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本編
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戦闘は殆ど終わっていることを確認して、口を開く。
「どうしました?」
「どうしました?じゃないですよ!何ですかアレ?!弓矢にあるまじき動きをしていましたよ?!」
「シュリエル。それは俺も気になった。何だアレは」
あれは、魔物討伐の際に極力魔力を使わずに魔物を倒すため、僕の開発した矢。
空間断裂という、空間収納の魔術陣を改変したものだ。次元を開けきらず、途中で切ってしまったらどうなるのか?という試みた結果、ああなるみたい。
魔道具の一つなので魔石も使うのだが、ゴブリンから拾える、三ミリ程度の小さなものでいい。その代わり、一度発動したら壊れる。
せっせと作りだめたのだ。僕には魔法以外の攻撃手段が弓しか無いから。
ということをこそこそと説明した。まるで凄腕の弓師みたいに見えると思うけど、種明かししたら恥ずかしい。
「恥じらっているシュリエルもかわいい……が、癒されている場合では無いな。ふむ。シュリエル、それは売ったり譲ったりするなよ。武具界に革命が起きてしまう」
「革命、ですか?」
「そうだ。シュリエル以外に、その魔術陣を書ける者がいるとは思えないが、いるかもしれない。色々な武器に転用されると恐ろしいと思わないか?」
「確かに……そうですね。人間相手に使われると危険物……ですね……」
僕は青くなった。そうか、これは僕の頭の中だけにあった方が良いものだ。
幸い、魔石が壊れると同時に魔術陣も消えるので、誰かが使用済みの矢を拾ったとしても悪用は出来ない。このまま、僕だけの攻撃手段とすることにした。
少ししょげた僕の頭に、ぽんぽんと柔らかい感触。見上げると、クライヴ殿下が優しげなお顔で頭を撫でてくれていた。
「しかし、素晴らしい腕だった。矢自体も、弓術も。凛々しく美しい姿を見れて眼福だったしな、感謝する」
「なっ……、く、クライヴさ……、あ、でん……」
「クライヴでいい。殿下、なんてのは距離を感じる」
「……ありがとうございます。クライヴ様」
「ああ。君なら」
クライヴ様は小声で何か仰っていたが、パッと首を振り、後始末をするよう指揮をしていた。
夜になった。
野営では、騎士さんたちがいくつも天幕を張り、専属料理人がお上品な料理を作ってくれる。なんて優雅なのだろう。僕の知っている野営と違う。
柔らかなボア肉のステーキにほっぺたが落ちそう。
「美味そうに食うな、シュリエルは」
「……んっ、そうですか?とても、美味しいのでつい」
ふふ、と料理人さんを見て微笑むと、顔を真っ赤にしてぺこぺこしていた。普段あまり、褒められないのかな?
僕は戦闘を終えて疲れているだろう皆さんのコップの中に、僕のお水を出してあげた。
ただの清らかな水というだけだが、温度も自由自在なので、少し蒸し暑い今夜なら、キンと冷えた冷水が美味しいだろう。
「はい、どうぞ。僕のお水、美味しいですから!おかわりも出せますからね」
「『僕のお水』……」
「どうかしましたか、クライヴ様」
「いや、何でも無い。少し甘くて美味い水だ」
「ありがとうございます!」
騎士さんたちはそれぞれ空間収納に飲み水も入れているけれど、僕のお水を気に入ったのか、何度もおかわりしてくれた。役に立てて嬉しくて、にこにこしてしまう。
「野郎共が、デレデレしやがって……」
「殿下もじゃないですか」
慌ただしくお水を渡し回っていると、騎士さんたちの笑顔が見られる。とても良い。
教会でも、治癒を施すと笑顔になってくれて、嬉しかった。……それが、偽りの笑顔で無ければ。
「シュリエル、疲れたか?今日はもう遅い。寝よう」
「えっ?あ、はい。わかりました……って、クライヴ様?」
僕は腕を取られ、気がつけば天幕に引き摺り込まれていた。
少し広めの天幕には、ジタリヤ様が甲斐甲斐しく寝具を広げたり、魔物避けを設置したりと働いている。
「もう準備を終えましたよ。寝る場所は、入り口側からクライヴ殿下、ボク、シュリエル様でいいですね?」
「いや。中央は俺だろう」
「シュリエル様がお可哀想なのでやめて下さい。絶対手ェ出すでしょ殿下」
「………………まだ、出さない」
「その間っ!」
わ。三人で寝るんだ。これってもしかして……川の字というやつ?パジャマパーティー?
「戦闘力を考えれば俺が中央の方が動きやすい。代われ、ジタリヤ」
「……それはそうですけど、外には見張りの者もいますし、シュリエル様の安眠出来る方が優先では?」
「君はどう思う。俺が隣では寝にくいか?」
「えっ!?いえ……そんなことは……」
「本人に言える訳ないでしょう!もー、強引なんだから!」
最終的には、ジタリヤ様、クライヴ様、スイちゃんたちを挟んで僕、の並びになった。
何故なら、ええとね。
横になった時にクライヴ様のご尊顔が目の前にあると、もう寝るどころじゃ無い!
