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狂気と蜘蛛の糸・千尋
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昼食が出来上がったので三人テーブルに着いた。
並べられた料理は、どれも一華らしく完璧で、芸術品のように美しかった。 前菜は、真っ赤なトマトとモッツァレラチーズのカプレーゼ。
メインは、骨付き子羊のロースト。切り口から滲む肉汁の赤が、白い磁器の皿に鮮やかに映えている。
「いただきます」
ナイフを入れる。肉は抵抗なく切れ、口に運ぶと野性味あふれる香りと脂の甘みが広がった。
「美味しい!ホテルでも思ったの。一華の料理って味も盛り付けも芸術的だわ!」
「料理が好きでやっているうちに上達したの。なんとなく彫刻に似てるから。素材を解体して再構築する」
「僕たち、ほとんど外食はしないんです。一華の料理の方が三ツ星レストランよりおいしいですから」
「ルイ。いいすぎ」
一華が苦笑する。
料理に目を奪われていたが、一華の後ろにさっき気になった布をかけられたものがあるのに気がついた。
「あれはなに?さっき来たとき気になったの」
「あれね。ルイ」
促されてルイ君が立ち上がり、布をとる。
「あれって、もしかして中学のときに全国コンクールで受賞した作品だよね!覚えてる!」
1メートル四方のごつごつした岩のようなものから無数の棘のようなものが出ている土台から、無数の手が絡み合いながらある一点に向かって、なにかを掴もうと伸びている。タイトルは「蜘蛛の糸」
「本当に天から垂れ下げられた蜘蛛の糸が見えるみたい……昔も見たけど今見てもすごい作品ね」
「これが私の原点。これを作ったから今の私があるの」
「さっきルイ君に連れられて行ったアトリエにあった作品も同じコンセプトのもの?どこか似ている気がしたから」
「さすが千尋はわかってくれてる。そうなの。日本に帰ってきた新しいスタートとしてもう一度作ってみようと思って。これほどふさわしい作品はないわ」
改めてみると、この作品の凄さがわかる。
一華がこの作品を作るのにどんな情念を込めたのかはわからない。
だけど見た人の心をとらえて離さない。
そう。まるで蜘蛛の糸を掴もうとする、真っ白い手に自分の心臓を掴まれるような。
恐さに魅入られて他のものでは満足できない。
そういうものがこの作品からは滲み出ているような気がした。
「狂人の業よ」
「狂人……?」
一華が何を言っているのか、私は首を傾げた。
「私の個人的な感覚だと、着想から完成まで集中力を持続させる。それって常軌を逸した状態だと思うの。ある種の異常さ、狂気的なもの」
「そんなこと」
「私が言っている狂人、狂気というのは悪いことではないわ。所謂、狂人のイメージはここ数百年の間に積み重ねられてきたもので、大昔なら狂気は理性を越えた神がかり的なものだった。例えば神を降ろしてその言葉を伝える巫女とそれを信じる人たち。大昔は神聖なものでも今の価値観で言えば、狂気的な状態だし、それを信仰するのも狂っていると思われる」
一華の言葉を私は黙って聞き入っていた。
私の周りにこういう価値観でものを話す人はいなかった。
もちろん、昔の一華も。
「こういう言葉があるの。狂気は、未開の状態では発見されることはありえない。狂気は、ある社会のなかにしか存在しない。つまり、狂気というのは、狂気とされるものを孤立させるような感情のあり方、狂気とされるものを排除し、つかまえさせるような反感、嫌悪のかたちがなければ存在しないってね」
「そんな難しいこと考えてるの?」
私の知っている一華から、今目の前にいる一華に強い興味がわいた。
「ミシェル・フーコー。フランスの哲学者。他にも思想史家、政治活動家、作家と様々な面を持っている人の言葉よ」
