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木森林木林

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恐怖の大王の予言の私的解釈

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 それは1999年からちょうど2000年になった瞬間。現れると世界全体で噂されていたオカルトの化身。それは世界に破壊をもたらすと言われていた。

 元をだどればとある預言者の本にその一説が記されている。しかしよく見ればそれは世界を破滅するなどどこにも記述されていない。
 
 性格には、恐怖の大王が来て、アンゴルモアをよみがえらせるとあり、それによって何かを支配するとあるのだ。
 
 支配という言葉に、何か破滅的な解釈をもたらしたのだろうか。その信憑性は当時から怪しいものだと、真っ当な人ならわかるはずだが、社会全体に何故か信じられ、パニックになったという経緯があった。
 
 しかし、その予言がもし本当だとして、ノストラダムスが何かを見てそれを言葉という情報量の少ないものに置き換えたのだとしたら、その真意とは何なのだろうか。
 
 何もそれが世界の破滅をもたらすという確定的な証拠はないのである。
 
 そう、しいて言うならそれは、恐怖という言葉に集約されているのではないか。
 
 恐怖。何に対する恐怖だろうか。
 
 逆に言うなら、それまで恐怖と思っていなかったこととは何なのだろう。
 
 それは、死ではないか。死に対する恐怖。
 
 ヒト、いや生命は、生まれた瞬間からいずれ死ぬことを決定づけられていると言ってもよい。
 
 なのに人は、何故かその死に抗うことをせず、むしろ自ら人を殺すような行動をこれまで歴史的に見て取っているように思える。
 
 近代に近づくにおいて、人権、あるいは不合理な処刑、殺害が禁止されていくように思える。
 
 戦争など、自分の命を懸けて、金銭的なものに変換するゲームでしかない。それを彼らは何百回と繰り返しているのである。もし自らの死を恐怖しているならば、それは正気の沙汰ではない。
 
 そう、彼らは死をあまり恐怖していなかったのだ。
 
 逆に言えば、時代をさかのぼるほど、人は死に恐怖していなかったのではないか。
 
 時代を経るほどに死に対して恐怖していくようになったのではないか。
 
 そして、前述の通り、それとともに他人を大事にしようという制度や常識が作られていくのは、それが一つの精神的な作用、つまり死への恐怖が背景として作られていったものなのではないか。

 そう、ノストラダムスのこの予言における恐怖の大王とは、死への恐怖のことであり、それに伴う、何か行動や作用によるものなのではないか。
 
 彼の預言は正確には、アンゴルモアの大王は、マルスの前後に首尾よく支配する。とある。
 
 ここで注目するのは支配という単語だ。
 
 前述の恐怖という単語に対するアプローチのように、何か根源的な者に対する支配と考えてみよう。
 
 何に対しての支配か。それは世界に対する支配と言っていいのではないか。
 
 普通支配と聞くと、人に対する支配を連想させるかもしれないが、しかしこの現代世界において、人を支配するというのはタブーである。
 
 前述の死への恐怖の作用によって、人を大事にするという理念がこれまでの時代から育ってきており、それは早々変わるものではないからだ。
 
 ならば、残るは世界に対する支配しかない。そう科学である。
 
 シンギュラリティ的な科学発展をノストラダムスは預言していたのかもしれない。それが死の恐怖によって加速する。と。


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