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第24話『聖女イザベラ様!』
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結局見た目だけ聖女ーズ三人で何とか知恵を振り絞って、リリィを慰める事に成功した私たちだったが、次なる問題が降りかかっていた。
そう。ニナの問題である。
放置したかった訳では無いのだが、目の前で泣いているリリィを見捨ててニナの所へ行くなどあり得ない選択肢だろう。
故に、私たちはリリィを慰めた後、すぐさま部屋を出てニナを探す事にした。
しかし人を探す方法なんて私は知らない。どうすれば良いかとアメリアさんに相談したら、イザベラさんという方は様々な魔術を使える凄い人だという事なので、お願いする事にした。
『という訳で、イザベラちゃん! 出てきて!』
『私を、お呼びかしら。フフン』
何か凄そうな人が出てきた!!
美人さん! 間違いなく美人さんなんだけど、何だろう。雰囲気がちょっと怖い。
『えっと、イザベラさんは聖女様なのでしょうか?』
『当然でしょ! 私こそ聖女の中の聖女! 聖女イザベラ様と呼びなさいな!』
おぉー! 遂に出てきた本物の聖女様!
光の精霊の中にも当たりは居たのね。
『凄い! 流石イザベラちゃん……じゃなかった。聖女イザベラ様!』
『あの? アメリア様? 実は怒ってます?』
『聖女イザベラ様。お願いしますね』
『あのあの。オリヴィア様やアメリア様に様付けで呼ばれるなんて、恐れ多いので、許していただけないでしょうか。流石の私もお腹が痛くなるので』
『では私は大丈夫ですね。聖女イザベラ様。私は気軽に、おいとか、お前とか呼んでいただけるとありがたいです』
『あー。セシルちゃん? 貴女も、そういう呼び方しないでくれると嬉しいかな。正直、私とセシルちゃんを比べたら、私なんて聖女を名乗る事すらおこがましい感じだからさ。それにおいとかお前なんて呼べる立場じゃないから、私』
『え!?』
私より駄目って、確かにそれは聖女とは言い難いのでは!?
うーん。やっぱり光の精霊の中には駄目な人しか居ないのかもしれない。
『何か前から思ってましたけど、セシルちゃんって結構アレじゃないですか?』
『アレ。だなんて言ってはダメですよイザベラさん。良いじゃないですか。理想を追い求めるのは良い事ですよ』
『オリヴィアお姉様がそう言うのなら良いですけど。セシルちゃんの今後を考えると複雑ですよ。私は』
『そこは! 私たちで上手く助ければ良いんじゃないでしょうか! しょうか!』
『そうですね。アメリア様の言う通りです!』
『オリヴィアお姉様って、ほんと、アメリア様の言う事は全部肯定しますよね。まぁ、良いんですけど。はぁ……では聖女セシル!』
『……?』
『何不思議そうな顔してるのよ! 貴女よ貴女!』
『え!? 私!?』
『貴女以外に誰が居るっていうのよ! 言っておくけどね! 光の精霊から私たちの意識を引っ張り出すなんて事やったの歴代聖女の中じゃ貴女だけなんだからね!? 自分の偉業はもっと誇りなさい! 私の様に!』
『おー。聖女イザベラ様ー』
『聖女イザベラ様!』
アメリアさんとオリヴィアさんは聖女イザベラ様のちょっと後ろから拍手を送り、聖女イザベラ様は微妙な顔をしながら振り返って大声を出した。
『今、大事な話してるんで! 少し静かにしていただけませんか!?』
『はぁーい! 分かりました。聖女イザベラ様』
『分かりました。聖女イザベラ様』
『イライライライラ。私が悪かったです。私が悪かったですから。普通に呼んでください。普通に!』
二人は聖女イザベラ様に、怒られ反省していますと頭を下げていた。
やはりというか、一番のしっかり者は聖女イザベラ様らしい。まぁこの中で唯一の聖女なのだから当然と言えば当然なのだけれど。
そして私たちポヤポヤ三人衆を率いるべく聖女イザベラ様は一つの魔術を私に授けてくれた。
「光よ」
「……? セシル様?」
「私に道を示せ」
聖女イザベラ様の言葉に続いて、魔術を構築し地面に落とす。
すると、次の瞬間には地面が光り、ニナへと続く道を示してくれるのだった。
私とリリィは光の魔術によって示された道を歩み、ニナの所へ向かう。
どうやらそう遠くへは行っていないらしく、ニナは寮のすぐ近くにある花壇の所で泣いている様だった。
君も抱え込むタイプか。
「ニナ」
「……っ!? セシル様!」
「もう。貴女はいつも一人で泣いていますね。まぁ私が頼りないので仕方のない部分はあると思いますが」
「ちがっ」
「違うというのならば、せめてこれからは私の前で泣いてください。そうでないと、寂しいじゃないですか」
「セシル、様」
「はい。セシルですよ」
私はいつも変わらない仕草でニナを抱き寄せると、その背中を撫でた。
ニナは私に縋りついて涙を流すが、ようやくという様な気分だ。
リリィはどこか居心地が悪そうにしているが、私が軽く頭を下げると、ピッと背筋を伸ばして少し遠い場所へ移動してしまった。
警戒しているからごゆっくりどうぞ。的な感じかな?
