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・第二十三話「蛮姫闘技場を知る事」
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「成程のう」
チェレンティ・ボルゾの為人を聞き、アルキリーレは猛々しく笑った。
「こんレーマリアにも、存外どうして、覇気と野心ばある男もいるではなかか」
「……覇気と野心のある男が好きかな?」
いや、愉快愉快、と、存外面白そうなアルキリーレに、カエストゥスとしてはそんなに覇気と野心のある男は好きか、と尋ねて。
(私は……こんな事を思うのは珍しいな)
これは、嫉妬だろうか、と、カエストゥスは内心驚いた。
広く愛し、悪意や嫌う事を苦手としてきた。己の命を狙われても、という意味では、己と言う存在はどこか危機感が足りないとすら思っていた。
なのに、己の命を狙った事より、アルキリーレが高評価をした事について負の感情を抱いたのだ。
これまで感じた事のない感情だった。
「どうじゃろか、良か敵じゃと思うが……中々分からんのう、好きとかいうこつは」
アルキリーレが恋愛や好意という心の理解に戸惑うのと、それは少し似ていた。
愛を知らぬ女と愛しか知らぬ男。
ともあれアルキリーレがそう言った事で、一旦カエストゥスはその感情を棚上げした。実際、アルキリーレとしてはあくまで現状好敵手登場という認識であった。
「さて、相手ば分かったんなら手はあっど。お主は何しろ執政官じゃろ。元老院議員を呼び出して話ばする口実は幾らでん作れるど。呼び出して斬ればよか。チェスト上意討ちじゃ、北摩でんよくあるこつぞ……ああーっと、まあ、証拠とか法的手続きとかいう奴は、ここまで威迫者から集めた分で足りればよかが、足りんならいっそ斬ってから屋敷を抑えればよか。隠滅する暇も無かし、威迫者も死んだ主に忠義立てするような殊勝さも無かろ、まああるならあるで叩き潰せばよかだけじゃが……強引じゃと思うじゃろうが、相手はそもそも非合法じゃっど。俺等だけお上品にしちょっても遅れば取るばかりぞ」
そしてアルキリーレはまた乱暴な提案をした。ただ、今回の乱暴さは考えた上での理由のある乱暴さであった。
「むむ……」
故に悩むカエストゥスであったが。
コツコツ
「お手紙が来ております」
「む。届けてくれてどうも」
ところがそこで、執務室の部屋がノックされ、元老院職員が手紙を届けてきて……一々きちんと笑顔で礼を言うあたりがこのカエストゥスという男が好かれる理由を感じさせるものだが……そこで残念ながらこの提案は終わってしまう事となった。
「……どうやら君の危惧が現実になってしまったなアルキリーレ」
差出人、チェレンティ・ボルゾ。
「先手を取られたようだ」
手紙の内容を確かめて苦い表情を浮かべると、カエストゥスはアルキリーレに手紙を渡した。
アルキリーレはざっと目を通す。綺麗な字で書かれた手紙の内容は、一見ごく普通のものであった。時節や政局について歓談したい、ついては己が主催する闘技場の大会が近々行われ、そこに席を取った故ご招待する、との事。
「しまった、遅かったか。罠じゃな。少し違うが、下の者が上の者ば己が屋敷の宴席に呼び出して殺すのも、よくある手じゃど」
アルキリーレも軽く舌打ちして顔をしかめた。
「どうするかな。体調不良を装ってすっぽかすかい?」
「中々知恵が回っのう」
対決する・打倒するのではなく逃げる・隠れる方向なら意外と手を思いつくカエストゥス。少し感心したアルキリーレだが。
「確かにそいは安全ちゅう点では見事な手じゃが……その方向性で行くと事ば為すのに時間がかかるの。……厄介な。俺も少し考えるが、そもそもレーマリアの闘技場や剣闘士について、ちょっと教えてくれんかのう」
時間をかけて威迫者を締め上げ続ければ合法的にチェレンティを逮捕するだけの証拠を揃えられるかもしれないが、その間カエストゥスは暗殺のリスクに晒され続ける。カエストゥスだけではない、相手も煮詰まればペルロやカエストゥスの女達に手を出す可能性も出てきかねない。そうなると刺客を容易く退けられるアルキリーレが一人しかいない為、守り抜くのが困難になってくる。
更に言えば、今は休戦状態にある東吼との戦争が再開する可能性も見過ごせないリスクだ。腹背に敵を抱えては、詰みである。
故にアルキリーレは、他の策も模索する。そして、その為に知識を求めた。レーマリアの事は北摩時代からある程度調べていたが、それはあくまで外から戦う為の情報が主で、内部の情報においてはより詳しく知りたい事もある。
