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本編
霙雪-4
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(side:春成)
視界が暗転し、意識が物理層へ引き戻される。
母様の小部屋から持ち帰った“魔術情報ログ”。
それは物理媒体ですらなく、母式にしか読み取れない情報層の座標パケットだった。
ログを展開する。
青い光が机の上に立ち上がり、複数の文字列が浮かび上がる。
そのひとつ。七方の視覚情報ログ。
『C-13データコア・持ち出し:宮間吉成による指示』
それを見て深く息を飲んだ。
「……やはり……」
僕は椅子に沈むように座った。
「……なぜ……幸だったんだ……」
幸の卵子──C-13シリーズ。
魔力無しの卵子。
虐待的に研究用に搾取され、一度は流出しそうになった卵子。
展開したログを見つめていると、機密回線が震えた。
送信者は、泰雅だった。
『はる兄……予定通りだ。SIグループの24階……細胞保管室のセキュリティが動いてる。あいつは今、C-13にアクセスしてる……!!』
脳天に冷たさが走った。
僕は即座に立ち上がる。
「……幸」
七方の研究。
エスアイ研究所。
SIグループの再建。
泰雅が奪い返した卵子データ。その指示者。
母様の警告。
すべての線は1点に収束している。
「泰雅、非常回線を切り替えろ。すぐに行く。幸の卵子は絶対に渡さない」
『了解だ。はる兄、行け!!』
僕は情報制御階の扉を蹴るように飛び出した。
母様が守ろうとしたものを守る。
そして──
走りながら、僕は拳を握った。
「幸……必ず取り返す。君を、2度と利用させない」
SIグループ本社の24階へ降り立った。
この階は、もともとエスアイ研究所が使っていた細胞サーバーの管理フロアだ。
現在はSIグループ本社として再編されたが、設備の大部分は内部構造を変えずに残されている。
ここで卵子は採取され、保管され、再び利用されようとしている。
思ったより、時間がかかってしまった。
この会社の所有権を、自分に書き換える事に。
その間に何個の卵子を喪っただろうか。
それを考えると胸の奥がずくりと痛む。
買収という言葉は、便利だ。
まるで金さえ積めばすべてが解決するような響きをしている。
だが実際は違う。
研究所を買うということは、建物でも設備でもなく人間の欲望と恐怖を丸ごと引き取るということだ。
エスアイ研究所が解体されたあと、研究者たちは散った。
表向きは倫理違反、非人道的実験、国家的監査に基づく解体。
僕と康成で終わらせたはずの幸の過去の檻は、地中深くで燻っていた火種のようにまたいつの間にか復活していた。
なぜ気が付けなかったのか──それは奴も腐っても宮間の血を引いているということなのだろう。
SIグループという殻で再編された研究所を、宮間グループの資本で覆い、取締役会の議題として“倫理的再出発”を掲げる。
倫理など、彼らにとっては予算を通すための記号でしかない。
己が欲しかったのはひとつだけ。
──C-13に触れる“権限”を、宮間春成の名義に集約すること。
戦いというものは、魔術や暴力だけで行うものではない。
契約書と決算書と署名欄で行う戦いがある。
まず、研究者を切り離した。
全員ではなく、“才能があり、かつ、臆病な者”だけを選別する。
倫理委員会への匿名通報。
過去の実験ログの一部流出。
国家魔術監査局への事前情報提供。
そして彼らは理解する。
ここに残れば、次は自分だと。
次に、資金を絞る。
研究所の裏勘定。
海外のダミー口座。
魔術資材の横流しルート。
瑠香のログは、完璧だった。
銀行が凍結を始める頃には、研究所は“呼吸”ができなくなる。
人件費が払えない。
試薬が届かない。
保守契約が切れる。
焦り始めた経営陣に僕の名前を出した。
SIグループ買収戦は、表向きには「救済」なのだ。
宮間グループによるSIグループ再編案。
条件はひとつ。
「研究所は解体しない。人員も切らない。ただし、統治権は僕に移る」
交渉ではなく、選択肢の提示。