「なんだかとっても難しいお話ね。ただ、私が今の話で感じたのは、社会で認知されなければ、可視化されなければどんな狂気も存在しないのかなって。社交的で内の狂気に人の皮をかぶせていれば自由に狂気の翼を羽ばたかせることができる。例えば赤ずきんの狼みたいに成りすまして……あっ!あれはばれちゃったんだっけ」
「そうね。でも千尋の感じたこと、私は正しいと思う」
一華は笑いながら言った。
「ちょっと話が難しくてついていけないよ。もっと軽い話しようよ」
ルイ君が言うと一華は口に手をあてて笑った。
「ねえ、変な質問なんだけど、二人は本当どういう関係?パートナーって?恋人同士とはまた違うの?」
話題を変えようと思い、一華とルイ君のことを聞いた。
「普段は面倒だから、恋人ってことで紹介しているけどね。なんだろう、こうして一緒に住んでいるし、体の関係もあるけど、だからといってお互いを縛らない関係ってことかな?」
「でも、縛らないとは言っても好きは好きなんでしょ?普通の恋人とどう違うの?」
「例えば、私が誰と遊ぼうと寝ようとルイが誰と遊ぼうと寝ようと、お互い自由。干渉しない。欲しくなったら互いに求めればいい。そういうことよ」
「それってセフレってこと?」
「ううん。セフレはただの玩具。そこに人格とか必要ない物。でも私とルイは互いの人格は認めている。だからこうして一緒に住んでいられるの。こういうのも理解されなければ狂ってるように見えるのかもね」
一華はクスッとすると私を見た。
「私にはできないなあ……どうしても干渉しちゃう。それに明さんを裏切るのも嫌だし……」
「背徳感が香しい毒酒になるんじゃない?それか退屈へのスパイス」
「そんなそそのかさないでよ」
そう言って笑ってから続けた。
「でも、いいなって気持ちもあるの、こんな素敵な家に素敵なパートナー、そして自由。そういうのに憧れちゃう自分がいる。何が嫌ってわけじゃないんだけどね、今の生活。私は満たされているんだけど、明さんのことも愛しているし、でもなんかが足りない、どこか退屈で、このまま時間が経っていくのか、そんな不安があるの」
「ねえ、私のアートスクールに通ってみない?」
「スクール?」
「ええ。彫刻が主体だけどスクールを開催してるの。生徒は千尋みたいに専業主婦の方が多いから新しい友達もできるだろうし、殻を破るきっかけになるかも」
「私の殻?」
「そう。殻」
ゆで卵をエッグスタンドから手に取ると、優雅
な手付きで殻をむく一華。
その瞳が私をとらえて離さなかった。
「殻を破る、か……」
私は少し考え込んだ。
確かに、毎日家事とトマトの世話をするだけの生活は、平和だけれど変化がない。明さんは仕事で忙しいし、子供もいない。 一華のような華やかな世界に、少し憧れがないと言えば嘘になる。
「私にできるかな? 美術なんて中学以来だし」
「大丈夫よ。ちゃんとした講師もつけるし、私だって教えるから」
一華が身を乗り出して、私の手の上に自分の手を重ねた。
その手はひんやりと冷たく、けれど力がこもっていた。逃さない、と言われているようで、ドキリとする。
「……うん。楽しそうね。やってみようかな」
断れない雰囲気というのもあったけれど、一華の期待に応えたいという気持ちも本心だった。
彼女は昔から、私を特別な存在だと言ってくれる数少ない友人だから。
一華の瞳が、嬉しそうに細められた。
その笑顔を見て、私はホッと胸をなでおろす。
やっぱり、一華は一華だ。昔と変わらない、私の親友。
少し個性的で、浮世離れしてしまったけれど。
私は皿に残った最後の一切れ——真っ赤なトマトを、フォークで突き刺した。
プチリ、と皮が弾ける音が、静かなダイニングに響く。
口に含むと、甘酸っぱい果汁が溢れ出した。 このトマト、美味しい。どんな肥料を使っているんだろう。
ふと、そんなことを考えながら、私は一華の用意してくれた「殻を破る日常」への入り口に、足を一歩踏み入れたのだった。
