VRMMOで最弱の俺は魔王を仲間にした。

松村レイ

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第1章 トーナメント編

第5話 いざ、ダンジョンへ2

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「俺が行く。」

魔王はこう言い放った。
その時の魔王はかつての自分を
思い出していたようだった。

「ベル、お前・・・」

フンっ!!!!!!

ロンギヌスは兎の腹を貫いた。
んっ?
待てよ。あの赤いのって。

「やったな、ハル。初陣成功だ!」
「・・・」
「ハル?」
「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

このゲーム、こういうところはリアルなんだよなぁ。
そして俺は血が嫌いだ。


ー換金所ー
「10マネーです。」 

「いや、なんでだよ!」

「だって、ほぼ原形をとどめてないんですもん。」

「あるでしょ?ほら。」

換金できるわけがない。
ベルが持ってきたのは
肉食兎の目玉、心臓のみ。
あとはすべて焼き切ったのだ。

「じゃあ、俺はそろそろ。」

「ん?なんだ?」

「抜けるから。」

「??」

もしかして・・・

「ベル、ログアウトって知ってるか?」

「知らんな、うまいのか?」

やっぱり。このゲームの中のキャラには
この世界こそホンモノの世界であると
プログラミングされているのか。

「ちょっと、出かける。ラーメン屋で待っててくれ。」

「分かった。」

俺はベルに見えないように路地裏へ回った。

「ログアウト。」

はー、いつもの天井。
振り返ってみれば俺は凄いことに
巻き込まれたのではないのか?

そんなことを考える余裕もなく
俺は眠りについた。

「春ーー、起きなさい!」

「分かってるよ!」

朝は苦手だ。
夜は得意だ。
そして俺は学校へ行く。

この間にもベルは何をしてるんだろう?

ドスッ!

「なんだ?」

「おい、こら。お前どこ見て歩いてんだ!」

現実は残酷だ。

こんな世界ゴミだ。

ドスッ!

やはり俺はこっちの住民ではない。

「くっそ、いってぇーな。」

夏のジリジリとした日が
俺を容赦なく攻撃する。

「ブレイン・ダウン!!」

はぁはぁはぁ

いつものラーメン屋へ走った。

「ベル?」

そこにベルの姿はなかった。

あいつ、どこ行ったんだ?

「お、ハルか?」

ん?
振り返るとベルは立っていた。

「良かった。どこいってたんだ?」

「まぁ、ちょっとな。
それよりお前はどこ行ってたんだよ。」

ギクッ

俺は迷った。
いつかはいうべきなのだろう。
この世界はホンモノの世界ではないということを。
ただ、ハルの中の何かがそれを止めた。

「バ、バイトだよ。最近、この近くの店で
働き始めたんだ。」

魔王は少し疑うような目をしていたが。

「そうか、随分長時間労働なんだな。」
「は、は、は。」 

心底魔王がアホで良かったと思った。

「そんなことより今日はどうする?」

「一旦、街にでも行ってみるか?」

という訳で俺達は街へ向かった。

ガヤガヤガヤガヤ

「今日はやけに賑やかだなー。」

「そりゃあ、そうさ。なんせ年に1回のことだからな?」

あー、そうだった。

【ワールド・クエスト トーナメント】だ!!

「おい、ハル。何があるんだ?」 

「トーナメントだよ!トーナメント。
早速、ラーメンの店を開こう。こりゃ、儲かるぞ!」

「・・・」

「ベル?」 

「出よう。」

は?

「トーナメントに出よう、ハル!!」

えーーーーーーーーーー!!!!!

「ちょっと待て、あそこにはランキング上位の猛者達が集まっているんだぞ。」

「登録完了しました。」

て、おい!
魔王、やる気満々じゃーねーか。

「何してんだ、ベル。」

「大丈夫だ。任せとけ。俺がいるだろ?」

お、おう?

ゾクッ

なんだ、この感覚。

「おい、見ろ。勇者様だ!」

なんだ?あいつ。
まるでこの感覚。

あいつが横を通った瞬間感じた。

ベルと初めてあった時と同じ。
多分、ベルも感じているようだ。

このトーナメント。

一筋縄ではいかないことを。

「行くぞ、ハル。」

「え、どこへ?」

「修行だ。」

えーーーーーーーーーー!!!!!

トーナメント受付場から少し歩いたところにある
訓練場に着いた。

「いいか、魔法師って言うのは二つの種類がある。
一つは攻撃型、もう一つは支援型だ。
どっちかを選べ!」

「支援型でお願いします。」

 いいんだ。こっちの方がベルをサポート出来て、
 安全だし。
 前線は怖いし、おしっこ漏れちゃう!

「そうか、トーナメントまであと10日だ。
 お前にはS級魔術【フリーズ】を覚えてもらう。」

な、何だって?

「お、俺には無理だ。そんな技使えないよ。」

「出来る!!」

ビリッ。その時の魔王の眼球はとてつもなく
恐ろしかった。

「や、やります。」

「流石、俺のパートナーだ。」

それからの練習は地獄だった。

「フリーーズ!!」

「だめだ。そんなんじゃ甘い!」

訓練場内に魔王の野太い声が響いた。

月日はあっという間に過ぎた。

そして俺達はトーナメント当日を迎えた。
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