愛され転生エルフの救済日記

とーふ(代理カナタ)

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第68話『私が今ここに居る理由』②

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私は学園を見下ろせる塔の上に座りながら、考え込んでいたのだが、階段を昇ってきたレナちゃんが私を見て笑う。

夜の闇の中にあっても、レナちゃんは輝いていて、眩い光を背負っている様に見えた。

「どうしたの。こんな所で。みんな探してたよ」

「……」

「シーラちゃん?」

「レナちゃんは、本当に今の状態で楽しいですか?」

「んー? シーラちゃんが何を聞きたいのかよく分かんないけど。私は楽しいよ」

レナちゃんは私の隣に座って、笑顔でそう口にする。

その笑顔を見ていると、これで良いのかと思ってしまいそうになるが、良くはない。

だって、レナちゃんの大切な物が私に奪われているのだから。

「私は、今の状態が間違っていると思っています」

「間違ってる?」

「だって、本当なら聖女ってみんなに慕われているのはレナちゃんで、みんなに好かれているのもレナちゃんで、世界の中心に居るのもレナちゃんだったんです」

「うーん。その本当なら。って何を言っているのか分からないけどさ。私にとっての本当は今この瞬間、ここにある世界だよ」

「……レナちゃん」

「私が居て、シーラちゃんが居て、ヤスミンが居て、ナルシス君やトリスタン、ルイ君が居て。今は学園に集まるみんなで一緒に戦おうって騒いでる。この瞬間が凄く楽しい」

「そう、ですか」

私の言葉を最後に、私とレナちゃんは無言になってしまった。

しかし、レナちゃんはクスっと笑うと私の手を取って、話し始める。

「昔さシーラちゃんが言ってたじゃない。聖女には役割があるって。あれについて、教えてもらっても良い? 聖女って何が出来て、何をしなきゃいけないの? 傷を癒すだけ?」

「違います。傷を癒すというのはレナちゃんがそれしか知らないからです」

「うん?」

「聖女の魔法とは、すなわち祈りを魔法という形に変える事です」

「……ごめん。よく分かんない」

「つまり、レナちゃんがこうなったら良いな。という頭の中に浮かんだ願いを現実にする事が出来るんです」

「えっ、それって凄い事だよね?」

「はい」

「じゃあ、じゃあ……シーラちゃんが私を好きになって、私だけをずーっとずっと好きで居てって願って魔法にしたら」

「叶いますよ」

「あっと! じゃあ今のなし! なしなしなし! 魔法になってたら消えてー!」

「ふふ。叶えたい願いなのでは無いですか?」

「叶えたいけどさ。そういうのは魔法じゃないの。私が自分でやらなきゃ」

「……」
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