達観した紫の上と、年上旦那様

神月 一乃

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天高く陰謀巡る秋

たまにはまったりと

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 月曜になり、二人にそのことをやっと話せました。
 人にあまり聞かせられないので、千夏宅での話し合いです。
「……お疲れ。うちは恵真さんが来て離婚危機は一応通り過ぎたって聞いたけど、そんな事なってたんかい」
 千夏がため息ついております。その隣で花音が呆れながら頷くという……。私も他人事なら、そんな感じなんですが。

 ちなみに制服は、気が付いたら恵真さんに回収されていたようで、日曜には綺麗な状態になっておりました。色々ご面倒をおかけしております。
「なんというか、あれだね。離婚危機も『とりあえず』ってのが怖いね」
「ソレナ。お母んも同じこと言って、荷物しばらく預かっとくって」
「いいのかなぁ」
「我が家を実家だと思いね」
「申し訳ない」
「その件に関して、うちのお母さんが『乗り遅れたーー』って騒いでた」
 乗り遅れたって、乗り物じゃないのに。花音宅も相変わらずですね。

 千夏と花音の両親に昔の楽しい思い出を、思い起こしてもらいました。色々ありまして中学の途中から転校してよかったと思いましたとも。

 それはさておき、とりあえず回避というのは、私がまだ旦那様を信用していないからでしょうか。それ以外にもありそうな気がするのは、私だけでしょうか。
「麻帆佳、言わんでも分かる。おそらくまだなんかあるわ」
 花音さんや。あっさり言ってくれますね。否定できませんが。
「しばらく身辺に気を付けたほうがいいんじゃね? 兄貴もなんかあらぬ疑いがかけられたみたいだし」
 どんな疑いですか、千夏さんや。
「麻帆佳と兄貴が出来てるって」
「ないわーー」
 私と花音の声がはもりました。克人さんはお兄さんだし、恋人がいるんですよ。と言っても、最近できたばかりですが。ね、花音さん。
「どうしたもんかねぇ」
 花音が頭をぽりぽりとかいております。
「おそらく、うちらが仲違いすればいいと思って言ってるのかもね。初恋こじらせた男子を舐めんなよ」
 千夏が怒りを伴い言います。初恋こじらせたのは、実は克人さんのほうなんだそうです。
「だよねーー。風吹ふぶきさんに失礼だわーー」
 そう、花音のお姉さんである、風吹さんが克人さんの恋人です。今回の一件、風吹さんの許可を得ておりますとも。というか、風吹さんが「妹の親友一人守れんでどうする! 守れなかった場合はお前を女にするぞ」という素晴らしい一言が。「女にしたうえで、ゲイのたまり場に放り込むぞ」という脅し。なんというか、漢前です。

そんな風吹さん、旦那様のような男がむかつくと憤慨しておりまして。
「言わなくても分かるとか思うなっ! 言わなきゃわからんだろうが!」
 と日々火を噴く毎日だとか。花音が疲れております。同じことを克人さんにも言ったらしくて、克人さんは思い切って告白したのだとか。「ふざけんなっ!」と怒られてもめげないのが、克人さんクオリティ。「今までだって何度も告白したっ! 冗談と取ってたのは風吹ねえだろ!?」という応酬があったと二人から聞きました。
 いや、あのねぇ。風吹さんを「風吹姉」と呼ぶから拗れるんじゃ……と思ったのは私だけではなかったようで、千夏と花音も頷いてました。
「あとさぁ、兄貴曰く、あんたの旦那さん、自分と同じ匂いがするって言ってた」
 同じコロンでも使っているのでしょうかね。そのうち聞いてみましょう。

 ちょうど旦那様から連絡が来て、帰ることになりました。

「胃袋はきっちり掴んでいるみたいだね」
 千夏がにやにやしそんなことを言ってきました。
 どうでしょうか。旦那様は立場上、いろんなお店知ってるでしょうし、素材に拘った美味しい料理も知ってるでしょうし。
「兄貴が人づてに聞いたってさ。麻帆佳の弁当無いと仕事がはかどらんって。麻帆佳家出てから、仕事の効率が悪くなったってさ」
 明日さん情報でしょうか。そんなことないと思うのですが。

 私のいない部屋に帰っても意味ないとは言って……これってのろけ!?
「のろけだね」
 二人の声がはもっておりました。

「ってことはさ、麻帆佳の旦那さんも初恋こじらせ系?」
「おそらく。麻帆佳は鈍いからなぁ」
 そんな話があとからされていたとはつゆ知らず。

 旦那様のリクエスト晩御飯に頭を悩ませておりました。

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花音さんのお姉さま登場です(^▽^)/
千夏と花音は幼馴染で、家族ぐるみの付き合い。つまりは風吹さんと克人君も幼馴染。呼び名で分かる通り、風吹さんが年上です。
そして克人君、旦那様が自分と同類(初恋こじらせ系)であるというのを、本能でキャッチ。
旦那様の初恋年齢が何とも言えない……そしてロ(ゲフンゲフン)
千夏と克人君のお母さんが「麻帆佳ちゃんを嫁に」と言っていたのは、「こいつがどんなに風吹ちゃんに告白しようとも、見向きされないな」という諦めから。だったら、麻帆佳を義娘にして、可愛がろうという魂胆でした。
麻帆佳が旦那様と結婚したので「よし! 実の母親のようになってやる」と花音の母親とタッグを組んでいます。
未だ二人と面識のない旦那様。次に会った時にはみっちり説教が待っていますww
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