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最終第四章

・第四章と全編のあとがき

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・第四章と全編のあとがき


 こうして、リアラとルルヤの人生の物語の一つである【逆襲物語ネイキッド・ブレイド】は幕を閉じます。

 ですが、彼女達の人生も物語も、ここではないどこかで続いていきます。混珠こんじゅ世界や緑樹みき歩未あゆみのいる地球、あるいは全く違うどこかで。読者である貴方の心の中でも。そして、私や読者である貴方の人生という物語もまた続きます。これは、こうあるべきと望んだ物語としての結末で、終わらない物語と言う形での終わりとして、物語としてはしかと語りつくしたと思います。

 そして、現代社会と今のファンタジーに対して語りたかった事と今ファンタジーという題材で現代社会について語りたかった事についてですが……

 現実で幻想を踏みつけにするような物語や残酷で刺激的な展開ばかりを売りにする物語への異議も、その原因の一つとなる人の心を踏みにじる現代社会への抵抗と日々それに抗う物語を愛する人々への応援の気持ちも。

 物語を追い求めずにはいられない私達がその中で考えなければならないと思った事も、自分は自分だ自分でいたいという想いの善悪様々な側面も。

 物語を愛し表現する人間を却って苛む物語表現につきまとう現実としての人気や評価に関する問題への抵抗とそれに苦しむ人々への応援も。

 物語が大量生産大量消費され快適な物語が希求される中で物語と主人公は完璧でなければならないのか、不完全であってもいいのではないか、不完全だからこそ読者に寄り添える事もあるのではないかという葛藤も、人間存在や命の切実な儚さと喜びや悲しみについての人がいきるにおいてささやかでも助けになればと思う様々な考え方についても……

 私の心がインスピレーションという形で感じたリアラとルルヤとその仲間達と敵達の物語に添えて一先ず全てを語り終えました。

 異世界転生に関する事柄から始まった物語が、現実と物語に関する様々な物語へと発展し、最後にもう一度異世界転生に戻ってきて現実と物語に関する事柄を結び付けて語りつくしたという意味でも、やるべきことはやりつくしたと思います。

 今は語り終えてすっきりした感じと、すっかり全部吐き出した寂しさとが入り交じって、少し複雑な気分ですが、満足しています。

 どうかこの物語が、読者の皆さんを少しでも楽しませ、その心の助けとなれますように。そう祈りを込めて、この物語を書き終えさせていただきます。もしこの物語をお読みいただけたことが、読者の皆さんを少しでも楽しませ、その心の糧や助けとなれたのであれば、こんなに嬉しいことはなく、それは私にとっての何よりの幸いであり喜びであり救いでもあるのですから。


<そして最後のスペシャルサンクス>

 この物語を書くまでに私を生かしてくれた、生み育ててくれた家族と、全ての友人達に。

 この物語を書く中で知り合った全ての人々に。

 これまでの人生で触れた全ての物語とその作り手達に。

 リアラ、ルルヤ、そして敵も味方も全て含む、この物語の登場人物達に。この物語と平行して書いた他の小説とその登場人物達に。

 そして何より、こうして最後まで読んでくれた、この物語を読む事を通じて私と劇中のリアラとルルヤ達に力を与えてくれた読者の皆様に、最大限の感謝を!

 お読みいただき、ありがとうございました!
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みんなの感想(188件)

刀剣男
2020.02.05 刀剣男

最終話……この言葉に喜びと寂しさを感じつつ。

みんなの力を集めて強くなる……それは祈り、信仰によって強まる神の如く。
物語の勇者が諸国を巡り難事を解決する様子は、布教活動にも通ずるように思います。
誰かの為にと成した事が広まり、返される思いが集まって神と呼べる者となる。