いや、あんまりごゆっくりはしたくないから、なるべく早くニナを慰めたいのだけれど……。何か良い方法は無いだろうか。
って、あるじゃん!
そうだよ。聖女イザベラ様が居るじゃない!
『聖女イザベラ様!』
『……だからそれは止めなさいって。これからはイザベラお姉様と呼びなさい』
『はい! イザベラお姉様! あの、ご相談があるのですが!』
『その子を慰める方法?』
『おぉ……何も言わずとも』
『まぁ状況は把握してるからね。そうね。泣いている子を慰める方法か。抱きしめてよしよしすれば良いんじゃない!?』
お前もか、イザータス。
何? 光の精霊の中に居る人って私レベルの人しか居ないの?
人が集まっても全然文殊の知恵感が無いんだけど? 発想力が同じ!
やはり同程度の人間が集まっても同程度の考えしか集まらないのだ。
悲しみ。
「ニナ」
しかし。このまま終わりなんてのは好きじゃない。
私は格好いいニナが好きなのだ。
別に弱さを見せているから嫌いという事は無いが、それでも私はキリっとしていて、頼もしいニナが大好きなんだ。
だから、言葉を送る。気持ちを伝えたい。
「私は、ニナの悩みを知りません。私に言いたくない事なのだろうというのも、何となく想像は出来ています。だから、無理に話そうとはしなくても良いです。でも……私はニナが傍に居てくれると凄く嬉しいんです」
「……」
「こうして私に涙を見せてくれるという事は、ニナも友達として、私の事を少しくらいは大切に想ってくれていると思うのですが、たまにで良いので、私には弱い所を見せてくれませんか?」
「……」
「私はニナに頼ってばかりですから。少しくらいはニナの助けになりたいのです。駄目、でしょうか?」
ニナは私からバッと離れて、両肩を掴んだままジッと私の目を見る。
何だかドキドキしてしまうな。
「そんな風に言われたら、私には何も言えませんよ」
「あの、申し訳ございません?」
「いえ。良いんです。そういう所がセシル様の良い所だと私はちゃんと分かってますから」
「あ、えっと。ありがとうございます?」
「だから、これは全部、セシル様が悪いんですよ?」
「え?」
私を見つめていたニナの顔がゆっくりと近づいてくる。
え? え? え? え!?
何が……!?
私は動揺し、動けないままで居たが、私に迫るニナの顔が不意に途中で止まった。
「そこまで許した覚えはないわ」
「……リリィ」
「もう立ち直ったんでしょ? なら離れなさい」
「それは私が決める事だと思うんだけど?」
「決めるのはセシル様、でしょ? その程度の事も忘れたの? それに」
「それに?」
「セシル様の初めては全部私が貰うから」
「させるか!!」
二人は私から離れ、剣を抜いて争いを始めてしまった。
私は完全に放置である。
なん? どういう? はぁ?
