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最終章 卒業
61話「HARUKAZE」Side 優希
しおりを挟むすぎる日々はあっという間に‥
ついに卒業式当日。
おはようございます。
新川優希です。
ついに今日3年の先輩達が卒業してしまいます。
という、事は俺は自然と3年になり受験生になり‥まああれだ、考えたくない事が沢山ある。
何よりも、風夏や日向先輩が居なくなる事が寂しすぎるのである。
「おはよう、優希君。」
「え、風夏‥」
家の方向が逆だから普段は朝は絶対に会わないのに目の前に風夏がいた。
「今日、最後の登校じゃない?だから今日ぐらい一緒に行こうかなって思ってさ。」
「むしろ、良いの?だって日向先輩とか‥」
「こはるには振られたわ、最後に今井君と登校するんだとさ~」
「抜かりないですね‥」
「そうなのよ~、まあ気持ちも分からなくないよね。」
「そうだね!じゃあ最後に満喫しちゃおうかな!」
「ねぇ、せっかくだし‥」
そう言って風夏は手を差し出してきた。
「もちろん。」
去年の今頃の俺は対して何にも興味が無かった。
ある意味死んだような生活をしていたと思う。
ほぼ何の記憶もない
去年の先輩の顔なんて1人も知らないし、卒業式の記憶どころか今となっては文化祭とか体育祭の記憶すら怪しい‥
もし、過去の俺が見たらビックリするだろうな‥
こんなに俺が、俺の周りが変わった事を。
何も感じない登下校も全部が色付いたように感じる。
手を伸ばさずに欲していた幸せを本気で動いて本気で手を伸ばした結果だと思う。
「風夏、本当にこの一年ありがとね。」
「何よ急に~」
「いや、何となく言いたくて。」
終わって欲しくないなこの日々‥
そんな事を考えながらもあっという間に学校に着いてしまった。
「じゃあまた後でね、優希君。」
「はい!」
.
.
.
「おはよ、翼!」
「おはよう優希。」
「どうだった?最初で最後の登校デートは?」
「あれだな、恥ずかった。なによりも、知らん先輩に沢山話しかけられてさ、でもこはるも結構堂々としてたのが意外でさ~」
「でも良かったな。」
「うん、それだけは間違いないよ。」
「俺もさ、なんだかんだで2人で登校するのは初めてだったからさ、いつもの道が違うように見えてよ!なんかドキドキした。」
「ハハッ!」
「何で笑うんだよ!」
「いや、だってよ、こんな俺達がまさか一年でこうも変わるとはな~って思ってさ!」
「翼、本当に明るくなったよな。」
「何だよいきなり、優希だって相当変わったよ。良い意味でな。」
きっと去年のまま何もしなければ何も変わらず先輩の顔を覚えずそのまま時を過ごしてたと思う。
でも何か行動する事が自分の未来を変えてくんだと改めて実感した。
「じゃあそろそろ2年の移動時間だからみんな準備しとけよー。」
先生の言葉と共に卒業式が始まってしまった。
国歌斉唱や卒業証書授与式などどんどん演目が進んでいった。
「続きまして在校生送辞。
在校生代表、入江裕翔さんお願いします。」
「はい。」
「厳しい冬の寒さの中にも、春の訪れを感じることの出来る季節となりました。本日、晴れてこの裏原高等学校卒業式を迎えられた第五十二期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。在校生を代表し、心よりお祝い申し上げます。
.
.
.
先輩の皆様、私たちは先輩方の後輩としてこの学び舎でともに生活できたことを心から誇りに思います。これまで本当にありがとうございました。 先輩方のご健康とご活躍を祈念して、在校生代表の送辞とさせていただきます。 」
送辞を呼んだ生徒会長とは一度も話した事無いが少しチャラくも優しい所から生徒人気もある男である。
「ありがとうございました。続きまして卒業生答辞、卒業生代表、朝比奈風夏さんお願いします。」
え??
風夏答辞なんか読めるのかと一瞬思ってしまった。
「はい。」
「暖かい陽の光が降り注ぎ、桜の蕾も膨らみ始め、春の訪れを感じる今日、私たち三十回生は卒業の日を迎えました。本日、お忙しい中、私たちのためにご臨席くださいました皆さま、誠にありがとうございます。
いま思い返してみると、裏原高校で過ごした三年間はあっという間でした。
勉学はもちろん部活動に励んだ者、文化祭、体育祭や修学旅行など色んな行事に励んだ者。
生徒は十人十色、きっと楽しく無いと思ってた人もいるでしょう。
私も顔が良いからとチヤホヤされたり、勉学に励んでも妬まれ努力しない者に後ろ指を刺される事も沢山ありました。」
おいおい言い過ぎじゃ無いのか風夏さんよ‥
「でも特にこの高校3年生になってからの一年は輝いてました。素直になれる場所を見つけて素直になれる人が居て初めて自分は本当は幸せなんだなと改めて実感しました。
私は出会いも別れも全部含めて運命だと思ってます。普段は照れくさくて言えないけど、家族や先生や学校の皆様、本当にいつもありがとう。
最後になりますが今後も生きてく中で辛いことや逃げたくなる事も沢山あると思いますがこの学校であった沢山の嬉しい事や幸せな時間を思い出しこれからも前を向いて歩いて行きたいと思います。
浦原高等学校のますますのご発展を心より祈念して、答辞といたします。」
なんとも風夏らしい真っ直ぐな答辞だったな。
ー続くー
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