「うむ」
「有難い」
腕組み目を瞑り考えを巡らせ始めるアルキリーレに、カエストゥスは語る。
闘技場。本来はその名の通り剣闘士による闘技を行う場。
剣闘士。戦いを見せる事を務めとさせられた存在。
かつてレーマリア帝国が領土を拡大し四方諸族を制圧していった尚武の帝国であった頃に生まれ、当時は大いに栄えた。
戦争捕虜や駆り集められた奴隷や犯罪者等が剣闘士とさせられ、戦わされた。
必ずしもどちらかの死をもってのみ決着する必殺の戦いではなく、決定的にどちらかかの勝利が確定した段階で敗者の戦いぶりが見事であれば助命決着もありうるものであったが、命懸けの危険な戦いである事に代わりはなく。
しかし同時に捕虜や奴隷や犯罪者といった社会の底辺に押し込められた存在にとっては希少な栄達の手段であり、勝利を重ねる事で自由となる者、富を築く者、貴族に戦士として抱えられる者もいた。
当時はそれによりレーマリアの民は血に慣れ、兵士となる事、戦う事を肯定したとも言われている。
だが帝国が拡大を止め繁栄に爛熟し平和を謳歌する事になった為娯楽が増えた事もあって人気も下落し、奴隷制度の停止や戦をしなくなった事による捕虜の供給停止等もあって最近は廃れ気味で、闘技場も剣闘士興行より運動大会や戦車競走、競馬や歌劇等に使われる事も多くなった。
とはいえ剣闘士興行が無くなった訳ではなく古典的な催しとして継続している。奴隷や捕虜の供給は無くなったがその代わり貧困層が借金返済の為等に剣闘士となるようになった。殊に南北摩等の属州民に多く、人道主義的なカエストゥス政権としては貧困階級の救済を掲げて経済的な支援を行いそもそも貧困になる事をなくそうとしているだけでなく、木剣を用いる等して危険性を低下させた試合等も行われるようにする等もしているが……流石に社会から貧困を完全に駆逐する事は難しく、また剣闘士興行愛好者や利権や賭博等威迫者犯罪組織の関与もあって抵抗も多く複雑でややこしい、恐らくチェレンティの今回の事も威柏者を通じての繋がりだろう。
そう、カエストゥスが説明を終えると同時に。
「良か。手ば思いついたど。流石に危険が無い訳では無かが、上手くすればけりばつけられる。どうすると?」
アルキリーレは目を見開き、カエストゥスに問うた。
「話を聞こう」
そしてカエストゥスは信頼する軍略相談役に意見を求めた。
チェレンティ・ボルゾの為人を聞き、アルキリーレは猛々しく笑った。
「こんレーマリアにも、存外どうして、覇気と野心ばある男もいるではなかか」
「……覇気と野心のある男が好きかな?」
いや、愉快愉快、と、存外面白そうなアルキリーレに、カエストゥスとしてはそんなに覇気と野心のある男は好きか、と尋ねて。
(私は……こんな事を思うのは珍しいな)
これは、嫉妬だろうか、と、カエストゥスは内心驚いた。
広く愛し、悪意や嫌う事を苦手としてきた。己の命を狙われても、という意味では、己と言う存在はどこか危機感が足りないとすら思っていた。
なのに、己の命を狙った事より、アルキリーレが高評価をした事について負の感情を抱いたのだ。
これまで感じた事のない感情だった。
「どうじゃろか、良か敵じゃと思うが……中々分からんのう、好きとかいうこつは」
アルキリーレが恋愛や好意という心の理解に戸惑うのと、それは少し似ていた。
愛を知らぬ女と愛しか知らぬ男。
ともあれアルキリーレがそう言った事で、一旦カエストゥスはその感情を棚上げした。実際、アルキリーレとしてはあくまで現状好敵手登場という認識であった。
「さて、相手ば分かったんなら手はあっど。お主は何しろ執政官じゃろ。元老院議員を呼び出して話ばする口実は幾らでん作れるど。呼び出して斬ればよか。チェスト上意討ちじゃ、北摩でんよくあるこつぞ……ああーっと、まあ、証拠とか法的手続きとかいう奴は、ここまで威迫者から集めた分で足りればよかが、足りんならいっそ斬ってから屋敷を抑えればよか。隠滅する暇も無かし、威迫者も死んだ主に忠義立てするような殊勝さも無かろ、まああるならあるで叩き潰せばよかだけじゃが……強引じゃと思うじゃろうが、相手はそもそも非合法じゃっど。俺等だけお上品にしちょっても遅れば取るばかりぞ」
そしてアルキリーレはまた乱暴な提案をした。ただ、今回の乱暴さは考えた上での理由のある乱暴さであった。
「むむ……」
故に悩むカエストゥスであったが。
コツコツ
「お手紙が来ております」
「む。届けてくれてどうも」
