聖女の証

とーふ(代理カナタ)

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第13話『今日私たちが来た事は、忘れて下さい』②

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キャロンさんは私の手を外し、自分の体を抱きしめた。

姿の見えない何かに怯える様に。

「良いんです。キャロンさん。キャロンさんは何も」

「でも! アメリアだって同じじゃない!! ここでアメリアだけを行かせたら、アイツらと……同じじゃない」

「……キャロンさん」

「でも、怖いの。なんでアタシなのって、この証が現れてからずっと、ずっと思ってた。何も幸せなんか無かった! 何も! 必死にしがみ付いて、生きて、生きて! 生きて!! ただ、生きていただけの世界で、何でアタシが世界なんか護らなきゃいけないのよ!!」

「……」

「ねぇ、アメリア。一緒に逃げましょうよ。大丈夫。アタシ、逃げるのは上手いんだから。これまでだって何度も」

「キャロンさん。私は行けません」

「お願い……お願いだから。その妹さんだって一緒に連れていけるから」

「ごめんなさい」

「っ」

私は震える手で、私の手を包むキャロンさんに首を振った。

共には行けないと。

そして、そんな私たちの間に上から声が降りてきた。

「事情は分からんが、無駄足だったようだな」

「リアムさん」

「行くぞアメリア。臆病者に用はない。失せろ女。怯えて逃げて、そうやって生きて行けばいい」

「リアムさん! そんな言い方!」

「フン。なんだ。アメリア。お前はここに居る全員が使命感やら正義感で動いているとでも思っていたのか? 誰だってな。やりたかねぇんだよ。こんな事。こんな世界。救いたいなんて思った事はねぇんだよ。それでもな、やらなきゃどうしようもねぇから、やるんだ」

私はリアムさんの言葉に、思わず一緒に立っていたフィンさんやカー君を見るが、二人とも複雑な顔をしていた。

それは……その姿は、リアムさんの言っていた事が正しいという事を証明しているのだと思う。

みんな、怖いのだ。

使命に生きる事が。

それは、証が偽物である私には理解出来ない感情であり、リリィが怯えていた事を思い出せる事でもあった。

「私、大きな勘違いをしていたんですね」

「あぁ、そうだな」

今までの歴史でみんな無事だったから、何だというのか。

今回は駄目かもしれない。

それでも、行けと、お前の役目だと世界に押し付けられるから、行くのだ。彼らは。

あぁ、本当に……この世界は。

私は両手を握り締めて、立ち上がった。
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