一華の家で自分だけが美味しい料理をいただいたのが、明さんにちょっと申し訳なく思ったのもあり、夕食を頑張った。
私にしてはここ最近ではかなり手が込んでる。
幸いにも今日は明さんの帰りがいつもより早かったので二人そろっての夕食がとれた。
「なんだかいつもより御馳走だね。どうしたの?」
「ううん。ただ、明さんが久しぶりに早く帰ってこれるからうれしくて」
「ごめんね。いつも帰りが遅いから千尋に一人で食べさせてしまう」
「いいのよ。お仕事なんだから。私はそういうの平気なの。でも二人一緒ならうれしいのはあたりまえじゃない」
「千尋」
ふいに明さんが私を見つめて呼ぶ。
「いつもありがとう」
私ははにかんで首をふった。
二人での食事は会話が弾み、今日、一華の家に言った話題になった。
「凄かったのよ!一華の家!もうドラマか映画に出てくるみたいな素敵な家なの!」
スマホで撮った写真を見せた。
「それはすごいね!」
「それに一華は料理もプロ顔負けなの。私なんて恥ずかしくなるくらい!私ももっと勉強しなくちゃ」
「いいよ。千尋の料理は今でも十分美味いし、俺は好きだな」
「ありがとう明さん」
食事が終わり二人で晩酌をした。
「アートスクール?」
「そうなの。一華が開催しているの。誘われてね。私、通ってもいいかな?」
「かまわないけど、千尋がそういうことに興味があったなんて知らなかったよ」
「興味っていうか、これも何かの縁だし。知らないことをやってみるのもいいかなって。それに生徒も私みたいな専業主婦が多いんだって」
「そうなんだ。そういえば小川さんはご結婚は?」
「彼女、縛られるのが嫌みたい。でも一華がもしも選ぶ男性がいたらきっと素敵な人なんだろうな……明さんみたいに」
一華が選ぶ相手は明さんの様に素敵な人。
私はそのことをもう一度繰り返した。
夜も更けて、ベッドに入ると求め合った。
昼間の二人にあてられたのか、なんだか自分でも今日は昂っている。
心の高揚は体の反応にも比例した。
私が昂れば明さんも興奮するのか、いつもよりも私を求める行為は激しかった。
並べられた料理は、どれも一華らしく完璧で、芸術品のように美しかった。 前菜は、真っ赤なトマトとモッツァレラチーズのカプレーゼ。
メインは、骨付き子羊のロースト。切り口から滲む肉汁の赤が、白い磁器の皿に鮮やかに映えている。
「いただきます」
ナイフを入れる。肉は抵抗なく切れ、口に運ぶと野性味あふれる香りと脂の甘みが広がった。
「美味しい!ホテルでも思ったの。一華の料理って味も盛り付けも芸術的だわ!」
「料理が好きでやっているうちに上達したの。なんとなく彫刻に似てるから。素材を解体して再構築する」
「僕たち、ほとんど外食はしないんです。一華の料理の方が三ツ星レストランよりおいしいですから」
「ルイ。いいすぎ」
一華が苦笑する。
料理に目を奪われていたが、一華の後ろにさっき気になった布をかけられたものがあるのに気がついた。
「あれはなに?さっき来たとき気になったの」
「あれね。ルイ」
促されてルイ君が立ち上がり、布をとる。
「あれって、もしかして中学のときに全国コンクールで受賞した作品だよね!覚えてる!」
1メートル四方のごつごつした岩のようなものから無数の棘のようなものが出ている土台から、無数の手が絡み合いながらある一点に向かって、なにかを掴もうと伸びている。タイトルは「蜘蛛の糸」
「本当に天から垂れ下げられた蜘蛛の糸が見えるみたい……昔も見たけど今見てもすごい作品ね」
「これが私の原点。これを作ったから今の私があるの」
「さっきルイ君に連れられて行ったアトリエにあった作品も同じコンセプトのもの?どこか似ている気がしたから」
「さすが千尋はわかってくれてる。そうなの。日本に帰ってきた新しいスタートとしてもう一度作ってみようと思って。これほどふさわしい作品はないわ」
改めてみると、この作品の凄さがわかる。