「「セシル様の護衛は私だけで十分だ!!」」
私は激しくぶつかり合う二人から視線を逸らし、まだ星の明るい空を眺めた。
あぁ、今日もいい天気だなぁ。
そう。ニナの問題である。
放置したかった訳では無いのだが、目の前で泣いているリリィを見捨ててニナの所へ行くなどあり得ない選択肢だろう。
故に、私たちはリリィを慰めた後、すぐさま部屋を出てニナを探す事にした。
しかし人を探す方法なんて私は知らない。どうすれば良いかとアメリアさんに相談したら、イザベラさんという方は様々な魔術を使える凄い人だという事なので、お願いする事にした。
『という訳で、イザベラちゃん! 出てきて!』
『私を、お呼びかしら。フフン』
何か凄そうな人が出てきた!!
美人さん! 間違いなく美人さんなんだけど、何だろう。雰囲気がちょっと怖い。
『えっと、イザベラさんは聖女様なのでしょうか?』
『当然でしょ! 私こそ聖女の中の聖女! 聖女イザベラ様と呼びなさいな!』
おぉー! 遂に出てきた本物の聖女様!
光の精霊の中にも当たりは居たのね。
『凄い! 流石イザベラちゃん……じゃなかった。聖女イザベラ様!』
『あの? アメリア様? 実は怒ってます?』
『聖女イザベラ様。お願いしますね』
『あのあの。オリヴィア様やアメリア様に様付けで呼ばれるなんて、恐れ多いので、許していただけないでしょうか。流石の私もお腹が痛くなるので』
『では私は大丈夫ですね。聖女イザベラ様。私は気軽に、おいとか、お前とか呼んでいただけるとありがたいです』
『あー。セシルちゃん? 貴女も、そういう呼び方しないでくれると嬉しいかな。正直、私とセシルちゃんを比べたら、私なんて聖女を名乗る事すらおこがましい感じだからさ。それにおいとかお前なんて呼べる立場じゃないから、私』
『え!?』
私より駄目って、確かにそれは聖女とは言い難いのでは!?
うーん。やっぱり光の精霊の中には駄目な人しか居ないのかもしれない。
『何か前から思ってましたけど、セシルちゃんって結構アレじゃないですか?』
『アレ。だなんて言ってはダメですよイザベラさん。良いじゃないですか。理想を追い求めるのは良い事ですよ』
『オリヴィアお姉様がそう言うのなら良いですけど。セシルちゃんの今後を考えると複雑ですよ。私は』
『そこは! 私たちで上手く助ければ良いんじゃないでしょうか! しょうか!』
『そうですね。アメリア様の言う通りです!』
『オリヴィアお姉様って、ほんと、アメリア様の言う事は全部肯定しますよね。まぁ、良いんですけど。はぁ……では聖女セシル!』
『……?』
『何不思議そうな顔してるのよ! 貴女よ貴女!』
『え!? 私!?』
『貴女以外に誰が居るっていうのよ! 言っておくけどね! 光の精霊から私たちの意識を引っ張り出すなんて事やったの歴代聖女の中じゃ貴女だけなんだからね!? 自分の偉業はもっと誇りなさい! 私の様に!』
『おー。聖女イザベラ様ー』
『聖女イザベラ様!』
アメリアさんとオリヴィアさんは聖女イザベラ様のちょっと後ろから拍手を送り、聖女イザベラ様は微妙な顔をしながら振り返って大声を出した。
『今、大事な話してるんで! 少し静かにしていただけませんか!?』
『はぁーい! 分かりました。聖女イザベラ様』
『分かりました。聖女イザベラ様』
『イライライライラ。私が悪かったです。私が悪かったですから。普通に呼んでください。普通に!』
二人は聖女イザベラ様に、怒られ反省していますと頭を下げていた。
やはりというか、一番のしっかり者は聖女イザベラ様らしい。まぁこの中で唯一の聖女なのだから当然と言えば当然なのだけれど。
そして私たちポヤポヤ三人衆を率いるべく聖女イザベラ様は一つの魔術を私に授けてくれた。
「光よ」
「……? セシル様?」
「私に道を示せ」
聖女イザベラ様の言葉に続いて、魔術を構築し地面に落とす。
すると、次の瞬間には地面が光り、ニナへと続く道を示してくれるのだった。
私とリリィは光の魔術によって示された道を歩み、ニナの所へ向かう。
どうやらそう遠くへは行っていないらしく、ニナは寮のすぐ近くにある花壇の所で泣いている様だった。
君も抱え込むタイプか。
「ニナ」
「……っ!? セシル様!」
「もう。貴女はいつも一人で泣いていますね。まぁ私が頼りないので仕方のない部分はあると思いますが」
「ちがっ」
「違うというのならば、せめてこれからは私の前で泣いてください。そうでないと、寂しいじゃないですか」
「セシル、様」
「はい。セシルですよ」
私はいつも変わらない仕草でニナを抱き寄せると、その背中を撫でた。
ニナは私に縋りついて涙を流すが、ようやくという様な気分だ。
リリィはどこか居心地が悪そうにしているが、私が軽く頭を下げると、ピッと背筋を伸ばして少し遠い場所へ移動してしまった。
警戒しているからごゆっくりどうぞ。的な感じかな?
