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第19話『さぁ、始めよう。闇の時代を!』 1/3
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歴史上、最も有名な魔物は何だろうかと問われた時、様々な答えが出るだろう。
しかしヴェルクモント王国の歴史を調べてきた私にとって、この問いに対する答えは一つしかない。
そう『ドラゴン』である。
さて。大いなる災害を起こす事で知られるドラゴンであるが、意外な事にこのドラゴンが、人間の生活を脅かした回数はそう多くはない。
無論たった一回でも起これば甚大な被害を起こす為、規格外の脅威である危険度Sランクに位置しているが、それはそれとしてドラゴンの姿を見た事がある人間もそれほど多くないのだ。
かくいう私も知識としてのドラゴンは知っていても、実際に見た事は無い。
だが、そんな伝説上の魔物である所のドラゴンを、何故私はヴェルクモント王国で最も有名だと言ったかといえば……このヴェルクモント王国において、ドラゴンは二度人里を襲っているからである。
「一度目は、ドラゴンによって以前存在していたヴェルクモント王国の周辺国が二国ほど消滅し、多くの犠牲を払いながらも、ヘイムブル領の初代当主様がこれを撃退。討伐までは出来なかったものの、これ以降長きにわたりドラゴンは姿を消していました。そして二度目の襲来は聖女様がこれを撃退されるのですが、重要なのはこちらではありません。一度目の襲来についてです」
私は白い雪が積もったヘイムブル領を歩きながら、ドラゴンが最初に現れたという山へと向かって、歴史の話をしつつオーロさんやシュンさんと歩いていた。
「一度目の襲来の際、ヘイムブル領初代当主様は細長く湾曲した異国の剣を使い、魔力に覆われたドラゴンの厚い皮膚を容易く貫いて、中心にある核を傷つけたとされています。この特徴。どこかで聞いた物と一致しませんか?」
「……神刀か」
「はい。そうです。本来は魔力の壁によって届かないハズの攻撃を届かせ、更には細長く湾曲した異国の剣。これはどう考えても神刀であると私も考えます」
「しかしヤマトの侍がヴェルクモント王国までわざわざ来たって?」
「そこについては資料が無いので、なんとも言えないのですが……」
私はオーロさんの質問に困りながらシュンさんを見ると、シュンさんはやや考えた後、口を開いた。
「いや、あり得る話だ。それに……恐らくだが、そのヘイムブル領初代当主というのは、天霧家の初代かもしれん」
「えぇー!? そんな偶然が!?」
「まぁ、ただの勘だがな。ヤマトを出た者はそれなりに居る。しかし、神刀を持ち出し、なおかつ歴史に残るほどの強さを持った者はそう多くは居ないし。その初代当主はその後も、ヴェルクモント王国に留まっていたのではないか?」
「それは、はい。そうですね。当時、その方は怪我も酷く、祖国へ帰る事は出来ないからと、この土地に留まる選択をされた様で、それを哀れに思った王家の姫君が、英雄を支えたいとその方の元に嫁いだそうです。そして、王家より土地を頂き、ヘイムブル領としたと」
「なるほど。という事はそいつは間違いなく天霧家の当主だろうな。ここまで一致する者は他に居ない」
「お、おぉぉおおおお! す、凄い! 歴史が、一つの歴史が、謎が解き明かされています! まだ仮説ですが、ヤマトにもお邪魔して、この仮説を立証すれば……!」
しかしヴェルクモント王国の歴史を調べてきた私にとって、この問いに対する答えは一つしかない。
そう『ドラゴン』である。
さて。大いなる災害を起こす事で知られるドラゴンであるが、意外な事にこのドラゴンが、人間の生活を脅かした回数はそう多くはない。
無論たった一回でも起これば甚大な被害を起こす為、規格外の脅威である危険度Sランクに位置しているが、それはそれとしてドラゴンの姿を見た事がある人間もそれほど多くないのだ。
かくいう私も知識としてのドラゴンは知っていても、実際に見た事は無い。
だが、そんな伝説上の魔物である所のドラゴンを、何故私はヴェルクモント王国で最も有名だと言ったかといえば……このヴェルクモント王国において、ドラゴンは二度人里を襲っているからである。
「一度目は、ドラゴンによって以前存在していたヴェルクモント王国の周辺国が二国ほど消滅し、多くの犠牲を払いながらも、ヘイムブル領の初代当主様がこれを撃退。討伐までは出来なかったものの、これ以降長きにわたりドラゴンは姿を消していました。そして二度目の襲来は聖女様がこれを撃退されるのですが、重要なのはこちらではありません。一度目の襲来についてです」
私は白い雪が積もったヘイムブル領を歩きながら、ドラゴンが最初に現れたという山へと向かって、歴史の話をしつつオーロさんやシュンさんと歩いていた。
「一度目の襲来の際、ヘイムブル領初代当主様は細長く湾曲した異国の剣を使い、魔力に覆われたドラゴンの厚い皮膚を容易く貫いて、中心にある核を傷つけたとされています。この特徴。どこかで聞いた物と一致しませんか?」
「……神刀か」
「はい。そうです。本来は魔力の壁によって届かないハズの攻撃を届かせ、更には細長く湾曲した異国の剣。これはどう考えても神刀であると私も考えます」
「しかしヤマトの侍がヴェルクモント王国までわざわざ来たって?」
「そこについては資料が無いので、なんとも言えないのですが……」
私はオーロさんの質問に困りながらシュンさんを見ると、シュンさんはやや考えた後、口を開いた。
「いや、あり得る話だ。それに……恐らくだが、そのヘイムブル領初代当主というのは、天霧家の初代かもしれん」
「えぇー!? そんな偶然が!?」
「まぁ、ただの勘だがな。ヤマトを出た者はそれなりに居る。しかし、神刀を持ち出し、なおかつ歴史に残るほどの強さを持った者はそう多くは居ないし。その初代当主はその後も、ヴェルクモント王国に留まっていたのではないか?」
「それは、はい。そうですね。当時、その方は怪我も酷く、祖国へ帰る事は出来ないからと、この土地に留まる選択をされた様で、それを哀れに思った王家の姫君が、英雄を支えたいとその方の元に嫁いだそうです。そして、王家より土地を頂き、ヘイムブル領としたと」
「なるほど。という事はそいつは間違いなく天霧家の当主だろうな。ここまで一致する者は他に居ない」
「お、おぉぉおおおお! す、凄い! 歴史が、一つの歴史が、謎が解き明かされています! まだ仮説ですが、ヤマトにもお邪魔して、この仮説を立証すれば……!」
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