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一章

異世界転移3

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「よし、これで準備は整ったのう…あとはお主が良ければいつでも大丈夫じゃぞい。」

「あぁもう大丈夫だ。送ってくれ。」

「おっと、忘れるとこじゃった。ステータスが見たい時には頭の中でステータスと念じてみるといい。それで確認できる。向こうに着いたらまずそれを試してみるといい…それと名前じゃが、向こうではお主達のように名字を持っているのは上の権力者たちだけじゃ。どう名乗ろうがお主の勝手じゃが、あまり名字を使うのはオススメせんぞ…厄介なことに巻き込まれる可能性もある。」

専用の道具などを使うパターンじゃなかったか、ありがたいな。
道具を使うのだといちいち面倒だ…それと…名前か。
これはいつもゲームをする時に使っていた名前でいいだろう…アレンにしよう。

「では、今回は本当にスマンことをした…新しい世界で君の人生に幸多からんことを…達者でな。」

「あぁ…色々あったが新しい人生を与えてくれたこと感謝してる。ありがとう。」

そう言うと俺の視界は白で覆い尽くされた。
そして気がつくと俺は街道の端に立っていた。左右を森で覆われている、コンクリートで舗装もされてないただ土を踏み固めたような街道だった。この世界ではこれが普通なのだろう…俺はそう思って神様に言われたことを思い出した。

「そうだステータスを確認しないとな。」

少しワクワクする…年甲斐もなく心が弾む。そんな気持ちを抱きながら俺は心の中でステータスと念じてみた。

(ステータス)

アレン 16歳 
Lv.1

HP20/20
MP80/80

攻撃力 E

防御力 G

素早さ F

運 D

【スキル】
 ・アイテムボックスLv.1 ・全属性魔法Lv.1
・身体強化Lv.1 ・無詠唱 ・ 経験値10倍
・並列思考 ・超回復 ・.言語理解
・魔眼(鑑定・黄)Lv.1・心眼(読心・青)Lv.1

こんな感じだった。俺が神様から貰ったスキルはこの10個。
スキルには成長する物とそう出ないものがあるらしい。
例えばこのアイテムボックス、物を収納できるスキルなのだがレベルが上がるごとに入れられる容量が上がっていくらしい。
だいたい1Lvで100×100の立方体位の面積分だ。
スキルはLv10が最大でそこからは上がらないらしい。
魔眼と心眼は正直いってかっこいいから貰った。
黄と青っていうのは瞳の色だ。オッドアイなんてかっこよすぎるだろ…反則だ。ついつい取ってしまったが能力は申し分ないので全然お得な買い物なのだ。
とりあえず、レベルをあげないとな。モンスターを倒せばレベルが上がると神様は言っていたが今はまだ準備が出来ていない。
だから早く街に行きたいところだが、道なりに進んでいれば着くのだろうか…とりあえず進もう。

すると進み始めて直ぐに木の影から何かが飛び出てきた…全く…会いたくない時に限ってそいつらは姿を見せるらしい。
現れたのはゴブリンだった。定番中の定番だな…背はだいたい1mくらいで緑色の肌に尖った耳、醜悪な見た目のモンスターだ。
手には錆びて刃が欠けているショートソードを持っていた。拾ったのだろうか?それとも奪ったものなのだろうか?

「ギャギャッ!」

意味不明な言葉を発しながらそのゴブリンは突撃してきた。型もなにもないただ普通の突撃だ。俺は慌てて後ろに下がって避けた。案外遅いんだなゴブリンて…。そんなことを思いながらどうするか考えていた。ゴブリンに集中しながら深く考えることが出来るのは並列思考の効果だろうか、案外使い勝手がいいなこれ。そんなことを考えながら俺は魔法を使ってみることにした。どう使うかわからないがなんとなくイメージで出すのだと思い心の中で火の玉を手にイメージして念じてみると、案外すんなりと出せたのでそれを相手に向かって投げてみた。ゴブリンは急にでてきた火の玉に反応することが出来ず体に思い切りぶつかった。奇声を上げながらその場でゴロゴロと転がっていたが3分も経つと動かなくなり死に絶えた。

「正直、もうちょっと罪悪感が残ると思っていたが、あまり何も感じないな。」

初めての戦闘で人間型のモンスターを殺めたにも関わらず俺の心はそこまで動揺していなかった。神様が何かしたのだろうか?とは言っても確認することなんて出来ないのでそこで考えるのをやめ、他の問題について考えてみた。

「この死体はどうしたらいいんだろうか?」

とりあえずその場に残しておくのもあれなので、どうせなら埋めてあげようと思い、今度は土を掘り返す事をイメージしながら土魔法を使ってみた。すると目の前に膝下くらいの穴が空いたのでそこにゴブリンを落としてまた土魔法で埋めた。

「案外簡単に魔法って使えるんだな。無詠唱を覚えていないと長ったらしい詠唱なんかしなくちゃいけないんだろうか?」

なんて独り言をブツブツと言いながらステータスの存在を思い出した。ゴブリンを倒したからもしかしたらレベルが上がっているかもしれないな…俺は心の中でもう一度ステータスと念じてみた。

(ステータス)

アレン 16歳 
Lv.4

HP26/26
MP100/70

攻撃力 E

防御力 G

素早さ F

運 D

【スキル】
 ・アイテムボックスLv.1 ・全属性魔法Lv.2
・身体強化Lv.1 ・無詠唱 ・ 経験値10倍
・並列思考 ・超回復 ・.言語理解
・魔眼(鑑定・黄)Lv.1・心眼(読心・青)Lv.1

やはり思った通りレベルが上がっていたか…一気に3レベルも上がるのは経験値10倍の効果かもしれないな。全属性魔法も1上がっている。いい感じだな、魔法を使うとMPも減るのか…無くなったら動けなくなる可能性もあるから検証が必要だな…とここまで思ったところで魔眼の存在を思い出した。しまった…鑑定をすることを忘れてた。思ったよりテンパっていたのか?次からは最初に鑑定することを習慣づけることにしよう。
そう思いながら俺は街を目指し道なりに歩き始めたのだった。
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