一華がこの作品を作るのにどんな情念を込めたのかはわからない。
だけど見た人の心をとらえて離さない。
そう。まるで蜘蛛の糸を掴もうとする、真っ白い手に自分の心臓を掴まれるような。
恐さに魅入られて他のものでは満足できない。
そういうものがこの作品からは滲み出ているような気がした。
「狂人の業よ」
「狂人……?」
一華が何を言っているのか、私は首を傾げた。
「私の個人的な感覚だと、着想から完成まで集中力を持続させる。それって常軌を逸した状態だと思うの。ある種の異常さ、狂気的なもの」
「そんなこと」
「私が言っている狂人、狂気というのは悪いことではないわ。所謂、狂人のイメージはここ数百年の間に積み重ねられてきたもので、大昔なら狂気は理性を越えた神がかり的なものだった。例えば神を降ろしてその言葉を伝える巫女とそれを信じる人たち。大昔は神聖なものでも今の価値観で言えば、狂気的な状態だし、それを信仰するのも狂っていると思われる」
一華の言葉を私は黙って聞き入っていた。
私の周りにこういう価値観でものを話す人はいなかった。
もちろん、昔の一華も。
「こういう言葉があるの。狂気は、未開の状態では発見されることはありえない。狂気は、ある社会のなかにしか存在しない。つまり、狂気というのは、狂気とされるものを孤立させるような感情のあり方、狂気とされるものを排除し、つかまえさせるような反感、嫌悪のかたちがなければ存在しないってね」
「そんな難しいこと考えてるの?」
私の知っている一華から、今目の前にいる一華に強い興味がわいた。
「ミシェル・フーコー。フランスの哲学者。他にも思想史家、政治活動家、作家と様々な面を持っている人の言葉よ」
「なんだかとっても難しいお話ね。ただ、私が今の話で感じたのは、社会で認知されなければ、可視化されなければどんな狂気も存在しないのかなって。社交的で内の狂気に人の皮をかぶせていれば自由に狂気の翼を羽ばたかせることができる。例えば赤ずきんの狼みたいに成りすまして……あっ!あれはばれちゃったんだっけ」
「そうね。でも千尋の感じたこと、私は正しいと思う」
一華は笑いながら言った。
「ちょっと話が難しくてついていけないよ。もっと軽い話しようよ」
ルイ君が言うと一華は口に手をあてて笑った。
「ねえ、変な質問なんだけど、二人は本当どういう関係?パートナーって?恋人同士とはまた違うの?」
話題を変えようと思い、一華とルイ君のことを聞いた。
「普段は面倒だから、恋人ってことで紹介しているけどね。なんだろう、こうして一緒に住んでいるし、体の関係もあるけど、だからといってお互いを縛らない関係ってことかな?」
「でも、縛らないとは言っても好きは好きなんでしょ?普通の恋人とどう違うの?」
「例えば、私が誰と遊ぼうと寝ようとルイが誰と遊ぼうと寝ようと、お互い自由。干渉しない。欲しくなったら互いに求めればいい。そういうことよ」
「それってセフレってこと?」
「ううん。セフレはただの玩具。そこに人格とか必要ない物。でも私とルイは互いの人格は認めている。だからこうして一緒に住んでいられるの。こういうのも理解されなければ狂ってるように見えるのかもね」
一華はクスッとすると私を見た。
「私にはできないなあ……どうしても干渉しちゃう。それに明さんを裏切るのも嫌だし……」
「背徳感が香しい毒酒になるんじゃない?それか退屈へのスパイス」
「そんなそそのかさないでよ」
そう言って笑ってから続けた。
「でも、いいなって気持ちもあるの、こんな素敵な家に素敵なパートナー、そして自由。そういうのに憧れちゃう自分がいる。何が嫌ってわけじゃないんだけどね、今の生活。私は満たされているんだけど、明さんのことも愛しているし、でもなんかが足りない、どこか退屈で、このまま時間が経っていくのか、そんな不安があるの」
「ねえ、私のアートスクールに通ってみない?」
