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天高く陰謀巡る秋
養子話は順調のようです(困ります!)
しおりを挟むあっという間に帰ってきた明日さん。不機嫌そうな顔なのは、駄目だったからでしょうか。
と思ったら違ったようで。マンション外に人相の悪い人たちがたむろしていたんだそうです。
「間違いなく、あの爺が金出させて、水速で雇ったんだろうけどね」
厳原家で雇ったのなら、明日さんにも突っかかってくるはずだと。それをしなかったことから、あっさりと分かったようです。
「叔父一家はいなかったんですか?」
こういう時真っ先に動きそうなのですが。
「多分、なりふり構わず連れて行くため。それやっちゃうと犯罪だからね」
いや、依頼した時点で犯罪ですよ。そして、それに金を出した老爺も犯罪に問われるはずです。
「その通りなんだけどねぇ。あの爺は知らぬ存ぜぬで通すだろうし。金を渡したのは『善意で融資』ってことにでもするんじゃないかしら」
「ただより怖いものはないと思うのですけど」
「麻帆佳ちゃん、やっぱり分かってるね! で、早くて明後日。東輝とその親がやってきます」
「はぃ?」
「あたしが気に入ったからって『はいそうですか』と養子にしないのが、東輝たちだし。久しぶりに来日するのにいい口実になっただけよ」
養子の話はある意味順調に進んでいるようです。
……進まなくていいんですけどね。
それを千夏と花音に言ったら「そんなんだから進むんだよ」と呆れられました。
ということは、養子に乗り気なそぶりを見せれば破談になるということでしょうか。やってみる価値はあります。
「あ、なんかフラグたてた」
二人がそんなことを言っていましたが、気にしません。
そしてそれから二日後。明日さんの旦那さんとそのご両親に会うことになりました。
「初めまして。明日 ジェイク 東輝です」
え!? 聞いてませんよ! まさかのハーフですか。
「母の恵美香と父のロードリックだ」
「みは……じゃなくて、厳原 麻帆佳です」
あ、旦那様が不機嫌になった。厳原の姓に慣れれません。
「龍雅君と伽耶ちゃん、きちんと話聞かせてくれる? トーキの恩人だからっていう理由で『はいそうですか』って養子にするわけにいかないから」
外見に見合わず、ロードリックさん、流暢な日本語です。奥様が日本人だから、頑張って覚えたのでしょうか。
というか、明日さんのお名前って伽耶さんって言うんですね、初めて知りましたよ。
そんな疑問を出す前に、明日さんと旦那様が事情を説明していました。
「イズハラは相変わらずだな。あそこまでいったら『老害』でしかないだろうに」
ロードリックさん、物凄く呆れてますね。
「そうなんですよ。いい加減あの爺を切れって言ってるんですけどねぇ」
「伽耶ちゃんは相変わらずねぇ。同感だけど」
恵美香さんもさらりと! この方たち、厳原のお家を嫌ってます?
「嫌ってない。興味すらないだけ」
考えたことが分かったかのように旦那様が説明してくださいます。……が。
旦那様、そっちの方が性質悪いってご存知ですよね!?
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