しかも見惚れるくらい色っぽく笑いかけてくる。そのまま僕の頬に触れ、髪に耳に触れてくるものだから、僕は爆発しそうになり、顔を手で覆って小さくなった。
スイちゃんたちにぷよぷよと撫でられているうちに落ち着いて、ぐっすり眠れたから、それは正解だったみたい。
一ヶ月かけて同じ旅路を過ごしたお陰で、すっかり仲の良い友人となった僕たちは、ラウラディア王都に到着した。
そして、クライヴ様とジタリヤ様と同じ学園に編入する。二学年も後半だけれど、卒業まではいられるのが嬉しい。……嬉しいと、思うようになっていた。
「どうしました?」
「どうしました?じゃないですよ!何ですかアレ?!弓矢にあるまじき動きをしていましたよ?!」
「シュリエル。それは俺も気になった。何だアレは」
あれは、魔物討伐の際に極力魔力を使わずに魔物を倒すため、僕の開発した矢。
空間断裂という、空間収納の魔術陣を改変したものだ。次元を開けきらず、途中で切ってしまったらどうなるのか?という試みた結果、ああなるみたい。
魔道具の一つなので魔石も使うのだが、ゴブリンから拾える、三ミリ程度の小さなものでいい。その代わり、一度発動したら壊れる。
せっせと作りだめたのだ。僕には魔法以外の攻撃手段が弓しか無いから。
ということをこそこそと説明した。まるで凄腕の弓師みたいに見えると思うけど、種明かししたら恥ずかしい。
「恥じらっているシュリエルもかわいい……が、癒されている場合では無いな。ふむ。シュリエル、それは売ったり譲ったりするなよ。武具界に革命が起きてしまう」
「革命、ですか?」
「そうだ。シュリエル以外に、その魔術陣を書ける者がいるとは思えないが、いるかもしれない。色々な武器に転用されると恐ろしいと思わないか?」
「確かに……そうですね。人間相手に使われると危険物……ですね……」
僕は青くなった。そうか、これは僕の頭の中だけにあった方が良いものだ。
幸い、魔石が壊れると同時に魔術陣も消えるので、誰かが使用済みの矢を拾ったとしても悪用は出来ない。このまま、僕だけの攻撃手段とすることにした。
少ししょげた僕の頭に、ぽんぽんと柔らかい感触。見上げると、クライヴ殿下が優しげなお顔で頭を撫でてくれていた。
「しかし、素晴らしい腕だった。矢自体も、弓術も。凛々しく美しい姿を見れて眼福だったしな、感謝する」
「なっ……、く、クライヴさ……、あ、でん……」
「クライヴでいい。殿下、なんてのは距離を感じる」
「……ありがとうございます。クライヴ様」
「ああ。君なら」
クライヴ様は小声で何か仰っていたが、パッと首を振り、後始末をするよう指揮をしていた。
夜になった。
野営では、騎士さんたちがいくつも天幕を張り、専属料理人がお上品な料理を作ってくれる。なんて優雅なのだろう。僕の知っている野営と違う。
柔らかなボア肉のステーキにほっぺたが落ちそう。
「美味そうに食うな、シュリエルは」
「……んっ、そうですか?とても、美味しいのでつい」
ふふ、と料理人さんを見て微笑むと、顔を真っ赤にしてぺこぺこしていた。普段あまり、褒められないのかな?
僕は戦闘を終えて疲れているだろう皆さんのコップの中に、僕のお水を出してあげた。
ただの清らかな水というだけだが、温度も自由自在なので、少し蒸し暑い今夜なら、キンと冷えた冷水が美味しいだろう。
「はい、どうぞ。僕のお水、美味しいですから!おかわりも出せますからね」
「『僕のお水』……」
「どうかしましたか、クライヴ様」
「いや、何でも無い。少し甘くて美味い水だ」
「ありがとうございます!」
騎士さんたちはそれぞれ空間収納に飲み水も入れているけれど、僕のお水を気に入ったのか、何度もおかわりしてくれた。役に立てて嬉しくて、にこにこしてしまう。
「野郎共が、デレデレしやがって……」
「殿下もじゃないですか」
慌ただしくお水を渡し回っていると、騎士さんたちの笑顔が見られる。とても良い。
教会でも、治癒を施すと笑顔になってくれて、嬉しかった。……それが、偽りの笑顔で無ければ。
「シュリエル、疲れたか?今日はもう遅い。寝よう」
「えっ?あ、はい。わかりました……って、クライヴ様?」
僕は腕を取られ、気がつけば天幕に引き摺り込まれていた。
少し広めの天幕には、ジタリヤ様が甲斐甲斐しく寝具を広げたり、魔物避けを設置したりと働いている。
「もう準備を終えましたよ。寝る場所は、入り口側からクライヴ殿下、ボク、シュリエル様でいいですね?」
「いや。中央は俺だろう」
「シュリエル様がお可哀想なのでやめて下さい。絶対手ェ出すでしょ殿下」
「………………まだ、出さない」
「その間っ!」
わ。三人で寝るんだ。これってもしかして……川の字というやつ?パジャマパーティー?
「戦闘力を考えれば俺が中央の方が動きやすい。代われ、ジタリヤ」
「……それはそうですけど、外には見張りの者もいますし、シュリエル様の安眠出来る方が優先では?」
「君はどう思う。俺が隣では寝にくいか?」
「えっ!?いえ……そんなことは……」
「本人に言える訳ないでしょう!もー、強引なんだから!」
最終的には、ジタリヤ様、クライヴ様、スイちゃんたちを挟んで僕、の並びになった。
何故なら、ええとね。
横になった時にクライヴ様のご尊顔が目の前にあると、もう寝るどころじゃ無い!
しかも見惚れるくらい色っぽく笑いかけてくる。そのまま僕の頬に触れ、髪に耳に触れてくるものだから、僕は爆発しそうになり、顔を手で覆って小さくなった。
スイちゃんたちにぷよぷよと撫でられているうちに落ち着いて、ぐっすり眠れたから、それは正解だったみたい。
一ヶ月かけて同じ旅路を過ごしたお陰で、すっかり仲の良い友人となった僕たちは、ラウラディア王都に到着した。
そして、クライヴ様とジタリヤ様と同じ学園に編入する。二学年も後半だけれど、卒業まではいられるのが嬉しい。……嬉しいと、思うようになっていた。
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