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出会いから恋人に至るまで
カオスの原因
しおりを挟む「やっほーーー。桐生に聞いたわよ!」
その日、真貴がその子を連れて店に来た。
「桐生にね、あんたが店をやってるって聞いたのよ! 今日はあたしのおごり」
「先輩もご存知のお店だったんですか?」
「あたしの同級生なのよ!」
「そうなんですか。私もこの間友達に連れてきてもらって、お酒もお料理もものすっごく美味しかったんですけど……」
何故そこで切るかが分からなかった。
「だぁいじょぉぶよ! 今日はあたしのおごり。それから会社側からも今回の一件で迷惑料が出てるから、遠慮は要らないわよ!!」
その言葉に以前来た子がにぱぁと笑った。
「じゃあ、遠慮なくいきます!!」
「というわけで、時任。いい酒から持ってきな。肴も手ぇ抜いたら承知しないわよ」
真貴にすごまれ、時任はため息をついた。
「……ってか、美冬。本当に付き合ってたんだ」
「あたしも~~。噂だけだと思ってた」
「向こうに告白されておつき合いしたんだけどね、平さんともおつき合いしてるし、他に本命さんはいるし、最悪だった。しかもさ、クリスマスイブに私と平さん二人を呼び出して……」
「マジ!? それってあり得ない!! 女の敵!!」
既に真貴のいる方向がカオスである。挙句、クリスマスイブに来た子、美冬の飲み食いスピードは半端なかった。
「あの子、四次元に胃袋が繋がってんのよ」
追加オーダーを頼みに来た真貴がこっそり教えてくれた。
だからあの時、言葉を濁したのだ。この勢いで飲み食いすば財布は空になる。
あまりにもの忙しさに、桐生に助けを求めた。
「持ち込み料、しばらくチャラな」
桐生が来るなりそう言い出した。
「わぁってる。そのかわり、真貴のところ頼んだ」
厄介なところを押し付けたと思っていたが、桐生は笑っていた。
「あ、あの子だ」
「ん?」
「ほら、壁に八つ当たり……」
「あぁ……いざとなると、あの子怖いぞ。股間だろうが蹴り飛ばす」
「多分身長的にそこになるだけじゃない?」
言っていることはわかる。だが、見た当人としてはあれは恐ろしい。
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