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第18話『愛よ。走り出せ』(ジェイク視点)①
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(ジェイク視点)
ある日、面白い話を聞いた。
かのエルフ。シーラ様が村々を移動しては、畑に豊穣の魔法を使っているという話だ。
しかも「これは奇跡ではないし。私が何かをやった訳でもない。しかし何度も起こす事は出来ない」と言っていたそうだ。
まぁ言っている事に色々と矛盾があるが……。これはどういう事だろうな。
「うーん。それは誰かがシーラ様に入れ知恵をしたのではないでしょうか?」
「入れ知恵?」
「はい。土地を生き返らせたのがシーラ様の魔法というのはまず間違いないです。そして、それを隠したいのはおそらく、シーラ様の意思でしょう」
「前半の部分ですね」
「そうです。そして後半の何度も奇跡が起こると思うなというのが、シーラ様に入れ知恵をした人物の言葉でしょう。頼まれれば、願われれば、シーラ様は何度だって奇跡を起こすでしょうからね」
「つまりそれを抑制したい奴が居たと」
「はい。ただ、そう悪い人間ではない様に思えます。悪人であるならば、何かしらの要求をしたでしょうし。土地を生き返らせるなんて金にならない事はしないでしょう。やるならもっと別の事をしますよ」
「それもそうだな」
俺はふむ。と頷きながら報告書を机の上に置く。
そして、最近めきめきと力を付けているオリヴァーを見据えた。
ウィルベン王国に来た時はまだまだ幼い子供であったというのに、たった数年の間に見違える程に成長したオリヴァーは、既にウィルベン王国どころか近隣諸国でも、勝てる者は少ないだろうと思われる実力を身に着けた。
おそらく後数年で、俺さえも超えていく筈だ。
「……なるほど。俺もまだまだ若かったな」
「何を言ってるんですか? 団長。貴方はもう年ですよ」
「そうそう。そろそろ引退して。俺に席を譲ってください」
「生意気言うな! 俺はまだまだ引退せん。やる事があるからな」
「はぁ。やる事ですか?」
「あぁ、嫁探しとかですか? 確かにそれなら地位と金の両方があった方が良いですね」
「そういうんじゃねぇよ! ったく。お前ら。俺団長だぞ? 何言いたい放題言ってんだよ」
「そう言えば、団長って団長でしたね」
「私もすっかり忘れていました。団長は騎士団の団長でしたね」
「……お前ら、自分が言っている言葉に矛盾を感じないのか? まったく。しょうがない奴らだ」
ひとしきり笑ってから俺は真面目な騎士団長モードに切り替えて、口を開く。
ある日、面白い話を聞いた。
かのエルフ。シーラ様が村々を移動しては、畑に豊穣の魔法を使っているという話だ。
しかも「これは奇跡ではないし。私が何かをやった訳でもない。しかし何度も起こす事は出来ない」と言っていたそうだ。
まぁ言っている事に色々と矛盾があるが……。これはどういう事だろうな。
「うーん。それは誰かがシーラ様に入れ知恵をしたのではないでしょうか?」
「入れ知恵?」
「はい。土地を生き返らせたのがシーラ様の魔法というのはまず間違いないです。そして、それを隠したいのはおそらく、シーラ様の意思でしょう」
「前半の部分ですね」
「そうです。そして後半の何度も奇跡が起こると思うなというのが、シーラ様に入れ知恵をした人物の言葉でしょう。頼まれれば、願われれば、シーラ様は何度だって奇跡を起こすでしょうからね」
「つまりそれを抑制したい奴が居たと」
「はい。ただ、そう悪い人間ではない様に思えます。悪人であるならば、何かしらの要求をしたでしょうし。土地を生き返らせるなんて金にならない事はしないでしょう。やるならもっと別の事をしますよ」
「それもそうだな」
俺はふむ。と頷きながら報告書を机の上に置く。
そして、最近めきめきと力を付けているオリヴァーを見据えた。
ウィルベン王国に来た時はまだまだ幼い子供であったというのに、たった数年の間に見違える程に成長したオリヴァーは、既にウィルベン王国どころか近隣諸国でも、勝てる者は少ないだろうと思われる実力を身に着けた。
おそらく後数年で、俺さえも超えていく筈だ。
「……なるほど。俺もまだまだ若かったな」
「何を言ってるんですか? 団長。貴方はもう年ですよ」
「そうそう。そろそろ引退して。俺に席を譲ってください」
「生意気言うな! 俺はまだまだ引退せん。やる事があるからな」
「はぁ。やる事ですか?」
「あぁ、嫁探しとかですか? 確かにそれなら地位と金の両方があった方が良いですね」
「そういうんじゃねぇよ! ったく。お前ら。俺団長だぞ? 何言いたい放題言ってんだよ」
「そう言えば、団長って団長でしたね」
「私もすっかり忘れていました。団長は騎士団の団長でしたね」
「……お前ら、自分が言っている言葉に矛盾を感じないのか? まったく。しょうがない奴らだ」
ひとしきり笑ってから俺は真面目な騎士団長モードに切り替えて、口を開く。
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