拒否すれば、監査が入り、告発が進み、全員が“過去”と一緒に消える。
受け入れれば、少なくとも“今”は生き残れると。
そう提示するのだ。そこまでは順調だった。
しかし──この研究所には、致命的な欠点があった。
信仰という名の。
「咲宮様のご遺志を絶やす事はできない」
人は、罪を犯してでも続けたいものを、「使命」と呼ぶ。
研究所の上役は口々にそう宣った。
この研究所は、宗教的思想に基づいた施設でもあった。
《魔力原理主義》──もとい、魔力なしを排斥する思想を提唱し、魔力なしやその周囲の人間を監禁・殺害した男。
この研究所はその男を信仰する人間がいる限り、潰したところで何度でも甦る。
厄介なのは、彼らが金で動かないことだった。
いや、正確には金で動かないふりをしている。
咲宮伊蹟。
魔力を持つものだけを肯定し、魔力なしが生まれる事を罪だと定義した男。
処刑されたはずの思想家。
だが思想は死なない。
研究所に最後まで残っていたのは、設備でもデータでもなく、彼の言葉を暗唱できる人間達だった。
「魔力なしは、魔術文明の発展を阻害する異物だ」
「淘汰は、罪ではない」
「選別こそが、慈悲である」
会議室でそれを“理念”として語る声を聞いたとき、正直反吐が出そうになった。
他でもない、魔力なしを用いる研究を行っている者達の言葉とは思えなかった。
倫理審査を通した書類の行間に、聖典の一節のように咲宮の思想が混じっている。
この連中にとって、これはただのゲノム研究ではない。
信仰の再現実験をしている。
だから買収が効かない。
資金を断てば、地下献金が回る。
人を切れば、“殉教”として美化される。
告発すれば、“迫害”として結束が強まる。
最悪の敵だ。
僕は、戦略を変えた。
殴り潰さないし、否定もしない。
上書きする。
咲宮の思想の根幹は単純だ。
致命的な欠点がある、と思っていた。
この研究所は、宗教で動いている。──だが、それは“弱点”でもある。
信仰とは、本質的に力に屈する。
咲宮伊蹟は、魔術と言葉で世界を切り分け、理論で人を縛った男だ。
だが──
彼は、上級魔術師ではあったが神ではなかった。
僕にとってはただの人だ。
僕は、最終交渉の場で何も説明しなかった。
理念も、再編案も、倫理も。
ただ、立っていただけだ。
宮間家の常務取締役としてではなく、ただの魔術師として。
僕は、演算を開始した。
音はしない。
光も派手ではない。
だが空間が、確実に沈んだ。
研究所全体を覆う、微細な魔力圧。
人体に害はない。
だが魔術回路を持つ人間なら、即座に理解してしまう種類の圧だ。
「これは……この、魔力は……!」
その場にいる人間達の呼吸が、僅かに重くなる。
背骨に、冷たい感覚が走る。
本能が、告げる。
「咲宮様の再来だ……! 咲宮様がここに……!?」
咲宮の名を口にした幹部が、言葉の途中で、喉を鳴らした。
信仰が揺らぐ瞬間は、いつも静かだ。
僕は言った。
「君たちは、彼の事を神だと思っているそうだな」
誰も否定しない。否、否定できない。
「だが、彼は“到達点”ではない。彼は、自分より上の存在を想定できなかった」
魔力圧を、ほんの1段だけ上げる。
壁の魔術防壁が、悲鳴を上げた。
研究者の数人が、無意識に椅子から立ち上がる。
膝が笑っている。
これは威圧ではない。
自然現象だ。
「君たちは、信仰が欲しいだけだろう。拠り所が欲しいだけなんだろう」
僕は優しさを心がけて囁く。
弟妹達に語りかけるように。
「私から提示するものはただこれだけだ」
誰かが、息を呑んだ。
魔術演算密度を、もう1段階上げる。
情報層には触れず、術式も組まない。
ただ、存在させる。
それだけで、研究所の魔術計測器が次々とエラーを吐いた。
表示不能。
測定範囲外。
演算不能。
人は、理解できないものを神と呼ぶ。
僕は、理解させなかった。
「咲宮伊蹟は、魔力なしを管理しようとした。だがそれだけだ。魔力なしの魂を封印しただけで、君達の魂は救われるのか?」
そして、口角を上げて微笑む。
2人の現役アイドルに前晩みっちりと仕込まれた、微笑み。
───はる兄。人の心掴むなら、まずは笑顔だよっ♡
───ほら、もっと口角上げて。……目が笑ってない。
───目ぇ潤ませて。目尻下げて。そんな人殺しそうな目つきじゃ教祖になれないよっ♡
───ほら、あの時みたいに。幸ねえと……
「──私に、君たちを救済させてくれないか。君たちの信念とともに」
幸の微笑みを思い浮かべる。
その微笑みに笑い返すように、目尻を下げる。
一気に信者の目が変わる。
理念を求める目から、従属先を探す目へ。
表情を変えずに続ける。
「君たちが研究を続けたいなら、私に従え。逆らえば排除する。それだけだ」
脅しではない。
予言でもない。
事実の提示。
表情と喋る内容が乖離している事は承知の上だが、その場のほとんどの人間の表情は、恐怖でも畏怖でもない。
沈黙が落ちた。
最初に膝をついたのは、最年長の研究主任だった。
床に手をつき、震える声で言った。
「……咲宮様は……完成形ではなかった……!」
その瞬間、信仰が、乗り換えられた。
宗教が、個人崇拝に変質した瞬間だった。
僕は、彼らの神になりたいわけじゃない。
だが、神でなければ止められないものがある。
全部、力で黙らせる。
買収は、完了した。
書類上は、資本と株式によって。
だが実態は違う。この研究所は今、僕を中心に回っている。
それでいい。
信仰が必要なら、僕がその役を引き受ける。
微笑んだまま、視線をある1人の人物に向ける。
しかしその男はわざとらしく目を逸らしただけだった。
それでも、SIは確実に制圧した。
正しいかどうかは、分からない。
ただひとつ確かなのは───
幸の手は、もう誰にも奪わせない。
幸を。
そして、未来を。
ーーーーー
空気が違った。
設定温度がこの階だけ異様に低い。
静寂の底に、金属臭が滲む。
魔力流が剥き出しになり、壁面のコネクタが焼け落ちている。
警報は鳴っていない。鳴らせないほど破壊されている。
僕は足音を殺し、隔離室に向かう。
歩くたびに、床下の配線がバチリと火花を散らした。
魔術障壁が一度崩壊し、再起不能になった証拠だ。
よりによって。
血族同士での醜い争いになる事を予想してため息をつく。
何故弟妹達はあんなにも可愛いのに、その他は。
泰雅の声がイヤホン越しに飛ぶ。
『はる兄……気をつけろ。24階の魔術構成力の分布が異常だ。ここだけ、宮間本家の障壁に似た波形になってる』
「奴の魔術か。やはりもう止まる気はないようだな」
『はる兄……マジで1人で突っ込むなよ? 俺もすぐ行くから──』
「駄目だ。泰雅達は、そのまま情報層に潜っていろ」
『はぁ!?』
「分かっているだろうが警察が動いている。しかもかなり上層部がな。七方の研究は魔力なしを犠牲にし過ぎた。お前たちには彼らの動きを追っていて欲しい」
『……チッ……!』
泰雅の悔しさが伝わってくる。
「大丈夫だ。心配するな」
通信を切った。
扉の前に立つ。
深呼吸。
カードキーではなく、魔術式による強制開錠。
「解錠構文:起点座標 0-14、位相転移」
扉が静かに溶けるように開く。
そこに、人影が立っていた。
白髪混じりの髪を後ろに流し、細い眼光。
その虹彩は宮間の色だが、顔も体格も自分の知りうるどの親族とも一致しない。
でっぷりと腹に詰まった肉が、ズボンのベルトの上に乗っている。
魔力の匂いよりも、身体から立ち上る脂の匂いの方が強い。
これでも、自分と同じ宮間の姓を名乗る男。
宮間吉成。
その名前を初めて見たのは──瑠香と初めてSIグループへ侵入した時だ。
瑠香が引き出すまでSIグループの情報は隠蔽されていた。
情報層へと干渉させないレベルで。
奴も宮間であり七方との繋がりがある以上、こちらへの情報撹乱術は心得ているようだ。
手に持っている冷凍魔石容器の中には、おそらくC-13。
幸の卵子が入っている。
吉成は僕を見て、微笑んだ。
少し欠けた黄色い歯を見せている。
「やぁ、本家のお坊ちゃん。──いや、新教祖様、と言った方がいいかな。来ると思っていたよ」
「……宮間、吉成か。どうしてお前は宮間姓でありながら宮間志希の魔術に手を出した」
「どうして? 簡単なことだ」
吉成の指が、鈍った銀色に光り輝く瓶を軽く叩く。
金属が乾いた音を響かせた。
「宮間本家を超える魔術は、宮間の魔力を薄めるしか方法がない」
「……何がしたい。魔力なしの卵子からは、魔術回路は──」
「“生まれない”?」
吉成の口元が吊り上がる。
「あれは嘘だよ、春成君。魔力なし……Cシリーズの卵子は、“魔術回路を持たない”のではない。“魔術回路の情報を、全転送する”特性を持っている」
「つまり、魔力なしの卵子は、魔術構造のコピー率が普通の遺伝より遥かに高いということか」
「……理解が早くて助かるよ。流石は志希君の息子だ」
吉成は狂気のように笑った。
「そんなものはいつも目の当たりにしている。僕の弟妹たちは、宮間志希の“魔術次元構成力”をほぼそのまま受け継いで生まれた。宮間本家が何百年かけても作り出せなかった、“自己次元構築型の天才群”だ」
「美しい兄弟愛だねぇ。確かに天才には興味がある。だがぼくがあれに手をかけるのは、そんな理由だけじゃない」
吉成はさらに続けた。
1度喋り始めると、気分が良くなりずっと喋り続ける気性のようだ。
「──C-13。あの卵子は、志希君の遺伝子と遺伝子親和率が異常に高い。志希君の“未完の構文”を再現する素材だ」
「……」
「宮間家を超える魔術を生むには、あの魔力なしの卵子が最強の媒体だよ、春成君。君が誰より知っているはずだろう?」
吉成は魔石容器を持ち上げる。
その動作だけで、全身の毛が逆立つように強ばる。
「──それを渡せ」
「嫌だね」
吉成の垂れた頬が笑みに歪んだ。
怒りを孕んだ、歪んだ笑み。
「春成君。君は志希君の息子として完璧すぎた。宮間本家を守りすぎた。ぼくが……ぼくが生まれた時から、憎んできた宮間を!!」
「……そうか。お前は……」
宮間吉成は───戸籍上は、康成の孫にあたる。
僕の曾祖父と康成の妻・葵との間には、子供がいた。
この国の法律上、遺伝子上の血の繋がりがなくとも、婚姻関係のある者の子とされる。
しかしその子供の行方については、本家では預かり知らぬ所とされていた。
康成が、育てていたとされている。
──どんな思いで。
同居の記録はあったが、その心の内は身上調査だけでは計り知れない。
吉成の魔力が、階全体を震わせる。
「君がいたら、ぼくは一生傍流の血筋だ。ぼくにも、本家の血が流れているはずなのに!! だからぼくは“新しい宮間”を作るんだ……!」
強い。
父よりも、下手をすれば祖父よりも。
これは──不自然に増幅された魔術回路。
七方の研究の賜物だ。
「ぼくがこの手で、宮間を作り替える。志希君の魔術は、宮間直系の力を弱める切り札だ。志希に恋焦がれた七方の狂気も、利用できた。卵子も、手に入れた。あとは──」
吉成は呼吸を荒らげ、僕をまっすぐ見据える。
「直系の末端である君を消すだけだ」
空気が凍る。
僕は銀色の瓶に視線を落とす。
幸。あの子と僕と、宮間の未来。
「吉成……お前をここで殺してでもそれを返してもらう」
吉成が肩をすくめた。
「春成君。君はぼくの事を全く知らないだろうが、ぼくは君の事を昔からよく調べていたよ。とても優秀で、正しくて、真っ直ぐな子供だ。だが──」
その瞬間、階全体が震え、吉成の魔力が爆ぜた。
これは──古い断層魔術だ。
位相断層術式・零位相分裂。
───断層。
「……っ!」
咄嗟に回避した。
右肩に鋭い痛みを感じる。
演算速度が追いつかれている。
頭の中の警鐘が1段階上がる。
吉成はずっと笑っている。
「さぁ春成君。ぬくぬくと本家で育った“宮間のお坊ちゃま”が、ぼくを殺すことができるのかな」
戦いが始まる。
宮間家の内部抗争は、しばしば起こる。
この為に用意されている空間魔術の公式を頭の奥から捻り出す。
僕は構文を展開し、青い魔力を燃やす。
「その前に、これは邪魔だな」
「……っ! やめろ!」
吉成は、持っていた円筒瓶を放り投げ──瓶は、落下軌道に入る前にどこかへ消えた。
フロアに張った座標固定式が、吉成のいる場所だけ捻じ切れるように無効化されている。
「さて、どこへ行ったのかな。君には手の届かない場所に隠した」
ぎり、と奥歯を噛み締め、憎悪を込めて吉成を睨む。
「おっと、怖い怖い。綺麗な顔が台無しだ。そんなに心配するな。研究に使われなかったあの卵子達には──後でぼくの精子をたっぷり振りかけてやるさ」
