16 / 48
友情の誓いと、国境の火花
しおりを挟む
温室を包む魔導灯の光は、外の猛吹雪を忘れさせるほどに穏やかだった。
アデリーンは、新しく用意された円形のテーブルを挟んで、マリエッタと向き合っていた。マリエッタは清潔な侍女服に着替えたものの、まだどこか落ち着かない様子で、借りてきた猫のように背筋を伸ばして座っている。
「マリエッタ、そんなに緊張しないで。お茶も冷めてしまうわ」
「は、はい。……申し訳ありません、アデリーン様。私のような者が、あなた様と同じテーブルを囲むなんて……ルミナリスでは考えられないことですから」
マリエッタは、震える手でティーカップを持ち上げた。彼女の瞳には、自分を救い出してくれたアデリーンへの深い敬意と、同時に「自分は彼女にふさわしくない」という自責の念が混ざり合っている。
アデリーンは、その様子をじっと見つめ、静かにティーカップを置いた。
「マリエッタ、お願い。私を『様』で呼ぶのは、もうやめてくれないかしら」
「えっ!? そ、そんな、滅相もございません! あなた様は今や公国の至宝、次期公爵夫人なのです。私のような侍女見習いが呼び捨てにするなんて……」
「いいえ、マリエッタ。私には、侍女はたくさんいるわ。けれど、ルミナリスの……私の辛かった時期を知っていて、それでもこうして私の元へ来てくれた『友人』は、あなた一人なの」
アデリーンはテーブル越しに身を乗り出し、マリエッタの手を優しく包み込んだ。
「ここでは、誰の目も気にする必要はないわ。だから、昔みたいに名前で呼んでほしいの。対等な友人として、あなたの本当の声を聞かせて?……ねえ、マリエッタ」
アデリーンの真摯な眼差しに、マリエッタの瞳が潤んだ。彼女は何度か言葉を飲み込み、震える唇を噛み締めながら、ようやく、絞り出すようにその名前を呼んだ。
「……アデリーン……。……いいの? 本当に、私なんかが……」
「ええ。ありがとう、マリエッタ」
アデリーンは心からの笑顔を見せた。その瞬間、二人の間に漂っていた見えない壁が、霧が晴れるように消え去った。マリエッタもようやく肩の力を抜き、照れくさそうに微笑んだ。
「……ふふ、やっぱりアデリーンは、昔からお人好しすぎるわ。……でも、そんなあなただから、あの三人の兄様たちも、あんな『過激なこと』を始めたんでしょうね」
「過激なこと……? マリエッタ、何か知っているの?」
アデリーンの問いに、マリエッタは少し顔を曇らせた。
「ええ。カスティアの商隊にいた時に聞いたわ。マクシミリアン様たちは、エリオット王子を追放した後、王国の宝物庫を完全に掌握したそうよ。……彼らは、アデリーンを蔑んだ貴族たちの全財産を没収して、それをすべて『アデリーンの持参金』として積み立てているの。……噂では、黄金の国の半分が、すでにあなたの個人資産になっているとか」
「な……国の半分……!?」
アデリーンは絶句した。兄たちが自分のために動いていることは知っていたが、まさか一国の財政を傾けるほどの規模だとは思いもよらなかった。
「彼らの愛は、少し……いえ、かなり重すぎるわね。……でも、それだけじゃないわ。マクシミリアン様は、騎士団の精鋭を引き連れて、もうすぐここへ来る。……あなたを『女王』として迎え入れるためにね」
「……女王だなんて、私はそんな器じゃ……」
「そこが、あの人たちには関係ないのよ。彼らにとって、世界で一番尊いのは、ルミナリスの王でも神でもなく、妹であるあなたなんだから」
マリエッタが苦笑いしたその時、温室の入り口から冷たい風が吹き込んだ。
「……随分と楽しそうだな、アデリーン」
低い、威圧感のある声。
ゼノスが、漆黒の外套をなびかせて現れた。彼はマリエッタを一瞥すると、少し不機嫌そうに眉をひそめた。アデリーンの関心が自分以外の誰か――たとえそれが女性の友人であっても――に向けられているのが、彼には面白くないらしい。
「ゼノス様! お仕事は終わったのですか?」
「……お前の声が聞きたくなっただけだ」
ゼノスは当然のようにアデリーンの隣に座ると、彼女の肩を抱き寄せ、自分の領分を誇示するように彼女の髪に触れた。マリエッタは「これが噂の氷の公爵の独占欲……!」と圧倒され、顔を引きつらせながらも、親友の幸せそうな様子を微笑ましく見守っていた。
だが、その平穏な時間は長くは続かなかった。
息を切らした伝令兵が、温室へ駆け込んできたのだ。
「公爵閣下! 国境の砦より緊急の魔導通信です! 南の街道より、ルミナリス王国の軍旗を掲げた巨大な輸送隊が接近中! その数、馬車にして数百台、護衛の騎士は千を超えます!」
ゼノスの瞳が、瞬時に鋭い剣のようになった。
「……輸送隊だと? それほどの規模、もはや侵略と変わらんぞ」
「報告によれば、先頭に立つのはベルグラード公爵家当主、マクシミリアン殿! 彼は『我が妹アデリーンに、王国の全財産を届けに来た。道を空けろ』と通告しております!」
アデリーンは立ち上がった。ついに、兄たちが来てしまった。
「ゼノス様、お兄様たちが……!」
「……ふん。妹を迎えに来たという割には、ずいぶんな大軍だな。公国を丸ごと買い取るつもりか、あるいは……」
ゼノスは腰の剣を佩き直し、アデリーンを背後に隠すように立った。
「アデリーン、お前は城で待っていろ。……マリエッタ、彼女を頼む」
「閣下、私も行きます! お兄様たちを止められるのは、私しか……」
「……いや。これは男の意地の問題だ」
ゼノスのアイスブルーの瞳が、静かな闘志で燃え上がる。
自分のものだと誓った愛しい女性を、かつて彼女を捨てた――たとえ理由があったにせよ――兄たちに、簡単に渡すつもりは毛頭なかった。
