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第4話『ミラ。君の夢はなんだ?』 2/4
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「わた、しの、夢は……世界を、自分の足で、巡りたい」
「そうか。子供らしい。良い夢だな。すまない。俺も少し余裕が無かった様だ」
「オーロさんは、でも、きっと、すぐにでも、亡くなった方に会いたいのでは」
「それはそうだがな。そうやって自分の為だけに君を利用すれば……あの子たちは俺を許さないだろうさ。だから、俺も君の夢にも協力しよう」
「オーロさん……!」
「なら、とりあえず一時休戦だな。オーロとやら」
「そうなるな。シュン。で良かったか?」
「あぁ。構わん」
シュンさんとオーロさんは笑い合いながら武器を収め、何だか分からないままに、私の夢も叶いそうな雰囲気が出てきた。
現金な物だが、私は嬉しくなり、思わず二人に駆け寄って笑っていた。
「あの、その、よろしくお願いします!」
「あぁ」
「……ところでオーロ。お前、子供の相手は得意か?」
「それなりだな。お前は? シュン」
「まぁ、それなりだ」
「そうか。ではとりあえず俺が連れて行こうか。後ろは任せても?」
「あぁ。問題無い……!」
ピリッと、空気が弾けた様な気配があった。
そして、私はオーロさんに抱き上げられ、先ほどと同じ様な速さで家の外に向かって走る。
瞬間、オーロさんの背中で何かが爆ぜた。
「……どこへ行く。この誘拐犯共め」
「お姉様!!」
「ミラ。すまないな。少々油断した。しかし、今すぐ助け出してやる。少し待ってろ!」
「お姉様! 私は!」
「風よ!! 奴を逃がすな!!」
私はオーロさんの腕の隙間からお姉様を見て、その腕がレイピアと共に横に一閃されたのを光の軌跡で見た。
そして次の瞬間に突風が生まれ、オーロさんに向かって飛んでくる。
「シュン!」
「この程度。問題にはならん」
「なっ!?」
しかし、お姉様の放った一撃はシュンさんが立ち塞がるだけで消え去り、空気に溶けて消えていった。
「シュン! 俺の肩に掴まれ!」
「あぁ!」
そしておそらくは転移の魔術を使ったのだろう。
シュンさんがオーロさんの肩に触れた瞬間、景色が変わり、そしてそれが二度、三度と繰り返される。
多分、転移の魔術をすぐ解析されるのを防ぐ為に、何度か転移を繰り返して追跡を振り切ろうとしているのだろう。
普通なら魔力が持たないと思うんだけど、これがSランクって事なんだろうな。と私は他人事ながら頷くのだった。
「そうか。子供らしい。良い夢だな。すまない。俺も少し余裕が無かった様だ」
「オーロさんは、でも、きっと、すぐにでも、亡くなった方に会いたいのでは」
「それはそうだがな。そうやって自分の為だけに君を利用すれば……あの子たちは俺を許さないだろうさ。だから、俺も君の夢にも協力しよう」
「オーロさん……!」
「なら、とりあえず一時休戦だな。オーロとやら」
「そうなるな。シュン。で良かったか?」
「あぁ。構わん」
シュンさんとオーロさんは笑い合いながら武器を収め、何だか分からないままに、私の夢も叶いそうな雰囲気が出てきた。
現金な物だが、私は嬉しくなり、思わず二人に駆け寄って笑っていた。
「あの、その、よろしくお願いします!」
「あぁ」
「……ところでオーロ。お前、子供の相手は得意か?」
「それなりだな。お前は? シュン」
「まぁ、それなりだ」
「そうか。ではとりあえず俺が連れて行こうか。後ろは任せても?」
「あぁ。問題無い……!」
ピリッと、空気が弾けた様な気配があった。
そして、私はオーロさんに抱き上げられ、先ほどと同じ様な速さで家の外に向かって走る。
瞬間、オーロさんの背中で何かが爆ぜた。
「……どこへ行く。この誘拐犯共め」
「お姉様!!」
「ミラ。すまないな。少々油断した。しかし、今すぐ助け出してやる。少し待ってろ!」
「お姉様! 私は!」
「風よ!! 奴を逃がすな!!」
私はオーロさんの腕の隙間からお姉様を見て、その腕がレイピアと共に横に一閃されたのを光の軌跡で見た。
そして次の瞬間に突風が生まれ、オーロさんに向かって飛んでくる。
「シュン!」
「この程度。問題にはならん」
「なっ!?」
しかし、お姉様の放った一撃はシュンさんが立ち塞がるだけで消え去り、空気に溶けて消えていった。
「シュン! 俺の肩に掴まれ!」
「あぁ!」
そしておそらくは転移の魔術を使ったのだろう。
シュンさんがオーロさんの肩に触れた瞬間、景色が変わり、そしてそれが二度、三度と繰り返される。
多分、転移の魔術をすぐ解析されるのを防ぐ為に、何度か転移を繰り返して追跡を振り切ろうとしているのだろう。
普通なら魔力が持たないと思うんだけど、これがSランクって事なんだろうな。と私は他人事ながら頷くのだった。
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