ、そんなわけがありません!

モルドレッドさんはモルドレッドさんのままです!」



「ほう流石だな、我が娘。

先程の魔力を正確に把握するとはな。」



壁を黒い極光が突き破り、魔王サタニティが現れた。



「貴様の想像通り、先の魔力の炸裂はまさしく

魔王の力の覚醒によるモノだ。」



「やっぱり…さっきのは…モルドレッドさんの…」



「そうだ、まさか、あの小生意気な吸血鬼が

ああもあっさりと魔皇剣に適合するとは思えなかったが

……なるほど、我が娘…貴様

あの吸血鬼と何度、魂の深き所で繋がった?

少なくとも、一度や二度の交わりではないだろう?」



「そ…それって…つまり…モルドレッドさんと…

エッチなことをした回数…ってことでしょうか…?」


「そうだと言っている。」


「そ…それ…は……えっと…やり過ぎて、数えきれません。」



「なるほど…貴様、内気な小動物のように見えて

案外、捕食者のように獰猛な肉食の獣なのだな?」



「う…うぅぅぅ……!!」


「まあいいだろう、我が娘の色欲の事情に

これ以上無駄に首を突っ込むこともなかろう。

それは、そうと」




「貴様の心配は正しいぞ、我が娘よ。」


「…え?」


「なんだ?気づいたのではないのか?」



「魔王の力に目覚めた者は、その絶大なる力を持つが故に

並び立つ者が居なくなり、永遠に孤独となる。」


「まさに、アルビオンのようにな。」


「何者も並ぶ者がいない最強と言える強さを得た

最果てにあるのは、何もかもが虚しくなる孤独だけだ。

比類する者がいなくなり孤独は心を狂わせる。

そして、人の意識を持っている事の意味を失くし

心も完成なる魔王と成っていく。」




「あの魔皇剣を振るえば振るう程

あの小生意気な吸血鬼は心を失くし壊れていくだろう。

いや、 もう既に壊れた後かもしれぬなあ?」



「モルドレッドさんが…そんな簡単に

力に心を支配されることなんて…あり得ませんよ!」


「そうか?人は力を手に入れ、自覚すると

誰もが心を力に呑まれて変質していくぞ?」


「こんな風にな…!!!」


「うっ!!ぐっ!!?」



体内の魔力を操られルミナの体が宙に浮く。


「さあ、貴様の魔王の力を覚醒させる時だ。」

「そして、我が真の力を取り戻させろ…!!」



ルミナの神核が魔王サタニティの力に呼応して


真紅の輝きを放ちながら魔力が高まっていく。


「ああ…あああ………ああああああああああ!!」


「痛い……苦しい……いや…嫌だ……怖いよ…」




「助け………て……お姉……ちゃん」






「………アンタ、わたしの妹を泣かせるんじゃないわよ?」



「………何?」


魔王サタニティの背後にモルドレッドが立っていた。



モルドレッドが冷酷な処刑人のような

獰猛な捕食者のような真紅の瞳を開眼させる。



魔力を零まで抑え圧縮していた

魔王としての魔力を数億倍まで増大させた

真紅の魔王の力を解き放った。 


真紅の終焉アポカリプス


モルドレッドの姿が幻のように掻き消え

魔皇剣の刀身が虚無を帯びて真紅に煌めいた。



魔皇剣と魔王サタニティの真紅の魔王剣がぶつかり合う



「ぐっ!!図に乗るなよ!小娘がっ!!!」



黒天魔無空虚星滅アストラルゼロ!!」



魔王サタニティが放った黒い太陽のような形を象った虚無は


モルドレッドが振るった魔皇剣の一撃により

真っ二つに切り裂かれ、一刀両断される。



「なんだと!?」

そして、黒天魔無空虚星滅アストラルゼロを切り裂いても


真紅の斬撃は止まることなく、魔王サタニティを大きく吹っ飛ばした。







「ほら、立てる?ルミナ、えっと…大丈夫…だった?」


ルミナに私は手を差し伸べる

すると、涙目のルミナが抱きついてきた。


「お姉…ちゃん…怖かった…です………ひぐっ!」


「……ごめんね…助けるのが遅くなって…?」


「ううん……大丈夫…です…お姉ちゃん……」


やっぱり魔王になってもお姉ちゃんは、お姉ちゃんのままだ。



「ルミナは、ここで待ってて」

「さっさとアイツをぶっ飛ばして帰りましょう!」







「ふむ、中々強くなったではないか?」


「それじゃあ、手加減はもういらないな?」



魔王サタニティから途方も無い程の魔力が放出されていく

そして、真紅の魔王剣が更に紅く染まり

より攻撃的な形状に変化していく。




「……やっぱり手加減してたの、アンタ性格悪いわね?」



「さあ、会話はもういいだろう?かかってこい

新たに誕生した真紅の魔王。」


「ええ、かかってきてやるわよ、クソッタレ魔王」



二人は同時に駆け出した。




真紅の終焉アポカリプス』で魔力を爆発的に強化させていた


モルドレッドが、先に攻撃を開始。

大地を大きく踏み込み、魔王サタニティに接近し


魔王サタニティを遥か先まで吹き飛ばした。




終焉焔獄炎滅弾ブレイズ・エンド!!!】

モルドレッドが漆黒の太陽を放ち

それを魔王サタニティの真紅の魔王剣が弾き

漆黒の太陽が爆ぜるとその爆風を突っ切って

モルドレッドが突撃し、互いに剣を激しく交わす。



「す…凄い…」


「この戦い………両者共に互角か?」


「モルドレッドさんの方が僅かに上…でしょうか?」


「うおおおおおおおおおあ!!!!」

「うりゃああああああああああああ!!!!」


二人の魔剣はぶつかり合い天地を引き裂き

暗雲を消し飛ばし、大地が裂け、大気を激しく揺らす。





シャルロットはその様子を遠くから見守っている


「おー、とうとう始まったか」


「さあて、勝つのはいったいどっちなんだろうな~?」







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