国境の砦。
白銀の雪原を、黄金の旗が埋め尽くしていた。
その最前線、愛馬を止めて公国の門を睨みつけるのは、ルミナリス最強の騎士、マクシミリアン。
「……さあ、ノースガルの公爵。我が妹を返してもらおうか。今ならまだ、『対等な取引』で済ませてやる」
マクシミリアンの冷徹な声が、凍てつく空気を震わせる。
アデリーンを巡る、最強の「過保護」と、最強の「独占欲」。
二つの巨大な愛が、ついに火花を散らし始めた。
アデリーンは、新しく用意された円形のテーブルを挟んで、マリエッタと向き合っていた。マリエッタは清潔な侍女服に着替えたものの、まだどこか落ち着かない様子で、借りてきた猫のように背筋を伸ばして座っている。
「マリエッタ、そんなに緊張しないで。お茶も冷めてしまうわ」
「は、はい。……申し訳ありません、アデリーン様。私のような者が、あなた様と同じテーブルを囲むなんて……ルミナリスでは考えられないことですから」
マリエッタは、震える手でティーカップを持ち上げた。彼女の瞳には、自分を救い出してくれたアデリーンへの深い敬意と、同時に「自分は彼女にふさわしくない」という自責の念が混ざり合っている。
アデリーンは、その様子をじっと見つめ、静かにティーカップを置いた。
「マリエッタ、お願い。私を『様』で呼ぶのは、もうやめてくれないかしら」
「えっ!? そ、そんな、滅相もございません! あなた様は今や公国の至宝、次期公爵夫人なのです。私のような侍女見習いが呼び捨てにするなんて……」
「いいえ、マリエッタ。私には、侍女はたくさんいるわ。けれど、ルミナリスの……私の辛かった時期を知っていて、それでもこうして私の元へ来てくれた『友人』は、あなた一人なの」
アデリーンはテーブル越しに身を乗り出し、マリエッタの手を優しく包み込んだ。
「ここでは、誰の目も気にする必要はないわ。だから、昔みたいに名前で呼んでほしいの。対等な友人として、あなたの本当の声を聞かせて?……ねえ、マリエッタ」
アデリーンの真摯な眼差しに、マリエッタの瞳が潤んだ。彼女は何度か言葉を飲み込み、震える唇を噛み締めながら、ようやく、絞り出すようにその名前を呼んだ。
「……アデリーン……。……いいの? 本当に、私なんかが……」
「ええ。ありがとう、マリエッタ」
アデリーンは心からの笑顔を見せた。その瞬間、二人の間に漂っていた見えない壁が、霧が晴れるように消え去った。マリエッタもようやく肩の力を抜き、照れくさそうに微笑んだ。
「……ふふ、やっぱりアデリーンは、昔からお人好しすぎるわ。……でも、そんなあなただから、あの三人の兄様たちも、あんな『過激なこと』を始めたんでしょうね」
「過激なこと……? マリエッタ、何か知っているの?」
アデリーンの問いに、マリエッタは少し顔を曇らせた。
「ええ。カスティアの商隊にいた時に聞いたわ。マクシミリアン様たちは、エリオット王子を追放した後、王国の宝物庫を完全に掌握したそうよ。……彼らは、アデリーンを蔑んだ貴族たちの全財産を没収して、それをすべて『アデリーンの持参金』として積み立てているの。……噂では、黄金の国の半分が、すでにあなたの個人資産になっているとか」
「な……国の半分……!?」
アデリーンは絶句した。兄たちが自分のために動いていることは知っていたが、まさか一国の財政を傾けるほどの規模だとは思いもよらなかった。
「彼らの愛は、少し……いえ、かなり重すぎるわね。……でも、それだけじゃないわ。マクシミリアン様は、騎士団の精鋭を引き連れて、もうすぐここへ来る。……あなたを『女王』として迎え入れるためにね」
「……女王だなんて、私はそんな器じゃ……」
「そこが、あの人たちには関係ないのよ。彼らにとって、世界で一番尊いのは、ルミナリスの王でも神でもなく、妹であるあなたなんだから」
マリエッタが苦笑いしたその時、温室の入り口から冷たい風が吹き込んだ。
「……随分と楽しそうだな、アデリーン」
低い、威圧感のある声。
ゼノスが、漆黒の外套をなびかせて現れた。彼はマリエッタを一瞥すると、少し不機嫌そうに眉をひそめた。アデリーンの関心が自分以外の誰か――たとえそれが女性の友人であっても――に向けられているのが、彼には面白くないらしい。
「ゼノス様! お仕事は終わったのですか?」
「……お前の声が聞きたくなっただけだ」
ゼノスは当然のようにアデリーンの隣に座ると、彼女の肩を抱き寄せ、自分の領分を誇示するように彼女の髪に触れた。マリエッタは「これが噂の氷の公爵の独占欲……!」と圧倒され、顔を引きつらせながらも、親友の幸せそうな様子を微笑ましく見守っていた。
だが、その平穏な時間は長くは続かなかった。
息を切らした伝令兵が、温室へ駆け込んできたのだ。
「公爵閣下! 国境の砦より緊急の魔導通信です! 南の街道より、ルミナリス王国の軍旗を掲げた巨大な輸送隊が接近中! その数、馬車にして数百台、護衛の騎士は千を超えます!」
ゼノスの瞳が、瞬時に鋭い剣のようになった。
「……輸送隊だと? それほどの規模、もはや侵略と変わらんぞ」
「報告によれば、先頭に立つのはベルグラード公爵家当主、マクシミリアン殿! 彼は『我が妹アデリーンに、王国の全財産を届けに来た。道を空けろ』と通告しております!」
アデリーンは立ち上がった。ついに、兄たちが来てしまった。
「ゼノス様、お兄様たちが……!」
「……ふん。妹を迎えに来たという割には、ずいぶんな大軍だな。公国を丸ごと買い取るつもりか、あるいは……」
ゼノスは腰の剣を佩き直し、アデリーンを背後に隠すように立った。
