「ギャルゲーの親友ポジに憧れた俺が、なぜかモテてしまう話。」

はっけよいのこっ太郎

文字の大きさ
67 / 69
最終章 卒業

62話「HARUKAZE」Side 翼

しおりを挟む

すぎる日々はあっという間に‥
ついに卒業式当日。
今回は翼目線の話。

おはようございます。
今井翼いまいつばさです。
卒業式当日‥はっきり言って今まで先輩が居なくなる事はどちらかと言えば喜びの方が大きかった気がする。
でも、今日はすごく寂しさが勝つ気がする。

そして俺は最初で最後のこはるとの2人で登校をする事になっていた。

「おはよう、翼君。」

「おはようございます。」

「一回きりだけど2人きりで登校できるの嬉しいわね。」

「はい、もっと早くに告白してれば良かったなとか思ってます。」

「付き合えたのもタイミングみたいなもんがあったんじゃ無い?
私あんま彼氏が欲しいとか思わなかったし。」

「まあそうですよね。」

「翼君だから一緒に居たいって思っただけだしね。」

「素直に嬉しいです。てかこはるって結構恥ずかしげも無くそういう事言いますよね?」

「そう?どうしても言葉で伝えないと伝わらないじゃない?だから私は相手に言いたい事は絶対言うようにしてるのよ。」

「その考えかっこいいです。俺も諦めないで良かったって思いますよ。」

最初で最後の登校は手を繋いだ。
周りの目が気にならないぐらいに本当は緊張していた。

日向ひなたさん、おはよう!
噂になってたけど本当に彼氏できたんだね?」

「おはよう。噂になってるのね‥」

「おはようございます。2年の今井翼です。」

「なんか年下だし、イケメンな彼氏でびっくりした!」

「あ、ありがとうございます。」

「じゃ、またクラスでね~」

「うん!」

何となくイケメンと言われた事が少し嬉しかった。

「ちょっと、翼君?」

「はい?」

「他の子にイケメンって言われて喜んでたよね?」

「す、すいません‥」

「翼君のかっこよさは私だけが知ってれば良いのよ。」ボソッ

意外と独占欲の強いこはるからの囁きが嬉しくも怖かった。

「大学行っても俺のこと忘れないでくださいよ?」

「当たり前じゃない!大丈夫よ。」

こはるの何気ない言葉が俺を勇気付けてくれる。

「もう学校着いちゃいますね。」

「そうね、じゃあ少し遠回りでもする?
まだ時間もあるし‥」

そうして俺たちは無駄に遠回りした。








「や、やばい!」

「はい!ちょっとゆっくりしすぎましたね‥」

遠回りしたい気持ちがお互い強くなりすぎた結果ギリギリになってしまった。

「あの、また後で!」

「うん。卒業式終わったらまた会おうね。」

.

.

.


「おはよ、翼!」

「おはよう優希ゆうき。」

「どうだった?最初で最後の登校デートは?」

「あれだな、恥ずかった。なによりも、知らん先輩に沢山話しかけられてさ、でもこはるも結構堂々としてたのが意外でさ~」

「でも良かったな。」

「うん、それだけは間違いないよ。」

「俺もさ、なんだかんだで2人で登校するのは初めてだったからさ、いつもの道が違うように見えてよ!なんかドキドキした。」

「ハハッ!」

「何で笑うんだよ!」

「いや、だってよ、こんな俺達がまさか一年でこうも変わるとはな~って思ってさ!」

「翼、本当に明るくなったよな。」

「何だよいきなり、優希だって相当変わったよ。良い意味でな。」

去年の俺らに自分達とは全然違う凄い先輩達と付き合ってると言って信じてくれるのだろうか、なんて事を思ってしまった。
優希のおかげで俺らの人生はめちゃくちゃに変わったと思う。

当時の俺らからは想像出来ないほど濃い一年を過ごした。

来年の俺らはどんな風になってるんだろうか‥


「じゃあそろそろ2年の移動時間だからみんな準備しとけよー。」

先生の言葉と共に卒業式が始まった。

国歌斉唱や卒業証書授与式などどんどん演目が進んでいく中で若干の眠気を感じていた。


「続きまして在校生送辞。
在校生代表、入江裕翔いりえゆうとさんお願いします。」

「はい。」

「厳しい冬の寒さの中にも、春の訪れを感じることの出来る季節となりました。本日、晴れてこの裏原高等学校卒業式を迎えられた第五十二期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。在校生を代表し、心よりお祝い申し上げます。

.

.

.

先輩の皆様、私たちは先輩方の後輩としてこの学び舎でともに生活できたことを心から誇りに思います。これまで本当にありがとうございました。 先輩方のご健康とご活躍を祈念して、在校生代表の送辞とさせていただきます。 」

生徒会とか大変な事をやってる人って凄いなとか何となくそういう事を考えていた。
入江君よ、話した事無いけど良い送辞だったぞ。


「ありがとうございました。続きまして卒業生答辞、卒業生代表、朝比奈風夏あさひなふうかさんお願いします。」

流石は朝比奈先輩だ。
確かにこの学校は朝比奈先輩を中心に回っていたと言っても過言では無い。

「はい。」

「暖かい陽の光が降り注ぎ、桜の蕾も膨らみ始め、春の訪れを感じる今日、私たち三十回生は卒業の日を迎えました。本日、お忙しい中、私たちのためにご臨席くださいました皆さま、誠にありがとうございます。
いま思い返してみると、裏原高校で過ごした三年間はあっという間でした。
勉学はもちろん部活動に励んだ者、文化祭、体育祭や修学旅行など色んな行事に励んだ者。
生徒は十人十色、きっと楽しく無いと思ってた人もいるでしょう。
私も顔が良いからとチヤホヤされたり、勉学に励んでも妬まれ努力しない者に後ろ指を刺される事も沢山ありました。」

意外と良い意味で性格の悪さが輝いていた。
やはり優希と付き合うだけあってかなり尖っていた。

「でも特にこの高校3年生になってからの一年は輝いてました。素直になれる場所を見つけて素直になれる人が居て初めて自分は本当は幸せなんだなと改めて実感しました。
私は出会いも別れも全部含めて運命だと思ってます。普段は照れくさくて言えないけど、家族や先生や学校の皆様、本当にいつもありがとう。
最後になりますが今後も生きてく中で辛いことや逃げたくなる事も沢山あると思いますがこの学校であった沢山の嬉しい事や幸せな時間を思い出しこれからも前を向いて歩いて行きたいと思います。
浦原高等学校のますますのご発展を心より祈念して、答辞といたします。」

最後の言葉が先輩達との別れにも感じた。
終わりがもう近いんだと改めて思わされた。


ー続くー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...