「これこそ救い」と信じて成った神と、その神への反逆の願いによって成った神。
筆舌に尽くしがたい戦闘の模様は、それでも意思と意思、願いと願い、望みと望みのぶつけ合いの形だったのだと十二分に理解できました。
むしろ戦闘の規模だの何だのは「伝えたい事」の文字通りの装飾ですね。
両者の決め技「六神合体!?」と「タイトル回収」は素晴らしく熱いもので、やはり一刀両断で決まるのは最高にカッコイイ王道ですが。
「これだけ」と「それだけじゃない」の果てで決め手となったのは、やはり手にした「意思」だったのではないかと。

決着後の余韻、コミカルで茶目っ気たっぷりな会話はシリアス一辺倒にならない作風を感じて癒されて、語られることのないと言いつつ語られそうな、むしろ「私が語ってやろうか」と思わせる様々を思いつつ。

万感を込めようとしつつ、うまく回らない頭が恨めしい。
機会があれば、別の時間、別の場所で良き感想を贈らせていただきたく思います。

今はただ、良き物語に、そして誰もが持つ「果てしない物語」への応援に

ありがとう。



(ちょっと読み返し)
って、結局リアラが産んだんかい!?

博元 裕央
2020.02.07 博元 裕央

私もまさに、喜びと寂しさを感じております。
こちらこそ、最後まで応援していただきありがとうございます。本当に本当にありがとうございます。
リアラとルルヤが勝ち抜けたのも皆様のおかげです。

物語は救いであり、物語を紡ぐ英雄たちは、私たち物語を愛する者にとって、正に私たちをも救う英雄なのだと、そう、私は思っております。
異世界転生も、確かにひとつの救いであったと。この物語を通じてとことんまで異世界転生に付き合って改めて理解して。
だから『全能』はああいう奴で。
だけど、世界がそれだけで塗り潰されてしまうのは寂しいし、それ以外の物語も確かに救いなのだと、それらの物語を、それらの物語を愛する人綴る人を励ましたくて。
それらの物語を救いたくて、リアラもルルヤも戦って。
そう、正に、戦いの規模は思いの規模を示す要素で。
双方の決め技は、正にそんな感じで。
激しい戦いであり思いの吐露であり、それと同時に面白さも確かにあったというのであれば、それを伝えられた事、とても嬉しく思います。
リアラとルルヤの意思を伝えられたのであれば幸いです。
・・・「私が語ってやろうか」と言ってくれたこと、大変嬉しく思います。
万感の思い、確かに伝わりました。
改めてもう一度。私に良き物語と誰もが持つ果てしない物語への応援を成し遂げさせてくれた皆様に、心からの「ありがとう」を。

そして。
ええ、リアラが産みましたw
こう、最後に「って!?」ってオチになってくれたのであればこれまた幸いです。

本当に、最後まで、幸せで、嬉しくて・・・
この物語を、書いてよかったです。

解除
xyzxyz
2020.01.30 xyzxyz

最後まで、真の敵が見えづらかったですね。ラスボスも、宮崎駿の悪党ではありませんが、悪党というよりも「悲しい」という感じです。だけど、本当に敵はなんなのか、何のために戦うのか、わかりづらい現実を反映していると思います。

ニーチェではありませんが、すべてのものはナンセンス。因果律などなく、ただそこに存在しているだけなのかもしれません。
物語とは、因果関係を語ること。
ただ「存在する」・・・自分が主役ではなく、誰かのわき役・・・いえ、路傍の石になっていることに気付くのは耐えられません。

「シューレディンガーの猫」・・・誰もが「ふたを開ける人間」の立場を選びたいものです。間違っても「生きているか死んでいるか」わからない猫にはなりたくありません。

ただ、それを選ぶのが「人の意思」であり、「物語」なんですよね。
近頃聞いた話なんですが、「猫が死んでいるか生きているか」は、ひとえに観測者の「見る」という能動的な行為にかかっている。ということです。

つまり、「見て生死を確認する」ことで初めて現状がセレクトできるわけです。
もちろん、「死ぬか生きるか」なんて、誰にも分りません。
ただ、たとえ「死」の選択になっても、「それでも受け入れる覚悟」をした観測者がいないと、世界が成り立たない。という話です。

つまり「選択を受け入れる」には「意思」が働く。「選び取る」観測者の選択で世界は成り立っていく。これは「物語」を紡ぐことと似ていませんか?