「スクール?」
「ええ。彫刻が主体だけどスクールを開催してるの。生徒は千尋みたいに専業主婦の方が多いから新しい友達もできるだろうし、殻を破るきっかけになるかも」
「私の殻?」
「そう。殻」
ゆで卵をエッグスタンドから手に取ると、優雅
な手付きで殻をむく一華。
その瞳が私をとらえて離さなかった。
「殻を破る、か……」
私は少し考え込んだ。
確かに、毎日家事とトマトの世話をするだけの生活は、平和だけれど変化がない。明さんは仕事で忙しいし、子供もいない。 一華のような華やかな世界に、少し憧れがないと言えば嘘になる。
「私にできるかな? 美術なんて中学以来だし」
「大丈夫よ。ちゃんとした講師もつけるし、私だって教えるから」
一華が身を乗り出して、私の手の上に自分の手を重ねた。
その手はひんやりと冷たく、けれど力がこもっていた。逃さない、と言われているようで、ドキリとする。
「……うん。楽しそうね。やってみようかな」
断れない雰囲気というのもあったけれど、一華の期待に応えたいという気持ちも本心だった。
彼女は昔から、私を特別な存在だと言ってくれる数少ない友人だから。
一華の瞳が、嬉しそうに細められた。
その笑顔を見て、私はホッと胸をなでおろす。
やっぱり、一華は一華だ。昔と変わらない、私の親友。
少し個性的で、浮世離れしてしまったけれど。
私は皿に残った最後の一切れ——真っ赤なトマトを、フォークで突き刺した。
プチリ、と皮が弾ける音が、静かなダイニングに響く。
口に含むと、甘酸っぱい果汁が溢れ出した。 このトマト、美味しい。どんな肥料を使っているんだろう。
ふと、そんなことを考えながら、私は一華の用意してくれた「殻を破る日常」への入り口に、足を一歩踏み入れたのだった。
一華の家で自分だけが美味しい料理をいただいたのが、明さんにちょっと申し訳なく思ったのもあり、夕食を頑張った。
私にしてはここ最近ではかなり手が込んでる。
幸いにも今日は明さんの帰りがいつもより早かったので二人そろっての夕食がとれた。
「なんだかいつもより御馳走だね。どうしたの?」
「ううん。ただ、明さんが久しぶりに早く帰ってこれるからうれしくて」
「ごめんね。いつも帰りが遅いから千尋に一人で食べさせてしまう」
「いいのよ。お仕事なんだから。私はそういうの平気なの。でも二人一緒ならうれしいのはあたりまえじゃない」
「千尋」
ふいに明さんが私を見つめて呼ぶ。
「いつもありがとう」
私ははにかんで首をふった。
二人での食事は会話が弾み、今日、一華の家に言った話題になった。
「凄かったのよ!一華の家!もうドラマか映画に出てくるみたいな素敵な家なの!」
スマホで撮った写真を見せた。
「それはすごいね!」
「それに一華は料理もプロ顔負けなの。私なんて恥ずかしくなるくらい!私ももっと勉強しなくちゃ」
「いいよ。千尋の料理は今でも十分美味いし、俺は好きだな」
「ありがとう明さん」
食事が終わり二人で晩酌をした。
「アートスクール?」
「そうなの。一華が開催しているの。誘われてね。私、通ってもいいかな?」
「かまわないけど、千尋がそういうことに興味があったなんて知らなかったよ」
「興味っていうか、これも何かの縁だし。知らないことをやってみるのもいいかなって。それに生徒も私みたいな専業主婦が多いんだって」
「そうなんだ。そういえば小川さんはご結婚は?」
「彼女、縛られるのが嫌みたい。でも一華がもしも選ぶ男性がいたらきっと素敵な人なんだろうな……明さんみたいに」
一華が選ぶ相手は明さんの様に素敵な人。
私はそのことをもう一度繰り返した。
夜も更けて、ベッドに入ると求め合った。
昼間の二人にあてられたのか、なんだか自分でも今日は昂っている。
心の高揚は体の反応にも比例した。
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