VRMMOで最弱の俺は魔王を仲間にした。

松村レイ

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第2章 クエスト編

第19話 魔王帰還!?

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 「ヒッ!」
 あまりにいきなりのことで女の子のような声が出てしまった。

「おぉ、リリスじゃないか」

 ベルはにっこりとしながら片手で軽々と少女の持つナイフを鷲掴みしていた。

「ま、魔王様。何故こんなとこにおられるんですか?あなたが居なくて魔界は大変なことになっているというのに!」

「いやー、働きたくないし。ここ居心地いいんだもん。」

 ハルはこれが魔王で良かったと深く頷いた。

「それじゃ、ニートと言っていることは同じです。というか、この世界ではあなたは敵なんですよ?いや、ラスボスなんですよ?」

「そうは言っても、俺に勝てるやつなんていないし?」

 この意味のない論争を1時間繰り返していたことは置いといこう。

「ところで、リリスさん?あなたどうやら誰かに頼まれてきたらしいけど?」

「そ、そうだった。人間にしては頭が冴えているじゃないか。そう!私はベルゼブブ様のお父様サタン様から申し付けられてここにきたの。」

「まじでか?」

 ここに来て魔王の表情が一変した。

「ん?どうした、ベル?」

「お父様が‥言ったのか。」

 明らかにサタンを恐れていることは確かなようだ。

 リリスはもはや論争に疲れ果て顔がやつれてきていた。

「分かった。行く。」

「え?」

 カタナと2人同時にシンクロした。

 「お前まじか?てことは‥」

 それはつまりここでベルとはお別れ?ってことになる。

「あぁ、ここでお別れだ。2人とも。」

「そんな。こんなのあんまりだわ。」

 急な出来事に頭がついていかず、泣き崩れるカタナ。

 「今までずっとありがとな。特にハル。お前のラーメンを食べてから俺の麺概念が大きく覆された。お前の麺概念をこれからもいろんな人に分けてやってくれ。俺が居なくてもこの先お前はずっとやっていけるさ。」

「あ、ありがとう。」

 ところで麺概念って何?

 麺に概念ってあんの?

 そこまであまり追求はしていないのに。

 麺概念。

 この言葉がハルの頭の中を回遊していた。

「い、行かないでぇ。」

 涙(鼻水)を流しながらカタナはベルに抱きついた。

 「こればかりは俺の判断ではどうにもできないんだ。許してくれ。」

 どうでもいいけど、ブスだなぁー。

 女の子の泣き顔ってやっぱブスだなぁー。

 普段あんなに可愛いのに。

 


 リリスがトイレから帰ってきた。

「決心はついたかしら。」

「あぁ。ついた。行くか。」

「次いでにあんたらにもきてもらうから。準備して。」

「えっ?」

「あんたらって?」

「その泣いている2人よ。なんで泣いてるんだよ。気色悪い。」

 その瞬間、腹の底から得体の知れないものがでそうになった。

 「やったー。」

 大喜びする2人に目を丸くして見ているリリスは置いといて、ベルは開いた口が塞がらない様子だった。

 「じゃあ、魔界行くか!?」

 この三人はこれから魔界で起こることをまだ知る由もなかった。


 「テレポート・極」

 テレポートの極?

 トーナメントでやったやつの上位互換か。

 何はともあれ。

 俺はこのスタートタウンからまた大きな一歩を踏み出したことには間違いはないだろう。
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