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その10分後位に誰かが猛烈にピンポン連打しながらドアを叩き、外で何か騒いでいる。高蔵君の声だ。
そういえば佳奈が来た事で忘れていたけれども、トイレから逃げて来たんだった。
佳奈よりも恐ろしい奴が来てしまった。
佳奈と関係していることがほぼ確実になった今、高蔵君への好意はマイナスだったものがさらに落ち込んで下げ止まる所を知らない。
一刻も早く縁を切りたいが、卒業の為にとりあえず2月14日は駅の噴水まで行ってもらわないと。
鍵を開けてドアを開けると、珍しく息を切らした高蔵君が勢いよく襲いかかってきた。
「琴子っ!!滅茶苦茶探したんだよ!女子トイレにも、学校にも居ないし!」
「探さなくてもいいのに」
「そんな訳に行くかよ!琴子に、嫌われたかと思って……研究室で勝手に皆にばらしたこととか、昨日まで琴子の事1回もイかせられなかったこととかっ!」
そんな事玄関で大声で言わないで欲しい。
あと高蔵君の事は今日嫌いになったんじゃなくて1週間前から嫌いになっているから安心して欲しい。
高蔵君は器用にも涙を潤ませて捨てられた子犬のような表情になっている。大きな体で厳つい顔のくせに。このギャップできっと数々の女の子のハートをキュンっとさせてきたのだろう。
さすがの私でも慰めたくなってしまう。
「大丈夫だよ。高く、」
「綾斗」
「……綾斗」
優しい口調で言おうとしたのに射殺さんばかりの視線で遮られて言い直される。高蔵君の腕に力が入り、背骨がミシミシ言っている。
「あ、綾斗、とりあえず、ご飯作るから離して」
「もうちょっとこうしてたい。琴子、琴子……琴子、俺の事嫌いにならないで」
「……うん。大丈夫だよ。綾斗の事、嫌いにならないよ」
高蔵君への好感度はもう既に地よりも深く落ちているので恐らくこれ以上嫌いになる事は無いだろう。
「本当に?琴子……俺の事、嫌いにならない?」
「うん、本当だよ」
「琴子、大好き。卒業してもずっと一緒だよ」
はいはい。そんな嘘はもうお見通しなんだよ。
心の中で勝ち誇ったように独りごちるが、体は恐怖で引き攣ったままだ。
高蔵君が私を抱き締めたまま軽々と抱えてソファーベッドに向かう。
「どうしてあんな所から逃げ出したの?」
高蔵君が座って私の肩を抱きながら聞いてくる。
「えっと、ちょっと用事思い出して……」
「ふーん。なんの用事?」
「その、色々、就活とかで……あっ!綾斗は、今就活中だよね?どこ目指してるの?」
無理やりだが話題を変えよう。
「琴子と同じ会社に行きたい……琴子はどこに内定貰ったの?俺まだ聞いてないんだけど」
「……そうだったっけ」
「誤魔化さないで。琴子の妹にも聞いたけど、もしかしてまだ決まってないの?」
そういえば佳奈が来た事で忘れていたけれども、トイレから逃げて来たんだった。
佳奈よりも恐ろしい奴が来てしまった。
佳奈と関係していることがほぼ確実になった今、高蔵君への好意はマイナスだったものがさらに落ち込んで下げ止まる所を知らない。
一刻も早く縁を切りたいが、卒業の為にとりあえず2月14日は駅の噴水まで行ってもらわないと。
鍵を開けてドアを開けると、珍しく息を切らした高蔵君が勢いよく襲いかかってきた。
「琴子っ!!滅茶苦茶探したんだよ!女子トイレにも、学校にも居ないし!」
「探さなくてもいいのに」
「そんな訳に行くかよ!琴子に、嫌われたかと思って……研究室で勝手に皆にばらしたこととか、昨日まで琴子の事1回もイかせられなかったこととかっ!」
そんな事玄関で大声で言わないで欲しい。
あと高蔵君の事は今日嫌いになったんじゃなくて1週間前から嫌いになっているから安心して欲しい。
高蔵君は器用にも涙を潤ませて捨てられた子犬のような表情になっている。大きな体で厳つい顔のくせに。このギャップできっと数々の女の子のハートをキュンっとさせてきたのだろう。
さすがの私でも慰めたくなってしまう。
「大丈夫だよ。高く、」
「綾斗」
「……綾斗」
優しい口調で言おうとしたのに射殺さんばかりの視線で遮られて言い直される。高蔵君の腕に力が入り、背骨がミシミシ言っている。
「あ、綾斗、とりあえず、ご飯作るから離して」
「もうちょっとこうしてたい。琴子、琴子……琴子、俺の事嫌いにならないで」
「……うん。大丈夫だよ。綾斗の事、嫌いにならないよ」
高蔵君への好感度はもう既に地よりも深く落ちているので恐らくこれ以上嫌いになる事は無いだろう。
「本当に?琴子……俺の事、嫌いにならない?」
「うん、本当だよ」
「琴子、大好き。卒業してもずっと一緒だよ」
はいはい。そんな嘘はもうお見通しなんだよ。
心の中で勝ち誇ったように独りごちるが、体は恐怖で引き攣ったままだ。
高蔵君が私を抱き締めたまま軽々と抱えてソファーベッドに向かう。
「どうしてあんな所から逃げ出したの?」
高蔵君が座って私の肩を抱きながら聞いてくる。
「えっと、ちょっと用事思い出して……」
「ふーん。なんの用事?」
「その、色々、就活とかで……あっ!綾斗は、今就活中だよね?どこ目指してるの?」
無理やりだが話題を変えよう。
「琴子と同じ会社に行きたい……琴子はどこに内定貰ったの?俺まだ聞いてないんだけど」
「……そうだったっけ」
「誤魔化さないで。琴子の妹にも聞いたけど、もしかしてまだ決まってないの?」
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