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彼と彼女の秘密
実感の湧かない入籍でした(マジで)
しおりを挟む翌日、「心置きなく婿に来れます!」と宣言した桐生に、美冬の両親は喜んだ。
のだが。
「……旦那の同期があそこの常連でさ」
と、ある程度出来事を知っている千秋は頭を抱え。
「千代様の暴走、誰が止めるんだよ」
と、このあとのことまで考えた冬哉は遠い目をして。
「何の問題もないですが」
と、ふたりにしれっと答えたのは桐生だ。
そして、先ほど祖母から「無事離婚できたわ」というメールが桐生に届いており、安曇家の終焉までカウントダウンが始まったようである。
余談だが。先代の意向で、安曇の財産の大半は千代が持っている。売り払ったように見せかけ、千代に財産分与をしていたのだ。千代が嫁いで間もなくからだから、長い間知られていない。
そして、千代が受け継いだ財産。現在三分の一ほどが桐生名義になっている。今後ここぞとばかりに、美冬にも押し付けてくる未来が見えた。
この話を機に、美冬と桐生の結婚が現実味を帯びてくるとともに、安曇家からの妨害を考慮してさっさと籍を入れることになるのだった。
「何で!?」
「あとは戸籍を弄れないようにしておかないと」
婚姻届けをその場で書き始めた桐生が不穏なことを口にした。どうやら親族であれば弄れる場合があるらしい。
保証人には何故か「砂月 千代」の名前と「都築 しおり」の名前が。思わずガン見した二人である。
砂月というのが千代の旧姓なのだが、よくぞこの書類が間に合ったと思ってしまう。
「……ネタバレするわ。婚姻届けは二種類用意されていたの」
千秋が眉間に皺を寄せて言い出した。離婚がどうなるのか流動的であったため、ということらしい。
「相変わらず、抜け目ないな」
と桐生は呟くが、美冬は軽くどころか重くめまいがした。
これにて晴れて二人は夫婦となったのだ。
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