「アデリーン、お前は城で待っていろ。……マリエッタ、彼女を頼む」
「閣下、私も行きます! お兄様たちを止められるのは、私しか……」
「……いや。これは男の意地の問題だ」
ゼノスのアイスブルーの瞳が、静かな闘志で燃え上がる。
自分のものだと誓った愛しい女性を、かつて彼女を捨てた――たとえ理由があったにせよ――兄たちに、簡単に渡すつもりは毛頭なかった。
国境の砦。
白銀の雪原を、黄金の旗が埋め尽くしていた。
その最前線、愛馬を止めて公国の門を睨みつけるのは、ルミナリス最強の騎士、マクシミリアン。
「……さあ、ノースガルの公爵。我が妹を返してもらおうか。今ならまだ、『対等な取引』で済ませてやる」
マクシミリアンの冷徹な声が、凍てつく空気を震わせる。
アデリーンを巡る、最強の「過保護」と、最強の「独占欲」。
二つの巨大な愛が、ついに火花を散らし始めた。
78
あなたにおすすめの小説
完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています
オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。
◇◇◇◇◇◇◇
「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。
14回恋愛大賞奨励賞受賞しました!
これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。
ありがとうございました!
ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。
この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)
婚約破棄されたので、隠していた力を解放します
ミィタソ
恋愛
「――よって、私は君との婚約を破棄する」
豪華なシャンデリアが輝く舞踏会の会場。その中心で、王太子アレクシスが高らかに宣言した。
周囲の貴族たちは一斉にどよめき、私の顔を覗き込んでくる。興味津々な顔、驚きを隠せない顔、そして――あからさまに嘲笑する顔。
私は、この状況をただ静かに見つめていた。
「……そうですか」
あまりにも予想通りすぎて、拍子抜けするくらいだ。
婚約破棄、大いに結構。
慰謝料でも請求してやりますか。
私には隠された力がある。
これからは自由に生きるとしよう。
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)
犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。
『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』
ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。
まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。
みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。
でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。
【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります
なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。
忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。
「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」
「白い結婚ですか?」
「実は俺には……他に愛する女性がいる」
それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。
私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた
――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。
ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。
「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」
アロルド、貴方は何を言い出すの?
なにを言っているか、分かっているの?
「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」
私の答えは決まっていた。
受け入れられるはずがない。
自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。
◇◇◇
設定はゆるめです。
とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
【番外編も完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★2/17 番外編を投稿することになりました。→完結しました!
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる