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78 アウグストside
(アウグストside)
つまらないな。
学園の生徒は、簡単に私の顔、地位、能力に夢中になる。彼女彼らに釣り合うような私ではないのに、必死に視界に入ろうとする様は、いっそ微笑ましいほど愚かだ。
私には……そう、ファルシュカくんのように、美しく、高潔で特別なオメガが相応しい。どうぞ手を伸ばしてくれて構わないのに、彼だけは婚約者に操を立てているのだろう。私のことを、眼中に入れてくれない。
そんな潔癖な所も、好ましい。しかし、それと同時に腹立たしくもある。目の前に、こんなにも美しく、賢く、将来有望で、地位もある完璧なアルファがいるのに、どうして見向きもしない?
「ん……せんせ……」
「ああ……ヴァネッサ嬢。具合はどうかな」
「しあわせですぅ……」
柔肌に唇をつけると、令嬢ははしたない声をあげる。
つまらないな。最初から最後まで予想のできる、凡庸な小説を強制的に読まされているようだ。
私は珍しいものが好きなんだ。珍しいだけではなく、高価だったり、質の良い、誰も彼もが認める、賞賛に値するものを手に入れるのは、私の最大の快感だ。
誰も知らない画家を発掘したり、骨董品を集める……それは、誰もが持つ欲でもある。私はその欲求が、少々強いのだろう。
その最たるものが…………ファルシュカくんだ。
あの子が白竜人という、かつての我々の始祖の因子を持つと、初めてあの子の肌を見た時には鳥肌がたった。
絶対にものにしたい。私の番となり、公爵夫人として何不自由のない生活を約束する。
可愛い子供にも恵まれるだろう、二人の子なら。
それなのに……。
あのリンドバーグ辺境伯とは、私が声をかけてから慌てて成立させた仮初の婚約のはずなのに、仲睦まじくなっているらしい。
それは、ファルシュカくんを見たら分かる。悔しいほどに。
蕾だったファルシュカくんは、一枚、一枚と花びらを開き美しく咲いている。きっと初夜を迎えた時には、聖月花のような輝きを放つのだろう。
……絶対……手に入れたい…………。
「そんなのは……いや、まだだ……」
「どうしたの、せんせ……」
「ん……いや。そうだな……ヴァネッサ嬢。君は本当に良く学んでいる。もう少し、先生の言うことを聞けたら……」
「また、ご褒美を頂ける……?」
私は理解力の高い生徒に、褒美のキスをくれてやった。
つまらないな。
学園の生徒は、簡単に私の顔、地位、能力に夢中になる。彼女彼らに釣り合うような私ではないのに、必死に視界に入ろうとする様は、いっそ微笑ましいほど愚かだ。
私には……そう、ファルシュカくんのように、美しく、高潔で特別なオメガが相応しい。どうぞ手を伸ばしてくれて構わないのに、彼だけは婚約者に操を立てているのだろう。私のことを、眼中に入れてくれない。
そんな潔癖な所も、好ましい。しかし、それと同時に腹立たしくもある。目の前に、こんなにも美しく、賢く、将来有望で、地位もある完璧なアルファがいるのに、どうして見向きもしない?
「ん……せんせ……」
「ああ……ヴァネッサ嬢。具合はどうかな」
「しあわせですぅ……」
柔肌に唇をつけると、令嬢ははしたない声をあげる。
つまらないな。最初から最後まで予想のできる、凡庸な小説を強制的に読まされているようだ。
私は珍しいものが好きなんだ。珍しいだけではなく、高価だったり、質の良い、誰も彼もが認める、賞賛に値するものを手に入れるのは、私の最大の快感だ。
誰も知らない画家を発掘したり、骨董品を集める……それは、誰もが持つ欲でもある。私はその欲求が、少々強いのだろう。
その最たるものが…………ファルシュカくんだ。
あの子が白竜人という、かつての我々の始祖の因子を持つと、初めてあの子の肌を見た時には鳥肌がたった。
絶対にものにしたい。私の番となり、公爵夫人として何不自由のない生活を約束する。
可愛い子供にも恵まれるだろう、二人の子なら。
それなのに……。
あのリンドバーグ辺境伯とは、私が声をかけてから慌てて成立させた仮初の婚約のはずなのに、仲睦まじくなっているらしい。
それは、ファルシュカくんを見たら分かる。悔しいほどに。
蕾だったファルシュカくんは、一枚、一枚と花びらを開き美しく咲いている。きっと初夜を迎えた時には、聖月花のような輝きを放つのだろう。
……絶対……手に入れたい…………。
「そんなのは……いや、まだだ……」
「どうしたの、せんせ……」
「ん……いや。そうだな……ヴァネッサ嬢。君は本当に良く学んでいる。もう少し、先生の言うことを聞けたら……」
「また、ご褒美を頂ける……?」
私は理解力の高い生徒に、褒美のキスをくれてやった。
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