【R-18】魔力が無いと生きていけないので、婚約者になりました。

佐山ぴよ吉

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本編

淡雪-4

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(side:幸)
 
 4人のぬくもりの中、目が覚める。
 薄らと目を開けて、1番最初に目が合ったのは、純くんと京くんだった。
 
「ん……♡♡幸ねぇ……♡♡」
「んん? おはよう、純くん、京くん……♡旦那様は……? 泰雅さんも」
「2人なら、ついさっき出かけてったよ」
「泰にい、めちゃくちゃ嫌がってたけどな。もっといちゃいちゃしてたい~って。流石にもう1日は休ませられないって、はる兄に担がれて転移していったよ」

 その光景を想像して、くすりと笑う。
 
「ふたりは、おっぱいちゅっちゅしてたの? ほら……もっと吸っていいんだよ……♡♡」
「んっ♡♡んちゅっ♡♡んちゅ♡♡幸ねぇ♡♡」
「幸ねえのおっぱい、なんでこんなにずっと吸ってたくなるんだろ? ……んちゅっ♡♡」
「ふふっ、私もふたりに吸ってもらうの、とっても気持ちいいよ……♡んっ♡♡」
 
 いつまでもおっぱい離れできない京くんと純くん。
 でもそれが可愛くて可愛くて、私の方もおっぱい離れできない。
 
「昨日はあんまりおちんぽのほう、よしよしできなくてごめんね……」
「いいよ、泰にいが大変だったんだし。幸ねえも1日中粘膜接触してて疲れてただろ」
「オレ達の事より、幸ねえの体優先だよっ♡」
「んっ♡♡ありがとう。2人とも、優しい……あっ♡♡」
 
 吸うだけだった唇の動きが、だんだんと唾液を馴染ませてねっとりと乳首の周りを舌が動き回るものに変わっていく。
 数日前に刷り込まれた、2人の“えっちしたい”のサインだ。
 京くんの指が、私のおまんこの中に差し込まれる。
 
「ん~♡……凄いとろとろ……♡夜にはる兄、めちゃくちゃ中出ししてたもんね」
「うん。もう泰にいが可哀想になるくらい」
「でもオレ達ももう、限界」
「1週間も我慢したから、あんなんじゃ足りない。幸ねえのおまんこもっと入ってたいよ……」
「うん♡純くん、京くん、えっちしよっか……♡いっぱい我慢させてごめんね」

 ベッドのヘッドボードに背中を預けて座る京くんのおちんぽを、後ろからおまんこにお迎えして、純くんの顔をおっぱいで挟み込む。
 
「んっ……♡♡ふたりは……今日の予定は?」
「今日は午後から収録」
「それまではフリー♡」
「じゃあ、ちょっとだけだよ……んっ♡♡あっあっ♡♡きょうくんっ♡♡朝から激し……♡♡」

 ふたりのおちんぽを、代わる代わるおまんことおっぱいの中でよしよししてあげる。
 射精が終わった方のおちんぽは、おっぱいで優しく挟み込んでなでなでしてあげると、またむくむくと元気を取り戻した。

「はぁっ♡♡はぁっ♡♡幸ねえ♡♡止まんないっ♡♡」
「じゅんくん♡♡」
「はぁっ♡♡はぁっ♡♡幸ねえのパイズリ……♡♡ずっと包まれてたい♡♡」
「きょうくん♡♡おっぱいもきもちいい?」
「きもちいいっ♡♡あっ♡♡もう出ちゃうっ♡♡パイズリだけで出ちゃうよぉっ♡♡」
 
 おまんこもおっぱいも、2人のおちんぽミルクでいっぱいになる。
 シャワーを浴びた後も2人とも名残り惜しそうにおっぱいを吸い、沢山キスをして、ぎゅっとハグをしてから仕事に出かけて行った。

 一気にひとりになった空間の、しんと言う音が耳に響くみたいだ。
 ソファで読みかけの本を数ページ進めて、目を閉じる。
 4人との行為で寝不足気味の頭には、すぐに睡魔が襲ってきた。

 最近は、ひとりでいる時間はめっきり減った。
 そしてなんと、私には4人の旦那様以外に、友達が出来た。
 ──現実空間の、ではないのだけれど。

 以前から寝ている間に行き来していた空間──旦那様達は、『情報層』と呼んでいる──には、以前同様行っていた。
 行く、というよりも、気が付いたらそこにいるのだ。
 時には、純くんと京くんとも。
 でもやっぱり、ひとりで彷徨うことが多かった。

 1週間くらい前、そこにふわふわ漂っていると、女の子がやってくるのが見えた。

「えっ!? ええーっ!? つばさたん!?」

 ここに来る子達は、何故かみんな最初に私の事を『つばさ』と呼ぶ。
 でも、以前とは違って私は声を出せるようになった。

「ううん、私、幸っていうの」
「あっそっか! そうだよね! マジで羽生えてるから!」

 女の子は、メガネをかけて、長い髪を2つ結びにしている。毛先は自然の色じゃないと思うけれど、とても可愛いピンク色だった。
 一方私は、体の方は普段の姿と同じなのだけれど少し現実とは違う所があった。
 背中に、白い鳥のような羽が生えているのだ。

「うん。最近パタパタできるようになったんだよ」

 羽を自分の意思で動かしてみる。
 腕はちゃんとあるのに、もうひとつの腕を動かすみたいな感覚だ。
 今日は服を着たままここに来たけれど、服を着たままでもちゃんと羽は生えている。
 この羽は、魔術でできているのかもしれない。けれども、誰の魔術なのかは分からなかった。
 旦那様に聞いてみると、悪意のあるものではないから静観しようと言われた。けれども旦那様にはまだ一度もこの姿を見せれていない。
 
「はァァァ~♡♡とおと……♡♡マジリアルつばさたん……♡♡」
 
 女の子は顔に両手を当てて何かを呟いている。
 
「あっ……変だよね……羽生えてるなんて」
「そんな事ないない! 可愛い! も~超女神! 信仰する!」
「ふふっ、ありがとう。あなたの髪も、可愛いよ! ……えっと……あなたは……?」
「私、瑠香っていうの。幸ちゃん……いや、幸ねえ」
「えっ?」
「年齢は、幸ねえと同じ、22歳! 宮間グループ通信事業部でバイトしてる東都工大大学院1年生だよっ!」
「もしかして……旦那様の……」
「そっ♡3番目の妹♡あ~、やっと会えたぁ~~♡」
 

 瑠香ちゃんは、旦那様の話をよくしてくれた。
 前に吉野さんが話していたように、弟妹みんなの事を大事にしてくれること。
 大学に行く費用も、留学の費用も、全部旦那様が出してくれたこと。
 だから瑠香ちゃんも、少しでも役に立ちたいと思っていること。
 
「でも……最近はる兄、思い詰めすぎなんだと思うんだよね」
「私も……心配。たまに夜にも、どこかに出かけていってしまうの。何か探し物をしてるみたいで……」
「あ、えと……それはそれ。私が話してるのはね……はる兄、幸ねえが自分の事どう思ってるのか、気になり過ぎて悩んでるみたい」
「えっ……?」
「気になってるけど、気にしたくないって言うか……気になってることを悟られないようにしようとしてる……? っていうか。とにかくね、だからはる兄は、幸ねえともう結婚して囲っちゃおうって考えてるみたい」
「け、結婚……」
「ねえねえ、幸ねえはどう思ってるの~? はる兄のこと」
「好き……大好き……だけど」
「だけど?」
 
 顔を火照らせながら、膝の上で組んだ手を見る。

「旦那様に、それを伝えていいのか分からなくて……」
「良いに決まってるじゃん」
「そうかな……? でも、私は魔力なしで……何もできないから……」
「そんな事ない!」

 瑠香ちゃんは言い切ると、指先で空中にふわっと魔術式の図形を描いた。
 それは見たこともない複雑な線の集合体にしか見えなかった。
 けれども、どこか見間山で習った、積分の公式にも似ているような気がする。

「だってね……幸ねえ、はる兄って、幸ねえに会ってから主魔力器官の“位相束縛層”がほぼ全反転したんだよ?」
「じゅばく……?は、はん……てん?」
「うん。あれ普通は反転しないの。“位相束縛層”って、魔術回路の1番奥の“固有振動情報”が格納されてる場所だから。そこが反転すると、プロセッサ全体の主演算軸が書き換わっちゃうの。要するにね、はる兄の魔術は“幸ねえ基準”で再構築されちゃったの。でも本番はここからで──」

 瑠香ちゃんは畳みかける。

「幸ねえと出会って2ヶ月で、はる兄の深層魔力演算核の第7層の列配列が目覚めて、さらに“第8層”の未分化エリアが自発的に相転移したの!」
「う、うーん……?」
「そしたらね、その余波で“補助演算核”の準コア配列が自動展開して、結果的に“常在領域の魔力出力”が1日で 2.3 テラ相当跳ねたんだよ。はる兄の年齢でそれは、ありえないから!」
「テ、テラ……?」
「そう! で、その後ね……はる兄の“情報層干渉位相”にズレが生じて、普通の宮間でも絶対触れない“情報層の中位階パケット”まで読み取れるようになったの。あれは本来、母様レベルの異能者じゃないと扱えない領域なのに……」
「……ちゅう…いかい……ぱけっと……?」

