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シミュレーション

シミュレーション。

　異世界という言葉を知っているだろうか。

　ファンタジー的な物語を読むのならばなじみの深い言葉かかもしれない。

　だが、ここで話すのは、現実とは違う空間、という定義での異世界。

　そう、これは科学によって、異世界へのゲートを開くというプロジェクトだった。

　異世界。それは空間、というよりも『物質』に注目した。

　今私たちがいる世界とは別の物質でできていると定義されているのだ。

　なぜなら、空間を認識しているのは、同じ物質でできた生命体。

　そして、物質が異なると、それを認識できないのではないかという仮説に基づくものだった。

　例えば、電子的な世界の仮想的物質と、リアルにおける物質はもちろん同じものではない。

　仮想的物質と、現実的物質は交わることはなく、仮想的物質と仮想的物質は衝突し、現実的物質と現実的物質も衝突する。異世界とは、現実とは別の物質で作られた世界、という仮説。

　そして、現実的物質と、その異世界的物質。それらの特性を把握し、両者のパロメーターの差異を埋めるプロジェクトだ。

　それによって何ができるかというと、その世界での完全に近いシミュレーションだ。

　これまでの人類の長い科学の発展によって、無限に近い処理能力を持つコンピューターの開発は既に住んでいた。それにかけることによって、AIに仮想的な異世界を構築させることができる。

　それによって、その世界の過去、そして未来が浮き彫りになるということだ。

　一部の派閥からは、悪魔の技術だと迫害されたが、しかし、この技術を使い、そういった派閥を、一見全く関係ない方向から妨害することによってなんな気を得た。まったく、あういう科学にとって有害な連中は人類の負の資産と言えるだろう。

　コホン、まあ、とにかく、そうすることにより、異世界の交流、あるいは防衛が、比較的簡易的に行えるということができるのだ。