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ディディアとアレクサンダーの結婚式は滞りなく行われた。
雲一つない晴天の中、挙式ではひよこと龍の形をした雲が現れ、目も眩むような光を降り注がせた。
まるで競い合うような光の撒き散らし方は凄まじく、『王国の繁栄は約束された』だの、『歴史上最も祝福された夫婦』だのと人々は興奮した。
結婚式からそのままたて続けに受けるのは、神聖なる儀式。
ディディアは神殿内にある冷たい泉に入って、神へと祈った。愛しい人との子を授かれるようになりたいと。
と同時に、やはり浸かるなら温泉が一番だと実感するなどしたが、すぐにそんな場合では無いほど体が火照ってくる。
(身体が、作り変えられていく……)
そして新婚夫婦は、姿を消した。
その行き先は、堅牢この上ない拠点であることを、側近、護衛騎士、護衛魔術士、全てが承知の上、生ぬるい視線とディディアへの激励と共に見送ったのだった。
この日だけは神様の訪問も遠慮して頂いた。結婚式での光の祝福が尋常ではなかったのは、訪問出来ない代わりにそちらへ遊びにきていたのかもしれない。
「ディア……やっと、やっと繋がれるね……」
「こ、怖いですよアレク様。あの、どうか手加減を……」
「ふふ、どうかな、耳が急に遠くなってしまったようだ」
「アレクさまっ、あぁっ、も……っ、」
まだ拠点へ移動してきて早々。
抱き上げられたディディアは、降るようなキスに狼狽する。その隙にも、アレクサンダーの足取りは軽やかを極めていた。
寝所へ向かいつつ、手は忙しなく背中の紐を解いて、一枚、一枚、と薄い儀式用の衣装を無造作に落としていく。
床の間へ着いた時には、もうディディアの身につけているものは下着一枚となっていた。うっそうと笑ったアレクサンダーの狂気に息を呑んでいれば、その薄く頼りない布の上から、アレクサンダーがそうっと触れる。
それだけで、今のディディアの身体はぴくん!と跳ね、後孔が濡れたような感触がした。
「ん……っ」
その控えめに漏れた声が、アレクサンダーの身体をその場に縫い留めた。もうこれ以上、一歩も動けない。
今すぐに、抱きたくなったのである。
「あ……っ?え、待って、まだ、布団まで……ッあ!」
「どだい無理、ってこういうことだね。フゥ……」
事前に、猫童子に用意させた『初夜の準備』。
もう少し歩けば、薔薇の花びらを豪勢に散らした極上の寝所がお披露目できるのに。その隣には猫足風呂が、尻尾をくゆり振りながら薔薇の湯船で待ち構えてくれているのに。
前髪を掻き上げたアレクサンダーは、瞳をすっかりギラつかせており、もう余裕は一欠片も残っていなかった。
自らの衣装はほとんど破るようにして脱ぎ捨てると、ディディアを強くかき抱く。身体中を弄る手は燃えるように熱く、早く早くと焦るように下着の紐を解く。
儀式を受けたディディアの身体は、冷水を浴びたにもかかわらず、もうどこもかしこも熱くなっていた。白い肌は桃色に染まり、うっすらと汗ばみ、蕾はもうすでに濡れそぼっていた。
それでも念には念を入れて、決して傷付かないようにしたい。
とろりとした香油を、ぶちまけるようにして指へまぶしたアレクサンダー。きゅっと閉じたままの蕾の縁をくるくると撫で、ひくついているのを確認してから、徐々に、ゆっくりと侵入した。
「ふ……っ、ぅぅう…っ!」
「前と比べたら、柔らかくなったね、ディア。もしかして一人でも練習したかな?……あぁだめ、その光景を想像するだけでイきそうだ」
「そ、想像、しないで……っ」
内壁はすんなりとアレクサンダーの指を受け入れ、蠢き、良いところに当たってはディディアを鳴かせた。よく甘い言葉を囁いてくれる唇は荒い吐息を漏らすばかりで、これが獣かと合点がいく。
「あっ、あっ、あっ、ぅっ……!」
パン、と脳内が真っ白に破裂するような快感。アレクサンダーをぎゅうっと抱きしめて快楽に耐えるディディアが可愛くてたまらず、アレクサンダーは手元もおぼつかないほど興奮していた。
凶器は熱くいきり立ちすぎて、ディディアの慎ましい蕾に上手く入らない。なんとか息を整え、息子を宥めすかし、暴発しかけの熱杭を当てがった。
