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第1話:最低で最悪な誕生日。
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その夜は特別な日。家族が揃う唯一の日だ。
今日でわたしは13歳になった。
少しだけ大人になれたかな、今日こそ“お願い”できるかな、とそわそわしながらリリアンとレイズが準備してくれた食事に手をつけていた。
「ただいま!遅れてごめんね、ルリ!」
走ってきたのか、慌てていたのかいつもより早口な姉に思わず口元が緩んだ。
「おかえりなさい、お姉ちゃん!!」
何日ぶりだろう。
嬉しくてわたしはすぐに駆け寄ってお姉ちゃんに抱きついた。
「遅くなってごめんね?どうしても最後のお客さんが帰るの遅くって…ルリ、お誕生日おめでとう」
「ありがとう!」
「リリアンとレイズも私がいない間、ルリのお世話ありがとね?」
「いえいえ、お安い御用よ」
「メルティ様のご命令とあらば、ボクはいつでもお力添えします!!」
「ちょっと、お世話ってどういう事?わたし、もう子供じゃないもん」
「ほらほら、冷めないうちに食べてお祝いするわよ!」
・・・流された。悔しい。でもめげないもん。
姉のメルティは、わたしの5つ上の18歳。
わたしがまだ小さくて、病気がちだった頃に両親は他界してしまって。
それからお姉ちゃんは、山を超えた先にある街の飲食店で仕事するようになった。
昼番と夜番とあるらしくて、毎日忙しいって手紙を貰った時は、お姉ちゃんの体調を心配したくらい。
この家に帰ってくるのも、ひと月に一度が限度だった。
だからわたしは、もっとお姉ちゃんに会えたらいいのになぁと常日頃から思ってる。
今までは子供だからって断られたけど、もう大人に近付いたし。
今日は誕生日だからお姉ちゃんも、いいよって笑って許してくれるはず。
だから今日はわたしはお姉ちゃんともっと一緒にいたいって、“お願い”しようと思う。
誕生日だもの、許されるはず。
食事も落ち着いて、みんなでバースデーケーキを食べて談笑の時間。
誕生日プレゼントはリリアンからは何だか分厚い本。
なんて書いてあるのか読めない、と告げるとすぐ読めるようになるから肌身離さず持ちなさい、と窘められた。
そしてレイズからは頭と同じくらいに大きな赤いリボンカチューシャを貰った。
ヒラヒラしてて可愛かったからその場で付けてみたらレイズはとてもよろこんでくれた。
「じゃあ最後は私からね」
エプロンのポケットから何かを取り出そうとしたお姉ちゃんに待ったをかける。
「お姉ちゃん、わたし…お姉ちゃんが働いてる街に行きたい」
「な、何言ってるのよ……まだアンタは子供だし、それにここから遠いのよ?」
「子供じゃないもん!もう13歳だよ?どうして行っちゃダメなの?」
「・・・体力のないあんたには無理よ」
「じゃあ……じゃあせめて、果物届けに行くとかレイズやリリアンのお手伝いさせて?どうしてわたしは家から出ちゃダメなの?」
大切な家族のそばにいたい。
だけど、体が丈夫じゃないわたしは幼い頃から果実の収穫の手伝いはおろか買い出しすらやらせて貰えず、ずっとこの家の中が世界の全てだった。
お姉ちゃんが働きやすくなるなら、街へ引っ越せばいいのに頑なにそれもしない。
なら、私もリリアンやレイズと同じように会いに行きたい。
そう願う事はダメな事なのかな……
しん、とする食卓に、お姉ちゃんは黙ったままわたしの視線から逃れた。
この顔は知ってる。
許してくれないんだ。誕生日で、たった一人の妹の願いも。
「もう、いい」
「ルリ…」
「お姉ちゃんのバカ!!婚期逃しちゃえ!!」
「なっ…」
