みんな大好き、中華料理

佐山ぴよ吉

文字の大きさ
38 / 77

38

しおりを挟む
 リビングはもう既に焼肉が始まっていて香ばしい香りが立ち込めている。高級そうなお肉と野菜が小皿に積まれていた。
 帰ろうとしたものの、おばさんにがっしりと肩を掴まれて高蔵君の隣に座らされてしまった。
 やっぱりあの高蔵君のお母さんだからか、力が強い。

「さあ、琴子ちゃん。良質なタンパク質を沢山取るんだよ。お父さん達に早く元気な孫の顔を見せて欲しいな」
「やだっ♡あなたったら♡琴子ちゃん、子供はいつでもいいのよ。でも筋肉男子の綾斗の相手するのにも体力は付けないとね!」
「筋肉男子って……琴子、ほら。沢山食べて」

 3人は焼きあがった野菜と肉をサクサクと全て私の前に積んで行く。私の目の前には高級肉タワーができていた。

「わ、私、こんなに頂く訳には……」
「何言ってるの!先週まで琴子ちゃんのお家でずっと綾斗が食い散らかしてたんでしょう?その分のお礼だとしても足りないくらいだわ!ほら、食べて食べて」

 確かに高蔵君と仮の付き合いを始めてからというもの、うちのエンゲル係数は爆上がりだった。命がかかっていたので致し方なかったが。
 それに高蔵君はともかくおじさんとおばさんは純粋な好意で振舞ってくれているのだろうから、無下にはできない。

「それじゃあ……はい。少しだけ頂きます……」

 お肉は口の中でとろけてしまう程柔らかく、甘辛いタレと絡んでとても美味しかった。
 けれどもどうしても私一人では食べきれない量がもう既に積まれている。

「綾斗も食べなよ。綾斗のお祝いなんでしょう?ほら、あーん」

 お箸でお肉を掴んで隣に座っていた綾斗に差し出すと、綾斗がそれを直接ぱくりとくわえて食べた。

「あーん♡ん、美味し♡」

 おじさんとおばさんがこちらを凝視している。
 今までも調理中に高蔵君に味見してもらう時などに何度かやっている行為だったので自然としてしまったが、さすがに親御さんの目の前では失礼じゃなかったか急に不安になってきた。

「んもー♡ラブラブねっ♡あなた、ほら、私からも♡あーん♡」
「あーん♡君の焼いてくれたピーマンは美味しいね。ほら、僕からも♡あーん♡」

 けれども、杞憂だったようだ。
 むしろ嬉しそうに2人も食べさせ合っている。

「琴子、もっと食べさせて。そうしないとほら、どんどんお肉増えてくよ?」

 高蔵君が椅子を寄せてきて肩が触れ合う程の距離まで近付いてきた。

「もう、しょうがないな……はい、あーん」
「あーん♡♡♡んー♡美味し♡幸せ……♡」
「あなた!今日はお祝いだからあのボトル開けましょ!琴子ちゃん、美味しいワインがあるのよ。飲んで、飲んでっ♡」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

甘い束縛

はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。 ※小説家なろうサイト様にも載せています。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

ハメられ婚〜最低な元彼とでき婚しますか?〜

鳴宮鶉子
恋愛
久しぶりに会った元彼のアイツと一夜の過ちで赤ちゃんができてしまった。どうしよう……。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

ホストと女医は診察室で

星野しずく
恋愛
町田慶子は開業したばかりのクリニックで忙しい毎日を送っていた。ある日クリニックに招かれざる客、歌舞伎町のホスト、聖夜が後輩の真也に連れられてやってきた。聖夜の強引な誘いを断れず、慶子は初めてホストクラブを訪れる。しかし、その日の夜、慶子が目覚めたのは…、なぜか聖夜と二人きりのホテルの一室だった…。

処理中です...