真実を探して。【長編】

神山叶花(さゆか)

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第1話:最低で最悪な誕生日。

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広大な大陸『エル・フルーラ』の片隅。
緑が多い山と甘い果実畑に囲まれた小さな村『ミルフィオラ』。

羊がのんびりと草を食べ、幼い子どもたちが裸足で騒ぎながら駆けまわる。
収穫した果実でジャムを作っているおばさん達の雑談話の声、仕事に勤しむ村人達の姿を見ながら今日もこの村は平和だなぁ…と心地よいそよ風を肌に感じながら思う。

ーーーーーーーここ以外の場所のことなんて、知らないけど。

「ルリ!果実のすり潰しは終わったの?・・・ってまたシロツメクサで花冠作ってるわけ!?」


黒いローブのフードから顔を覗かせるのは、物心ついた頃からそばに居るリリアン。
小さい頃から忙しい家族に変わり、面倒を見てくれる彼女は年齢不詳だ。
見た目だけなら10歳前後の少女にも見えるし、面倒見の良さや博識な所はもっと歳を重ねているようにも感じる。
ごくたまに自分の背丈の倍くらいの杖を持って、家の周りに何か模様を書いているのを見掛けるが一体何をしているのか分からない。

でもしっかり者で厳しい時の方が多いけど、根は優しい人なのもあって、つい甘えたくなってしまう。

 「だって、こんなに良い天気なんだよ?のんびりしたいもーん…それにちょっとだけ、ほんのちょっとだけ体がだるい気がするし……」
 「言い訳は聞きたくありません!まったく、だるいならせめて日陰に入りなさい」
そう言って彼女はわたしの腕をそっと支えて起こしてくれる。

(花冠、お姉ちゃんにあげようかと思ったけどリリアンにあげようかなぁ……)

「お嬢様! 冷たいレモネードをお持ちしましたよー!」

銀髪が太陽に照らされて光る姿が眩しい執事のレイズが、お盆を抱えて駆けてくる。
彼も小さい頃からそばに居てくれて、身の回りの事や、家事などを担ってくれていた。
彼もまた年齢不詳だけど、リリアンには頭が上がらないらしくほとんど毎日怒られている。
その怒られている理由というのがーーーーーーーーーー


「ひゃあぁぁ!」

ずさぁ!とどこかで聞いたような何かが滑るような音とほぼ同時に聞こえたのは、リリアンの悲鳴。


「この駄犬!まーたやらかしたわね!今日という今日は許さないわよ!!」
 「ひぃいいいい!!ごめんなさい、ごめんなさいリリアン様ぁぁぁぁぁ!」


ああ、今日も平和だなぁ……なんて空を見上げた。
澄み切った青空を眺めるのが、わたしは大好き。
世界って広いんだろうなぁ、どんなものがあってどんな人達がいるんだろうと色々な想像をさせてくれるから。

それになんと言っても今夜は、街に働きに出ている姉のメルティが久しぶりに帰ってきてくれる。
早く夜が来ないかなぁ…とワクワクする気持ちを持って今日も一日を終えた。
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