階全体が光に包まれ──僕と吉成の、最初の衝突が始まった。
視界が暗転し、意識が物理層へ引き戻される。
母様の小部屋から持ち帰った“魔術情報ログ”。
それは物理媒体ですらなく、母式にしか読み取れない情報層の座標パケットだった。
ログを展開する。
青い光が机の上に立ち上がり、複数の文字列が浮かび上がる。
そのひとつ。七方の視覚情報ログ。
『C-13データコア・持ち出し:宮間吉成による指示』
それを見て深く息を飲んだ。
「……やはり……」
僕は椅子に沈むように座った。
「……なぜ……幸だったんだ……」
幸の卵子──C-13シリーズ。
魔力無しの卵子。
虐待的に研究用に搾取され、一度は流出しそうになった卵子。
展開したログを見つめていると、機密回線が震えた。
送信者は、泰雅だった。
『はる兄……予定通りだ。SIグループの24階……細胞保管室のセキュリティが動いてる。あいつは今、C-13にアクセスしてる……!!』
脳天に冷たさが走った。
僕は即座に立ち上がる。
「……幸」
七方の研究。
エスアイ研究所。
SIグループの再建。
泰雅が奪い返した卵子データ。その指示者。
母様の警告。
すべての線は1点に収束している。
「泰雅、非常回線を切り替えろ。すぐに行く。幸の卵子は絶対に渡さない」
『了解だ。はる兄、行け!!』
僕は情報制御階の扉を蹴るように飛び出した。
母様が守ろうとしたものを守る。
そして──
走りながら、僕は拳を握った。
「幸……必ず取り返す。君を、2度と利用させない」
SIグループ本社の24階へ降り立った。
この階は、もともとエスアイ研究所が使っていた細胞サーバーの管理フロアだ。
現在はSIグループ本社として再編されたが、設備の大部分は内部構造を変えずに残されている。
ここで卵子は採取され、保管され、再び利用されようとしている。
思ったより、時間がかかってしまった。
この会社の所有権を、自分に書き換える事に。
その間に何個の卵子を喪っただろうか。
それを考えると胸の奥がずくりと痛む。
買収という言葉は、便利だ。
まるで金さえ積めばすべてが解決するような響きをしている。
だが実際は違う。
研究所を買うということは、建物でも設備でもなく人間の欲望と恐怖を丸ごと引き取るということだ。
エスアイ研究所が解体されたあと、研究者たちは散った。
表向きは倫理違反、非人道的実験、国家的監査に基づく解体。
僕と康成で終わらせたはずの幸の過去の檻は、地中深くで燻っていた火種のようにまたいつの間にか復活していた。
なぜ気が付けなかったのか──それは奴も腐っても宮間の血を引いているということなのだろう。
SIグループという殻で再編された研究所を、宮間グループの資本で覆い、取締役会の議題として“倫理的再出発”を掲げる。
倫理など、彼らにとっては予算を通すための記号でしかない。
己が欲しかったのはひとつだけ。
──C-13に触れる“権限”を、宮間春成の名義に集約すること。
戦いというものは、魔術や暴力だけで行うものではない。
契約書と決算書と署名欄で行う戦いがある。
まず、研究者を切り離した。
全員ではなく、“才能があり、かつ、臆病な者”だけを選別する。
倫理委員会への匿名通報。
過去の実験ログの一部流出。
国家魔術監査局への事前情報提供。
そして彼らは理解する。
ここに残れば、次は自分だと。
次に、資金を絞る。
研究所の裏勘定。
海外のダミー口座。
魔術資材の横流しルート。
瑠香のログは、完璧だった。
銀行が凍結を始める頃には、研究所は“呼吸”ができなくなる。
人件費が払えない。
試薬が届かない。
保守契約が切れる。
焦り始めた経営陣に僕の名前を出した。
SIグループ買収戦は、表向きには「救済」なのだ。
宮間グループによるSIグループ再編案。
条件はひとつ。
「研究所は解体しない。人員も切らない。ただし、統治権は僕に移る」
交渉ではなく、選択肢の提示。
拒否すれば、監査が入り、告発が進み、全員が“過去”と一緒に消える。
受け入れれば、少なくとも“今”は生き残れると。
そう提示するのだ。そこまでは順調だった。
しかし──この研究所には、致命的な欠点があった。
