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ヴィズとラウェル②
「ラウェル様、星が綺麗ですよー」
「……」
自身を守る護衛であり、己を捧げた恋人でもあるヴィズが、ラウェルに向かって笑いかけているにも関わらず、ラウェルは眉を顰めたまま、返事も返さない。
国境の戦いから2ヶ月。
ラウェルの魔力暴走から、2ヶ月。
瀕死の重傷を負ったものの、ラウェルも、逃げろと言ったのにラウェルを抱きしめに来たヴィズも、生き残ることができた。
ギリギリのところでラウェルの魔力が尽きたのだという。
この時ラウェルは気を失っていたから、全て伝え聞いたものになるが、魔力に焼かれて息も絶え絶えだったにも関わらず、気を失ったラウェルを、ヴィズは自陣の医療班のところまで運んだのだそうだ。
もちろん、引き渡したと同時にヴィズも気絶して、その後2人はひと月ほど目を覚まさなかった。
そして、ほんの3日ほど前にやっと、自室へと戻っていいと言われたばかりだ。
医療魔法が発達しているこの国でも、魔法ではない魔力そのものによる火傷のような症状の傷(通称魔力焼けという)は治癒に時間がかかる上に、痕を消すことが難しい。
ラウェルの体にもひきつれのような跡がたくさん残ったし、ヴィズの体にも残った。
ヴィズは、左の頬に大きな痕があるため、隠すのも難しい。
本人は、全く気にしてないような振る舞いだが、ラウェルはその傷が目に入るのが辛かった。
己の魔力が、愛しい人を殺しかけたという証明だからだ。
「ラウェル様?」
「すまなかった」
「……もー、何回目ですかソレー」
床に視線を向けたまま呟かれた言葉に、ヴィズはやれやれと首を横に振る。
気にするなというのは無理だろうけれど、自分が本当に気にしていないことは伝わってほしいものだ。
「俺は、ラウェル様の横にいられたら、それだけで何でもいいんですけどねぇ」
「でも俺はお前を」
「結果的に助かったんだから、問題なしですよ」
ヴィズはよしよし、とラウェルの頭を撫でる。
主従としてはあり得ないが、恋人だからありだ。
「ああ、そういえば、閨を再開していいそうですよ」
「!? ちょっと待て、それ、もしかしなくとも医務長に聞いのか?!」
「そうですとも」
ラウェルとヴィズが恋人関係にあるのは、公表こそしていないものの、周知の事実ではある。
だが、恋人がセックスしていいかどうかを医務長…自分が赤子の時おむつを換えてもらったような関係の人に聞いたという事実が衝撃的すぎて、ラウェルは金魚のように口をぱくぱくと動かした。
「なんで、治った記念にシませんか?」
ヴィズがニカッと笑う。
魔力焼けの痕のせいで、少し歪んでいるけれど、ラウェルの大好きな笑顔だ。
色々な衝撃はあったし、複雑な気持ちは変わらない。
だが、ラウェルは、愛しい恋人からの誘いにコクンとひとつ頷いてみせた。
***
身体中にのこるひきつれは正直醜いと思うから、ラウェルはベッドに寝転んでもなかなか服を脱ぐ気になれなかった。
恋人の体に残ったものは、美醜ではなく自身の罪そのものに思えて、脱いだ体を直視できなかった。
そんなラウェルの様子を見ながら、ヴィズはまた笑って、ラウェルの上着を脱がせる。
「これはですね、ヴィズ様が限界を超えても国を守ろうとした証です」
「っ」
痕に、何度も口付けながら、ヴィズは続ける。
「そして、俺に残るこの痕は、ラウェル様のおそばを離れなかった、俺の勲章です」
唇同士を重ねて、ヴィズはそのままラウェルを優しく押し倒す。
「俺、ラウェル様が好きです」
「…、よく、知っている」
「ええ、そうでしょうとも」
もう一度唇を重ねて。
夜は熱く、穏やかに過ぎていった。
***
朝チュン。
らぶらぶえっち書こうと思ったはずなのに、なぜ。
「……」
自身を守る護衛であり、己を捧げた恋人でもあるヴィズが、ラウェルに向かって笑いかけているにも関わらず、ラウェルは眉を顰めたまま、返事も返さない。
国境の戦いから2ヶ月。
ラウェルの魔力暴走から、2ヶ月。
瀕死の重傷を負ったものの、ラウェルも、逃げろと言ったのにラウェルを抱きしめに来たヴィズも、生き残ることができた。
ギリギリのところでラウェルの魔力が尽きたのだという。
この時ラウェルは気を失っていたから、全て伝え聞いたものになるが、魔力に焼かれて息も絶え絶えだったにも関わらず、気を失ったラウェルを、ヴィズは自陣の医療班のところまで運んだのだそうだ。
もちろん、引き渡したと同時にヴィズも気絶して、その後2人はひと月ほど目を覚まさなかった。
そして、ほんの3日ほど前にやっと、自室へと戻っていいと言われたばかりだ。
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ヴィズは、左の頬に大きな痕があるため、隠すのも難しい。
本人は、全く気にしてないような振る舞いだが、ラウェルはその傷が目に入るのが辛かった。
己の魔力が、愛しい人を殺しかけたという証明だからだ。
「ラウェル様?」
「すまなかった」
「……もー、何回目ですかソレー」
床に視線を向けたまま呟かれた言葉に、ヴィズはやれやれと首を横に振る。
気にするなというのは無理だろうけれど、自分が本当に気にしていないことは伝わってほしいものだ。
「俺は、ラウェル様の横にいられたら、それだけで何でもいいんですけどねぇ」
「でも俺はお前を」
「結果的に助かったんだから、問題なしですよ」
ヴィズはよしよし、とラウェルの頭を撫でる。
主従としてはあり得ないが、恋人だからありだ。
「ああ、そういえば、閨を再開していいそうですよ」
「!? ちょっと待て、それ、もしかしなくとも医務長に聞いのか?!」
「そうですとも」
ラウェルとヴィズが恋人関係にあるのは、公表こそしていないものの、周知の事実ではある。
だが、恋人がセックスしていいかどうかを医務長…自分が赤子の時おむつを換えてもらったような関係の人に聞いたという事実が衝撃的すぎて、ラウェルは金魚のように口をぱくぱくと動かした。
「なんで、治った記念にシませんか?」
ヴィズがニカッと笑う。
魔力焼けの痕のせいで、少し歪んでいるけれど、ラウェルの大好きな笑顔だ。
色々な衝撃はあったし、複雑な気持ちは変わらない。
だが、ラウェルは、愛しい恋人からの誘いにコクンとひとつ頷いてみせた。
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唇同士を重ねて、ヴィズはそのままラウェルを優しく押し倒す。
「俺、ラウェル様が好きです」
「…、よく、知っている」
「ええ、そうでしょうとも」
もう一度唇を重ねて。
夜は熱く、穏やかに過ぎていった。
***
朝チュン。
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