 理解が追いつかない。
 どの単語も聞いたことがなくて、頭がじんじんする。
 でも瑠香ちゃんは止まらない。

「しかもね? はる兄の本来封印されてた遺伝子配列のひとつ──【R-Λ3配列】の基底因子が発火してるの。発火っていうのは、遺伝子が“本来想定してなかった形で動き出す”ってことなんだけど……」
「い、遺伝子が……発火……!?」
「うん! 発火! で、その影響で“魔力処理領域の3割が幸ねえ由来の信号に最適化されてる”の。もうこれはね、専門家でも“なにこれ”ってレベルなんだよ」
「私……の……?」

 胸がきゅっとする。
 怖いような、嬉しいような、よく分からない気持ち。

「そう。はる兄の魔術は、もう幸ねえを中心に“基底設計が組み直されてる”状態なの。自分の意思というより、“構造そのものがそうなってしまった”って感じ。ね? これ、魔力なしとか関係ないよね。幸ねえがそばにいるだけで、はる兄の魔術が“性能限界突破”しちゃうんだもん」
「わ、私は……何も……してないのに……」
「してるよ。言ってみれば──」

 瑠香ちゃんは、にこっと笑って言った。

「幸ねえは、はる兄の魔術システムの“中心プロトコル”になっちゃってるの。もう幸ねえがいなかった頃の構造には戻れないんだよ」
「っ……」

 胸が、何故か爆発しそうなほど熱くなった。

「だからね、幸ねえ。『好き』って言ってあげて。その1言だけで、はる兄の演算核、また跳ねるからさ」
 
 瑠香ちゃんが言っていることは、ほとんど理解ができない。
 けれども、言いたいことはきっと──ただひとつ。
 

 ーーーーー
 
 
 ──次の日。
 私は旦那様にお願いして、病院を受診した。
 御国レディースクリニック。
 吉野さんに案内されたそこは、婦人科専門のクリニックだった。
 初診ということで、色々な検査をされた。
 内診は以前いた研究所でされた事を思い出してしまって、叫んで震えが止まらなくなりそうだった。
 けれども吉野さんが隣でずっと手を握っていてくれたから、唇を噛んで堪える。

「大丈夫、大丈夫ですよ。怖い事は、何もありません」
「ごめんなさい……吉野さん……ご迷惑をおかけして……」
「いいえ。ここに来る決意をしてくれた事が、何よりですから。でも、あんまり無理しすぎないでくださいね」
 
 待合室で待っている間も、吉野さんがずっと背中をさすってくれた。
 でもここで、立ち止まる訳にはいかない。

 ──おじいちゃんとの約束だから。

 診察室から番号を呼ばれる。
 魔力なしだからと、特別に吉野さんの付き添いを許してくれた。

 私の子宮と卵巣は、以前の研究所で行われた処置で、ほとんど機能しなくなっていた。
 けれども、旦那様と泰雅さんと京くんと純くん、4人の治療魔術のお陰で、形はほぼ元通りになっていたそうだ。
 嬉しくて、ほっとため息をつきそうになったのも束の間。
 目の前のお医者さんは続けた。
 
「───ですが、血液検査の結果……」
 

 ーーーーー


 お会計を終え、家に帰ってきてもずっと、頭の中が真っ白だった。

 ── 身勝手かも知れないが、君がいつか悲しまないように……“魔法”をかけた。

 おじいちゃん。
 おじいちゃんはどうして、そんな魔法をかけたの。
 
 ── 君は、宮間を恨む日が来るかもしれない。

 旦那様が言っていた言葉が、何故か今頭の中を反響する。

 恨みたくない。
 恨みたくないよ、おじいちゃん。

「幸様……」
「ごめんなさい……吉野さん……旦那様……ごめんなさい……」

 ソファで吉野さんに抱き締められながら、涙を流す。
 どうして。
 おじいちゃん。

 でも、これが──私が選んだ選択の結果。
 全部、私が無知だったから。

 あの日、あの時。
 私が手を取る相手が違かったら。
 
 今日お医者さんに言われた事と、旦那様の言葉が、何度も何度も頭の中で跳ね返る。

『血液検査の結果、片瀬さんの卵巣予備能は欠落していることが分かりました。卵子が、作れないのです。卵胞はできても、卵子は作れません。こればかりは、再形成魔術を使う事は難しい──自然妊娠は、難しいでしょう』
 
『康成が遺した魔術契約は──君と婚姻する者は、君の遺伝子的第1子の父親でなければならないという契約だ』
 
 ──私は、私の体は、遺伝子を遺すことができない。だから、旦那様と結婚ができない。
 その事実を突きつけられた。

 吉野さんが、ずっと背中をさすってくれている。
 その手が止まり、私の体を起こして正面から私を見つめた。
 
「幸様……実は……春成様にはずっと口止めされていた事があるのですが、……今伝えなければならないと判断します。春成様の命には背きますがお伝えします」
 
 その目は真っ直ぐだけれど、どこか苦しそうだった。
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