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愛しているからこそ・・

　勇者がいた。

　彼は、恋人とともに魔王を倒すたびに出ていた。

　恋人と彼はとても愛し合っていた。

　だが、、しかし、、彼は恋人を盾に取られてしまった。

「こいつがどうなってもいいのか？」

「・・・・・」

　勇者は・・殺した。

　ザシュッ

「なっ・・？！」

　恋人もろとも魔王を殺したのだ。

　それほどまでに彼はこの戦いに命を懸けていた。

　そして、、平和が戻った・・かに思えた。

　しかし、今度は王様が周辺の国に戦争を仕掛けた。

　勇者は、王様の兵士、そしてその家族、貴族もろとも殺した。

　広域殲滅魔法。兵士たちは基より、それは周辺の小さな無関係な村まで巻き込んだ。

　そうするしかなかったのだ。

　ここでためらえば、恋人を手にかけた意味がなくなってしまう。
　
　彼が愛する人々のために、彼は無関係な彼らを巻き込まざるを得なかったのだ。

　でなければ、戦争が大人びて最もらしく見える理由で継続され、戦争で駆り出される大人たち、そしてその犠牲と敵国の犠牲が生まれる。

　より多くの人々を巻き込んでいただろう。より多くの苦しみを生んでいただろう。

　一つの悪を許せば、必ず虫のようにその悪は伝達し、広まっていく。

　愛が深いほど、その分憎悪も、大きい。