「……っふ……」
くぷ、と亀頭が入って、みちみちと隘路をかきわけていく。
ディディアに押し入る生々しい昂りは、ドクドクと、鼓動していた。
「あれく、さま……っ」
愛しい男の一部が、中で混じりあっている。
涙がひとすじ溢れ落ちるのは、痛みからではない。脳の奥すら穿つような幸福感に、ディディアは薄く笑った。
「すき、アレク……」
「……っく……!」
ディディアの見せた壮絶なほど妖艶な笑みに、アレクサンダーは一瞬記憶が飛んだ。ディディアのまだ開き切っていない奥まで己を捩じ込むと、噛み付くように口付けをしながら深く、深く抽送した。
「あぁぁぁっ……!だめ、ああっ!、イクッ……!ぅあっ……!!」
くちゅくちゅと咥内はじんとするまで嬲られて、胸の飾りもぽってりと色付くほど可愛がられていた。
二人の間の粘膜はグチュグチュと潤み切って、張り詰めていた内壁は柔らかく解けていく。食べごろとなったふわふわの媚肉へ、アレクサンダーは容赦なく責め立ててきた。
(おく。ジン、って、痺れてる……っ)
熱が、体の中心を焼く。
生理的な涙がぽろ、ぽろ、溢れるほどに、強い快楽。
「アッ、あっ、またっ、…………ーーーーゥッ!」
ディディアの小鹿のような足がピンとしなり、痙攣する。
ギュウッ!と凄まじい蠕動に襲われて、アレクサンダーもまた奥へ、奥へと飛沫を放った。くぷ、くぷ、と白濁が間から漏れ出て、ディディアの白い太ももを伝い床を汚していくのを、アレクサンダーは『勿体無い』と思った。
「はっ…………はっ……」
「ごめん、ディディア。まだ布団じゃなかったね……痛くない?」
「だ、だいじょぶ……でしゅ……」
呂律の回らないディディアに、またもアレクサンダーはやられてしまった。でしゅ、とは。よく見れば涎や涙、汗で乱れに乱れている。それすら色香に満ちていて、アレクサンダーの情欲をさらに掻き立ててしまう。
「っ?」
ディディアの中に入ったままの陰茎が、またグンッと隆起するのに驚く。ぐったりとした体はアレクサンダーに抱き抱えられて、ここでようやく布団へと運ばれたのだ。
「は、あ、っ……!?あ、アレクさま?」
「ディア、まだ付き合って。いいね?ああ、なんて幸せなのだろう?可愛い、ディア。愛してる」
「あァァァっ………」
口調は優しいのに、アレクサンダーはディディアを後ろから貫くと、その両腕を片手で捕まえてしまった。まるで磔になった蝶のような身動きの出来ない状態で力強く、パンッ!パンッ!と男根に貫かれる。
「あっ……!アッ……!あっ、やっ、待っ!」
その度にディディアの花芯はぴゅっ、ぴゅっと泣き出し、内臓が震えるほどの快感が走った。
全身が汗ばんでいた。しっとりとした首筋を舌で撫でられて、汗ごと舐められていると気付く。
一度獣となった男は、止まらない。
「はぁ、愛してるよディア。もう、ほんとどこもかしこも甘くて、私のためのデザートみたいだね」
「あっ……、あっ……、ッ!……はぁっ!」
ガリッと強く噛まれ、吸われ、真白な肌に赤い痕が付く。もうすでに痛みは無く、ピリリとしたスパイスにより快感はいっそう深まっていた。
ディディアはさらに大きくなってしまう喘ぎ声が恥ずかしくて、手で口元をおさえようとしたのが気に入らなかったらしい。
どこからか出した紐でディディアの手首を結びつけてしまった。そしてあぐらの上へディディアを乗せて、下から突き上げたのだ。
「ひぎぃっ……、あ“あ“っ!!も、もう、ぼく……っ!イッて、イッてる……っ!」
「うん、分かるよ、こんなにギュウッて喜んでる。気持ちいいね、ディア」
「ぁあぁぁァ!」
気持ちいいが、過ぎている。耳元から吹き込まれるアレクサンダーの、妖しげな声にもまたゾワリと反応し、とうとうディディアは吐精しないまま盛大に絶頂していた。
はくはくと酸素を求める。どこもかしこも性感帯となり、ぴくぴくと打ち上げられた魚のように、もうアレクサンダーに与えられる快感の波に打ち流されていくのみ。
熱い蜜月はまだ、始まったばかり。
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