達観した紫の上と、年上旦那様

天高く陰謀巡る秋

男のロマンは理解不能

　降ろすどころか、旦那様は私の顎を掴んできました。顎クイというやつです。……ではなくて！
「～～～～～！！」
　いつにも増した濃厚なキスが。窒息するかと思いましたよ。

　しかも、何といいますかアレですよ、アレ。……舌見事にいれられて、腰が砕けそうです。
　あ、べろちゅーでしたっけ？
「麻帆佳」
「は、はいっ」
「考え事出来るくらい余裕で嬉しいよ。せっかく麻帆佳から嬉しいことも聞けたし、このまま寝室に行こうか」
　どうしてそうなるんですかぁぁぁ！　一度旦那様の頭の中をのぞきたいと思っちゃだめですかぁぁ。
「いいよ、たっぷりのぞいて。特に今は麻帆佳のことしか考えていないけど」
　そういう問題じゃなくて。というかまた声に出していたようです。前はそんな事なかったはずですが。
「私としてはね、だんだん麻帆佳が私に心を開いてくれているのが分かってきて嬉しいから、そのままでいて欲しいな」
　チュッとリップ音たててこめかみにキスするのやめてくださいな！


　そんな私を無視して、旦那様がまた長いキスを。だから、こんな濃厚なのは勘弁してください。
　ついでに！　いつの間に胸揉んでるんですか！　防ぐと股に手をやるのはデフォですか！？

　そんな攻防戦が続くことしばし。私の息があがりました。
　当り前です。その間キス止めないし、旦那様は器用に手を動かすし。ついでに気づいたたらブラのホックが外れてました。
　前ホックにしたのがいけなかったんでしょうか？
「そういえば、異性に服を贈る時は『脱がせたい』ということだっけ」
　ちょい、旦那様！　私の服をここんとこずっと買ってますよね。
「だ……旦那様」
「ん？」
「ここ数か月服を買っているのって」
「あ、そっちは今思い出した。麻帆佳に似合う服があると、つい買っちゃうんだよね」
　そうですか、って良くないですが。
「ものすごく同意できるくらい分かるなぁって思ったけど」
「ひゃぁっ！」
　いきなり脱がしにかからないでください！　そして手際が良すぎです。
「やっぱり寝室行こう」

　とりあえず私が言いたいのは。
　……服、着ていいですか？