異界冒険譚シリーズ【ミラ編】-少女たちの冒険譚-

とーふ(代理カナタ)

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第16話『オーロさん。何かお話をしていただけませんか?』 2/3

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「……」

「だが、そんな中でも、あの少女は少し他の人間と違っていた」

「あの少女?」

「あぁ。身寄りのない子供を集めた孤児院でな。親代わり、姉代わりをしていた光聖教の修道女さ。光の聖女アメリアや聖女セシルを信仰していてな。聖女様方ならば、苦しむ子供を見捨てることはしないでしょうなんて言いながら、困っている人間を見つけては面倒ごとを背負いこんでいたな」

「とても、素晴らしい方だったのですね」

「まぁ、そうだな。彼女、アマンダは善人だった。それは間違いない。だが、善人であると同時にトラブルを呼び込む体質でもあったんだ」

「トラブル。ですか?」

「そうだ。例えば、そうだな。アマンダが食事をする金もないという男を助け、いつもの様に教会へ連れてきたのだがな。コイツは実は強盗でな。深夜に盗みを働こうとしていた事があった、とかな」

「だ、大丈夫だったのですか?」

「あぁ。蛇の道は何とやらだ。ソイツは教会に連れてきた時から胡散臭い気配はしていた。だから動き出す前から監視して、いざ事を起こそうとした瞬間に捕まえたという訳だ」

「おぉー。流石です」

「随分と面倒な事をするんだな。怪しいのであれば、さっさと捕まえれば良かっただろう? もしくは斬り捨てるか」

「おいおい。ヤマトじゃないんだ。そんな訳にはいかねぇよ」

「そうか。面倒なんだな」

シュンさんは、本当に心底面倒だなという顔をして再び聞くだけの体勢に戻る。

そんなシュンさんに私は、話しているオーロさんには悪いが、思わず話しかけてしまった。

「あの、シュンさん。ヤマトでは……裁判とかはどの様に行われるのでしょうか? あ、オーロさん。お話の途中に申し訳ございません」

「いや、構わん。俺も気になるしな」

「裁判?」

「おいおい。まさかヤマトのトラブル解決は個人か?」

「そんな訳が無いだろう。基本的に罪を裁くのは巫女様だ。巫女様には全てを見通す目があるからな。その者が犯した罪も視えている。つまり、罪を犯す可能性がある人間であっても、捕まえ、巫女様の所へ連れて行くことで解決出来るという訳だ」

「あー。それで千里眼か」

「そうだ」

私は突然出てきたその名前に、首を傾げながら言葉をそのまま返した。

「千里眼……ですか? 確かクレアボヤンスの事ですよね? という事はその巫女様という方は遠くを見たり、人の心を見たりする事が出来るのですね。闇の魔術と何か関係があるのでしょうか」

「いや、巫女様の力は魔術ではない。巫女様の家系に伝わる力だ。神が授けた力だと言われているな」
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