信仰という名の。
「咲宮様のご遺志を絶やす事はできない」
人は、罪を犯してでも続けたいものを、「使命」と呼ぶ。
研究所の上役は口々にそう宣った。
この研究所は、宗教的思想に基づいた施設でもあった。
《魔力原理主義》──もとい、魔力なしを排斥する思想を提唱し、魔力なしやその周囲の人間を監禁・殺害した男。
この研究所はその男を信仰する人間がいる限り、潰したところで何度でも甦る。
厄介なのは、彼らが金で動かないことだった。
いや、正確には金で動かないふりをしている。
咲宮伊蹟。
魔力を持つものだけを肯定し、魔力なしが生まれる事を罪だと定義した男。
処刑されたはずの思想家。
だが思想は死なない。
研究所に最後まで残っていたのは、設備でもデータでもなく、彼の言葉を暗唱できる人間達だった。
「魔力なしは、魔術文明の発展を阻害する異物だ」
「淘汰は、罪ではない」
「選別こそが、慈悲である」
会議室でそれを“理念”として語る声を聞いたとき、正直反吐が出そうになった。
他でもない、魔力なしを用いる研究を行っている者達の言葉とは思えなかった。
倫理審査を通した書類の行間に、聖典の一節のように咲宮の思想が混じっている。
この連中にとって、これはただのゲノム研究ではない。
信仰の再現実験をしている。
だから買収が効かない。
資金を断てば、地下献金が回る。
人を切れば、“殉教”として美化される。
告発すれば、“迫害”として結束が強まる。
最悪の敵だ。
僕は、戦略を変えた。
殴り潰さないし、否定もしない。
上書きする。
咲宮の思想の根幹は単純だ。
致命的な欠点がある、と思っていた。
この研究所は、宗教で動いている。──だが、それは“弱点”でもある。
信仰とは、本質的に力に屈する。
咲宮伊蹟は、魔術と言葉で世界を切り分け、理論で人を縛った男だ。
だが──
彼は、上級魔術師ではあったが神ではなかった。
僕にとってはただの人だ。
僕は、最終交渉の場で何も説明しなかった。
理念も、再編案も、倫理も。
ただ、立っていただけだ。
宮間家の常務取締役としてではなく、ただの魔術師として。
僕は、演算を開始した。
音はしない。
光も派手ではない。
だが空間が、確実に沈んだ。
研究所全体を覆う、微細な魔力圧。
人体に害はない。
だが魔術回路を持つ人間なら、即座に理解してしまう種類の圧だ。
「これは……この、魔力は……!」
その場にいる人間達の呼吸が、僅かに重くなる。
背骨に、冷たい感覚が走る。
本能が、告げる。
「咲宮様の再来だ……! 咲宮様がここに……!?」
咲宮の名を口にした幹部が、言葉の途中で、喉を鳴らした。
信仰が揺らぐ瞬間は、いつも静かだ。
僕は言った。
「君たちは、彼の事を神だと思っているそうだな」
誰も否定しない。否、否定できない。
「だが、彼は“到達点”ではない。彼は、自分より上の存在を想定できなかった」
魔力圧を、ほんの1段だけ上げる。
壁の魔術防壁が、悲鳴を上げた。
研究者の数人が、無意識に椅子から立ち上がる。
膝が笑っている。
これは威圧ではない。
自然現象だ。
「君たちは、信仰が欲しいだけだろう。拠り所が欲しいだけなんだろう」
僕は優しさを心がけて囁く。
弟妹達に語りかけるように。
「私から提示するものはただこれだけだ」
誰かが、息を呑んだ。
魔術演算密度を、もう1段階上げる。
情報層には触れず、術式も組まない。
ただ、存在させる。
それだけで、研究所の魔術計測器が次々とエラーを吐いた。
表示不能。
測定範囲外。
演算不能。
人は、理解できないものを神と呼ぶ。
僕は、理解させなかった。
「咲宮伊蹟は、魔力なしを管理しようとした。だがそれだけだ。魔力なしの魂を封印しただけで、君達の魂は救われるのか?」
そして、口角を上げて微笑む。
2人の現役アイドルに前晩みっちりと仕込まれた、微笑み。
───はる兄。人の心掴むなら、まずは笑顔だよっ♡
───ほら、もっと口角上げて。……目が笑ってない。
───目ぇ潤ませて。目尻下げて。そんな人殺しそうな目つきじゃ教祖になれないよっ♡
───ほら、あの時みたいに。幸ねえと……
「──私に、君たちを救済させてくれないか。君たちの信念とともに」