いや、あんまりごゆっくりはしたくないから、なるべく早くニナを慰めたいのだけれど……。何か良い方法は無いだろうか。
って、あるじゃん!
そうだよ。聖女イザベラ様が居るじゃない!
『聖女イザベラ様!』
『……だからそれは止めなさいって。これからはイザベラお姉様と呼びなさい』
『はい! イザベラお姉様! あの、ご相談があるのですが!』
『その子を慰める方法?』
『おぉ……何も言わずとも』
『まぁ状況は把握してるからね。そうね。泣いている子を慰める方法か。抱きしめてよしよしすれば良いんじゃない!?』
お前もか、イザータス。
何? 光の精霊の中に居る人って私レベルの人しか居ないの?
人が集まっても全然文殊の知恵感が無いんだけど? 発想力が同じ!
やはり同程度の人間が集まっても同程度の考えしか集まらないのだ。
悲しみ。
「ニナ」
しかし。このまま終わりなんてのは好きじゃない。
私は格好いいニナが好きなのだ。
別に弱さを見せているから嫌いという事は無いが、それでも私はキリっとしていて、頼もしいニナが大好きなんだ。
だから、言葉を送る。気持ちを伝えたい。
「私は、ニナの悩みを知りません。私に言いたくない事なのだろうというのも、何となく想像は出来ています。だから、無理に話そうとはしなくても良いです。でも……私はニナが傍に居てくれると凄く嬉しいんです」
「……」
「こうして私に涙を見せてくれるという事は、ニナも友達として、私の事を少しくらいは大切に想ってくれていると思うのですが、たまにで良いので、私には弱い所を見せてくれませんか?」
「……」
「私はニナに頼ってばかりですから。少しくらいはニナの助けになりたいのです。駄目、でしょうか?」
ニナは私からバッと離れて、両肩を掴んだままジッと私の目を見る。
何だかドキドキしてしまうな。
「そんな風に言われたら、私には何も言えませんよ」
「あの、申し訳ございません?」
「いえ。良いんです。そういう所がセシル様の良い所だと私はちゃんと分かってますから」
「あ、えっと。ありがとうございます?」
「だから、これは全部、セシル様が悪いんですよ?」
「え?」
私を見つめていたニナの顔がゆっくりと近づいてくる。
え? え? え? え!?
何が……!?
私は動揺し、動けないままで居たが、私に迫るニナの顔が不意に途中で止まった。
「そこまで許した覚えはないわ」
「……リリィ」
「もう立ち直ったんでしょ? なら離れなさい」
「それは私が決める事だと思うんだけど?」
「決めるのはセシル様、でしょ? その程度の事も忘れたの? それに」
「それに?」
「セシル様の初めては全部私が貰うから」
「させるか!!」
二人は私から離れ、剣を抜いて争いを始めてしまった。
私は完全に放置である。
なん? どういう? はぁ?
「「セシル様の護衛は私だけで十分だ!!」」
私は激しくぶつかり合う二人から視線を逸らし、まだ星の明るい空を眺めた。
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