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しおりを挟む「んんっ……」
やべ、変な声出る。なんか手つきエロいんだが……?き、気のせいだよな?うん。そうに違いない。
ロドリックは超のつく堅物だ。俺がどんだけ懇願しても課題の期限切れには多少のごまかしも許さない、融通の効かないタイプ。
そんな奴が、俺の体をくすぐる理由など一つもない。単純に人の体を洗い慣れていないだけだと思う。妙に丁寧でねちっこいのは。
思わず冷たい壁に手を付くと、ロドリックは俺の足元にしゃがみ込んだ。ってオイ、しゃがめるのかよ!
尻の産毛も無くなるくらい執拗に洗っていた手が、足をツゥーーッとなぞっていく。お前は黄金の脚でも磨いてんのか、ってくらい優しく。
下にいくのはまぁいいのだが、上へいくと股間スレスレまで洗ってくれるものだから、タマがヒュンと縮む。ロドリックだって触りたくないだろうに、そんなキワキワまで行く?
絶妙な力加減と遅い手つきが気持ち良く、イライラしてきた。と同時に、俺の息子がゆるく立ち上がる。み、見えてないよな……?
血がきっと逆流してる。はぁ、はぁ、と息を荒げた。熱いシャワーが背中や腰にかかり、狭いルーム内に蒸気と、俺の吐き出す息が充満している。
後ろのロドリックが、どんな表情をしているのかなんて、見えないしそんな余裕もなかった。
「んぅ……っ、も、もういいっ!十分だから、離してくれぇ……、あ“ッ」
「……ここが腫れている。辛そうだ」
「ばかっ、放っておいてくれ……!」
気付かれてしまった!
途端に顔が熱くなってくる。恥ずかしい。そこは気付いても気付かないフリをするのがマナーってやつだろ!
もう脚は綺麗になったから立て。そう口にする前に、あろうことかロドリックは、俺の息子を布巾越しに掴んできたのだ!
「えっ、ひゃあっ!なにを……!?」
「直してやる」
「は、はぁ、はあ……っ」
は?と言いたかったのに、口から出るのはどこから聞いても喘ぎ声。だって気持ちいいんだもん!
ロドリックは俺の後ろにぴたりと張り付き、大きな手で、ヌックヌックと扱く。
さすが公爵家の布巾。滑らかで柔らかく、石鹸の滑りも大変素晴らしい。ええ、奥さん、お高いんでしょう?
腹にはがっちりとしたロドリックの腕が回り、固定され…………俺は、現実逃避と同時に昇天させられてしまった。
「恥ずかしい……」
そんな昨晩を思い出して赤面した。ぱたぱたと顔を仰ぐと、バルカスが慌てたように俺を引っ張り、机に伏せさせた。硬い木の板に頬が当たってぷにっとなる。むぐう。
「?っん、なんなんだ?」
「君、なんなのそれ!無防備すぎるよ、仕舞って!」
「は?」
「色気?なんか出てる。ピンクのもやもや~が」
「はぁ~~?」
ちらと顔を上げてバルカスの周りをキョロキョロと見る。なんか顔赤いやつ多いけどどうしたんだ?
よく分かんないから、俺を机へ押さえつけるバルカスの手を払った。体勢しんどいっつの。
「離せって。そうだ、お前のおかげで問題は解決した。ありがとう」
「それは良かった……けど、何かあった?」
「んん……いや、別に」
「怪しいなぁ……」
バルカスにジト目で見られても、なぁ……?
覗きは解消したけど、一緒に身体洗うことになるとは思わなかったし、更に、アイツの柔らかタオルでブザマなことになるなんて想像もできないだろ?
それ自体は別にいい。良くはないが覗きよりはいい。
……アイツも、勃ってたなぁ。間違いなく背中に当たったあの硬くて熱いやつは、アイツのアイツに違いない。
うちの王国で、男同士の恋愛はままある。
俺の所属している騎士科でも、男同士でちちくり合うやつはいるし、子供を要求される嫡男ではない場合、結婚することも出来る。少し離れた校舎にちゃんと淑女科もあるのに、もの好きなやつらだ。
俺?俺は非嫡男だから立場的にはどちらでも良いんだけど、好みはやっぱ女の子だね。
うちの一番上の兄ちゃんの嫁、義姉ちゃんは、兄ちゃんを尻に引いてる美女タイプ。だからか同じ系統の子は義姉ちゃんに見えちゃう。すごくいい人なんだけど、ねぇ。
ロドリックって、どっちが好きなんだろう?
女の子が好きなら、アレはきっと、俺が勃ってしまったからつられたんだろう。シャワーが熱かった壁が冷たかったとか、しょうもない理由で、いや理由がなくとも元気になっちゃうこともあるし。
男が好きだとして、次にアイツも勃ってたら、俺も抜いてあげた方がいいのか?布巾は借りなきゃならねぇな。いや、買うか?でも俺の小遣い少ねぇから、安い変な柄のゴワゴワの布巾使われたくないだろうし……。
はぁ、友達付き合いって難しい。
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