幸の微笑みを思い浮かべる。
その微笑みに笑い返すように、目尻を下げる。
一気に信者の目が変わる。
理念を求める目から、従属先を探す目へ。
表情を変えずに続ける。
「君たちが研究を続けたいなら、私に従え。逆らえば排除する。それだけだ」
脅しではない。
予言でもない。
事実の提示。
表情と喋る内容が乖離している事は承知の上だが、その場のほとんどの人間の表情は、恐怖でも畏怖でもない。
沈黙が落ちた。
最初に膝をついたのは、最年長の研究主任だった。
床に手をつき、震える声で言った。
「……咲宮様は……完成形ではなかった……!」
その瞬間、信仰が、乗り換えられた。
宗教が、個人崇拝に変質した瞬間だった。
僕は、彼らの神になりたいわけじゃない。
だが、神でなければ止められないものがある。
全部、力で黙らせる。
買収は、完了した。
書類上は、資本と株式によって。
だが実態は違う。この研究所は今、僕を中心に回っている。
それでいい。
信仰が必要なら、僕がその役を引き受ける。
微笑んだまま、視線をある1人の人物に向ける。
しかしその男はわざとらしく目を逸らしただけだった。
それでも、SIは確実に制圧した。
正しいかどうかは、分からない。
ただひとつ確かなのは───
幸の手は、もう誰にも奪わせない。
幸を。
そして、未来を。
ーーーーー
空気が違った。
設定温度がこの階だけ異様に低い。
静寂の底に、金属臭が滲む。
魔力流が剥き出しになり、壁面のコネクタが焼け落ちている。
警報は鳴っていない。鳴らせないほど破壊されている。
僕は足音を殺し、隔離室に向かう。
歩くたびに、床下の配線がバチリと火花を散らした。
魔術障壁が一度崩壊し、再起不能になった証拠だ。
よりによって。
血族同士での醜い争いになる事を予想してため息をつく。
何故弟妹達はあんなにも可愛いのに、その他は。
泰雅の声がイヤホン越しに飛ぶ。
『はる兄……気をつけろ。24階の魔術構成力の分布が異常だ。ここだけ、宮間本家の障壁に似た波形になってる』
「奴の魔術か。やはりもう止まる気はないようだな」
『はる兄……マジで1人で突っ込むなよ? 俺もすぐ行くから──』
「駄目だ。泰雅達は、そのまま情報層に潜っていろ」
『はぁ!?』
「分かっているだろうが警察が動いている。しかもかなり上層部がな。七方の研究は魔力なしを犠牲にし過ぎた。お前たちには彼らの動きを追っていて欲しい」
『……チッ……!』
泰雅の悔しさが伝わってくる。
「大丈夫だ。心配するな」
通信を切った。
扉の前に立つ。
深呼吸。
カードキーではなく、魔術式による強制開錠。
「解錠構文:起点座標 0-14、位相転移」
扉が静かに溶けるように開く。
そこに、人影が立っていた。
白髪混じりの髪を後ろに流し、細い眼光。
その虹彩は宮間の色だが、顔も体格も自分の知りうるどの親族とも一致しない。
でっぷりと腹に詰まった肉が、ズボンのベルトの上に乗っている。
魔力の匂いよりも、身体から立ち上る脂の匂いの方が強い。
これでも、自分と同じ宮間の姓を名乗る男。
宮間吉成。
その名前を初めて見たのは──瑠香と初めてSIグループへ侵入した時だ。
瑠香が引き出すまでSIグループの情報は隠蔽されていた。
情報層へと干渉させないレベルで。
奴も宮間であり七方との繋がりがある以上、こちらへの情報撹乱術は心得ているようだ。
手に持っている冷凍魔石容器の中には、おそらくC-13。
幸の卵子が入っている。
吉成は僕を見て、微笑んだ。
少し欠けた黄色い歯を見せている。
「やぁ、本家のお坊ちゃん。──いや、新教祖様、と言った方がいいかな。来ると思っていたよ」
「……宮間、吉成か。どうしてお前は宮間姓でありながら宮間志希の魔術に手を出した」
「どうして? 簡単なことだ」
吉成の指が、鈍った銀色に光り輝く瓶を軽く叩く。
金属が乾いた音を響かせた。
「宮間本家を超える魔術は、宮間の魔力を薄めるしか方法がない」
「……何がしたい。魔力なしの卵子からは、魔術回路は──」
「“生まれない”?」
吉成の口元が吊り上がる。
