Ωーオメガーの遊郭

神月 一乃

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花の街

売れっ妓の発情期

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 Ω遊郭は東亰とうきょうの一角にある。さながら、横濱よこはまにある中華街のような街だ。本来の名称は「花の街」というのだが、誰一人としてその名で呼ばない。
 何せ、東亰に住民票のあるΩの大半がここで暮らしている。

 他の都市部でもΩの数は一割未満だが、この街に限り住民の六割がΩだ。一割にも満たないαと、残りがβ。そして昼夜問わず活気がある。
 夜は言わずもがな、風俗関連であるが、昼は商業施設に病院施設、果ては研究施設が賑わいの鍵となっているのだ。
「メイサママ、夜の売り上げ」
「いつも助かるよ。……この金額ってことはエイミの発情期ヒートがはじまったんだね」

 メイサママ、と呼ばれたのは、この街の顔役のαである。俗に言う美魔女で、実年齢は不詳だが、二十年以上二十代後半のままである。そして、メイサに売上票を渡したのが、マリ。βで、癖の強いメイサの心強い秘書である。
「はじまっちゃったのぉぉ。ママぁ、今日もあのヒトたち来るって」
「……そうかい。エイミ、発情期中なのは分かったから、服ぐらいちゃんと着ておいで」
「エイちゃん、お願い。あたしのために服ちゃんと着て。目の毒」
 発情期が凄まじいエイミのフェロモンをものともせずに、二人が言う。二人はΩの発情期にあてられぬよう、対策をしているからいなせるが、他ではこうもいかない。

 故に、まともに発情抑制剤の効かないエイミの世話はこの二人が殆ど行っている。他のスタッフもきっちりと対策をしているのだが、エイミのフェロモンが凄まじすぎて、駄目なのである。
「ママもマリもイジワルぅ。服がこすれるのも、駄目なのにぃ」
「……今回はそこまで酷いのかい。マリ、悪いけど……」
「はいはーい。エイちゃんのフェロモンで他のΩの発情期を促さないように見張っておきまーす」
「悪いね。ボーナスはたんと弾むよ」
「ありがとーー。エイちゃん、お部屋戻るよ」
「マリちゃん冷たい~~。あたしママのお世話になりたかったのにぃ」
 お世話っていうか、メイサママに襲って欲しかったんでしょ、という冷静なツッコミをマリが入れつつ、メイサの部屋を去っていった。

 「顔役メイサ」は絶対にΩに手をだしてはいけない。

 それが「花の街」における不文律なのだから。それが出来るからこそ、メイサはメイサでいられるのだ。
 メイサが街の住民へ行うのは、「親愛のキス」だけだ。これは、性別に関係なく行っている。
「因果なもんだよねぇ」
 そう言ってメイサは煙管をふかした。
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