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夏休み編
35話「サマータイムツインズ肆」
しおりを挟む新川優希、ゆいとお祭デート!!!!
少し歩いた港がお祭会場である。
20時には花火が上がるらしい。
「人混み凄いね~」
「ゆい、あんま離れるなよ」
「う、うん。」
「ほら。」
つい、なのか?手を差し出してしまった。
「あ、今のは違う。」
「繋いで良い?手?」
「う、うん」
久々に行った街
変わった風景
変わらない風景
久々に会った人
変わった所
変わってない所
正直お父さんがこの街で学生生活を過ごしてたのが羨ましさも感じる。
もし、この街に生まれたら
もし、ゆいやかおりと同じ学校に通っていたら
もし、なんて事を考えてしまった。
それぐらい、手を繋いだ時にドキドキしてしまった。
俺は弱い男だ…
ついこの前振られてついこの前絶対風夏がまた振り向いてくれるような男になるって
そう誓ったはずなのにな…
「なんか恥ずかしいね…」
「そ、そうだな…」
・
・
・
「いい感じじゃない、優希もゆいも!陸部のみんなと行くって嘘ついて良かったわ~」
「な、なにやってるのよあいつ~」
「え?」
「え?」
「あの、モデルの桃花さんですよね?」
「も、も、桃花?そんな人知りませんねぇ~」
「あの、流石に無理あるっすよ…」
「うーんとあなたは?」
「優希の友達で今手を繋いでるゆいって子の双子の姉です」
「あなた、優君の友達?」
「は、はい…なんか思った印象と違う…」
「優君って本当天然たらしよね…」
「そうなんですか?」
「あいつね、私の事振ったのよ、好きな人と付き合うためにね…」
「え、じゃあ優希は今…」
「でも、その人と付き合ってすぐ別れたのよ。」
「え?」
「あいつが優君を傷つけるってことはないと思うんだけど…」
「じゃあ結局今優希は?」
「振られてどうなったは知らないけど多分心癒す為にこの街に来たんじゃないかしらね?
私もこの街初めて来たけどいい街じゃない!」
「そっか、じゃあゆいにも優希を振り向かせることができれば…」
「うーん難しいんじゃないかな?あの人最近まで付き合ってた人の事本気で好きだったし…」
「てか、なんで桃花さんが優希の事尾行してるんですか?」
「後ろめたさ、かな…私のせいで風夏さんと別れちゃった訳だし。」
「そうなんですね、なんか色々ありますね…」
「おい!桃花何やってんだ?」
「びっくりした、和也!!」
「お前、一応は人気モデルなんだからうろちょろすんなよ!行くぞ!」
「桃花さんとイケメン消えたし、私は一人で尾行させてもらうよ。
ゆい、頑張れ!」
・
・
・
子供の頃にきた以来だったけどやっぱここのお祭は凄いな。
「ゆい、お腹空いてない?」
「私、ベビーカステラ食べたい。」
「あれ美味いよな。」
「うん、なんて言うかちょっと安っぽい味がまた美味しいんだよね~」
こうして俺たちはお祭りを楽しんだ。
「こんなにはしゃいだの久しぶりだったわ。」
「そろそろ花火の時間だけどどうする?」
「せっかくだし一緒に見ようぜ~」
「うん!」
ズキッ
「うっ…」
「ゆい、どうした?」
「ううん、なんでもない…」
「おい、下駄痛いんじゃないのか?」
「いや、本当に大丈夫だよ。」
「いや、駄目だ。ヨイショ。」
「え?」
痛そうにしてるゆいをおんぶしてしまった。
「近くに休めそうな所あるか?」
「でも花火が…」
「分かった、じゃあ明日タイムカプセル掘った後みんなで花火しよう。
それじゃ駄目?」
「それでも全然いいよ、むしろごめんね。」
こうして俺たちはお祭りを抜け出してよくみんなで遊んだ公園まで歩いてきた。
「あれ、ゆいも優希も見失ったんですけど??」
・
・
・
「よし、着いたぞ。」
「ありがとう。」
「絆創膏とか持ってるか?」
「うん!一応持って来てた。」
「良かったわ。」
「優希君おっきくなったね、手とか、背中とか、なんかすごく大人になっててびっくりしちゃった。」
「俺だって、ゆいもかおりも成長しててびっくりしたよ。」
「10年ぶりだもんね。」
「うん、本当はさ別に今年の夏はこっち来るつもり無かったんだ。
でも、最近人生初めて彼女ができたんだよね。」
「え?」
「でもさ、アニメみたいな信じられないことが沢山起こって、色んな人を守りたくて、その結果一番好きな人の事を考えられなくてさ、
昔から困ってる人みんなほっとけなくて、その結果彼女を悲しませちゃったんだ。
それで振られたんだ…よね…」
情けねぇ泣いてしまった。
ゆいも困ってるかもな…
「振られたこともそうだし、そのせいで悲しませたことも、でも俺また振り向かせるって言ったんだ…でもどうすればいいか分からなくて
逃げたくて、ついこの街に夏休みだからって来ちゃったんだ…
俺、夢なら覚めてほしいし、俺だって辛いって弱音を誰かに吐きたかったのかもな…」
「そ、そんなことないよ。」
「え?」
「優希君はずっと誰よりも優しくて素直で、だって初めて会った夏にいじめられてた私を守ってくれたし、私の長い髪を綺麗だって言ってくれたし。
てか、私なら絶対、絶対優希君を悲しませるようなことしないもん。弱音沢山吐いていいよ、私もたまにある。
嫌なことがあった時とかにさ、全く今の人間関係を知らない人に愚痴ってスッキリしたい時とかあるよ。
だから辛いって言いてくれてありがとう。私の前で素直になってくれてありがとう。だから…」
「ありが…」
正直、全く気にもしてなかったというか絶対そんなことないと思って俺は油断していた。
そう。ゆいにキスされたのだ。
「え…」
「まぁ辛い時こそ笑顔だよ!!じゃ、明日も早いし私帰るね~おやすみ、優希君」
「おやす…」
って‥逃げるように小走りでゆいは去っていった。
ー続くー
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