ビジネス・オブ・異世界

松村レイ

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第一章 ラウス湖ビジネス編

第三話 ラウスガエルとタピオカ

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 「ラウスガエルの卵が美味い。」

 港にオオメガトロを運んだ際に、ラウス湖で漁をしている漁師が言った。

「卵?カエルの?見た目最悪じゃない?」

「確かに見た目は真っ黒の普通のカエルの卵だけどな、食ってみると歯応えがあって美味いんだ」

 目を大きく開いてスラスラと語り続ける漁師にビジネス脳をフルに働かせた。

「そのってのはどこで取れるんだ?」

「そんなもんどこでも取れるさ、湖の陸に近いところにいっぱいいるぞ」

「なら何故にここらへんでは売っていないのさ」

「見た目が悪すぎるんだよ、なんせカエルの卵だからな、漁師はよく非常食替わりに食べるんだが‥」

「ほう、なるほど。ありがとう、何かのビジネスになるかもしれない」

 港を後にして、開発途中のラウス湖周辺を散策した。

 「ドーーン」

 後ろから背中に胸を押しつけて、飛び乗ってくるミリ。

「重た、お前は俺より重いんだから。勘弁しろよな」

「女の子に体重の話をするなんて本当にスズキは商売にしか脳がないのね」

「別にそんな訳じゃないけど‥」

 ジュルジュルと太めのストローで何かを飲むミリ。

「ところで何飲んでるんだ、それ?」

 徐にその得体の知れない飲み物を指差す。

「えー、スズキ知らないの?タピオカに決まってんじゃん!」

 タピオカか‥タピオカ!?

「こっちでもタピオカあるのか?」

 確かに前世でもタピオカが流行っていたが、こっちの世界でもまたこの飲み物が流行っているのか。

 だんだんと世界の仕組みも理解してきた。

 俺の生きて生まれたあの世界とこちらのと呼ばれる別次元の世界はまるで違う。

 生活しているのも人間以外にミリのような獣人。

 食べ物も見たことのないものが沢山ある。

 がしかし、どこかマッチすることがある。

 俺はこれを『リンク』と呼んでいる。

 タピオカもまたこのの一環と考えてもいいだろう。

「どこで売ってた、それ?」

「何を急いでるのよ、あっちの路地だけど」

「連れてけ」

 急ぎ足でミリの手を引き、その店へと向かった。

 確かに看板には「」の文字が。

 というかなんだよって。

 ネーミングのクセが凄い。

 値段は?

 500ゼニーか。

 まずまず。

 種類は?

 5種か、少なめ。

 看板メニューは?

 どうやらラウス湖の青に例えてか。

 「どうだった、そのは?」

 後ろで息を急がしているミリに問い詰める。

「はー、はー。え、美味しい美味しい」

「美味しいだけじゃなくて、どんな味かとか」

「普通だよ、この青いジュースもブルーハワイ味だし」

 なるほど。

 しかしよくある観光地の手口か。

 大衆受けを狙った、低価格の現在量で利益を出す方法。

 この時、スズキの脳はさらなる回転をみせていた。

 『現在プラス30万ゼニー』

 
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