「あれは嘘だよ、春成君。魔力なし……Cシリーズの卵子は、“魔術回路を持たない”のではない。“魔術回路の情報を、全転送する”特性を持っている」
「つまり、魔力なしの卵子は、魔術構造のコピー率が普通の遺伝より遥かに高いということか」
「……理解が早くて助かるよ。流石は志希君の息子だ」
吉成は狂気のように笑った。
「そんなものはいつも目の当たりにしている。僕の弟妹たちは、宮間志希の“魔術次元構成力”をほぼそのまま受け継いで生まれた。宮間本家が何百年かけても作り出せなかった、“自己次元構築型の天才群”だ」
「美しい兄弟愛だねぇ。確かに天才には興味がある。だがぼくがあれに手をかけるのは、そんな理由だけじゃない」
吉成はさらに続けた。
1度喋り始めると、気分が良くなりずっと喋り続ける気性のようだ。
「──C-13。あの卵子は、志希君の遺伝子と遺伝子親和率が異常に高い。志希君の“未完の構文”を再現する素材だ」
「……」
「宮間家を超える魔術を生むには、あの魔力なしの卵子が最強の媒体だよ、春成君。君が誰より知っているはずだろう?」
吉成は魔石容器を持ち上げる。
その動作だけで、全身の毛が逆立つように強ばる。
「──それを渡せ」
「嫌だね」
吉成の垂れた頬が笑みに歪んだ。
怒りを孕んだ、歪んだ笑み。
「春成君。君は志希君の息子として完璧すぎた。宮間本家を守りすぎた。ぼくが……ぼくが生まれた時から、憎んできた宮間を!!」
「……そうか。お前は……」
宮間吉成は───戸籍上は、康成の孫にあたる。
僕の曾祖父と康成の妻・葵との間には、子供がいた。
この国の法律上、遺伝子上の血の繋がりがなくとも、婚姻関係のある者の子とされる。
しかしその子供の行方については、本家では預かり知らぬ所とされていた。
康成が、育てていたとされている。
──どんな思いで。
同居の記録はあったが、その心の内は身上調査だけでは計り知れない。
吉成の魔力が、階全体を震わせる。
「君がいたら、ぼくは一生傍流の血筋だ。ぼくにも、本家の血が流れているはずなのに!! だからぼくは“新しい宮間”を作るんだ……!」
強い。
父よりも、下手をすれば祖父よりも。
これは──不自然に増幅された魔術回路。
七方の研究の賜物だ。
「ぼくがこの手で、宮間を作り替える。志希君の魔術は、宮間直系の力を弱める切り札だ。志希に恋焦がれた七方の狂気も、利用できた。卵子も、手に入れた。あとは──」
吉成は呼吸を荒らげ、僕をまっすぐ見据える。
「直系の末端である君を消すだけだ」
空気が凍る。
僕は銀色の瓶に視線を落とす。
幸。あの子と僕と、宮間の未来。
「吉成……お前をここで殺してでもそれを返してもらう」
吉成が肩をすくめた。
「春成君。君はぼくの事を全く知らないだろうが、ぼくは君の事を昔からよく調べていたよ。とても優秀で、正しくて、真っ直ぐな子供だ。だが──」
その瞬間、階全体が震え、吉成の魔力が爆ぜた。
これは──古い断層魔術だ。
位相断層術式・零位相分裂。
───断層。
「……っ!」
咄嗟に回避した。
右肩に鋭い痛みを感じる。
演算速度が追いつかれている。
頭の中の警鐘が1段階上がる。
吉成はずっと笑っている。
「さぁ春成君。ぬくぬくと本家で育った“宮間のお坊ちゃま”が、ぼくを殺すことができるのかな」
戦いが始まる。
宮間家の内部抗争は、しばしば起こる。
この為に用意されている空間魔術の公式を頭の奥から捻り出す。
僕は構文を展開し、青い魔力を燃やす。
「その前に、これは邪魔だな」
「……っ! やめろ!」
吉成は、持っていた円筒瓶を放り投げ──瓶は、落下軌道に入る前にどこかへ消えた。
フロアに張った座標固定式が、吉成のいる場所だけ捻じ切れるように無効化されている。
「さて、どこへ行ったのかな。君には手の届かない場所に隠した」
ぎり、と奥歯を噛み締め、憎悪を込めて吉成を睨む。
「おっと、怖い怖い。綺麗な顔が台無しだ。そんなに心配するな。研究に使われなかったあの卵子達には──後でぼくの精子をたっぷり振りかけてやるさ」
階全体が光に包まれ──僕と吉成の、最初の衝突が始まった。
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