乱暴にまとめました。
そんな量子論を彷彿させる話でした。さすがですね。

今はただ、お疲れ様。ゆっくり休んでくださいね。
ただ、ここまで物語というものに深く突っ込んだからには、その呪縛にもかかっていると思います。
この作品が、死んだ猫になるか、輝かしい主人公になるか。それは時が、読者が決めてくれるでしょう。
しかし、ここまで人気作品になったのだから、書き続ける義務が出てきたと思うんですが・・・。
いや「生きるため」に、書き続ける。
小林よしのりの言っていたように「最近小林も絞りかすになったなー。」となっても、書き続けるしかないと思うんですが。

では、また。

博元 裕央
2020.01.31 博元 裕央

戦う過程で改めて最終的に「異世界転生チートとは何か」を問い詰めていって、自分の中で異世界転生チートの意義や問題等について改めて考えていった結果、敵が劇中の登場人物からそういう物語の周辺の現実についてが、ある意味最終的な敵になった、だから主人公達は、それを主張的に乗り越える事で勝利する、故に最後の敵はそういった克服すべき理の一部としての神として(そして異世界転生というそれはそれで本来ひとつの救済の祈りであったものを体現する神という個性を示した上で)役割を終えて退場していく……そんな感じになりましたが、物語の主題としてこうするべきだと考えた結果です。
そしてそう、猫と観測者の例えで言えば、まさに見ること、物語る事についてはそんな感じですが、それに少し付け加えるならば、その例えで言えば一人ひとりが観測者である、なんであれば猫すら観測者になる事は出来る、覚悟が必要だが、救いの可能性をそれでも求める、救いの可能性を残せる……そんな物語に出来ればと思って書きました。
暫くは、流石に休みます。
実際この作品は私にも色々強い影響を与えてきました。作者としても驚くべき作品でした。
……それでも尚、次の作品のアイディアなんかが、やはり沸いてくるわけで。書けるかどうかは今後の状況次第ですが……ええ、生きるために、書き続けられる間は書き続けたいと思っています。逆襲物語ネイキッド・ブレイドの書き手であると同時に第ゼロ番目の読者でもある自分として、この物語を輝かしい主人公とし続ける為にも、この物語を書く中で見出した、物語愛を示して生きたいと思っています。
人気作品になったのだから、と、言ってくださりありがとうございます。
それでは、また、いつか別の物語で。

解除
刀剣男
2020.01.22 刀剣男

第九十七、八話。(まさかの二話更新!)

世界(ルール)が気に入らないからズルしたラトゥルハ(悪ガキ)。
決められた事に小さくとも抵抗するのが<子供>というもの。
紡がれたのはほんの少しの救いと、そこから繋がる大いなる前進。
個人的に元悪役令嬢と王子のやりとりが好きだな。

『永遠』の終焉。お前の物語。物語の何たるかが存分に語られた上の決着。
最後まで強いるか『全能』よ。
そして足掻いた末に文字通り繋がれた混珠側の決着。
祈りが力に。それはまるで……いや、まだ取っておきましょう。
そう、終わるまでは。

博元 裕央
2020.01.22 博元 裕央

植え付けられた敵意の人形としてでなく、ようやく子供として生きはじめたラトゥルハ。未来は未定だけど、この物語の終わる事が惜しくなります。
『悪嬢』はいいキャラに育ったと思います。だからこそ……もう一度出てきてほしかったのです。
『永遠』の終わりは、まさに物語の終わりの前触れで、物語論についても存分に語れたと思います。
『全能』の振る舞いは、『永遠』にとって因果応報ですが、それでも答えを得る事ができただけ、マシな結末であると言えましょう。そして、因果は巡ります。
次回、『全能』との最終決戦。ご期待下さい!

解除

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