ところがそこで、執務室の部屋がノックされ、元老院職員が手紙を届けてきて……一々きちんと笑顔で礼を言うあたりがこのカエストゥスという男が好かれる理由を感じさせるものだが……そこで残念ながらこの提案は終わってしまう事となった。
「……どうやら君の危惧が現実になってしまったなアルキリーレ」
差出人、チェレンティ・ボルゾ。
「先手を取られたようだ」
手紙の内容を確かめて苦い表情を浮かべると、カエストゥスはアルキリーレに手紙を渡した。
アルキリーレはざっと目を通す。綺麗な字で書かれた手紙の内容は、一見ごく普通のものであった。時節や政局について歓談したい、ついては己が主催する闘技場の大会が近々行われ、そこに席を取った故ご招待する、との事。
「しまった、遅かったか。罠じゃな。少し違うが、下の者が上の者ば己が屋敷の宴席に呼び出して殺すのも、よくある手じゃど」
アルキリーレも軽く舌打ちして顔をしかめた。
「どうするかな。体調不良を装ってすっぽかすかい?」
「中々知恵が回っのう」
対決する・打倒するのではなく逃げる・隠れる方向なら意外と手を思いつくカエストゥス。少し感心したアルキリーレだが。
「確かにそいは安全ちゅう点では見事な手じゃが……その方向性で行くと事ば為すのに時間がかかるの。……厄介な。俺も少し考えるが、そもそもレーマリアの闘技場や剣闘士について、ちょっと教えてくれんかのう」
時間をかけて威迫者を締め上げ続ければ合法的にチェレンティを逮捕するだけの証拠を揃えられるかもしれないが、その間カエストゥスは暗殺のリスクに晒され続ける。カエストゥスだけではない、相手も煮詰まればペルロやカエストゥスの女達に手を出す可能性も出てきかねない。そうなると刺客を容易く退けられるアルキリーレが一人しかいない為、守り抜くのが困難になってくる。
更に言えば、今は休戦状態にある東吼との戦争が再開する可能性も見過ごせないリスクだ。腹背に敵を抱えては、詰みである。
故にアルキリーレは、他の策も模索する。そして、その為に知識を求めた。レーマリアの事は北摩時代からある程度調べていたが、それはあくまで外から戦う為の情報が主で、内部の情報においてはより詳しく知りたい事もある。
「うむ」
「有難い」
腕組み目を瞑り考えを巡らせ始めるアルキリーレに、カエストゥスは語る。
闘技場。本来はその名の通り剣闘士による闘技を行う場。
剣闘士。戦いを見せる事を務めとさせられた存在。
かつてレーマリア帝国が領土を拡大し四方諸族を制圧していった尚武の帝国であった頃に生まれ、当時は大いに栄えた。
戦争捕虜や駆り集められた奴隷や犯罪者等が剣闘士とさせられ、戦わされた。
必ずしもどちらかの死をもってのみ決着する必殺の戦いではなく、決定的にどちらかかの勝利が確定した段階で敗者の戦いぶりが見事であれば助命決着もありうるものであったが、命懸けの危険な戦いである事に代わりはなく。
しかし同時に捕虜や奴隷や犯罪者といった社会の底辺に押し込められた存在にとっては希少な栄達の手段であり、勝利を重ねる事で自由となる者、富を築く者、貴族に戦士として抱えられる者もいた。
当時はそれによりレーマリアの民は血に慣れ、兵士となる事、戦う事を肯定したとも言われている。
だが帝国が拡大を止め繁栄に爛熟し平和を謳歌する事になった為娯楽が増えた事もあって人気も下落し、奴隷制度の停止や戦をしなくなった事による捕虜の供給停止等もあって最近は廃れ気味で、闘技場も剣闘士興行より運動大会や戦車競走、競馬や歌劇等に使われる事も多くなった。
とはいえ剣闘士興行が無くなった訳ではなく古典的な催しとして継続している。奴隷や捕虜の供給は無くなったがその代わり貧困層が借金返済の為等に剣闘士となるようになった。殊に南北摩等の属州民に多く、人道主義的なカエストゥス政権としては貧困階級の救済を掲げて経済的な支援を行いそもそも貧困になる事をなくそうとしているだけでなく、木剣を用いる等して危険性を低下させた試合等も行われるようにする等もしているが……流石に社会から貧困を完全に駆逐する事は難しく、また剣闘士興行愛好者や利権や賭博等威迫者犯罪組織の関与もあって抵抗も多く複雑でややこしい、恐らくチェレンティの今回の事も威柏者を通じての繋がりだろう。
そう、カエストゥスが説明を終えると同時に。
「良か。手ば思いついたど。流石に危険が無い訳では無かが、上手くすればけりばつけられる。どうすると?」
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