わたしは、ピシャリと言い放つとそのまま自室へ逃げ込んだ。
最低な誕生日だ…どうしてこんなことになっちゃったんだろう。
今日でわたしは13歳になった。
少しだけ大人になれたかな、今日こそ“お願い”できるかな、とそわそわしながらリリアンとレイズが準備してくれた食事に手をつけていた。
「ただいま!遅れてごめんね、ルリ!」
走ってきたのか、慌てていたのかいつもより早口な姉に思わず口元が緩んだ。
「おかえりなさい、お姉ちゃん!!」
何日ぶりだろう。
嬉しくてわたしはすぐに駆け寄ってお姉ちゃんに抱きついた。
「遅くなってごめんね?どうしても最後のお客さんが帰るの遅くって…ルリ、お誕生日おめでとう」
「ありがとう!」
「リリアンとレイズも私がいない間、ルリのお世話ありがとね?」
「いえいえ、お安い御用よ」
「メルティ様のご命令とあらば、ボクはいつでもお力添えします!!」
「ちょっと、お世話ってどういう事?わたし、もう子供じゃないもん」
「ほらほら、冷めないうちに食べてお祝いするわよ!」
・・・流された。悔しい。でもめげないもん。
姉のメルティは、わたしの5つ上の18歳。
わたしがまだ小さくて、病気がちだった頃に両親は他界してしまって。
それからお姉ちゃんは、山を超えた先にある街の飲食店で仕事するようになった。
昼番と夜番とあるらしくて、毎日忙しいって手紙を貰った時は、お姉ちゃんの体調を心配したくらい。
この家に帰ってくるのも、ひと月に一度が限度だった。
だからわたしは、もっとお姉ちゃんに会えたらいいのになぁと常日頃から思ってる。
今までは子供だからって断られたけど、もう大人に近付いたし。
今日は誕生日だからお姉ちゃんも、いいよって笑って許してくれるはず。
だから今日はわたしはお姉ちゃんともっと一緒にいたいって、“お願い”しようと思う。
誕生日だもの、許されるはず。
食事も落ち着いて、みんなでバースデーケーキを食べて談笑の時間。
誕生日プレゼントはリリアンからは何だか分厚い本。
なんて書いてあるのか読めない、と告げるとすぐ読めるようになるから肌身離さず持ちなさい、と窘められた。
そしてレイズからは頭と同じくらいに大きな赤いリボンカチューシャを貰った。
ヒラヒラしてて可愛かったからその場で付けてみたらレイズはとてもよろこんでくれた。
「じゃあ最後は私からね」
エプロンのポケットから何かを取り出そうとしたお姉ちゃんに待ったをかける。
「お姉ちゃん、わたし…お姉ちゃんが働いてる街に行きたい」
「な、何言ってるのよ……まだアンタは子供だし、それにここから遠いのよ?」
「子供じゃないもん!もう13歳だよ?どうして行っちゃダメなの?」
「・・・体力のないあんたには無理よ」
「じゃあ……じゃあせめて、果物届けに行くとかレイズやリリアンのお手伝いさせて?どうしてわたしは家から出ちゃダメなの?」
大切な家族のそばにいたい。
だけど、体が丈夫じゃないわたしは幼い頃から果実の収穫の手伝いはおろか買い出しすらやらせて貰えず、ずっとこの家の中が世界の全てだった。
お姉ちゃんが働きやすくなるなら、街へ引っ越せばいいのに頑なにそれもしない。
なら、私もリリアンやレイズと同じように会いに行きたい。
そう願う事はダメな事なのかな……
しん、とする食卓に、お姉ちゃんは黙ったままわたしの視線から逃れた。
この顔は知ってる。
許してくれないんだ。誕生日で、たった一人の妹の願いも。
「もう、いい」
「ルリ…」
「お姉ちゃんのバカ!!婚期逃しちゃえ!!」
「なっ…」
わたしは、ピシャリと言い放つとそのまま自室へ逃げ込んだ。
最低な誕生日だ…どうしてこんなことになっちゃったんだろう。
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