お嬢様と執事は、その箱に夢を見る。

雪桜 あやめ

文字の大きさ
280 / 289
エピローグ

愛の証

しおりを挟む
*注意*
普段より、大人な回です。読む際は、ご注意ください。


✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣


 絡めていた指を握り返され、結月は呆気に取られた。

 いわゆる恋人つなぎのような状態になり、たまたまか?とも思ったが、どうやら、たまたまではないらしい。

「何してるの?」

 と、耳元で、甘い声が囁きかけてきた。

 その声は、ずっと聞いてきた執事の声だった。
 優しくて、愛おしい──恋人の声。

「レオ、起きてたの?」

「今、起きたんだよ。それに、こんなことされたら、目も覚める」

 そう言うと、レオは繋がった結月の手を引き寄せ、指先にキスをした。

 形のいい唇が、ついばみながら何度と口付け、指先を這う。それは、ほんの囁かな愛情表現だった。

 でも、そんな囁かなキスですら、胸を熱くするのに、十分すぎるほどの威力がある。

 だが、結月は、そんな感情を必死に押し込めると

「ごめんなさい。疲れてるのに起こしちゃったわ。まだ寝ていいのよ?」

「いや、もういいよ。それより、少し付き合って?」

「え?」

 すると、今後は、結月の上に覆いかぶさり、レオは、首筋に顔をうずめてきた。

 結月の細い首筋に、レオが優しく吸い付けば、その這い上がるような刺激に、結月の身体は一気に熱くなる。

「ん、レオ……ッ」

「跡、つけていい?」

「だ……ダメっ」

 だが、繋がった手を、布団の上に押し付けられれば、思うような抵抗はできない。

 すると、不規則なリップ音が響く中、あっさり一つ目の跡を付けられた。

 甘い疼きに、自然と身体の力が抜けていく。
 すると結月も、レオの唇を素直に受け入れ始めた。

「ん、ふ……まだ、付けるの……?」

「うん、一つじゃ足りない」

 すると、二つ目のキスマークをつけはじめたレオを見て、結月は頬を赤らめた。

 まるで、自分のものだと主張するように、愛の証を刻みこまれる。そして、二つ目の跡をつければ、レオは、満足そうに、それを見つめた。

 屋敷の中では、絶対に付けてはいけない場所。
 だからか、その跡を見て、より実感する。

 やっと、夢がかなった。
 やっと結月と家族になれた。

「結月。もう、二度と離さない」

 そう言って、独占欲を剥き出しにしたレオは、次に、結月の唇へと口付けた。

「ふっ、ん……はっ」

 深く深く唇を交せば、吐息が交わる度に苦しくなった。息の仕方は、レオに教えてもらったはずだった。

 それなのに、こうしてレオのペースに巻き込まれてしまうと、それすらままならなくなる。

 でも、このまま流されていいの?
 レオは、朝起きれないほど、疲れてるかもしれないのに……

 そう思うと結月は、レオの肩に手をやり

「はぁ……レオ、待って……やっぱり、やめましょう。こんな時間からなんて……っ」

「時間なんて気にしなくていよ。ここには、俺たちしかいないんだから」

「でも……レオ、昨日も引越し作業で……忙しそうだったし……ちゃんと休んで、疲れを取らないと……っ」

「相変わらず、俺の心配ばかりだな。でも、大丈夫だよ。一晩、休んで回復したし。それに、結月の身体、凄く熱くなってる」

「……ッ」

 夜着を乱し、結月の肌に触れたレオは、ゾクリとするほど色っぽい笑みを浮かべた。

 なにより、ほてり出した身体は、もう鎮まることがなく、ひんやりとした室内には、再び熱い吐息が混ざり合う。

 それに、今、この家には、二人しかいなかった。
 駆け落ちをして、ようやく結ばれた執事とお嬢様。

 そして、そんな二人を邪魔するものは
 ここには、誰一人としていないのだから──

「にゃ~ん」
「「!?」」

 だが、その瞬間、声がした。
 空間を引き裂くように木霊したのは、可愛い可愛い愛猫の声。

 そして、レオと結月がゆっくりと顔を向けると、そこには、寝床から抜け出したルナが、ゆらゆらとしっぽを揺らしながら、こちらを見つめていた。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

処理中です...