ビジネス・オブ・異世界

松村レイ

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第一章 ラウス湖ビジネス編

第一話 ラウス湖の主

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 今、俺はラウス湖の真ん中。

 ボートの上。

 このラウスという国の端っこにある巨大な湖だ。

 近年は観光スポットになりつつある。

 しかし、今回来たのは観光ではない。

 この湖の主であるを釣り上げて、業者に高い値段で売る算段を立てている。

 今のところ、竿に反応はない。

 先端に餌としてつけている小魚は、未だにオオメガトロを待っている。

 隣で寝ているのは、うちで働いているミリ。

 アルバイトで数ヶ月前に入ってきた。

 勿論、頭には猫の耳。

 尻尾もしっかりと付いている。

 至って普通の人間だ。

 言い忘れていたようだが、俺は店長だ。

 この世界に来て、早1年。

 「スズキ商店」は赤字の連続だ。

 ここでを吊り上げれば一気に100万ゼニー儲かるだろう。

「おい、ミリ、起きろ!いくら時間外労働だからって。寝て言い訳じゃねーんだよ。もし釣れたらボーナスでるから」

「んー、でも釣れないじゃん?」

 眠たそうな目を擦りながらこちらを覗いてくる、ミリ。

「どうやらオオメガトロは相当うまいらしいぞ。もし余ったら何にして食べるよ?」

 ミリの耳がピクリと動く。

 非常にわかりやすい反応。

「刺身?とか?」

「焼くのもいいぞ」
 
「煮たりも‥ってその手には乗らないよ!危ない危ない、どうせ釣れないことはわかってるんだからね?」

 そう言いながらもミリはズズズと音を立てて、ヨダレを啜った。

 周りにも何人か釣り客はいる。

 さすがラウス国を代表する湖のラウス湖だ。

 どうやら最近は観光にも力を入れていて、ラウスソフトに、ラウス饅頭、その他にも宿泊施設など、様々だ。

 「ここで俺も店を構えてみるのも悪くないよな?ミリ?」

「‥‥」

 再び、眠りについたようだ。

 その時、竿に反応があった。

 湖の底からかなりの引きだ。

「おい、起きろ、ミリ。かかったぞ!この引きは間違いない、オオメガトロだ」
 
「え?何?」

 飛び起きるや否や湖の底を覗く。

「暗くてよく見えないけど、確かに大きな影が動いているよ!」
 
 ミリの尻尾はピンと上に伸びている。

 竿はしなり、今にも折れそうな勢いだ。

 S字にカーブした竿はギシギシと苦しそうな音を立てる。

「いいよ、その調子、その調子。」

「いいから手伝えよ、ミリ!」

「私はとどめ刺す係だから」

 とどめ刺す係って何だよ?

 ミリは近くにあるモリを徐に持ち上げた。

「見えてきた!」

 次の瞬間、爆発したのかという程の水飛沫と共にが空中にはねた。

 自分たちの3メートルほど上を跳ね、その巨体があらわになった。

 「ここだぁーー!」

 気づくとミリはモリをオオメガトロに突き立てた。

 そのまま、オオメガトロを刺したモリを離さないままミリと共に湖に落下した。

 「ミリーーー!!」

 落下し湖に落ちたミリの後を追って急いで水面へと視線を落とす。

 水は赤く染まっていた。



「現在マイナス60万ゼニー」
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