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第18話『愛よ。走り出せ』(ジェイク視点)③
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俺の言葉にオリヴァーは執務室を飛び出して行った。
そして残った俺は、副団長であるベンジャミンに次の話をするのだった。
「それで、だ。ベンジャミン」
「はい」
「すまんが、今から行かなきゃいけない所があるから、後は頼めるか?」
「お断りします」
「何故!!?」
「いや、だって貴方。これから意味もなく街の花屋に行くつもりでしょう?」
「意味は、ある!」
「ほう。聞かせて貰いましょうか?」
「それはな」
「それは?」
「クラリスの愛を得るためだっ! 後は頼んだぞ!」
俺は執務室のベランダから外に飛び出すと、街へ向けて全力で走り出した。
後ろからベンジャミンの声が聞こえてくるが、当然無視である。
これは俺の人生が掛かった大事な仕事なのだ!
国内最強の男に恥じない速度で走り続けた俺は、おそらく街の中で最も華やかな場所に辿り着き、息を整えた。
汗だくなのもみっともないし、持ってきたタオルで見えている場所の汗を拭う。
そして、改めて息を整えてから店の中に入った。
「し、失礼します」
「はい。いらっしゃいませ! あっ! ジェイクさんじゃないですか」
「え、えぇ! ほ、本日はいい天気ですね!」
「そうですね」
俺の言葉にクラリスは嬉しそうに笑う。
その姿はとても美しく、俺の心に透き通る様な心地よさを与えた。
「じ、実はですね」
「はい」
「本日は……」
「……」
言え! 言うんだ俺!!
「あー。その。実は騎士団の待機所が少々華やかさに欠けましてな! 今日はクラリスさんの大切なお花を買わせていただけないかと!」
「はい。分かりました。少々お待ちください」
「はい! いくらでも待ちますとも!」
俺はクラリスさんの美しい所作を見ながら背筋を正し、待った。
そして、さほど時間を掛けずに出来上がった花束を受け取り、代金を支払う。
「では! また!」
「はい。今度は期待しておりますね」
「え? あ、はい! 承知いたしました!」
今度はって、なんのことだろうか。
まぁ、良いや。とりあえず今日もクラリスさんと話が出来たし。
また明日頑張ってデートに誘うとしよう。
そして残った俺は、副団長であるベンジャミンに次の話をするのだった。
「それで、だ。ベンジャミン」
「はい」
「すまんが、今から行かなきゃいけない所があるから、後は頼めるか?」
「お断りします」
「何故!!?」
「いや、だって貴方。これから意味もなく街の花屋に行くつもりでしょう?」
「意味は、ある!」
「ほう。聞かせて貰いましょうか?」
「それはな」
「それは?」
「クラリスの愛を得るためだっ! 後は頼んだぞ!」
俺は執務室のベランダから外に飛び出すと、街へ向けて全力で走り出した。
後ろからベンジャミンの声が聞こえてくるが、当然無視である。
これは俺の人生が掛かった大事な仕事なのだ!
国内最強の男に恥じない速度で走り続けた俺は、おそらく街の中で最も華やかな場所に辿り着き、息を整えた。
汗だくなのもみっともないし、持ってきたタオルで見えている場所の汗を拭う。
そして、改めて息を整えてから店の中に入った。
「し、失礼します」
「はい。いらっしゃいませ! あっ! ジェイクさんじゃないですか」
「え、えぇ! ほ、本日はいい天気ですね!」
「そうですね」
俺の言葉にクラリスは嬉しそうに笑う。
その姿はとても美しく、俺の心に透き通る様な心地よさを与えた。
「じ、実はですね」
「はい」
「本日は……」
「……」
言え! 言うんだ俺!!
「あー。その。実は騎士団の待機所が少々華やかさに欠けましてな! 今日はクラリスさんの大切なお花を買わせていただけないかと!」
「はい。分かりました。少々お待ちください」
「はい! いくらでも待ちますとも!」
俺はクラリスさんの美しい所作を見ながら背筋を正し、待った。
そして、さほど時間を掛けずに出来上がった花束を受け取り、代金を支払う。
「では! また!」
「はい。今度は期待しておりますね」
「え? あ、はい! 承知いたしました!」
今度はって、なんのことだろうか。
まぁ、良いや。とりあえず今日もクラリスさんと話が出来たし。
また明日頑張ってデートに誘うとしよう。
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